記事一覧:数字は語る352

  • 日本が監視リスト入り米財務省の「為替報告書」の経常黒字基準に違和感

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    日本が監視リスト入り 米財務省の「為替報告書」の 経常黒字基準に違和感

    2016年6月11日号  

    米財務省は4月29日に「為替報告書」(主要相手国の為替政策に関する報告書)を公表した。そこでは為替政策を評価する三つの基準──(1)対米貿易黒字が200億ドル超、(2)経常黒字が国内総生産(GDP)の3%超、(3)為替介入を繰り返し、外貨買いがネットでGDPの2%超──を新たに設定し、3基準が満たされると2国間交渉を開始するとした。

  • 日本経済は実力不足第4次産業革命などによる多面的な成長戦略が不可欠

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    日本経済は実力不足 第4次産業革命などによる 多面的な成長戦略が不可欠

    2016年6月4日号  

    2015年の潜在成長率は、内閣府の推計によると、年率0.4%だった。この潜在成長率とは、過去のトレンドから見て、平均的な水準で労働力や機械設備などの生産要素を投入したときに、実現できるGDP成長率と定義されている。つまり、日本経済は、年0.4%しか成長できないほど実力がないのだ。

  • パナマ文書が公開した租税回避行動の実態分配機能の阻害が問題

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    パナマ文書が公開した 租税回避行動の実態 分配機能の阻害が問題

    2016年5月28日号  

    パナマの法律事務所モサック・フォンセカから流出した顧客情報、通称「パナマ文書」が世界に大きな波紋を広げている。国際調査報道ジャーナリスト連合は5月10日、同文書に記録されたタックスヘイブン(租税回避地)を使った約21万社のペーパーカンパニーに関する情報を公開した。社名だけでなく、役員や株主に就いていた個人・法人の情報が、誰でも簡単に検索、閲覧できる。

  • くじ引きで意外と高い全て外れの確率

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    くじ引きで意外と高い 全て外れの確率

    2016年5月21日号  

    筆者が小学生のころにアニメ「Dr.スランプ アラレちゃん」のキャラクター消しゴムのガチャガチャ(カプセルトイ)が流行したことがあった。そのときのレアアイテムは「アラレちゃん」に登場する丸みを帯びたウルトラマン。透明のケースの中には消しゴムが入ったカプセルが詰まっていて、ウルトラマンが目に入るように配置してある。正気を失いウルトラマンが出るまでお小遣いを浪費してしまったのは苦い思い出である。

  • 賃金・物価上昇なければ給付抑制が進まない年金改革法案の課題

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    賃金・物価上昇なければ 給付抑制が進まない 年金改革法案の課題

    2016年5月14日号  

    年金制度改革関連法案が2016年3月に国会へ提出された。法案には、短時間労働者の厚生年金加入の拡大促進や、国民年金加入者の産前産後期間の保険料免除、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の組織見直しといった改革が盛り込まれている。

  • ビッグデータ・IoT・AI新たな産業革命の波に日本は追い付けるのか

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    ビッグデータ・IoT・AI 新たな産業革命の波に日本は追い付けるのか

    2016年4月30日号  

    「ICT革命の次は、データ産業革命」という認識が浸透しつつある。その象徴の一つが、人工知能(AI)の急速な発達だ。例えば、AI開発ベンチャー企業、英ディープマインドの囲碁ソフト「アルファ碁」は、欧州チャンピオンに5戦全勝し、世界トップ棋士にも勝利した。

  • 異次元金融緩和の限界インフレ予想高まらず増え続ける“タンス預金”

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    異次元金融緩和の限界 インフレ予想高まらず 増え続ける“タンス預金”

    2016年4月23日号  

    国民の現金保有は金利が下がれば増えるが、すでに超低金利の環境下でゼロに近づいても、その影響は限られる。それよりもインフレ予想が高まれば現金の価値低下が想定されるので、タンス預金が減るだろう。インフレ予想に強く働き掛けるべく日本銀行が量的質的金融緩和を打ち出して3年がたつが、日銀の期待通りにインフレ予想が高まっていれば、現金通貨の対名目GDP比率が低下していてもおかしくない。しかし現実はその逆だ。

  • 募る景気の先行き懸念世界経済の混迷と円高で曲がり角の企業業績

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    募る景気の先行き懸念 世界経済の混迷と円高で 曲がり角の企業業績

    2016年4月16日号  

    企業の経営環境は、厳しさを増している。日本銀行「短観」によると、2016年3月の大企業製造業の業況判断DIは、プラス6と前回15年12月調査から6%ポイント低下した。国内外の需要の弱さから、販売価格を引き上げにくいため、企業は慎重姿勢を強めているようだ。

  • 経済環境の変化で低下終身雇用・年功序列という日本型雇用慣行の重要性

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    経済環境の変化で低下 終身雇用・年功序列という日本型雇用慣行の重要性

    2016年4月9日号  

    経済環境が変化する中で、日本型雇用慣行がその重要性を低下させていることが随所で指摘されている。特定の年齢で見た平均勤続年数は若い世代の方が短くなっているし、賃金カーブも若い世代の方が平たんになってきている。

  • 家計消費低迷の背景に将来の所得見通しの悪化重要性を増す成長戦略

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    家計消費低迷の背景に 将来の所得見通しの悪化 重要性を増す成長戦略

    2016年4月2日号  

    家計消費の足取りが重い。2015年10~12月期の実質民間最終消費支出は、前期比年率で▲3.4%だった。暖冬により季節商材の動きが鈍かったとはいえ、消費額は消費税率が8%へ引き上げられた直後の14年4~6月期よりも1.4兆円少ない。また、16年1月分の消費関連統計の結果も回復を確認できる内容ではなかった。家計消費はGDPの約6割を占めているだけに景気腰折れ懸念が強まっており、経済対策を求める声も聞こえる。

  • 医療給付費の節減には疾病別の自己負担など抜本的な改革が不可欠

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    医療給付費の節減には 疾病別の自己負担など 抜本的な改革が不可欠

    2016年3月26日号  

    パッチワーク的な制度改正を繰り返してきた現行の保健医療制度が限界に近づいている。こうした現状を踏まえて、塩崎恭久大臣の指示の下、厚生労働省は「保健医療2035」策定懇談会を設置し、昨年6月に提言書を公表した。

  • マイナス金利で先行のスウェーデンが示す低インフレとバブル懸念

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    マイナス金利で先行の スウェーデンが示す 低インフレとバブル懸念

    2016年3月19日号  

    世界で初めてマイナス金利を導入したのはスウェーデン中央銀行である。日本銀行は0.1%のマイナス金利導入の際、金融機関の収益悪化を防ぐため、スウェーデンなど階層式の例に倣い、適用を日銀当座預金の一部に限った。日銀は緩和余力を示すため、スウェーデン中銀の預金金利がマイナス1.1%であることを例に挙げた。その後、同中銀は預金金利をさらに引き下げ、現在は1.25%となっている。

  • 二極化進むコメ市場将来の輸入自由化に備えブランド化を進めよ

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    二極化進むコメ市場 将来の輸入自由化に備え ブランド化を進めよ

    2016年3月12日号  

    2月25日に日本穀物検定協会が発表した2015年産米の産地・銘柄別の食味ランキングによると、最高評価の「特A」は前年産から四つ増え、過去最多の46銘柄となった。審査対象となった139銘柄の約3分の1を占め、青森、滋賀、山口、宮崎の4県が初めて特Aを取得した。おいしいコメを目指す自治体の努力が成果を挙げた。

  • 再びマイナス成長で日本経済の実力が露呈潜在成長力の強化策を

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    再びマイナス成長で 日本経済の実力が露呈 潜在成長力の強化策を

    2016年3月5日号  

    日本経済は実力のなさを露呈した。2015年10~12月期の実質GDP成長率は、前期比年率▲1.4%と、2四半期ぶりのマイナスになった。15年の実質GDPを振り返ると、前期比プラス、同マイナスと交互にふらついており、通年では前年比0.4%と、潜在成長率並みの成長に落ち着いた。ちょっとした要因でマイナス成長に陥る弱さが、現在の日本経済の実力だ。

  • 親の最終学歴の違いで休日の勉強時間に格差土曜日授業の復活が鍵

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    親の最終学歴の違いで 休日の勉強時間に格差 土曜日授業の復活が鍵

    2016年2月27日号  

    親の経済状況が子の将来の経済状況を決めるという、格差の世代間連鎖に注目が集まって久しい。特に貧困世帯の子が十分な教育を受けられないなどの問題解消のため、政府は2013年6月23日に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を成立させ、対策に乗り出している。

  • 現実と乖離している経済成長率の前提財政健全化策の再考を

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    現実と乖離している経済成長率の前提 財政健全化策の再考を

    2016年2月20日号  

    成長力強化と財政健全化の二兎を追う安倍内閣は、国・地方の基礎的財政収支(PB)を2020年度までに黒字化する財政健全化目標の達成に向け、経済・財政一体改革に取り組んでいる。目標達成の可否を検討する際、参考になるのが内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(中長期試算)だ。

  • 忍び寄る景気後退リスク税収上振れ分は支出増より財政赤字縮減に充てるべき

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    忍び寄る景気後退リスク 税収上振れ分は支出増より 財政赤字縮減に充てるべき

    2016年2月13日号  

    2014年4月の消費税率引き上げに伴う税収増を除いても、10~14年度の国の税収は当初見積もりよりも上振れている。このため、16年1月21日の経済財政諮問会議で安倍晋三首相は、税収の上振れ分のうちどの程度の税収が安定的に増えたのかを判断し、今年6月にまとめる予定の「経済財政運営の基本方針」にその活用策(例:1億総活躍社会の関連施策等に活用)を盛り込むように指示を行った。

  • バブル期に次ぐ税収でも遠い財政健全化への道経済成長への配分も必要

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    バブル期に次ぐ税収でも 遠い財政健全化への道 経済成長への配分も必要

    2016年2月6日号  

    2016年度予算案の税収は57.6兆円と、1990年度当初予算の58兆円に次ぐ規模になった。消費税率8%引き上げ分の6.3兆円を除くと、51.3兆円となり、08年9月のリーマンショック以前の水準にまで回復する計算だ。景気回復による課税所得の回復や、消費税率引き上げが、税収増につながった。税収面では、ようやく世界金融危機の傷が癒えたといえる。

  • 消費者物価の低迷で逆に高まりつつある物価目標引き上げ論

    数字は語る
    消費者物価の低迷で逆に高まりつつある物価目標引き上げ論

    2016年1月30日号  

    G7(先進7カ国)全体の消費者物価対前年比は2012年には1.9%だったが、最近はゼロ近傍で低迷し、直近でも0.4%だ。主要先進国は2%程度の物価目標の達成に時間を要し、利上げを開始した米国でも量的緩和の出口はまだまだ先だ。日本銀行では今月の展望レポートで、原油価格下振れを主因に「16年度後半ごろ」の2%到達を後ずれさせる可能性が高い。

  • 大学と学生の学力水準のミスマッチが中退の一因新たな入試制度に期待

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    大学と学生の学力水準の ミスマッチが中退の一因 新たな入試制度に期待

    2016年1月23日号  

    2020年から新制度で大学入試が行われることになっており、学力を多面的かつ正確に測定するための検討が続けられている。試験を複数回実施することも提案されており、1回の試験の結果を基に入学の可否を判定することを公平だとするこれまでの常識への挑戦ともいえる内容になっている。

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記者の目

  • 編集委員 藤田章夫

    新NISAを追い風にする保険業界のしたたかさ

     新NISAが1月からスタートし、保険の販売には逆風かな?と思っていたら、「むしろ追い風になっていますよ」との声が多数。
     資産運用の相談に来た人に、「投資信託は資産が減ることもありますが、変額保険の死亡保険金額には最低保証があります」と言えば、「保険の方がいいか」となるようです。
     本来は、資産を運用したいのか保障が欲しいのか、目的に応じて使い分けたいところですが、これがかなり難しい。
     そこで、保険ジャーナリストの森田直子さんとファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに、保険と運用それぞれの立場から対談を行っていただきました。面白過ぎて、対談時間はあっという間に過ぎました。ぜひご一読ください。

  • 副編集長 名古屋和希

    “予定調和”の買収は今後減少?

     第一生命ホールディングスが3月に福利厚生代行のベネフィット・ワンを買収しました。この買収劇は異例の展開をたどりました。
     先に買収を表明したのは医療情報サイト運営のエムスリーでした。そこに第一生命が参戦したのです。結局、エムスリーよりも好条件を提示した第一生命が買収戦を制しました。大企業による対抗的な買収は極めて珍しいものです。
     従来、事業会社はイメージ悪化などを恐れ、「敵対的」な買収を控えてきました。ただ、近年はルール整備などを背景に「同意なき買収」が広がる機運が出ています。買収が活発になれば、企業・業界の新陳代謝も促せます。今後、“予定調和”の買収は減っていくかもしれません。

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表紙

特集保険vs新NISA 今「契約したい保険」は? 生保商品ベスト&ワーストランキング

保険とNISA、どちらに資金を振り向けるべきか──。新NISAをきっかけに投資熱が高まる中、多くの人が抱える悩みだ。そこで保険とNISAで迷ったときの考え方や保険の見直し方、保険のプロ29人が辛口採点した生命保険商品ランキングを、業界の深部…

特集2変局 岐路に立つNHK

NHKが大きな岐路に立たされている。今国会で放送法改正案が可決されれば、ネット視聴も受信料徴収の対象となる。一方で、今後、NHKの受信料収入は人口減やテレビ離れを背景に先細る可能性が高い。職員数1万人を誇る巨大公共放送機関は、「みなさまのN…