記事一覧:Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」225件
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
まさかのトランプ現象を解説 オジサン世代が学べる入門書
2016年7月9日号並み居る米国ウオッチャーたちが、「予想していなかった」と口を揃えるのが“ドナルド・トランプ現象”だ。世が世ならば、彼を取り上げた「トランプ本」が書店にズラリと並びそうなものだが、あまりにも不測の事態だったせいか、今のところ数えるほどしか見当たらない。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
ドラマあり理論ありの銀行論 金融再編の20年間を描く好著
2016年7月2日号1980年代末のバブル期、評者は都市銀行マンとして、大阪・鶴見の街で顧客回りをしていた。都市銀行、地方銀行が集中する激戦区で、軽四輪車で地主を訪ねると、相続税対策の指南か、黒塗りのハイヤーから降りてくる信託銀行マンたちとバッティングすることもあった。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
米国の人気経済学者が教える “最適な組み合わせ”の入門書
2016年6月25日号評者の勤務するコンサルティング会社では、コンサルタントのプロジェクトへのアサイン(任命)は基本的に全て“公募制”にしている。そのマッチングのプロセスにおいては、コンサルタントの希望を叶えること、クライアントへのサービス水準を担保すること、稼働率の水準を確保することなどの多様な目的関数を考慮する必要がある。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
「海と経済」の関係から読む ありそうでなかった入門書
2016年6月18日号南シナ海周辺で中国が軍事力を持って海洋進出を進めているだけでなく、海洋資源が集中するアラビア半島で「イスラム国」による武力活動やシリア政府と欧米政府の対立、サウジアラビアとイランの国交断絶など、世界経済は混迷を深める。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
米国を理解するために役立つ 建国の全体像を描き出す好著
2016年6月11日号アメリカ合衆国は、革命によって産み落とされた。1776年の独立宣言から88年の合衆国憲法の発効に至る一連の過程で、文明の中心から遠く離れた無名の植民地が、連邦制の巨大な共和国に再編成された。文化も大きく変わった。誰もが「平等」だという信念が行き渡り、大志を抱いた青年が起業して金儲けをすることが称賛された。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
四半世紀以上読み継がれる 国際政治学の名著の新訳版
2016年6月4日号世界が危うく全面的核戦争に突入しかけた1962年10月の2週間。“キューバ”危機は、どのようにして回避されたのか。本書は、その過程を三つの枠組みから詳細に分析した国際政治学の古典だ。初版は71年だが、その後公開された公文書、当事者のメモや会議の録音などの追加資料により大幅に改訂されたのが第2版(99年)である。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
英国の人気政治家が活写する チャーチルのリーダーシップ
2016年5月28日号現在、英国では、ボリス・ジョンソンという52歳の政治家が国民的な支持を集めている。キング・ジョージ2世の末裔で、最近までロンドン市長を2期務めた下院議員である。次期首相の最有力候補であり、「結果よければ全て良し」と、人格や動機をあげつらう風潮や論評を批判する現実主義者でもある。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
リーマンショック以降も続く現代資本主義の“因果的危機”
2016年5月21日号あえて俗っぽい紹介をすれば、ピケティ著『21世紀の資本』の“政治学版”ということになるだろうか。本書でいう「時間かせぎ」とは、持続的な成長と社会的な進歩との間の相互依存が解消されたことで、不安定化した資本主義の断続的な延命措置のことである。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
唯一の覇権国・米国の外交が“内向き”になる理由を詳述
2016年5月14日号「週刊ダイヤモンド」は、4月9日号で44ページも使って“米大統領選挙”を特集していたが、今年後半の大統領選は日本でも関心が高いようだ。「ドナルド・トランプ現象」などもあり、非常にハイテンションな選挙戦が進行中である。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
社会がリスクを分担できない 欧州大陸から見た日本の危機
2016年4月30日号日本経済の長期停滞は、新興国の台頭やIT革命などがもたらす大きな変化に適応できなかったから、というのが通説だ。多くの経済専門家が訓練を受けるアングロサクソン流の新古典派経済学は、聖域なき規制緩和で市場の機能を活性化させ、資源配分の効率化を図ることが“正しい処方箋”だと教える。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
存命中には明かされなかった立志伝中の人が抱えた“苦悩”
2016年4月23日号日本経済新聞の「私の履歴書」には、「当たり」と「はずれ」がある。「当たり」とは波乱万丈の人生の履歴書で、多くは創業経営者やスポーツ選手、芸術家のそれである。最近では、ニトリの似鳥昭雄氏、「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげる氏の履歴書は私にとっての「当たり」だった。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
「安倍政権に勝てる」と提言 “左派”が考える景気刺激策
2016年4月16日号政権交代により、アベノミクスが本格的に始動した2013年以降、安倍政権を批判する経済関連書が次々と出版されている。本書は、頭ごなしにアベノミクスを批判することなく、ケインズ経済学的な考えからアベノミクスの効果を認めており、それを上回る経済政策を左派・リベラル派に向けて提言する点が面白い。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
地球上の生命の起源は火星? 絶滅と繁栄を繰り返す進化史
2016年4月9日号恐竜絶滅の原因が隕石の衝突だったとの説を耳にした読者は多いだろう。今日それは、定説となっている。約6500万年前、米テキサス州ほどの大きさの隕石がユカタン半島付近に衝突し、陸地に大火災を引き起こした。噴き上げた粉塵が太陽光線を遮断し、熱帯ですら氷点下近い低温になった。隕石やマグマが放出した硫黄が酸性雨となって全地球に降り注ぐ。全生物種の実に75%が絶滅したという。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
現代社会にも共通点がある 江戸時代の人事政策の“妙”
2016年4月2日号江戸幕府(1603~1867年)は、18世紀前半には2万人以上に上る1万石未満の直属武士から成る、“内部労働市場”を運営していた。17世紀末から18世紀初めにかけて、縁戚他藩から将軍となった徳川綱吉・家宣・吉宗が以前の藩士を幕臣として編入したため、幕臣の数は急増した。その一方で、彼らが就くことのできるポストは増えなかった。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
近年の戦争の変化を詳述した ぜひ読んでおきたい“概説書”
2016年3月26日号わずか数年の間に、世界の軍事情勢が急速に悪化し、国際情勢、ひいてはビジネスにも大きく影響する時代になった。仕事上で、軍事に関する知識の欠落が致命的な判断ミスを招くリスクも高まっている。しかし、本書を一読すれば、その欠落をだいたい埋めることができる。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
南仏の“楽園”を題材に描き出す現代化と共同体が抱える危機
2016年3月19日号米グーグルの「ストリートビュー」で見る限り、本作の舞台である南フランスのカドネ村は、プロヴァンス地方のよくある田舎にみえる。この村の住民として過去30年間、定点観測を続けた著者は、その表層を一枚一枚丹念に剥がして、現実に進んだ“町の変化”を克明に綴る。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
「神学論争」を排して描く“黒田日銀”の壮大な実験
2016年3月12日号本書が書店に並んだのは1月下旬、“金融政策決定会合”の直前であった。書き出しは、「やはり日銀(日本銀行)は動いた」とある。さすがにマイナス金利の導入までは想定していないが、歴史的決定のタイミングを狙い澄まして準備されている。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
デジタル革命の本質とは何か 資本主義後の世界を読み解く
2016年3月5日号世界中で名を知られる有力な文明批評家が、資本主義後の新たな経済体制を大胆に予測した一冊だ。市場でもなく、政府でもなく、協働型コモンズで展開される「シェアリング・エコノミー」が訪れるという。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
消費者の実感に近いのが良い “経済学+小説”の日本経済論
2016年2月27日号“アベノミクス”のブレーンだった一人は、経済学の学士も持っていない人だという。そんな人がテレビ番組で、消費税増税の先送りや金融緩和の継続を自信満々で説いている。そういえば、アベノミクスが始まった当初に、2年で2%のインフレは必ず実現すると言っていた、かのブレーンやリフレ派の学者、ジャーナリスト諸氏は現在の状況をどう説明するのだろうか。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
経済の初心者でも理解できる“資本主義の歴史”を描く好著
2016年2月20日号リーマンショックによって市場が混乱した2008年の秋以降、資本主義の欠陥について語る経済書が次々と出版されてきた。こうした流れの中で出版された『資本の世界史』は、いたずらに新自由主義の虚妄を指摘するのではなく、ケインズ主義的な考え方から資本主義経済の歴史までを詳細に分析している。