記事一覧:Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」225件
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
生命はいかに「調節」されるか 豊富な事例で解き明かす好著
2017年9月30日号東アフリカ全域で家畜に牛痘の予防接種をしたところ、タンザニアのセレンゲティ国立公園内の水牛とヌーが急増した。特に、ヌーは大量の草を消費し、そのために乾期の火災が減少した。若い苗木の生長を抑える火災が減ったために植生が多様化し、森林が拡大して餌が増えたことからキリンも急増した。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
“人工知能”が浸透する社会でベーシックインカムを考える
2017年9月23日号日本でもベーシックインカムが話題になるようになってきた。ベーシックインカムとは、政府が、無条件で全ての国民が生きるために必要な最低限の金額を支給する制度のことで、根強い反対論は「人間は(短期的には)経済合理的である」という仮説に立脚すると考えられる。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
核兵器は世界を平和にするか 著名学者2人がガチンコ対決
2017年9月16日号トランプ米大統領の一連のツイッター発言から、東アジアでの緊張が高まっている。もちろん、直近の問題は、北朝鮮に対する米国の攻撃があるかどうかだが、その背後には国際的にも非常に重い、深刻な問題が横たわる。核兵器の存在だ。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
歴史的なエピソードが満載 名門ホテルに見る栄枯盛衰
2017年9月9日号1997年8月31日、乾いた夜中に英国のダイアナ元皇太子妃はパリで交通事故死した。そのわずか数分前、彼女と恋人のドディ・アルファイドは世界屈指の高級ホテル、リッツの裏玄関を出たばかりだった。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
隔靴掻痒の読後感が拭えず 東芝の病巣が見えてこない
2017年9月2日号東芝に何が起きているのか。なぜこうなったのか。これからどうなるのか。非常に気になるが、最近は報道も途切れがちだ。「名門企業の没落」など、珍しくはないのだろうか。決算や株主総会のニュースとは別に、本格的な調査報道が待たれる。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
東アジアの通貨覇権をめぐる日本・米国・中国の駆け引き
2017年8月26日号2桁成長の時代は終わったが、中国は今も6%台の高成長を続ける。各国の中央銀行は、基軸通貨ドルをコントロールする米国の連邦準備銀行を強く意識しているが、将来、中国が米国の経済規模を凌駕すれば、中国人民銀行をにらんだ政策運営を余儀なくされるのか。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
チャレンジする若者が集まる話題の米都市の包容力を解剖
2017年8月12日号全米で今、人々が最も移り住みたい街はニューヨークでもシリコンバレーでもなく、西部のオレゴン州にあるポートランドなのだという。生活費がリーズナブルであること、気候が穏やかで自然にあふれていること、しかも起業を促す街の空気が若者たちを引き付けていること。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
実は戦争国家の色が濃かった 通念を覆す20世紀英国の検証
2017年8月5日号英国史には、目立った断絶がない。革命や維新、敗戦といった大きな屈折点を抱えたフランス、ドイツ、それに日本とは、その点が違う。EU(欧州連合)からの離脱を「決めた」のは、法的には国民ではなく、「聖俗の貴顕人士と庶民」から成る議会と、国王である。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
「国の借金」の黒字化は是か? 一般向けに書かれた財政入門
2017年7月29日号政府が6月9日に閣議決定した「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針2017)」は、財政再建よりも経済成長を重視する姿勢が鮮明となり、経済成長を高めれば財政健全化につながるというシナリオに対しては賛否が分かれている。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
ベストセラーは量産できるか テキスト・マイニングの挑戦
2017年7月22日号私たちは、魅惑的な物語の秘密に興味を持ってきた。古くは、キャンベルが『千の顔をもつ英雄』で世界の多様な神話には共通のパターンがあると説き、作家のヴォネガットは最も人気があるのは『シンデレラ物語』のパターンだと論じた。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
遊牧民は「野蛮」ではなかった 俗説を覆すユーラシアの通史
2017年7月15日号米国のトランプ政権による失態が続く中で、中国は着実にユーラシア大陸における覇権の確立を目指す動きに出ている。その一例が、ロシアのプーチン大統領をはじめとする約30カ国の首脳を集めて開催した「一帯一路」に関するフォーラムや、上海協力機構の会合などだ。このような中で、いわば“全ユーラシア史”のような骨太の書籍が出版されたのは興味深い。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
否応なきグローバル化の中でつながることの有用性を考察
2017年7月8日号世界が注目した5月のフランス大統領選挙の最中、後に大統領に選出されるマクロン氏の行動が話題になった。工場の閉鎖に反対してピケを張る地元ウィルプール社の工場に赴き、「隣のプロクター&ギャンブル社は9割を海外で売り上げて雇用を守っている。グローバル化からは誰も逃れられない」と従業員に言ってのけたのである。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
ロックスターになれず経営者に 読んで元気が出る自叙伝
2017年7月1日号別に、文豪トルストイの箴言を真似るつもりはないが、「経営者の自叙伝はどれも似たり寄ったり」である。その中で、本書はかなりユニークな方だろう。全体で250ページと少しの短い分量の中で、著者が“仕事”を始めるのは、「ロックスターになる夢をあきらめて」以降、150ページ過ぎなのだから。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
“民主主義”が財政膨張を招く 危機回避のための制度改革論
2017年6月24日号17世紀末の名誉革命後の英国では、王権は脆弱で、借り入れには議会の承認を必要とした。議会が監視することで、踏み倒されるリスクが低いと考えた民間から資金調達が可能となり、フランスとの戦いに勝利できたのは有名だ。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
人気経済学者が解き明かす 幸福な社会を実現する方法
2017年6月17日号かつて、パナソニック創業者の松下幸之助は「成功するかどうかは90%が運である」と述べ、人を採用する際には「あなたは運がいいですか」と尋ねた。漫画家の水木しげるは、「才能と収入は別。努力は人を裏切ると心得よ」と言い、努力しても成功する保証はないと説いた。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
人気エコノミストが大胆予測 トランプで日本が復活する日
2017年6月10日号米国でトランプ大統領が誕生して以来、政権誕生に関連するさまざまな書籍が出版されている。そうした中の一冊、『ザ・トランポノミクス』は、最新の経済学の研究成果を踏まえながら徹底的にデータ分析を行い、世界経済のみならず日本経済への影響までも鋭く予測している。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
かつて世界帝国を築き上げた スペインの歴史が語る“教訓”
2017年6月3日号「帝国」と自称した、またはそう呼ばれた国家は、歴史上数多い。だが、16世紀のスペインほど、帝国と呼ぶにふさわしい国はなかろう。1516年にスペインの国王となったハプスブルク家のカルロス1世は、オーストリア、チェコ、ドイツ、フランス、イタリアに大所領を有した上で、新大陸に広大な植民地を保有し、3年後に神聖ローマ皇帝の位も継いだ。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
人類はいかなる過程を経て「協力する種」になったのか
2017年5月27日号自己の損失を顧みずに他者の利益を図る──。人間の利他的行動は、どうして起きるのだろうか? この点を進化生物学者は、血族の命を救うために自らの命を危険に晒すことは結局、血族で共有されている自己の遺伝子を残す確率を高めることにつながり、遺伝子を永続させようとする行動なのだと言う。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
米国の元外交官が詳述する対アジア関与の論理と必然
2017年5月20日号米国のトランプ政権は、どこに向かおうとしているのだろうか? シリアへの空爆を実行したことにより、米国は引き続き、中東への関与を余儀なくされそうな状況だが、前のオバマ政権はアジアへの関与を(口先だけかもしれないが)強力に打ち出していた。
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Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
米国で進行する“機会格差”を 社会調査で描き出す骨太の書
2017年5月13日号著者は、1990年代の前半に社会科学界や政策形成の現場で使われるようになった「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」の概念を広めた政治学者として有名だ。これは、人と人との間の信頼や互恵的な関係を指すものだ。