記事一覧:Book Reviews オフタイムの楽しみ418件
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【料理・食】 フレンチレストランの逸品を じっくり味わうための三冊
2016年10月15日号この秋「ミシュラン」が発刊10年目の「東京篇」を刊行する。その「ミシュラン東京篇」で忘れ去られている名店の一軒が京橋にある「シェ・イノ」。1970年代から日本のフランス料理界をリードしてきた井上旭シェフの店で、この店抜きには、東京のフランス料理の歴史は語れない。
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【健康・医療】 アスリートに広がる視力矯正 自分に合う治療法を賢く選ぶ
2016年10月8日号リオ五輪で活躍したアスリートたち。レスリングの吉田沙保里選手や登坂絵莉選手たちを支えたのが「オサート」。眼鏡、コンタクトレンズ(CL)、レーシック、そして「第4の屈折治療法」がオサート。三井石根医師がトップアスリートとの交流と実例、そして、オサートを徹底解説したのが『トップアスリートたちの視力矯正』である。
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【旅行・乗り物】 名所見学から廃墟探訪まで 街歩きを楽しむための案内
2016年10月1日号NHKの人気番組「ブラタモリ」が書籍化された。シリーズとなるもようで、その第1弾は、『ブラタモリ(1) 長崎 金沢 鎌倉』。人気の観光都市ばかりではあるが、いわゆる名所巡りではなく、独自の視点から街歩きを楽しむ姿勢には好感が持てる。番組に登場する各分野の専門家も随所に設けられたコーナーで解説を加え、テーマを掘り下げる。
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【サイエンス】 世界と心を結び付ける音楽 耳に聞こえる驚異の読書体験
2016年9月24日号宇宙開闢のビッグバンに「音」があったなら世界は音と共に始まったのだと謳う『138億年の音楽史』は、故小松左京氏の未完の傑作小説『虚無回廊』(徳間書店)の興奮をそのまま受け継いだような一冊だ。小松氏は全宇宙共通の普遍言語は存在するかという壮大な問いの下、遠宇宙へ旅立つ人類の未来とその体内に宿る音楽的歓喜を描き出そうとした。
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【映画(DVD)】 映画が教えてくれる金融の裏 執念と覚悟の映像の白眉
2016年9月17日号『マネー・ショート 華麗なる大逆転』。映画が何でも、社会や倫理もみんな教えてくれた時代があった。面白いドラマの形で──。映画(テレビも小説も)の教育効果が失われて久しい。この映画にはそれがある。教材は経済、銀行業務の隠された面。デリバティブの知識がなくても優れた脚本と演技(クリスチャン・ベール、ブラッド・ピットらが、最初はそうだと分からないぐらいイメージチェンジして出てくる)が見る方の知識を増やしてくれる。サブタイトルとは違う知的興奮。
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【スポーツ・ホビー】 親と高校野球の社会学 経済学から見るプロ野球
2016年9月10日号取材の中で以前から感じていたことだが、こんな本が出ることになったかと思うと、すっきりするやらがっかりするやら、複雑な気分である。『高校野球は親が9割』は、今の高校野球の実態を見事に映した社会学の書ともいえるだろう。著者の田尻賢誉氏は、長年の取材の中で高校野球における環境、とりわけ親が見せる態度の変化に違和感を覚えていた。
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【ファッション】 古代服飾から明治の服制まで 人はなぜ装うのかを読み解く
2016年9月3日号人は何のために装うのだろう。根源的疑問にぶつかったとき、立ち戻るべき本が『美の考古学』である。著者は国立歴史民俗博物館の教授。古代の人々が暮らしの中で使用してきた石器や土器、あるいは古墳から出土した雑器類などから「無用の用」である「美」をいかに生み出してきたかを、皇国史観やマルクス史観にとらわれない新しい視点で解説してくれる。
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【酒・酒文化】 時代を切り開く若き造り手 日本酒の世界に吹く新風
2016年8月27日号伝統的な酒造りの世界にも、若い蔵元杜氏といわれる造り手が増え、日本酒の世界に新風を吹き込んでいる。いま日本酒は世界の注目を集めつつあり、輸出も好調だ。『日本酒ドラマチック』は、新たな時代を切り開く若き造り手たちにスポットを当て、理想の味を求めて苦闘する彼らの姿をドラマチックに描いたものだ。
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【ミステリー】 杉村三郎シリーズの第4作 デビュー作の異色ミステリー
2016年8月13日号宮部みゆき『希望荘』は、『誰か』『名もなき毒』『ペテロの葬列』に続く杉村三郎シリーズの第4作だが、私立探偵となって始まる新シリーズの第1作なので、これまでの作品を未読の方でも大丈夫。これからお読みになればいい。4編を収録しているが、どれもたっぷりと読ませることは言うまでもない。気に入られたらぜひ前の3作に手を伸ばしていただきたい。
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【子育て・教育】 熱血教師とエリート商社マン 子どもたちに尽くした奮闘記
2016年8月6日号テニアン島での玉砕で夫が戦死した女性は、「子どもたちと死のう」とまで思い詰めながらも、女手一つで、農業をしながらわが子を育て上げた。その子は中学校の教師となり37年間勤め上げた。『谷川流 教師の本懐』は、そんな男の教師一代記であり、学校格闘記ともいうべき本である。主に昭和の中学校の空気が臨場感と共に伝わってくる。
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【サイエンス】 人間を特徴づけるしなやかさ 身体と知能の深い関係を知る
2016年7月30日号「治癒(heal)」という語は「治療」ばかりでなく「統一された身体にする」ことをも意味する。この序文で心をつかまれた。『脳はいかに治癒をもたらすか』で著者は脳の神経可塑性が新しい科学を拓きつつあることを驚きの事例で紹介する。首の慢性疼痛を持つ人が、痛みのない自分の脳活動地図を思い浮かべて発火領域の縮小を積極的に想像することで実際に痛みが緩和される。
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【音楽・演劇・演芸】 ヒット曲を連発できる理由 伝説的ラジオ番組の舞台裏
2016年7月23日号GReeeeNは男性4人組グループだが、メンバー全員が歯科医師免許を持ち、医師業との両立のために素顔を明かさずに活動している。素顔を明かさないということは音楽活動には不利だが、にもかかわらず彼らは「愛唄」「キセキ」などヒット曲を連発している。『それってキセキ』を読むと、なぜ売れるのか? がよく分かる。
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【映画(DVD)】 SF大作から小説映画化まで 監督がいい作、主演がいい作
2016年7月16日号ロビンソン・クルーソーは絶海の孤島に置きざりにされた。『オデッセイ』の主人公は火星にただ独り──とスケールは違うが、監督(リドリー・スコット)と主演(マット・デイモン)がいいので面白くなった。排せつ物でジャガイモを育てる冒頭のエピソードからユーモアを忘れないのがいい。
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【料理・食】 日本の食の未来を見通す名著 好対照なす文豪と作曲家の食
2016年7月9日号地方再生のレシピ』の著者奥田政行氏は、山形県鶴岡市のイタリア料理店「アルケッチャーノ」のオーナーシェフにして、庄内の親善大使を務める。地元の庄内を元気にするためにはどうしたらよいか、長所短所を探り、同じ志の仲間を募り、そして、自ら都会へ出掛け、庄内の食の魅力を発信してきた。
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【健康・医療】 無理なく自分で血圧を下げる 生活習慣を改めるためのこつ
2016年7月2日号この5月に「生活習慣病関連疾患の患者の意識と行動」に関する調査結果が発表された。定期的に通院している人は87.1%に及ぶものの、生活習慣の改善では大幅に実施率は低下する。「食事の制限」は25.6%といった状況。生活習慣病の中で患者数4300万人といわれる高血圧は、生活習慣を改善することで薬の服用をなくせる疾患。
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【旅行・乗り物】 最近、愛好者が増えた「音鉄」 多様な鉄道趣味に応える書
2016年6月25日号乗ったり、撮ったりする以外にも鉄道趣味にはさまざまなジャンルがある。その中で、最近、愛好者が増えてきているのが『音鉄』であり、そのものずばりの本が出た。「音鉄」とは、文字通り、鉄道にまつわる音を対象とする趣味であるが、車両の走行音、車内放送、駅の発車メロディー、踏切の警報など想像以上に幅が広いことに驚く。録音機材も近年軽量かつコンパクトになってきたので、素人でも挑戦しやすい。
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【スポーツ・ホビー】 「同志」のみが知り得た真実 プロ野球ファン必読の渾身作
2016年6月18日号会場のホテルには、江夏豊、権藤博、山田久志、東尾修の各氏、その他大勢の野球関係者が勢ぞろいした。発起人には福岡ソフトバンクホークスの王貞治会長も名を連ねていた。本書『永谷脩の仕事』の著者、永谷脩氏をしのぶ会が今春行われた。
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【サイエンス】 心揺さぶる蘇生の現場と科学 老いること死ぬことを考える
2016年6月11日号『蘇生科学があなたの死に方を変える』はベストセラーになってしかるべき本だ。著者は大学教授だが、手だれの科学ノンフィクション作家かと目を見張るほどあちこちへ出掛けて蘇生と延命と不死の現場を描く。軽妙な筆致だが切り口は鋭く、科学的論拠もきちんと押さえ、終盤は読者の感情を揺さぶってくる。
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【ファッション】 ファッションの「日本再考」 明治、大正、昭和を見詰め直す
2016年6月4日号日本の洋装は軍、警察、郵便、鉄道など、公的機関の制服から始まった。短期間に大量の制服を生産するノウハウや機能的なデザインは、その後の既製服業界に多大な影響を及ぼしたといえよう。
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【酒・酒文化】 クラフトビールへの思い 日本酒の製法と味わい
2016年5月28日号田中角栄元総理に関する出版物が再び注目されている。彼が愛した酒を通して、その人間像に迫ったのが『田中角栄の酒』だ。新潟から上京し総理にまで上りつめる過程、ロッキード事件後の苦悩の姿など、さまざまなエピソードが登場する。