記事一覧:Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」225件
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
60人以上の肉声を丹念に紡ぐ 天安門事件の真実に迫るルポ
2018年7月21日号あの年、世界は、光と闇に分かれたように見えた。1989年、旧ソ連の衛星国ポーランドで実施された初の自由選挙で野党が圧勝したのを皮切りに、年末までに東欧のほとんどで共産政権が倒れた。自由と民主主義の勝利を、皆が祝った。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
AIとの共存はナンセンス? 子どもの読解力から見る将来
2018年7月14日号著者は「現在の延長線上ではAI(人工知能)のシンギュラリティは来ない」と考える一派の論客で、ロボットに東京大学の入学試験問題に挑戦させる「東ロボくん」プロジェクトのリーダーを務める。シンギュラリティとは、AIが人間を上回る技術的な転換点を指す。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
極秘作戦の舞台裏を検証する 通史として読める中東紛争史
2018年7月7日号「日本は北朝鮮の核施設を破壊すべきであり、それには先制攻撃が必要だ」──。昨秋来日した米戦略国際問題研究所の戦略家、エドワード・ルトワック氏は、このような過激な主張をして一部で話題になった。その上で参考になるとしたのが、イスラエル軍のやり方であった。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
人間は合理主義では動かない 政治とリアリズムを扱う古典
2018年6月30日号国際政治学の泰斗で、米ケネディ大統領(1917~63年)のブレーンでもあった著者のモーゲンソーは、国際政治の分野で国家主権を重視し、理想主義を諫(いさ)める、いわゆる「リアリスト」(現実主義者)の祖として知られる。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
辛口の投資家目線で徹底予測 新興国ではどこに着目するか
2018年6月23日号ロシアのプーチン大統領もトルコのエルドアン大統領も、登場したばかりのころは「改革者」であった。ところが、長期政権となるうちに当初の志はどこかに行ってしまった──。結果として、ロシアやトルコは、投資対象としての魅力を失っている。成長する国と沈む国を分ける条件とは何だろうか。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
地に落ちた評価も回復できる ネット時代の危機管理を詳述
2018年6月16日号企業にとっても、個人にとっても、レピュテーション(評価)は、極めて重要だ。高い評価を得て能力以上の成果を出す人もいるが、評価がいまひとつで能力に見合った成果を出せないという人もいる。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
日本の社会システムを変える マーケットデザインの可能性
2018年6月9日号今から数年前に、海外で先行した「電波オークション」の導入を目的とする電波法改正案が国会に提出された。だが、政権がちょうど民主党から自民党に交代する時期に差し掛かり、当該法案は廃案となった。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
人口減少時代にある日本でも 生産性の向上は可能だと説く
2018年6月2日号本書は、人口減少で経済の常識が根本から変わったとし、労働者の質がトップレベルでも経営者が無能なことが問題だとする。また、生産性を向上させる具体的な方法を実践すれば、日本には労働者の黄金時代が訪れるとしている。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
世界が注視する日本の大問題 反ワクチン運動をめぐる暗闇
2018年5月26日号予防接種を打たせない、または否定する反ワクチン運動は、社会の病を何重にも示している。まず、科学対反科学。この世で人類が手にすることのできる最も確実な知識が、科学的知識である。私たちの健康がそこに基礎を置くのは当然だ。だが、複雑で高度な科学に基づく技術が現代社会で占める位置は、未開社会での呪術に近い。中身のよく分からない科学技術に、人は不安を感じやすい。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
英国人ジャーナリストが見た 被災地を取り巻く人間の物語
2018年5月19日号児童47人、教員・職員10人が亡くなった。本書は、2011年3月11日の東日本大震災直後の津波に襲われた石巻市立大川小学校(宮城県)の入念な取材に基づく記録である。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
米兵のありのままが描かれた 実録・テロとの戦争の最前線
2018年5月12日号すでに、16年が経過した。2001年9月11日の米同時多発テロ事件を受けて始まった米国の「テロとの戦争」は、米国史上最長の戦争となっている。直接的な当事者でない日本人には、どうしても無関係な戦いのように感じられるが、今回、紹介する体験記は、そうした距離感を完全に吹き飛ばしてくれる。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
世界中で食べられるトマト缶 消費者が知らない驚愕の事実
2018年4月28日号『トマト缶の黒い真実』は、著者が中国からイタリア、米国やアフリカの地を歩き回って、トマト加工産業の不透明な実態に迫るルポルタージュだ。本書で指摘されるように「ほのぼのとしたイメージ」に包まれているトマトは、実際には過去50年間で生産量が60倍に増え、それとともにグローバルな貿易の波に洗われ、巨万の富を生むようになった農産品なのだ。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
リフレ派も反リフレ派も注目 日本経済への“意外な処方箋”
2018年4月21日号最初に明らかにしておきたいのだが、評者はいわゆる「リフレ派」の議論には懐疑的である。だから、「イェール大学名誉教授・浜田宏一先生推薦」という帯に対しても、ビミョーな印象を持ってしまう。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
キューバ移民の第一線学者が 移民政策の得失を冷静に分析
2018年4月14日号現在、外国人労働者が急増している。過去5年間で60万人増加し、労働力人口増加の4割、就業者数増加の3割弱を占める。製造業から小売り、宿泊、飲食、農業などあらゆる業態に広がるが、目立つのは低スキルの技能実習生や留学生の増加だ。人手不足でも賃金の上昇が遅れるのは、外国人労働者の急増が影響しているのかもしれない。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
著名ポップミュージシャンが 52歳かつ米国での起業に挑戦
2018年4月7日号“人生100年時代”には何度も学び直しが必要だという。それが分かっていても、実行に踏み切るには勇気が要るし、努力も要る。学ぶためには、何よりもお金が要る。1980年代から90年代にかけて日本のポップミュージック界で一世を風靡した音楽家の大江千里が、人生を100年と考えているかどうか分からないが、思い切った学び直しに挑戦した。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
裁判所は何のためにあるのか 世間に迎合しない法学入門書
2018年3月31日号「三権」の一つにしては、司法権は日本社会で影が薄い。首相や大臣の動静が毎日ニュースになるのと比べると、馴染みのないことが多い。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
長期的停滞から脱出するには 歴史の視点から問い直すべき
2018年3月24日号昨年10月の衆議院解散・総選挙で自民党が大勝した。アベノミクスが継続される安心感もあり、外国人投資家の“買い”を中心に日本株は高パフォーマンスを挙げてきた。しかし、国内では、依然としてアベノミクスを批判する論調が絶えない。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
不適任なトップをどうするか 組織システムの不全を考える
2018年3月17日号東芝は、粉飾決算を行ったことから、決算発表が遅れに遅れるという異常事態の連続に陥った。『東芝の悲劇』は、西室泰三以降、岡村正、西田厚聰、佐々木則夫、田中久雄、室町正志、綱川智の歴代社長を軸とした綿密な取材に基づく記録だ。著者の見立ては、「東芝は、リーダーに人を得ることができなかったのが悲劇の主因」となる。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
いかに“米中戦争”を避けるか 歴史から国際政治を類推する
2018年3月10日号この数年、国際政治の関係者の間で大きな関心を集めている疑問が一つある。それは、「米国と中国は本当に衝突するのか」というものだ。欧州ではロシアの脅威が増しているが、東アジアでは中長期的に米中衝突の可能性が取り沙汰されて久しい。その問題を正面から扱った決定版と言えるのが本書だ。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
教育は技術習得のみにあらず 大学の現状に警鐘を鳴らす書
2018年3月3日号ある団体の調査によると、ここ15年で日本の大学教員の研究時間は約10%減り、全活動時間の50%を下回ったという。半面、国際競争力や教育サービスの向上、果ては入学試験の整備まで、大学に対する社会のニーズは高まる一方である。