記事一覧:Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」225

  • ヒトラーが台頭したドイツはなぜ盲目的に彼を支持したか

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    ヒトラーが台頭したドイツは なぜ盲目的に彼を支持したか

    2015年4月18日号  

    本書は、アドルフ・ヒトラーが第1次世界大戦後のドイツで政治家として出発し、選挙を経て首相に就任してから「総統」として独裁的な権力を固め、第2次世界大戦に突き進むまでの歩みを、間近で観察した人々の目を通して跡付けた意欲作である。主な素材は、ヒトラーと接触した米国人が残した膨大な手記、書簡、報道、論説などだ。

  • “勝利の確率”を上げる考え方相手のクセを読むコツを説く

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    “勝利の確率”を上げる考え方 相手のクセを読むコツを説く

    2015年4月11日号  

    多くの意思決定の状況では、相手(人間とは限らないし、個人とは限らない)も自分も、それぞれ複数の代替案あるいは選択肢を持つが、お互いに相手の選択に影響を与えることはできない。相手と自分が独立に選択をし、両者の組み合わせによって、結果(勝敗)が決まる。

  • コーチングの常識を一新するフレームワークについて学ぶ

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    コーチングの常識を一新する フレームワークについて学ぶ

    2015年4月4日号  

    世界で1000万部を超すベストセラーになったアンソニー・ロビンズによる『一瞬で自分を変える法』は、コーチングにおける必読書のような位置付けになっている。米国人の彼は、「私たちの力は、無限である」と主張してきた。

  • 『成長の限界』の主執筆者によるシステム思考についての“原論”

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    『成長の限界』の主執筆者による システム思考についての“原論”

    2015年3月28日号  

    ある世代に属する読者なら、ドネラ・H・メドウズの名はローマ・クラブによるレポート『成長の限界』(1972年)の主執筆者として記憶しているかもしれない。当時、米マサチューセッツ工科大学の研究者だった彼女は夫と共に、資源の制約がある中で成長を推し進めれば、さまざまな“危機”が生まれることを、コンピュータシミュレーションを用いて提示した。

  • 近代史の専門家が描き出す「改革派政党」の蹉跌に学ぶ

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    近代史の専門家が描き出す 「改革派政党」の蹉跌に学ぶ

    2015年3月21日号  

    歴史のアナロジーには、常に“語り手”の期待が込められているという。現在の政治意識を過去に投影すると、「幕末に学べ」式の安直な楽観論が量産されてしまう。では、悲観論はどうか。本書は、戦前の民政党の歴史を振り返ることにより、わが国リベラル政党の「失敗の本質」を問うている。

  • 現代資本主義の貪欲さに警鐘善き暮らしを送る七つの条件

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    現代資本主義の貪欲さに警鐘 善き暮らしを送る七つの条件

    2015年3月14日号  

    英国の経済学者ケインズは、1928年、「孫の世代の経済的可能性」と題する講演を行った。100年後の世界では、技術進歩により平均所得は4~8倍に膨らみ、人々の基本的なニーズが満たされる豊かな社会が訪れる。そして、一日10時間の労働時間は3時間程度まで短縮され、余った時間をどう過ごすかが人類の重要な課題になる──。

  • 独自のポジションを得ているスイスの“国の競争力”に学ぶ

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    独自のポジションを得ている スイスの“国の競争力”に学ぶ

    2015年3月7日号  

    この1月はスイス発のニュースが世間をにぎわせた。一つは毎年恒例のダボス会議、もう一つはスイスフランの急激な高騰。人口800万人の小国ながら、情報発信力もあり、高い競争力を誇る、日本が将来像を考える上で無視できない国だ。今でも、バチカン市国の衛兵がスイス兵であるように、かつては傭兵が国を支えていたといっても過言ではない。そんなスイスがいかにして、競争力のある産業を幾つも抱える国となったかを写真や図表をふんだんに取り入れながら説いたのが本書である。

  • 経済の初心者でも楽しめるファイナンス思考の入門書

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    経済の初心者でも楽しめる ファイナンス思考の入門書

    2015年2月28日号  

    世の中には、ファイナンスに関連した書籍は数多くあるが、高度な専門用語の知識を必要とするものや、難解な数式を展開するものが一般的となっている。何となく、苦手意識を持っている人が少なくないのではないだろうか。こうした中、『お金はサルを進化させたか』は、モノやサービスの価値や、お金に関する心理などについて、ファイナンス理論にとどまらず、金融工学や確率論、統計学や行動経済学などの基礎知識を活用しながら、日常生活の事例を用いて平易に解説している。

  • 登場人物は魅力的ながらも全体が見えない幕末の通史

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    登場人物は魅力的ながらも 全体が見えない幕末の通史

    2015年2月21日号  

    幕末・維新は、戦国時代と並んでロマンをかき立てる激動期である。だが、割拠する群雄が次々と倒れて統一へと向かう戦国時代に比べると、幕末の歴史は分かりにくい。例えば薩摩藩は、14代将軍徳川家茂に皇女和宮を降嫁させて朝廷と幕府の融和を図る「公武合体」を推進し、過激な長州藩を京都から追い落とす。ところが、3年後にその長州藩と盟約して、今度は倒幕の中心勢力になった。

  • デジタル化がもたらす変化と超実力主義社会の到来を説く

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    デジタル化がもたらす変化と 超実力主義社会の到来を説く

    2015年2月14日号  

    3年前、世界中で『大停滞』という本が話題になった。その続編『大格差』は、現在進行中の“仕事のデジタル化”が、労働、雇用、経済、社会などに対してどのような影響を及ぼすのかについて解説する。まず事実として、1970年代以来、米国企業の労働分配率は減少しており、家計の平均収入は低下する一方で、富の集中は進んでいる(このことは別の著者による『機械との競争』〈日経BP社〉でも指摘されている。2013年5月18日号の本誌の書評欄で紹介)。

  • 幕末からアベノミクスまで英国人が洞察した日本通史

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    幕末からアベノミクスまで 英国人が洞察した日本通史

    2015年2月7日号  

    本書は、英語圏の知識層に対して「日本は皆さんが思っているほどお先真っ暗ではないですよ。何はともあれ、実情を知ってからご判断ください」と、1853年の黒船来航以来の日本社会と経済の歩みをトレースし、分析した日本論である。著者は、日本に6年8カ月滞在してこの国をこよなく愛するようになった英国人のジャーナリストだ。精力的な取材に加え、大変な勉強と研究を重ねていることから、その通りとうなずく指摘が多い。

  • 『大国の興亡』の仮説に反駁「制度的な停滞」の謎に迫る

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    『大国の興亡』の仮説に反駁 「制度的な停滞」の謎に迫る

    2015年1月31日号  

    本書の主著者であるグレン・ハバードは、ブッシュ・シニア政権で財務省副次官補、後のブッシュ・ジュニア政権では大統領経済諮問委員長を務めた人物だ。「ブッシュ減税」で知られる、史上最大の減税策の提唱者としても有名である。いわば“経済ネオコン”の代表格である。アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した「インサイド・ジョブ」(2010年)では、リーマン・ショックの片棒を担いだ経済学者の1人としても紹介されている。

  • 世界が注視する天才投資家の「頭の中」をのぞいてみよう

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    世界が注視する天才投資家の 「頭の中」をのぞいてみよう

    2015年1月24日号  

    「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」 採用試験の時に、ピーター・ティールは、必ずそう聞くのだそうだ。評者など、いまさら米国のシリコンバレーで働いてみる意欲も能力もないが、伝説のベンチャー投資家の目の前に立ってみたいという気持ちなら、少しだけある。

  • 英ケインズと米ホワイトによる「国際通貨制度」をめぐる攻防戦

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    英ケインズと米ホワイトによる 「国際通貨制度」をめぐる攻防戦

    2015年1月17日号  

    G20首脳会議で、各国の蔵相や中央銀行の総裁が集まっても、長期的に実効性のある取り決めに至ることはまれだ。各国の利害調整は、相当に難しい。残るのは、参加者全員で撮影する記念写真くらいだろう。今から70年前、1944年7月に、計44カ国の代表が米国のブレトンウッズに集まり、戦間期の惨澹たるマクロ経済や不安定な金融情勢の反省に立ち、戦後の「国際通貨制度」の枠組みを構築した。

  • 思考の引き出しの数を増やす例外的に分かりやすい教科書

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    思考の引き出しの数を増やす 例外的に分かりやすい教科書

    2015年1月10日号  

    著者は、村上春樹ファンの間では“知る人ぞ知る人物”である。村上の米国滞在中の紀行『やがて哀しき外国語』(講談社)に登場するからだ。村上曰く「プリンストンでご近所だった経済学者カンドリ君の話によると、このようにアメリカの床屋では最初に交わされた話題が恒久的に定着してしまう傾向がある」。著者(神取道宏氏)はテキーラの話を最初にしたために、延々とテキーラの話をさせられるユーモラスな存在として描かれる。

  • 具体的なモデルと実験により現代マクロ経済学を咀嚼する

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    具体的なモデルと実験により 現代マクロ経済学を咀嚼する

    2014年12月27日号  

    現代のマクロ経済学は、集計量としてのマクロ変数の背後にあるミクロ的基礎が明確にされてきたことや、集計量を扱う際に代表的個人が仮定されることはご承知の通り。日本の大学の学部教育ではさほど浸透していないものの、現代のマクロ経済学は、動学的一般均衡理論(DSGE)と経済成長理論が二つの大きな柱として構成されているのは確実で、特にDSGEモデルが日本でも行われている「リフレ政策」の根拠の一つになることからすれば、実務者もその対策が必須だろう。

  • 日本企業は過去を断ち切ってG型企業に変わる必然を説く

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    日本企業は過去を断ち切って G型企業に変わる必然を説く

    2014年12月20日号  

    変化のやまない今日の日本で、繁栄する企業と滅び去る企業の差は、どこから生じるのか。本書は、個々の企業の立場から、日本経済再生の処方箋を提示している。それには何より、G型、つまりグローバルな市場で競争する企業と、L型、すなわち主にローカルな需要に応える企業に分けて考えなければならない。それが、前著(『なぜローカル経済から日本は甦るのか』PHP新書、2014年)以来の著者の主張だ。前著がL型企業に焦点を当てていたのに対し、本書では、G型企業に焦点が当てられている。

  • 企業が世界の課題と向き合うその必要性を説く真摯な論考

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    企業が世界の課題と向き合う その必要性を説く真摯な論考

    2014年12月13日号  

    ベストセラーとなった『ワーク・シフト』(2012年9月15日号で紹介)を書いたリンダ・グラットン教授(ロンドン・ビジネススクール)による近著。いま企業を取り巻く世界で起きつつあるグローバル化やスキルギャップの拡大などの大きなトレンドを七つ指摘し、それらが企業とそこで働く人々にどのような影響を与えるか、企業およびリーダーはどう対処するべきか、についての処方箋を提示する。

  • ポーター批判の急先鋒が説く実践的マネジメント論の真髄

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    ポーター批判の急先鋒が説く 実践的マネジメント論の真髄

    2014年12月6日号  

    現代経営学の第一人者の一人として知られるヘンリー・ミンツバーグは、カナダのマギル大学で組織マネジメントなどを教える学者である。しかしながら、米ハーバード大学ビジネススクール(HBS)などで教える理論や方法論を実行不能な空論、ないしは企業を危うくする暴論と舌鋒鋭く批判してきた。

  • “カウンターカルチャー”の矛盾を解体・批判する好著

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    “カウンターカルチャー”の 矛盾を解体・批判する好著

    2014年11月29日号  

    2015年春夏のパリコレクションで、シャネルは「街頭を占拠する」と銘打ってモデルたちのデモ・ファッションショーを開き、耳目を引いた。アラブ世界やウォールストリートに続いて、香港でも民衆が街頭に繰り出す時代を意識してのことかもしれない。この本は、体制批判から生まれたカウンターカルチャー、すなわち「自由と個性に基づく文化」がいかに消費主義へと転化していったのかを克明に描き出している。

定期購読キャンペーン

記者の目

  • 編集委員 藤田章夫

    新NISAを追い風にする保険業界のしたたかさ

     新NISAが1月からスタートし、保険の販売には逆風かな?と思っていたら、「むしろ追い風になっていますよ」との声が多数。
     資産運用の相談に来た人に、「投資信託は資産が減ることもありますが、変額保険の死亡保険金額には最低保証があります」と言えば、「保険の方がいいか」となるようです。
     本来は、資産を運用したいのか保障が欲しいのか、目的に応じて使い分けたいところですが、これがかなり難しい。
     そこで、保険ジャーナリストの森田直子さんとファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに、保険と運用それぞれの立場から対談を行っていただきました。面白過ぎて、対談時間はあっという間に過ぎました。ぜひご一読ください。

  • 副編集長 名古屋和希

    “予定調和”の買収は今後減少?

     第一生命ホールディングスが3月に福利厚生代行のベネフィット・ワンを買収しました。この買収劇は異例の展開をたどりました。
     先に買収を表明したのは医療情報サイト運営のエムスリーでした。そこに第一生命が参戦したのです。結局、エムスリーよりも好条件を提示した第一生命が買収戦を制しました。大企業による対抗的な買収は極めて珍しいものです。
     従来、事業会社はイメージ悪化などを恐れ、「敵対的」な買収を控えてきました。ただ、近年はルール整備などを背景に「同意なき買収」が広がる機運が出ています。買収が活発になれば、企業・業界の新陳代謝も促せます。今後、“予定調和”の買収は減っていくかもしれません。

最新号の案内24年4月27日・5月4日合併特大号

表紙

特集保険vs新NISA 今「契約したい保険」は? 生保商品ベスト&ワーストランキング

保険とNISA、どちらに資金を振り向けるべきか──。新NISAをきっかけに投資熱が高まる中、多くの人が抱える悩みだ。そこで保険とNISAで迷ったときの考え方や保険の見直し方、保険のプロ29人が辛口採点した生命保険商品ランキングを、業界の深部…

特集2変局 岐路に立つNHK

NHKが大きな岐路に立たされている。今国会で放送法改正案が可決されれば、ネット視聴も受信料徴収の対象となる。一方で、今後、NHKの受信料収入は人口減やテレビ離れを背景に先細る可能性が高い。職員数1万人を誇る巨大公共放送機関は、「みなさまのN…