記事一覧:数字は語る352

  • 金融政策決定に必要な合意形成と透明性日銀は独立性を保てるか

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    金融政策決定に必要な 合意形成と透明性 日銀は独立性を保てるか

    2015年3月21日号  

    リトアニアの参加で今年ユーロ加盟国が19カ国に増えた。金融政策を決める欧州中央銀行(ECB)政策理事会では、効率化・迅速化のため輪番制が採用され、投票権を持つメンバーは24人から21人に減った。これでも一定時間内に議論を尽くして合意を得るには多過ぎる。

  • 帰属家賃を含めれば所得代替率は8割超「高齢者=低所得者」は誤り

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    帰属家賃を含めれば 所得代替率は8割超 「高齢者=低所得者」は誤り

    2015年3月14日号  

    2015年度の年金支給額は、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)で月22万1507円である。公的年金は、現役男性の手取り収入の平均である月35万円ほど(厚生労働省「平成26年財政検証」による)に対して6割強を保障している。

  • 格差は世代間で連鎖するか日本の世代間所得連鎖は米国以下、北欧以上

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    格差は世代間で連鎖するか 日本の世代間所得連鎖は 米国以下、北欧以上

    2015年3月7日号  

    トマ・ピケティ『21世紀の資本』の世界的大流行が示すように、所得格差の問題は私たちを捉えて離さない社会科学の大問題の一つである。その重要性を反映して、所得格差の国際比較も盛んに行われている。しばしば話題になるのは、一時点での所得格差の大きさを表す指標であるジニ係数だ(係数の範囲は0から1で、大きいほど所得分配が不平等であることを示す)。日本のジニ係数は約0.38(所得再分配後)で、先進国の中では中程度の不平等度である。

  • 円安が追い風の観光産業さらなる活性化には規制緩和が不可欠

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    円安が追い風の観光産業 さらなる活性化には 規制緩和が不可欠

    2015年2月28日号  

    アベノミクスによる円安が、期待されていた輸出数量の押し上げになかなかつながらない中、その影響が顕著に表れている分野がある。外国人観光客の急増だ。日本政府観光局によると、2014年に日本を訪れた外国人は前年に比べ約3割増え、約1341万人となった。東日本大震災に見舞われた11年と比較すると、実に2倍以上の数字である。外国人観光客の支出額は前年比4割増と大幅に上昇し、初めて2兆円を上回った。観光客の数が増えるだけでなく、1人当たりの支出額も1割ほど増加しているのだ。

  • デフレ脱却の鍵は賃金と連動するサービス価格にあり

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    デフレ脱却の鍵は 賃金と連動する サービス価格にあり

    2015年2月21日号  

    消費者物価指数(サービス)は2014年に前年比+1.5%と上昇した。これには、8%への消費税率引き上げの影響が含まれているものの、2年連続のプラスとなった。サービスの指数が注目される理由は三つある。一つ目は、消費者物価指数(総合)の品目バスケットの半分以上をサービスが占めるほど、存在感が大きいことだ。そのため、サービス価格が低下すれば、全体の物価も下がりやすい状態にある。

  • 物価目標達成に偏る日本銀行の金融政策運営不安定化する金融システム

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    物価目標達成に偏る 日本銀行の金融政策運営 不安定化する金融システム

    2015年2月14日号  

    日本銀行には、物価の安定と金融システムの安定という二つの目的がある。昨年12月の定例記者会見で黒田東彦・日銀総裁は、現状、金融システムは安定しているが、物価は安定していないので、「2%の『物価安定の目標』を達成するために、必要なことは何でもやっていくということに尽きる」と述べた。そこに金融政策が金融システムの安定に及ぼす悪影響への配慮は見られない。

  • 異次元緩和から2年インフレ目標は未達日銀は手法の見直しを

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    異次元緩和から2年 インフレ目標は未達 日銀は手法の見直しを

    2015年2月7日号  

    2015年4月4日は、日本銀行がいわゆる「異次元緩和」を導入した13年4月4日からちょうど2年となる節目である。では、そのころ、2%のインフレ目標は達成できそうか。結論から言えば、無理だろう。14年10月末に追加緩和を実施したが、原油価格の下落もあり、直近のインフレ率(コアCPI=生鮮食品を除く消費者物価指数)は前年同月比で約0.7%でしかない。

  • またも狙い撃ちされる年収1000万円超世帯自助努力が不可欠

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    またも狙い撃ちされる 年収1000万円超世帯 自助努力が不可欠

    2015年1月31日号  

    医療費の患者負担は原則3割で残りは医療保険でカバーされるが、入院や手術などをすると3割でも負担は高額になる。このため、1カ月当たりの自己負担限度額を一定の範囲に抑える「高額療養費制度」が設けられている(ただし、差額ベッド代や食事代などは別途負担する必要がある)。

  • 世界一税負担が重いのに豊かな国家・デンマーク鍵は資源配分の公平さ

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    世界一税負担が重いのに 豊かな国家・デンマーク 鍵は資源配分の公平さ

    2015年1月24日号  

    世界で最も税率が高い国はデンマークだ。税負担を示す一つの指標である税収総額(社会保険料収入を含む)がGDPに占める比率は、2012年の経済協力開発機構(OECD)の統計によれば47.2%となっている。所得の約半分は何らかの形で課税されていることになる。

  • 在宅勤務の拡大で障害者や女性はもっと活躍できる

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    在宅勤務の拡大で 障害者や女性は もっと活躍できる

    2015年1月17日号  

    厚生労働省の調査によると、2013年度、全国で働く障害者は推計で63万1000人と過去最多となり、5年前に行われた前回調査より18万3000人増加した。内訳は、身体障害者が前回と比べて8万7000人増の43万3000人、知的障害者が7万7000人増の15万人、精神障害者が1万9000人増の4万8000人だった。

  • 円安によるコスト増が企業の利益を圧迫販売価格への転嫁が課題

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    円安によるコスト増が 企業の利益を圧迫 販売価格への転嫁が課題

    2015年1月10日号  

    大企業製造業の仕入価格判断DI(先行き)はプラス21となった。前回9月調査(最近)から12月調査の最近、先行きと連続しての上昇となり、企業には原材料など仕入れコストの先高観があるようだ。

  • 原油価格の下落は日本経済にはプラスさらなる金融緩和は不要

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    原油価格の下落は 日本経済にはプラス さらなる金融緩和は不要

    2014年12月27日号  

    日本銀行は10月31日、物価目標値2%の実現が2015年度から後ずれするリスクに対して追加緩和を行ったが、その背景には原油価格の急落があった。11月の対前年同月比下落率は10月の18.5%を大幅に超え27.5%であった。12月に入っても下落は続いている。

  • 異次元緩和は時間稼ぎ財政再建に不可欠な社会保障の抜本改革

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    異次元緩和は時間稼ぎ 財政再建に不可欠な 社会保障の抜本改革

    2014年12月20日号  

    衆議院の総選挙が終わった。消費増税の1年半延期が今回の選挙の争点であったが、現在、政府の借金である政府債務が対GDP比で200%を超えている。政府債務の多くは言うまでもなく国債だ。これだけ大量発行すれば、国債価格が下落し、長期金利が上昇しても不思議ではない。しかし、実際には1%を切る水準まで低下している。

  • 短時間で同じ収入を稼ぐ女性の働き方から男性が学べるものがある

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    短時間で同じ収入を稼ぐ 女性の働き方から 男性が学べるものがある

    2014年12月13日号  

    国税庁の「平成25年分 民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務する男性の平均年収が511万円であるのに対し女性は272万円と、男性の半分程度しかない。しかし、同じ年収の男女についてそれぞれ何時間働いているかで考えると、世界が違って見える。

  • イノベーションを生み出す人材は理工系だけとは限らない

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    イノベーションを 生み出す人材は 理工系だけとは限らない

    2014年12月6日号  

    2014年度の国立大学法人への運営費交付金の総額は1兆1123億円である。国立大学が国立大学法人に移行した04年度以降13年度まで、単調に減少してきたトレンドが初めて逆転した。13年6月に閣議決定された日本再興戦略の中で国立大学の機能強化がうたわれたことなどを受けてのことである。もっともこの増額は、「イノベーションを支える主要な担い手となる理工系人材の戦略的育成」などに重点配分されることになっている。

  • 自己資本比率引き上げで大き過ぎて潰せない銀行のモラルハザードを軽減

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    自己資本比率引き上げで 大き過ぎて潰せない銀行の モラルハザードを軽減

    2014年11月29日号  

    G20を中心とする各国監督当局が参加する金融安定理事会(FSB)は、国際的に展開する30の巨大銀行を対象にした新しい自己資本比率規制案を11月10日に発表した。貸し出しなどの資産に対する自己資本の最低比率を、現行の2倍近い16~20%に引き上げる。導入時期は、準備期間などを考慮して2019年1月以降とされた。

  • 円安でも伸び悩む輸出堅調に伸び続ける海外現地法人の売上高

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    円安でも伸び悩む輸出 堅調に伸び続ける 海外現地法人の売上高

    2014年11月22日号  

    海外現地法人の売上高は2014年上半期に55.0兆円と、輸出額(35.1兆円)を20兆円も上回った。これは、日本企業にとって国内での生産・輸出よりも、海外での生産・販売の方が、すでにウエートが大きくなっていることを表している。もちろん海外現地法人は日本からの輸入原材料・部品を加工・販売している。しかし、日本企業の国内外の生産体制は、これまで主流であった国際分業から現地調達など日本の輸出が介在しない方へシフトしつつある。これが、円安でも輸出が伸び悩む一因といえる。

  • 特養の入所待機者が急増110兆円の社会保障費の資源配分見直しが急務

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    特養の入所待機者が急増 110兆円の社会保障費の 資源配分見直しが急務

    2014年11月15日号  

    社会保障費の膨張は財政の圧迫要因の一つだが、今後は年金以外でも、医療・介護費が急増する。2000年には900万人にすぎなかった後期高齢者(75歳以上)が25年には2000万人に達するためだ。特に、都市部に住む高齢者が急増する。その象徴が、特別養護老人ホーム(特養)の入所待機といった介護施設の不足問題である。

  • 輸出の増加に必要なのはさらなる円安進行よりも生産性向上と非価格競争力

    数字は語る
    輸出の増加に必要なのは さらなる円安進行よりも 生産性向上と非価格競争力

    2014年11月8日号  

    円の実質実効為替レートは9月に74.81となった。1980年以降では、82年後半に次いでの円安だ。安倍政権誕生以来の大幅な円安は、輸出増・輸入物価上昇で、景気と物価にプラスの影響が及ぶとみられていた。しかし輸出が思ったように増えない中、輸入物価上昇による実質所得の下落など、円安デメリットへの関心が高まりつつある。

  • 実質ベースでマイナス金利インフレに勝つためにはリスクを取った運用が必要

    数字は語る
    実質ベースでマイナス金利 インフレに勝つためには リスクを取った運用が必要

    2014年11月1日号  

    来年1月から個人投資家の保有が解禁される物価連動国債が金融機関やファイナンシャルプランナーに注目されている。物価連動国債は、当初100円の額面が物価上昇率に応じて増加する国債だ。10年後の償還時に当初より物価が20%上昇していれば額面100円に対して120円で償還される。昨年の発行分から、もし償還時に当初より物価が下落していても額面100円での償還が保証されるフロア条項が付いた。

定期購読キャンペーン

記者の目

  • 編集委員 藤田章夫

    新NISAを追い風にする保険業界のしたたかさ

     新NISAが1月からスタートし、保険の販売には逆風かな?と思っていたら、「むしろ追い風になっていますよ」との声が多数。
     資産運用の相談に来た人に、「投資信託は資産が減ることもありますが、変額保険の死亡保険金額には最低保証があります」と言えば、「保険の方がいいか」となるようです。
     本来は、資産を運用したいのか保障が欲しいのか、目的に応じて使い分けたいところですが、これがかなり難しい。
     そこで、保険ジャーナリストの森田直子さんとファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに、保険と運用それぞれの立場から対談を行っていただきました。面白過ぎて、対談時間はあっという間に過ぎました。ぜひご一読ください。

  • 副編集長 名古屋和希

    “予定調和”の買収は今後減少?

     第一生命ホールディングスが3月に福利厚生代行のベネフィット・ワンを買収しました。この買収劇は異例の展開をたどりました。
     先に買収を表明したのは医療情報サイト運営のエムスリーでした。そこに第一生命が参戦したのです。結局、エムスリーよりも好条件を提示した第一生命が買収戦を制しました。大企業による対抗的な買収は極めて珍しいものです。
     従来、事業会社はイメージ悪化などを恐れ、「敵対的」な買収を控えてきました。ただ、近年はルール整備などを背景に「同意なき買収」が広がる機運が出ています。買収が活発になれば、企業・業界の新陳代謝も促せます。今後、“予定調和”の買収は減っていくかもしれません。

最新号の案内24年4月27日・5月4日合併特大号

表紙

特集保険vs新NISA 今「契約したい保険」は? 生保商品ベスト&ワーストランキング

保険とNISA、どちらに資金を振り向けるべきか──。新NISAをきっかけに投資熱が高まる中、多くの人が抱える悩みだ。そこで保険とNISAで迷ったときの考え方や保険の見直し方、保険のプロ29人が辛口採点した生命保険商品ランキングを、業界の深部…

特集2変局 岐路に立つNHK

NHKが大きな岐路に立たされている。今国会で放送法改正案が可決されれば、ネット視聴も受信料徴収の対象となる。一方で、今後、NHKの受信料収入は人口減やテレビ離れを背景に先細る可能性が高い。職員数1万人を誇る巨大公共放送機関は、「みなさまのN…