記事一覧:Book Reviews オフタイムの楽しみ418件
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【映画(DVD)】 一見の価値ある凝った描写 丁寧で手抜きのない作品
2017年8月5日号ヒロシマに投下された原爆は、B29に搭載される南太平洋テニアンの航空基地までは重巡洋艦インディアナポリスによって、(機密保持のため護衛艦を一隻もつけず)運ばれた。秘密は味方にも知られず、原爆はやっと届けられた。だが悲劇は帰途に起こる。
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【ミステリー】 今後の展開が分からないスリル 舞台設定のアイデアの勝利
2017年7月29日号伊岡瞬の小説では、何が始まるのか、どう展開していくのか、それがいつも分からない。だから、スリリングである。例えば『悪寒』を見られたい。藤井賢一、42歳は薬品会社の支店に勤務する営業マンで、家族と離れて単身赴任。ある日妻から謎めいた電話が入り、心配になって深夜バスで東京に向かうところから始まる。
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【音楽・演芸】 歌の魅力、たどった軌跡を深く理解するための音楽書
2017年7月22日号「帰って来たヨッパライ」に続くザ・フォーク・クルセダーズのシングル第2弾「イムジン河」は突如発売中止となった。そして34年という年月を経て2002年3月21日に正式に発売された。『「イムジン河」物語』は、発売中止の真実を記した“騒動”、曲の成り立ちを記した“誕生”、封印が解けるまでの経過を記した“復活”、そして今でも広がりを見せる曲の持つパワーを記した“希望”と四つのチャプターで構成されている。
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【子育て・教育】 子の数理的思考力を伸ばす教師役となる新進気鋭の著書
2017年7月15日号教育業界では、30歳前後のとても優秀な人材が育ってきた。神野元基氏もその一人で、AI(人工知能)を教育に活かす具体策で、目下先頭を走っている男だ。『人工知能時代を生き抜く子どもの育て方』は、子どもを育てる親に、立ち止まって考える機会を与えるだろう。
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【料理・食】 半世紀ぶりの新訳で味わう 食とフランス文化のエッセンス
2017年7月8日号築地市場が豊洲に移転することになったとき、東京の仲間たちからこぞって「築地へ連れていってほしい」と懇願された。東京人の一番身近にあって、これまで最も無関心だった場所が「築地」だったといえる。
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【健康・医療】 戦国武将たちの病の分析で違う歴史が見えてくる醍醐味
2017年7月1日号人生は病に左右されるもの──。医療が進歩した今日でもいえることなので、戦国時代であれば、誰もがそう思っていたことは容易に理解できる。その病を正しく分析して歴史的人物を解析する学問がある。それが「病跡学(びょうせきがく)」。武将がかかっていた病気を解析すると、歴史の動きの疑問が解きほぐされる。
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【旅行・乗り物】 赤字路線の存続問題に一石 立て直しの具体策を大胆提言
2017年6月24日号JR北海道の路線存続の問題は、いまだに明快な解決策を見いだせない状況である。そんな中『全国鉄道事情大研究 北海道篇』は、JR北海道の各路線の詳細な現状をレポートしつつ、立て直し策として大胆な提言を行っている。
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【サイエンス】 記憶研究とマジックが教える認知と情動のイリュージョン
2017年6月17日号人は誰しも奇妙な記憶を持っている。私も少年期に父と二人で延々と山中を鈍行列車で旅した思い出がある。新緑がきらきらとまぶしかったのを鮮明に覚えているが、父に聞くとそんな旅はしていないという。
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【スポーツ】 早世のリーダーが追い求めた強いチームと自由な個人
2017年6月10日号平尾誠二氏に最後に会ったのは、2015年の夏だった。関西の大学で学生スポーツと地域の連携について考えるシンポジウムで同席した。平尾氏とは旧知の仲だが、たとえ酒の席でも日本のスポーツ文化やリーダー論にすぐ話が及んだ。『平尾誠二 人を奮い立たせるリーダーの力』には、そんな平尾氏の言葉や考え方が収められている。
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【映画(DVD)】 演技合戦に見応えの地味作品 心したい正攻法の映画作り
2017年6月3日号DVDのリリースと原稿の締め切りがうまく合わなくて『シン・ゴジラ』の紹介がだいぶ遅れた。評判がとてもいい映画だが、僕にはちょっと疑問が残る。例えば最初に暴れる幼生期のゴジラの出来が良くない(あの『ラドン』の幼生の怖かったこと)。確かに迎え撃つ政府や自衛隊の描写など、いままでのゴジラ映画の弱点の部分は改良されているが、肝心の怪獣の部分が逆に弱い。
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【ファッション】 「洒脱」「論理」「色気」で紳士服を格好良く着こなす
2017年5月27日号完璧な英国紳士の装いとは、わずかにエキセントリックで、ユーモアを含み、非の打ちどころのないマナーに基づいた、アンダーステーツなものだという。このうちどれかが欠けても、キザに堕ちるか、逆にルールに縛られた堅物に見えてしまう。
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【酒・酒文化】 バー名店の魅力を味わえる書 愛にあふれたスナック指南
2017年5月20日号各地の名店と呼ばれるバーの中から、5人のオーナーバーテンダーがその思いや経験を披歴したのが『5人のバーテンダーが語るもう一つのBar物語』だ。話は酒そのものからバーの楽しみ方、ノベルティーグッズにまで及ぶ。プロとしての矜持と、深い見識にあふれたエピソードや酒へのこだわりは興味深く、そのうんちくに脱帽だ。
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【ミステリー】 読み始めたら止まらない 魅力のヒロインと展開の意外
2017年5月13日号長沢樹著『ダークナンバー』がすごい。読み始めたらやめられなくなるのは、ヒロイン土方玲衣の魅力に圧倒されるからである。テレビ局の版権デスクを仕切る女性だが、パワフルでひたすら前向きなのだ。
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【音楽・演芸】 誰もが知る名曲の制作秘話 偉大な作詞・作曲家の足跡
2017年4月29日号「翼をください」は小学校や中学校で誰もが一度は歌ったことのある合唱曲の定番だ。ユーミン(松任谷由実)は誰もが認めるスーパースターだ。YMOは1980年代初頭にシンセサイザーとコンピューターを使ったテクノポップで日本だけでなく海外でも一世を風靡したユニットだ。
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【子育て・教育】 データから何がいえるのか 教育心理学の地道な研究成果
2017年4月22日号誰もが教育については何事かを語る。その言葉が説得力を持つためには、現場の経験とエビデンスの両方が大切だ。例えば「遺伝か育ちか」と聞かれたら、どう答えればよいだろう。『探究! 教育心理学の世界』は、教育心理学の領域で、あまたの研究者たちがコツコツとデータを集め考察し、積み上げてきた「言い切れること」を、コンパクトにまとめてくれている。
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【サイエンス】 クモ、タコ、微生物 生き物たちの驚きの世界
2017年4月15日号『クモの糸でバイオリン』は、集めたクモの糸でつったハンモックにぶら下がることに成功した生体高分子学の専門家が、今度はクモの糸でバイオリンを弾くまでの研究史。もともとクモに興味のなかった異分野の研究者が、まずクモを飼って心を通わせ(?)、苦心して長い糸を採取するところから引き込まれる。
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【料理・食】 家庭料理を作品に昇華させた今は亡き料理アーティスト
2017年4月8日号2014年に小林カツ代氏がこの世を去ったというのに、彼女の料理本はいまだに売れ続けて、衰えを見せない。『小林カツ代伝』によると、従来の家庭料理に工夫を加え、自ら創作考案したレシピは1万を超えるという。
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【健康・医療】 がん患者注目の話題高額薬 第四の治療「免疫療法」を知る
2017年4月1日号手術、化学療法、放射線療法、そして、第四のがん治療として期待されていた免疫療法。その免疫療法がこれまでの免疫療法とは違う展開を見せて、“治る免疫療法”としてがん患者に新時代を切り拓いてくれている。その治療薬を紹介するのが『今こそ知りたい! がん治療薬オプジーボ』。
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【映画(DVD)】 難しい役どころを難なく好演 見逃しては大損の「実話物」
2017年3月25日号まず同じトム・ハンクス主演の2本。『インフェルノ』の方は『ダ・ヴィンチ・コード』『天使と悪魔』に続く西欧中世史家ラングドン教授の歴史推理のシリーズ──。こう言ったら誰も見ない。実はアクションたっぷりの大観光映画なのが人気の秘密。今回はあの『神曲』のダンテが謎だから、フィレンツェの美しい街と美術がたっぷり。
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【旅行・乗り物】 有益情報が満載の旅ガイド 達人ならではの心得とヒント
2017年3月18日号私の所属している日本旅行作家協会の名誉会長・兼高かおるさんは、往年のテレビ番組「兼高かおる世界の旅」の取材で全世界を駆け巡り、その豊富な体験を何冊もの本にまとめた旅行ジャーナリストである。今回、長年にわたる旅のエピソードや波乱に満ちた半生をほぼ同年代の作家、曽野綾子さんと対談形式で自由に語り合い、『わたくしたちの旅のかたち』にまとめた。