記事一覧:Book Reviews オフタイムの楽しみ418件
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【スポーツ・ホビー】 ラグビーW杯日本代表チーム 快進撃の秘密とその教訓
2015年12月19日号先の第8回ラグビーW杯。この大会で五郎丸歩選手が一躍スターになったが、忍者のように両手を合わせる独特なルーティン(慣習にしている動作)とキックの正確さだけを記憶にとどめておくのは、ラグビー日本代表の活躍をミニマムに楽しむことになる。確かに五郎丸選手の存在は、日本代表になくてはならないものだったが、強豪・南アフリカを破り3勝1敗の好成績で世界を驚かせた快進撃には、それを可能にした入念な準備があった。
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【ファッション】 その人本来の自然な良さを引き出す新しいお洒落
2015年12月12日号中高年の誰もが悩む加齢臭、ミドル脂臭、口臭、汗や足、頭のにおいなどの原因を解析し、それを防ぐ具体案が『なぜ一流の男は匂いまでマネジメントするのか?』には的確に示されている。
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【酒・酒文化】 酒がますます美味しくなる 科学の知識、プロの矜持
2015年12月5日号居酒屋を舞台に女子大生がコンサルタントとして活躍し、傾きかけた店を次々と立て直していく。飲食店経営の基本を説くビジネス書だが、そんな肩の凝らないドラマ仕立てで構成されているのが、『なぜ、あの店は生ビールが120円でも儲かるのか?』である。
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【ミステリー】 奇想天外のぶっ飛びミステリー 構成巧みなホラーの面白2作
2015年11月28日号白井智之『東京結合人間』にはぶっ飛ぶ。男と女が互いの体を結合させると一定の割合で、一切うそがつけないオネストマンが生まれてくる。これがこの物語の前提だ。その7人のオネストマンを孤島に集めると殺人事件が起こるのが真の発端だが、誰もが犯行を否定するから物語がねじれてくる。オネストマンはうそをつけないから、彼らは犯人ではないのだ。ではいったい犯人は誰か、というミステリーで、読み始めるとやめられない。
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【映画(DVD)】 小味ながら面白いスポーツ物 癒やし効果絶大のミニ番組
2015年11月21日号昔の人は正直だったから、ピーター・パンの住む理想の国をネバーランド(何処(どこ)にもない国)と名付けた。いまは変わって、『トゥモローランド』。しかし、明日(あした)(未来)なんてどうなるか分からない。人類が破滅に向かっているのをどう食い止めるか。SF物の永遠のテーマで、嫌というほどの数の作品が作られた。
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【科学読み物】 脳を模した人工知能の革命 昨日の道具が明日の支配者か
2015年11月14日号現代社会の水面下で重大な技術革命が想像を絶する速度で進んでいる。コンピュータに思考力を持たせる人工知能(AI)の研究開発だ。加速度的な増加よりも格段に急激な上昇曲線を描く、指数関数的な発達ぶりを見せている。
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【子育て・教育】 エビデンス重視の教育論 安直なデータ主義には戒め
2015年11月7日号教育におけるエビデンスの重要性を説いた『「学力」の経済学』。価値ある情報満載なのだが、惜しいのはテレビの評論家たちを切って捨てたい気持ちからか、例えば「『テレビゲームは有害だ』というのは、その昔『ロックンロールを聴くと不良になる』と言われたのと同様の、時代遅れのドグマだ」と書いたりしている点。短時間のゲームに実害がないことも、長時間のそれが完全な悪影響であることも、知らない先生などいない。
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【音楽・演劇・演芸】 ベストアルバムから見た音楽 自伝から読む音楽業界の深層
2015年10月31日号『70年代シティ・ポップ・クロニクル』は、数あるシティポップの中から音楽評論家である著者が最も重要だと感じる15枚のアルバムを選び、時代順に並べ、その15枚から派生する作品を挙げて紹介している。関連ディスクを合わせると実に100枚ものアルバムが紹介されていることになる。しかもただのディスクガイドではない。
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【健康・医療】 少女たちに重い副反応の悲劇 子宮頸がんワクチンの真実
2015年10月24日号医師と製薬会社との“癒着”が大きな社会問題として続いている。最近はノバルティスファーマの降圧薬「ディオバン」の事件がある。『新薬の罠』では、医学会と製薬会社との切れない関係がさまざまな問題を引き起こしていることを取材で浮き彫りにしている。そこには両者共に持っていなければならない“患者を救う”、その基本のハートが消えている。
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【映画(DVD)】 2015年映画賞受賞作 実力派、異色作の醍醐味
2015年10月17日号今年度の賞レースを勝った映画のDVDが一斉リリースの季節となった。顔を覆う奇怪なマスクにマント姿で空を飛ぶヒーローを演じて、一躍スターとなった映画俳優がその後パッタリ売れず、今度は永年の夢だった演劇でと、ブロードウエー進出を試みる──。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』。
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【旅行・乗り物】 乗り鉄、廃線探訪、海外のSL 鉄道のさまざまな楽しみ方
2015年10月10日号長かった猛暑が終わり、ようやく秋の旅が楽しめる時季となってきた。それに合わせるように鉄道をさまざまな角度から楽しむ本が出版されたので紹介してみたい。『鉄道でめぐるゆるり京都ひとり旅』。晩秋の人気観光地といえば京都、紅葉狩りで国内のみならず海外からも訪問客が殺到する。道路は大渋滞必至なので、鉄道と徒歩で回るのがストレスなく快適だ。とはいえ、多くの鉄道会社が入り乱れてネットワークを形成しているので指南書が必要である。
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【スポーツ・ホビー】 「走塁のプロ」の思考と技術 脳も鍛えるスポーツの効用
2015年10月3日号セ・リーグの首位攻防戦、阪神対巨人(9月9日、甲子園球場)。3対3同点の場面で巨人・原辰徳監督は、代走・鈴木尚広を告げる。マウンドには、阪神の抑えのエース・呉昇桓が登っていた。九回ノーアウト、ランナー一塁。盗塁が決まれば最大のピンチになる。鈴木の「足」を警戒して、呉は執拗にけん制球を投げる。その焦りからだろうか、けん制球がそれてファールグラウンドを転々とする。その間に鈴木は、快足を飛ばして一気に三塁を陥れる。呉の単なるミスのように思えるプレーだが、ここに鈴木の積み重ねてきた経験と技術、思考が凝縮されていた。
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【ファッション】 米国から大注目のコンゴまで 世界の新ライフスタイルを紹介
2015年9月26日号サブプライム危機後に拝金的な消費至上主義に背を向けて登場した新ライフスタイルを紹介したのが『ヒップな生活革命』である。エコロジー、オーガニック、ハンドメードをキーワードにしてエシカルな衣食住を志向する生き方は、米国ポートランドを口火にして今やNYのブルックリンにまで広がりを見せているという。
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【料理・食文化】 「すし」の変革と隆盛の歴史 読み応えある文章のお手本
2015年9月19日号久しぶりに「すし」の本で読み応えのある本が出た。日比野光敏著『すしのひみつ』がそれ。すしが1200年以上前、東南アジアで生まれ、それがどの道筋を経て日本へ伝わり、その過程ですしがどのように変革を遂げ、そうして「江戸前」握りずしがいつごろ誕生し、いまの隆盛に至ったかを丁寧に解き明かしてある。
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【酒・酒文化】 職人的酒造りに挑んだ起業物語 日本の洋酒文化を築いた2人
2015年9月12日号ビールに限らず、ワインやウイスキーの世界でも大手の手によらない酒造りが注目されるのは世界的トレンドなのだろう。『クラフトビール革命』は米国で成功しているクラフトビールを知るには格好の一冊だ。今や2700社以上が存在し、ビール市場の10%を構成する存在で、日本の地ビールとは一線を画す。クラフトブルワリー隆盛の背景にはさまざまな規制の緩和があった。規模の拡大を求めず、職人的であろうとする多くの起業家たちの物語を、米国で最も注目されているブルックリン・ブルワリーの創業者が語る興味深い一冊。
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【ミステリー】 日本を舞台としたスパイ小説 富士山噴火パニックの迫真
2015年9月5日号曽根圭介『工作名 カサンドラ』は現代日本を舞台にしたスパイ小説だ。奥多摩山中で発見された死体の謎を追う警察官・荻大二郎のパートと、自衛隊を追われた佐々岡啓志のパートが並行して描かれるが、当然これがうねるように絡み合っていく。こういうことが現実にあっても全然不思議ではない、というリアル感が全編を貫いているのがキモ。江戸川乱歩賞受賞作の『沈底魚』以来のスパイものだが、緊迫感たっぷりに読ませて飽きさせない。
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【映画(DVD)】 リアリティの裏に深い洞察 イーストウッド作と上質ドラマ
2015年8月29日号『アメリカン・スナイパー』──狙撃手(スナイパー)は特異な兵士だ。引き金を引くとき、彼は誰の命令も受けない。全て自己責任だ。冒頭、自爆テロの爆薬を隠し持っているらしい子供がスコープの中に現れる。本当に上着の下に爆弾があるのか。撃つべきかどうか。決断は……。
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【科学読み物】 昆虫採集は科学の始まり 自然の造形に感動し考える
2015年8月22日号日本の科学界の将来はどうなるのかと思ってしまう。何しろ昆虫の写真を表紙に使った学習ノートが敬遠されるご時世なのだ。虫を捕まえ、観察して得る感動は、少年少女の手で自然科学の扉を開ける行為に他ならない。多くの科学者は昆虫採集に親しんで成長している。
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【子育て・教育】 子どもたちに身に付けさせたい 時代をたくましく生き抜く力
2015年8月8日号これからの時代を生き抜く力を身に付けさせたいと考えるときに、佐藤優氏に、いつか学校を創ってほしいと願う人は多いのではないか。『超したたか勉強術』は、英国の歴史教科書に学ぶ形で、たくましい「思考の鋳型」を身に付ける具体策を示す。本書を読んで、私もすぐに英国の歴史教科書を注文した。これまでの日本の歴史教科書が、信頼できる知識と教養を与えてくれたのは確かだが、なるほど、こういう思考訓練は求めてこなかった。
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【音楽・演劇・演芸】 増しつつある歌のリアリティ 戦争の歌が必要とされぬ世界
2015年8月1日号「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」などの俳句で知られる正岡子規。そんな子規の俳句にメロディを付けたなら? そんなユニークな試みをしたのが「千の風になって」のヒットで知られる芥川賞作家の新井満。この制作に当たり、新井は子規の故郷・松山を歌った俳句から松山市民に世代別に好きな句のアンケートを実施。その結果、4000人分のアンケート用紙が集まり、そこから人気の俳句、朗読を含む全8楽章から成る組曲が完成。