記事一覧:Book Reviews オフタイムの楽しみ418件
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【スポーツ】 記録ずくめ女性登山家の決意 マラソン界「7人の侍」の直言
2017年3月11日号これは本というより彼女の決意書、あるいは人間の可能性を引き出すためのマニュアルのようにも思えた。『冒険の書』の内容の多くは彼女が果たした登山の報告だが、戦っている相手は山や高度ではなく、自分自身だということが見事に伝わってくる。
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【ファッション】 帽子、手作りの靴、軍服から紳士服の深さと妙味を知る
2017年3月4日号17世紀にビーヴァーの毛をフェルト状にして成型した帽子は、黒いダイヤモンドのような価値を持ち、富の象徴だったという。『帽子の文化史』では古今東西の小説、絵画、写真などから帽子に関わる部分を引用し、年代順にその変遷をたどる独特の手法が採られている。
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【サイエンス】 込められた研究者たちの思い 脳科学の最新成果を知る
2017年2月25日号『つながる脳科学』は一見よくある「著名研究機関が広報目的で最新成果をまとめた本」だが、単に研究者9人の並列的な自己紹介では終わらない。記憶、情動、心の病。どれも読むとごく自然に研究現場が感じ取れて、脳科学への理解の基盤を一気に刷新できるのが特長だ。
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【酒・酒文化】 芸術家に愛された伝説の酒 正しく酒を語るという武器
2017年2月18日号アブサンはニガヨモギを原料とするリキュールで、アルコール度数が70%前後と高く、水を加えると白濁する。製造禁止の時代もあったが、独特の個性故か、多くの芸術家たちに愛され、さまざまな映画や小説にも登場する。
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【ミステリー】 異世界を描くパニックSF 熟達の奥行きあるミステリー
2017年2月11日号森岡浩之著『突変世界 異境の水都』は、地球上の一定区画が突然消滅し、異世界の地球の区画と入れ替わってしまう「突変現象」を描いたもので、その意味ではSF小説である。しかし同時に自然災害を描くパニック小説でもあるので当欄で紹介してもいいだろう。
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【音楽・演劇・演芸】 ノーベル文学賞受賞のルーツ 天才の創作の秘密と苦悩
2017年2月4日号ノーベル文学賞受賞であらためて注目されたボブ・ディランだが、“ディラン本”も新旧取り交ぜて思わぬ特需となったようだ。そんな中で定番は『ボブ・ディラン』だ。著者は後書きで「ボブ・ディランとは、どのような活動をしてきたのか。それは何故なのか。
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【子育て・教育】 体を張った公教育改革の現場 日本初の学校設立の感動物語
2017年1月28日号教育改革を語る人は多い。誰もが、自分が授業を受けた経験や、わが子を預けている経験で、何事かは言えるからだ。しかし、体を張り生活を懸けて改革に取り組む人は少数だ。『ほんとうの教育をとりもどす』は、日本各地で話題になった幾つかの公教育改革を、何年にもわたり、足と目を使って丹念に取材した力作。ジャーナリストってこういうものだよなと思わせられる情熱にあふれている。
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【映画(DVD)】 リメーク版が続く外国映画 日本は実力派揃いの警察もの
2017年1月21日号世界中で社会が変わろうとしているのに、2016~17年の年末年始には映画もテレビも新企画がない。最初に紹介するのは、なんと『ターザン REBORN』である。密林の王者類猿人(類人猿ではない。猿(ゴリラ)によって育てられた孤児)。実は英国貴族グレイストーク卿の話は何十回となく映画になっている。
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【料理・食】 ジビエ料理は山野の恵み 日本の尊い自然を食で知る
2017年1月14日号フランス料理が大好きな方でも、「ジビエ」はなじみがないかもしれない。青首鴨、蝦夷鹿、仔猪、雉などの「野生鳥獣」のことをいう。ヨーロッパでは晩秋ともなると、ジビエの季節到来となり、レストランの真冬にかけての大ご馳走となる。
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【サイエンス】 「進化」がテーマの力作続々 私たち人間社会を見詰め直す
2016年12月31日号「気のおけない仲間が構成する自然な共同体規模は150人」というダンバー数をご存じだろうか。意外と身の回りに当てはまって驚かされるこの集団数は、狩猟採集民だった私たちの祖先の社会構造をつくる鍵でもあったのではないか。
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【健康・医療】 慢性頭痛持ちの人々に朗報 生活の改善で痛みは消える
2016年12月24日号慢性的な頭痛に悩まされている日本人は、何と4000万人と推定されている。これは“3人寄れば痔主が1人”といわれている痔に匹敵する多さである。ところが、その頭痛の原因を正しく理解し、対処している人は極めて少ない。
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【旅行・乗り物】 苦境に喘ぐローカル線の現実 活性化の秘策と応援ガイド
2016年12月17日号JR北海道の多くの路線が悲劇的な状況に陥っている。かつては幹線だった路線ですら廃止が検討される状況は、10年前には想像すらできなかった。また、中国地方でもJR三江線の廃止が決定し、ローカル線は、どこも存続を懸けて喘いでいる。
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【スポーツ・ホビー】 阪神のお家騒動の真実 「球界の寝業師」の実像
2016年12月10日号阪神の「お家騒動」といえば、プロ野球ファンなら誰もが知るチーム内のゴタゴタや監督人事をめぐる迷走だ。『阪神タイガース1965-1978』はそうした歴史と向き合い、その経緯を浮き彫りにしていく。淡々と積み上げられた事実と当事者たちのコメントが彼らの生きた時代を蘇らせる。
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【ファッション】 スーツ伝播のグローバル史 着こなすための素材知識
2016年12月3日号オーダーメードでスーツを作るビジネスマンが増えている昨今、良い服地を見分ける知識を身に付けるのに役立つのが『メンズ・ウエア素材の基礎知識』である。著者はアラン・ドロンのCMで一世を風靡したダーバン創立期のデザイナーとして活躍した方。専門的になりがちな素材の解説を、誰にでも分かる明確な文章で伝えてくれる。
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【酒・酒文化】 酒にまつわる科学と歴史 気ままなローカル線旅の贅沢
2016年11月26日号人類と酒との関わりは有史以前からといわれているが、酒はまだまだ多くの謎に包まれたままだ。『酒の科学』は酒造りの技術から酔いの科学までを、さまざまなエピソードを交えて幅広く解説したものだ。著者が米「ワイアード」誌の科学部門の編集主任であるだけに、いわゆる専門書とは異なり読み物として大変面白い。
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【映画(DVD)】 アカデミー賞受賞作の巧さ 称えるべき米国映画界の実力
2016年11月19日号映画のDVDリリースが遅く不確実になり、アカデミー賞もディカプリオさま悲願の主演男優賞「レヴェナント」は早く出たが、主演女優賞ブリー・ラーソンの『ルーム』はひどく遅れた。無名だったからか。誘拐され子供まで生まされ、部屋から一歩も出してもらえず、その男児も6歳になった……という異常な設定。
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【サイエンス】 科学と自然と人間が織り成す「空の旅」の感動を味わう
2016年11月12日号『グッド・フライト、グッド・ナイト』はぜひ夜のカフェや夜間飛行中の旅客機内で読んでほしい。エアバスA320やボーイング747のパイロットである著者の文章は、美しく研ぎ澄まされた音楽のようだ。五感が地球と一体化する。私も自家用パイロット免許を持ち、時に空を飛ぶのだが、これほど飛行の感動、科学と自然と人間の豊穣を的確に、繊細に描いた本はない。
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【ミステリー】 展開予測不能の受賞作の斬新 ラストが圧巻のスペイン作品
2016年11月5日号今月は、『虹を待つ彼女』から。第36回横溝正史ミステリ大賞の受賞作だが、旧来のミステリーをイメージしながら読み始めると驚く。つまり、殺人事件が起きて、警察なり探偵がその調査に乗り出すという類いのミステリーではないのだ。
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【子育て・教育】 深い中身をやさしくつづる 子どもの心に火を灯す3冊
2016年10月29日号『ブラタモリ』の番組としての面白さは、今更説明するまでもないが、教育に籍を置く者としては、一言言わずにいられない。うんちくや知識を語る市井のオタクの皆さんに輝きを与え、つまりは「深く知っているって素晴らしいな」と子どもたちに思わせたこと、そして、世界の楽しみ方をタモリさんが教えてくれたことである。
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【音楽・演劇・演芸】 仏国民的歌手の謎多き生涯 ロックスター健康長寿の秘密
2016年10月22日号今年はフランスの国民的歌手であるエディット・ピアフが生まれてからちょうど100年。『愛の讃歌』ではいまだ謎多きピアフの生涯を加藤登紀子が語る。1963年、加藤が19歳のときにピアフは47歳という若さで亡くなった。加藤は繰り返し報道されるピアフの葬儀、何度も流れる「愛の讃歌」に刺激された。