記事一覧:数字は語る352

  • 高齢化の進展以上に増加する医療費調剤費がその一因

    数字は語る
    高齢化の進展以上に 増加する医療費 調剤費がその一因

    2016年11月5日号  

    医療費の抑制は国民的課題である。2000年度に30兆円だった国民医療費は14年度に41兆円に達した。速報値の伸び率から推計すると、15年度は42兆円に達しただろう。医療費の増加に伴い、制度を支える現役世代や企業の負担はますます重くなっている。保険料負担は2000年度から15年度にかけて4.5兆円増加した。これは消費税率換算で1.5%強の引き上げに相当する。

  • “岩田説”は敗北異次元緩和のツケは大きい

    数字は語る
    “岩田説”は敗北 異次元緩和のツケは大きい

    2016年10月29日号  

    日本銀行は今年9月21日の金融政策決定会合で、量から金利を柱とする、新たな金融政策の枠組み(長短金利操作付き量的・質的金融緩和)を導入することを発表した。「異次元緩和(量的・質的金融緩和)」政策からの事実上の転換である。当面は、短期金利はマイナス0.1%、長期金利は誘導目標の0%に従うよう、長期国債の買い入れを柔軟化する方針だ。

  • 増加する大学院生企業の人材投資鈍化で技能形成の場にも

    数字は語る
    増加する大学院生 企業の人材投資鈍化で技能形成の場にも

    2016年10月22日号  

    企業が行う人材開発関連の予算が削減され、職場での職業訓練に参加する労働者の比率が減少しつつあることを、今年の「労働経済白書」が指摘している。その中で、重要性を増してきたとされているのが大学院における教育である。大学院重点化政策で大学院の定員が拡大したこともあって、1990年には約9万人であった大学院生数が、2016年には約25万人まで増加している。

  • 労働者の質の向上のためにも幼児教育は重要

    数字は語る
    労働者の質の向上のためにも幼児教育は重要

    2016年10月15日号  

    労働力不足は、経済成長の足かせとなる。少子化対策、女性の就労促進、外国人労働者の受け入れなど、労働者の数を増やす政策のみならず、労働者1人当たりの生産性を高め、数の減少を質の向上で補うことも不可欠だ。

  • ピークに迫る経常収支の黒字額サービスがけん引

    数字は語る
    ピークに迫る経常収支の黒字額 サービスがけん引

    2016年10月8日号  

    対米ドルの為替レートが、年初から20円近くも円高に振れた。にもかかわらず、日本の2016年上半期の経常黒字は10.6兆円と、半期ベースで見て、リーマンショック以前のピークだった07年下半期(12.2兆円)に次ぐ規模に拡大した。なぜ経常収支は堅調なのか。日本企業の海外で稼ぐ力が変化していることがその一因になっている。

  • 米国や英国でも導入財政の長期予測を行う独立財政機関創設の意義

    数字は語る
    米国や英国でも導入 財政の長期予測を行う独立財政機関創設の意義

    2016年10月1日号  

    日本では消費増税再延期で財政再建の不確実性が高まる中、国際通貨基金(IMF)は、財政に関する独立財政機関の創設を促す提言を発表した。独立財政機関とは、「選挙で選ばれるものではない専門的な集団で構成され、政治的独立性を有する非党派の公的機関」をいう。

  • 需給ギャップの弱さで物価の基調は弱いインフレ予想も高まらず

    数字は語る
    需給ギャップの弱さで物価の基調は弱い インフレ予想も高まらず

    2016年9月24日号  

    日本銀行が2013年4月に、インフレ率2%達成に2年の期限を設けて、異次元緩和といわれる量的・質的金融緩和を導入したのは、びっくりするような緩和政策で初めてデフレ期待が払拭され、予想インフレ率が高まり、現実のインフレ率も高まっていくと想定したからだ。

  • 社会保障費の拡大で概算要求額も高水準求められる歳出改革

    数字は語る
    社会保障費の拡大で概算要求額も高水準 求められる歳出改革

    2016年9月17日号  

    国の2017年度予算の概算要求総額は101.5兆円となった。金融緩和で金利が低下し、国債費が5年ぶりに減少したが、過去最高額だった16年度に迫る規模である。各府省による概算要求の状況は安倍内閣の基本方針(概算要求基準)に基づく。具体的には、(1)裁量的経費の要求額を前年度予算から1割抑える、(2)高齢化等に伴い0.64兆円の自然増を見込む、(3)ニッポン一億総活躍プランや日本再興戦略等に沿った要望に対して約4兆円の特別枠を設ける、といった内容だった。

  • 市場規模3倍へスポーツ産業の三つの施策

    数字は語る
    市場規模3倍へ スポーツ産業の三つの施策

    2016年9月10日号  

    2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて、スポーツ産業が成長産業として注目を集めている。事実、「日本再興戦略2016」は、2015年の5.5兆円から25年に15兆円へスポーツ産業の市場規模を拡大させる三つの具体的な施策を挙げている。

  • 労働集約的な財の輸入増加とグローバル化で国内の賃金格差が拡大

    数字は語る
    労働集約的な財の 輸入増加とグローバル化で 国内の賃金格差が拡大

    2016年9月3日号  

    賃金格差の拡大が話題になるときに原因として指摘されるのが、情報技術(IT)を中心とした技術進歩と、貿易や投資といった経済活動のグローバル化の影響である。

  • Jリーグの放映権契約ホールドアップ問題解消につながるか

    数字は語る
    Jリーグの放映権契約 ホールドアップ問題解消につながるか

    2016年8月27日号  

    Jリーグは7月20日、2017年から10年間の放映権契約を、英国に拠点を置く国際スポーツメディア企業のパフォームグループと結ぶと発表した。契約金額(総額)は2100億円強で、日本のスポーツ放映権料としては過去最高となる。1年当たりで比較すると、今季までのスカパー!との契約金額の約7倍に上る。

  • 莫大な医療費の歯止めになるかオバマケアの行方

    数字は語る
    莫大な医療費の歯止めになるか オバマケアの行方

    2016年8月13日号  

    米国は先進国で唯一、国民皆保険制度がなく、医療保険未加入者が多く存在することで知られている。 2014年から施行された「アフォーダブル・ケア・アクト(ACA)」、通称「オバマケア」は、各州に医療保険取引所を設けて保険を販売すると同時に、従業員に保険を提供しない企業や未加入の個人にペナルティー(税金)を課すことにより、保険加入率を増加させようというものだ。

  • 厚生年金の保険料率毎年引き上げから固定されるメリット

    数字は語る
    厚生年金の保険料率 毎年引き上げから 固定されるメリット

    2016年8月6日号  

    厚生年金保険料率の引き上げが、終盤戦に突入している。2004年の年金制度改革によって、保険料率は毎年0.354%ずつ自動的に引き上げられ、17年以降18.3%で固定されることになっている。

  • 企業の価格設定が弱気に日銀の物価見通しに下方修正の可能性も

    数字は語る
    企業の価格設定が弱気に 日銀の物価見通しに 下方修正の可能性も

    2016年7月30日号  

     消費者物価上昇率2%の物価安定の目標達成には、予想物価上昇率を2%近傍にアンカーさせることが必要だ。しかし、市場の関連指標や家計・企業のサーベイなどさまざまな指標が弱含んでおり、予想物価上昇率は2%から遠ざかっている。

  • 世代間の政治力均衡に向けた選挙制度改革を

    数字は語る
    世代間の政治力 均衡に向けた選挙制度改革を

    2016年7月23日号  

    先日の参議院選挙は、法改正で選挙権が18歳以上に与えられて日本で初めて実施されたものだった。あらためて、選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下がった背景や課題を考えてみよう。18歳選挙権が実現した背景の一つとして最も大きいのは、グローバルな動きだ。世界192カ国のうち18歳以上に選挙権が与えられている国の割合は92%に達している。

  • 先行き不透明感から賃上げ率が鈍化デフレ脱却に危機感

    数字は語る
    先行き不透明感から賃上げ率が鈍化 デフレ脱却に危機感

    2016年7月16日号  

    春闘での賃上げは3年連続で実施されたが、その伸び率は低下している。日本労働組合総連合会(連合)によると、2016年度の賃上げ率は2.00%(定期昇給分込み)と、15年度の2.20%や14年度の2.07%に届かなかった。世界経済の先行き不透明感が強まり、16年初めから円高株安が進んだことから、賃上げには当初から労使共に消極的だった。

  • 女性の活躍に向けて配偶者控除などの見直しは必要

    数字は語る
    女性の活躍に向けて 配偶者控除などの見直しは必要

    2016年7月9日号  

    女性の活躍推進や同一労働同一賃金の実現は、現政権が政策目標として大きく掲げており、今回の参議院選挙においても争点の一つとなっている。これらの政策目標の実現を目指して掲げられている政策手段は、保育所の整備、同一労働同一賃金の実現に向けたガイドラインの策定、最低賃金の引き上げなどで、財源の問題や副作用を無視すれば、有権者受けする政策だといえる。

  • 海外で伸びる設備投資海外の課題解決に国内投資の活用を

    数字は語る
    海外で伸びる設備投資 海外の課題解決に国内投資の活用を

    2016年7月2日号  

    製造業は、海外の設備投資に積極的だ。2014年度の製造業の海外設備投資比率は、28.1%だった。前年度の29.5%から低下したのは、14年度の国内法人企業の設備投資全体が、前年度の11.2兆円から11.9兆円に増えた中、国内の方が伸びたためだ。ただし、海外設備投資額は0.1%増の4.6兆円であり、為替レートが円安に振れた中でも高水準で推移している。

  • 世代会計が浮き彫り消費増税再延期で将来世代への負担増

    数字は語る
    世代会計が浮き彫り 消費増税再延期で 将来世代への負担増

    2016年6月25日号  

    日本の政府債務(対GDP〈国内総生産〉比)は200%を超え、先進国中で最悪の水準だ。60歳以上の世代と将来世代(0~19歳を含む)の「世代間格差」の大きさを示すものとして「世代会計」がある。これは、「国民が生涯を通じて、政府に対してどれだけの負担をし、政府からどれだけの受益を得るか」を推計する手法だ。

  • 非正規の待遇適正化は働き方改革の第一歩依然残る正規への高い壁

    数字は語る
    非正規の待遇適正化は 働き方改革の第一歩 依然残る正規への高い壁

    2016年6月18日号  

    働き方改革を大きな柱とする「ニッポン一億総活躍プラン」が、2016年6月2日に閣議決定された。中でも、約4割を占める非正規雇用者の待遇改善を目指す、同一労働同一賃金の実現が注目されている。

定期購読キャンペーン

記者の目

  • 副編集長 千本木啓文

    農協から届いた「抗議文」を読んで、しばし感傷に浸る

     JA全中から毎年、抗議文をもらうのですが、今年は雑誌の発売前に届きました。特集の一部を「組合長165人が“辛口”評価 JA上部団体の通信簿」としてダイヤモンド・オンラインで先に配信したからです。
     抗議文は、「19万人の農協役職員の0.2%の意見で記事が構成されており、(中略)偏った先入観を植え付ける意図があった」として、続編の配信中止を求める内容でした。
     組合長ら幹部200人超を含む役職員434人の声には傾聴する価値があるはずです。抗議文を読み、自分は若いと思い込んでいる人が鏡に映った老いた姿を見て、こんなはずはないと怒っているような印象を持ちました。自戒を込めて、鏡のせいにしてはいけないと思いました。

  • 編集長 浅島亮子

    ロングセラー第9弾でも攻め続ける農業特集

     今年も人気企画「儲かる農業」特集の第9弾が刷り上がりました。身内ながら感心するのが、毎年新しいコンテンツを加えて特集構成を刷新していることです。今回の新ネタは農協役職員アンケート。ロングセラー企画の定番を変えるには勇気が必要ですが、果敢に新機軸を打ち出しているのです。
     昨年、千本木デスク率いる農協問題取材チームは、共済の自爆営業などJAグループの不正を暴いたことが評価され、報道実務家フォーラム「調査報道大賞」優秀賞を受賞しました。訴訟に屈することなく、問題の本質を突く取材活動を貫いた結果と受け止めています。今回の特集でも粘り強い取材は健在。取材チームの熱量を存分に感じていただければ幸いです。

最新号の案内2024年5月11日号

表紙

特集儲かる農業2024

いよいよ儲かる農業が実現するフェーズに入った。「台頭する豪農」と「欧米のテクノロジー」と「陰の仕掛け人」が”令和の農業維新”というムーブメントを起こしている。他方、農業を牛耳ってきた旧来勢力である農協と農水省は、存在意義を問われる”緊急事態…

特集2家計・住宅ローン・株が激変! 金利ある世界

日本銀行が17年ぶりの利上げで金融政策の正常化に踏み出した。”金利ゼロ”に慣れ切った家計や企業経営、財政はどうなるのか。日本は「成長期待が持てない経済」から抜け出せるのか。それとも低金利は続き、物や資本が余った経済への道を歩むのか。「金利あ…