記事一覧:Book Reviews オフタイムの楽しみ418件
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【スポーツ】 メジャーファンの心をも掴む 大谷翔平とは何者なのか
2018年6月2日号気が付けば野球祭りのような3冊になってしまった。それもこれもこの人の活躍に影響されてのことだろう。『大谷翔平の素顔』は、いま読むのにぴったりの本だ。彼は何者なのか? どうして二刀流にこだわるのか? なぜメジャーリーグに挑戦するのか? 副題の「道ひらく、海わたる」の言葉通り、彼は誰もやっていないことに挑むことを最高の喜びにできる価値観とメンタリティーを持つ。論理的で強い目的意識を持ちながらも、メジャー挑戦への決断は、「やってみたいと思ったから」と極めて感覚的で身体的なところが興味深い。しかし、だからこそ彼の信念はブレないのだろう。著者は、両親をはじめ高校の佐々木監督、日本ハムの栗山監督や大渕スカウト等、大谷を知る人たちを丹念に取材している。各氏の評は、紛れもなく「時代を担う存在」で一致する。誰からも愛される素顔がそこにある。
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ソーシャルデザインこそ 新しいファッション創造の道
2018年5月26日号ファッションごときで世界は変えられないと思うが、『僕たちはファッションの力で世界を変える』が読まれることでソーシャルアントレプレナー(社会起業家)への理解と賛同が増すことを感じた。
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【マンガ】 幕末版ギャグマンガの快活 熟年マンガのファンタジー
2018年5月19日号子どものころに歴史の学習マンガを読んだが、歴史というのは年齢を重ねるとますます面白くなるようだ。『風雲児たち 幕末編(30)』は、ギャグマンガのスタイルで諧謔を弄しながらテンポよく激動の時代を活写する。西郷隆盛は島流しとなり、高杉晋作は上海を視察し、土佐藩を改革した吉田東洋は暗殺され、福沢諭吉らの遣欧使節団は日本オタクのフランス人青年に助けられながら任務を遂行する。ともすると歴史というのは陰惨で血なまぐさいものだが、『風雲児たち』は実に快活で愉快な雰囲気が漲っており、作者の呵々大笑が聞こえてきそうな作品である。
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【酒・酒文化】 ウイスキーの知られざる世界 ビール、日本酒への熱き思い
2018年5月12日号最近の国産ウイスキーに対する海外での人気の高まりには驚くばかりだ。国産ウイスキーの魅力は日本の気候風土の中、長期の樽貯蔵によって生まれる芳醇な香味の世界だ。長年ウイスキーの熟成を研究してきた著者が、その知られざる世界を余すところなく解説したのが『最新 ウイスキーの科学』だ。時には専門用語も登場するが、独特の語り口で分かりやすく解き明かしてくれる。
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【映画(DVD)】 懐かしの作品とそっくり? エンターテインメントの新流行
2018年4月28日号今年のアカデミー賞候補には懐かしやブラッドベリーの『火星年代記』からヒントを得たと思われるアニメもあり、だいたい去年の『ラ・ラ・ランド』はフレッド・アステアのミュージカルの良きコピーで、このくらい遠い過去から題材を持ってくるのが流行なのだ。
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【ミステリー】 期待のハードボイルド作家 デビュー作のヒロインの魅力
2018年4月21日号北原真理著『沸点桜』は、第21回日本ミステリー文学大賞新人賞の受賞作である。主人公は、東京・新宿の風俗店でセキュリティーを担当しているコウ。店の金を持ち逃げした美少女を連れ戻すよう命じられたこのヒロインが、追われる側になって物語が始まっていく。
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【音楽・演劇・演芸】 茅ヶ崎で見る日本ポップス史 亡きミュージシャンへの思い
2018年4月14日号海の街として知られる神奈川県の茅ヶ崎。生まれてからここにずっと住み続けている生粋の“茅ヶ崎人”である著者によって書かれた『MY LITTLE HOMETOWN 茅ヶ崎音楽物語』は、「想い出の渚」「また逢う日まで」など茅ヶ崎と縁の深い10曲を入り口とし、茅ヶ崎という土地に関わってきた人物を取り上げ、どのような影響をもたらしたかがつづられたまさに日本ポップスの歴史書ともいえる内容となっている。
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【サイエンス】 読む喜びとヒントに満ちた 「生活」「人生」の総合科学
2018年4月7日号今回は私たちの生活にまつわる3冊。『生活の発見』の原著副題は「いかに生きるかについての興味深い歴史」。『生きることの発見』の方が分かりやすいかも。本来は哲学・歴史分野の本だが、ゼネラリストでありたいと願う著者が準備した「魔法の箱(ワンダーボックス)」である12の章題を見れば、心理・民族・環境・文学にも広がる総合科学の書だと分かる。
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【子育て・教育】 変革の時代のあるべき教育 数学の面白さが実感できる本
2018年3月31日号2020年の大学入試改革の動きが牧歌的に思えるほど、第4次産業革命の大波は高速で世界を覆い尽くしつつある。数年後には、今ある職業のほとんどが入れ替わるという予測も、説得力を増すばかりである。
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【料理・食】 アマゾン料理人の情熱エッセー 笹餅屋おばあちゃんの一代記
2018年3月24日号都会より地方、田舎にこそ魅力ある料理人がいることを教えてくれるのが、『のべおかタパス食べ歩き写真集』と『おかげさまで、注文の多い笹餅屋です』の2冊。
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【健康・医療】 ウソの健康情報から身を守り正しく病気を治す「心がけ」
2018年3月17日号情報化社会どころかすでに“過剰情報化社会”となり、間違った健康常識も乱れ飛んでいる。そのウソ健康情報を正すのが『実はこんなに間違っていた! 日本人の健康法』だ。
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【旅行・乗り物】 駆け足の旅行では分からない くつろぎの旅と食の味わい
2018年3月10日号海外旅行というと各地の観光名所巡りが主流だが、都市の由緒あるカフェ巡りも興味深い。とりわけオーストリアの首都ウィーンは、そのカフェ文化がユネスコの無形文化遺産に登録され趣深い。
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【スポーツ】 内外の名監督が自在に登場 サッカーマネジメントの神髄
2018年3月3日号日本ではプロ野球監督のマネジメントに注目が集まる。古くは川上哲治氏であったり広岡達朗氏であったり、近年の人気は、その書籍の数からしても野村克也氏だろう。昔から野球人が好まれるのは、多くの人が野球に精通しているからか。
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【映画(DVD)】 テレビのリーダーとなった 海外連続ドラマの制作姿勢
2018年2月24日号スピンオフという用語がある。人気番組の設定をそっくり借りたり、レギュラーの一部をそのまま引き抜いて新番組を作ったりする。『クリミナル・マインド』は毎回連続殺人犯による事件が起こる。心理分析官たちが心理分析の手法を使って犯人を絞り込み、あぶり出してゆく。
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【ファッション】 「靴オタク」のナイキ創業者 スリリングなビジネス活劇
2018年2月17日号『SHOE DOG』はナイキ創業者フィル・ナイトの半生記。ハードボイルド小説調に書かれた文体は、ジェフリー・アーチャーの小説を読むようにスリリングで飽きさせない。登場人物は、悪役にオニツカのキタミや官僚のクラーケン。そこに靴オタク(シュードッグ)のバッドフェイスと呼ばれる仲間たちや、正義の鉄仮面騎士、日商岩井のイトーが絡んで活躍する。
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【サイエンス】 科学倫理をも問う児童文学 最先端ゲノム編集の入門書
2018年2月10日号『嘘の木』は海外の児童文学賞を受賞したティーン向けファンタジー/ミステリー小説だが、舞台は『種の起源』が発表されたヴィクトリア朝時代の英国で、主人公は化石好きの賢い14歳の少女。ジェンダーや科学コミュニケーション問題も盛り込まれ、科学好きの大人にもぜひ薦めたい秀作に仕上がっている。
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【酒・酒文化】 フランス人のウイスキー教本 「適正飲酒」の本当の実践法
2018年2月3日号フランスというとワインやブランデーが思い浮かぶが、今、世界で最もウイスキーを飲んでいる国民でもある。『ウイスキーは楽しい!』はそのフランス人が書いた教本だ。ウイスキーに関する基本的な事柄がたくさんのイラストとともに簡潔に解説されていて大変読みやすい。
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【ミステリー】 今最も面白い作家の手になる 異色の警察小説の気分爽快
2018年1月27日号秋吉理香子著『婚活中毒』は、さまざまな婚活のドラマを描く作品集で(中には親同士の婚活パーティーもあったりする)、個人的には「リケジョの婚活」が好み。電機メーカーの研究室に勤務する後藤恵美が、テレビの婚活番組に応募する話だが、全てをデータ化してシミュレーションする恵美に対して「データとか分析に頼りきっていると、しっぺ返しされそうな気がする」と応募者仲間に言わせることに留意。
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【音楽・演劇・演芸】 渋谷から生まれた音楽の軌跡 新しい音楽ビジネスの提言集
2018年1月20日号『渋谷音楽図鑑』は「渋谷系」音楽を語るというコンセプトからスタートした企画だそうだが、実際の内容はそれだけにはとどまらない。「渋谷系」と呼ばれる音楽ムーブメントが起こるまで、「サラリーマンの街」から現在の「若者文化の発信地」へと変貌を遂げるまでにはさまざまな要因があった。
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【子育て・教育】 高校生になったわが子と親子で語り合ってみたい本
2018年1月13日号高校生になった子と同じ本を読んで感想を述べ合うなどということができている家族は少ないであろう。しかし、子育ての最終段階であるこの時期に、大人が読んでも十分面白い一冊の本を通して親子で語り合い、世界観を広げ哲学を深められるならば、素晴らしいことである。