記事一覧:連載小説 ハゲタカ5 『シンドローム』69

  • 第一章 崩壊前夜[第9回]

    連載小説 ハゲタカ5 『シンドローム』
    第一章 崩壊前夜[第9回]

    2016年01月09日号  

    鷲津率いるサムライ・キャピタル一行は、社長室に案内された。電力会社のトップの部屋としては、地味で殺風景な部屋だ。迎え入れた竹原宗一郎社長も、地味で印象の薄い人物だった。もちろん、出先からもどったばかりというふうにも見えなかった。短身で恰幅の良い竹原は、黒縁めがねの奥で、鷲津を吟味してから名刺を差し出した。

  • 第一章 崩壊前夜[第8回]

    連載小説 ハゲタカ5 『シンドローム』
    第一章 崩壊前夜[第8回]

    2015年12月26日号  

    大会議室(ウォールーム)には、日本電力(Jエナジー)買収チームのメンバー全員が顔を揃えていた。アンソニー一人が部屋の隅で携帯電話で通話中だった。話す声に苛立ちが滲んでいる。

  • 第一章 崩壊前夜[第7回]

    連載小説 ハゲタカ5 『シンドローム』
    第一章 崩壊前夜[第7回]

    2015年12月19日号  

    「よし、あかね! イケぇ~」フィールドを疾走する萩本あかねに向かって、郷浦秀樹は拳を振り回した。一〇月に開催された内定者の懇親会で、磐前県への女子サッカー応援旅行があると聞いて、秀樹はその場で参加を決めた。秀樹は高校までサッカー部で、大学に入ってからはサークルでサッカーを続けた。残念ながら、首都電力には男子サッカーチームがないのだが、女子はなかなかの活躍を見せている。

  • 第一章 崩壊前夜[第6回]

    連載小説 ハゲタカ5 『シンドローム』
    第一章 崩壊前夜[第6回]

    2015年12月12日号  

    ベトナム原発プラント輸出日本交渉団は、ヒルトン・ハノイ・オペラに投宿している。同ホテルは、ハノイの商業地区の一つであるバディン区にあるが、市街地では珍しい閑静なエリアだった。フランス統治時代に建てられたオペラハウスと隣接していることにちなんで、その雰囲気をホテルも踏襲している。

  • 第一章 崩壊前夜[第5回]

    連載小説 ハゲタカ5 『シンドローム』
    第一章 崩壊前夜[第5回]

    2015年12月05日号  

    ベトナムが暑いというのは、思い込みだった。朝、ホテルの周囲を散歩していた芝野は、薄着だったことを後悔した。ベトナムの国土は南北に細長く延びている。総延長は約一六五〇キロメートルで、その形は、どことなく日本列島にも似ている。地形の関係で温帯から熱帯まであるのだが、芝野でなくても「暑い」というイメージがある。

  • 第一章 崩壊前夜[第4回]

    連載小説 ハゲタカ5 『シンドローム』
    第一章 崩壊前夜[第4回]

    2015年11月28日号  

    投資ファンド、サムライ・キャピタルの本社は、東京都千代田区大手町の大手町ファーストスクエア・イーストタワー二一階にある。M&A(企業の合併・買収)に特化した投資ファンドとしては、日本最大の投資額を誇るが、社員は一〇〇人に満たない。少数精鋭なのは、鷲津が「それ以上は、社員の顔や性格を把握できない」からだ。

  • プロローグ(承前)[第3回]

    連載小説 ハゲタカ5 『シンドローム』
    プロローグ(承前)[第3回]

    2015年11月21日号  

    退屈で死にそうだった。ハドソン川上流の古城風ホテル“鷲の巣城”に、鷲津政彦は既に二ケ月も滞在し、無聊な日々を送っている。この日も、昼近くに起きると遅い朝食を摂り、ポロシャツにジーパンという適当な服装で、敷地内の広大な庭を散歩した。

  • プロローグ(承前)[第2回]

    連載小説 ハゲタカ5 『シンドローム』
    プロローグ(承前)[第2回]

    2015年11月14日号  

    「加地さん、つまり私に、ベトナムへの原発プラント輸出交渉で要の役をやれと?」「その通り。政府代表として、日本チームを纏めるだけではなく、厄介なハードネゴシエーターであるベトナム政府とやり合って欲しいんです」とんでもないビッグプロジェクトだった。そもそもなんで、こんな国家プロジェクトに買収ファンドが絡むのかが解せなかった。

  • プロローグ[第1回]

    連載小説 ハゲタカ5 『シンドローム』
    プロローグ[第1回]

    2015年11月07日号  

    生きながら鬼といはれりゃ死んだ後 仏となりいてうめあはせせむ 郷浦秀樹(ごうのうら・ひでき)は、その歌に釘付けになった。「ヤバかぁー!」郷土の英雄と知られる人物の自伝の中の一語に、秀樹はつい方言(おさとことば)を漏らした。

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記者の目

  • 編集部 須賀彩子

    取材の過程で「鉄道」を見る目が変わった

    4月1日は「JR民営化30周年」です。その言葉から放たれる華やかさに加え、今年は「四季島」や「瑞風」などの豪華列車が続々とデビューします。当初は、キラキラした特集になるかと想定していました。
     ところが、地方取材を重ねるうちに、問題意識が変わっていきました。
     国鉄時代の悲惨な状況と改革の歴史。30年前に作られたスキームの制度疲労。そして、東京からはうかがい知れなかった地方交通の厳しい現実。取材を通じて得た驚きとジレンマを、特集内に盛り込んだつもりです。  毎日、2分ごとにやって来る東京の山手線に、当たり前のように乗っていましたが、取材を終えて「鉄道」を見る目が変わりました。

  • 編集部 西田浩史

    地元愛最強、名古屋人の教育事情

    昨年9月の「関関同立」特集に続き、今回は「名古屋教育」特集です。
    「大都会なのにどこか田舎のような感覚がある」と愛知の某学習塾の職員は言います。
     進路などで親の意見が強く、子どもは就職しても実家暮らし。トップ公立高校から名大こそがエリート。昭和の薫りがする一昔前の東京のように思えました。
     特集では、名古屋に生まれて死ぬまでの「名古屋人による名古屋人のための最強生き方ルート」を探りました。
     地元愛最強といわれる名古屋で、教育事情の入り口(入試)と出口(就職)も名古屋圏外の大学の進出が目立ったのは意外な結果でした。
     全ての名古屋好きの読者必見の特集です! ぜひご一読ください。

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