記事一覧:Book Reviews オフタイムの楽しみ418件
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【映画(DVD)】 筋よりも名優よりも 美の饗宴に酔うべし
2015年2月28日号息をのむほど美しく豪華な絵が何十ページも続く絵本──『グランド・ブダペスト・ホテル』はそんな映画だ。美麗なのはホテルの内装・調度と衣装。こんなホテルが実在するのか、どこでロケしたのか、どこまでが実物でどこからが美術なのか。よく知らない。長年のなじみ客の老婦人が殺され、有名なコンシェルジュが疑われ、という筋(ストーリー)などどうでもいい。レイフ・ファインズはじめ名優の出演もどうでもいい。美の饗宴に酔うことだ。去年買って見たDVDだがアカデミー賞ノミネートのうわさに慌てて紹介。
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【科学読み物】 科学史に残る大スキャンダル 虚妄のSTAP細胞の舞台裏
2015年2月21日号20年来、日本の科学界を支配している短期成果主義と研究費の集中配分という不毛のシステムから産声を上げたモンスターが、虚妄のSTAP細胞であり、その研究者だった。『捏造の科学者』には、新万能細胞の作製を告げた昨年1月末の満艦飾の発表から、年末の幕引きに至るまでのSTAP細胞騒動の全貌が、取材に当たった毎日新聞科学環境部の女性記者の視点でまとめられている。
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【教育・子育て】 教師を憧れの職業にした フィンランドの教育改革
2015年2月14日号「改革に痛みはつきもの。でも誰でも平穏無事なのが一番。なにかに慣れてしまえば、あとは何も起こらない方がありがたいですからね」 『世界教育戦争』で紹介されている、ポーランドの教育改革に尽力したハントケ氏の言葉である。教育の分野で、数年間で劇的な躍進を遂げた三つの国(韓国、ポーランド、フィンランド)に注目し、データや留学した生徒たちの証言を丹念に集め、光も影も描きつつ、その理由を探っている。
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【音楽・演劇・演芸】 インターネット時代の エンターテインメント
2015年2月7日号個人が作品を発表できるウェブサイトが増え、誰もがクリエーターになり得る時代が来た。その代表である「ニコニコ動画」というメディア、創作プラットフォームで貫かれる哲学について考えさせられたのが『ニコニコ哲学』。例えば、テクノロジーを駆使してエンターテインメントをつくるニコニコ動画は「仮面ライダーの世界観に近い」、つまり「テクノロジーを使って人間性を追求する」と説明する。こうした奥深くて面白い話が盛りだくさんだ。
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【健康・医療】 健康管理の新ツール 七大疾患の“新厄年”
2015年1月31日号赤ワインは動脈硬化の予防に効果的である、と実証して世界にその名を轟かせた医学博士の板倉弘重氏が、“新厄年”を提唱するのが『63歳で健康な人は、なぜ100歳まで元気なのか』。健康寿命を縮めるがん、脳血管疾患、虚血性心疾患、糖尿病、変形性膝関節症、骨粗しょう症、認知症の七大疾患に着目。約75万人のレセプト(診療報酬明細書)データを分析し、七大疾患の性別・年齢別発症率の上昇する年齢を割り出した。それが新厄年である。
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【旅行・乗り物】 「そうだ京都、行こう。」 古都の魅力を再認識する3冊
2015年1月24日号JR東海のCM「そうだ京都、行こう。」が始まって20年になる。毎シーズン、京都の有名無名の場所を取り上げ、印象的なキャッチコピーでさりげなくその魅力を伝えてきた。それらを1冊の本に凝縮したのが『「そうだ京都、行こう。」の20年』。
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【映画(DVD)】 成功の鍵は主演・原田知世の 輝かしさと普通らしさ
2015年1月17日号なぜか、例年のおせち料理風娯楽大作が見当たらない。そのぶんは紹介し続けた『ブレイキング・バッド』や『ダウントン・アビー』、北欧推理もの等を、ごそっと借りてください。ここでは長くなく、辛かったり苦かったりする3篇を紹介。
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【スポーツ・ホビー】 メジャーリーガーの“視力”も 経験の中で後天的に養われる
2015年1月10日号エリック・キャロス。『スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?』で彼に関する記述に出会い、私は思わず仕事場の本棚に飾ってある彼のサインボールを手にした。1992年、キャロスは、メジャーリーグ、ロサンゼルス・ドジャースで新人王に輝いている。ちなみに野茂英雄投手とバッテリーを組んで日本でも有名だったマイク・ピアッツァ(93年新人王)も登場する。
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【ファッション】 日本人ビジネスマンに効く デキる男の装いのスキル
2014年12月27日号ステッキといえば介護用か登山用を思い浮かべる方が多いが、大正から昭和のモダンな時代は誰もがステッキを片手に街を歩く流行があった。『ぼくのおかしなおかしなステッキ生活』の著者、坂崎重盛は、当時の雑誌に掲載されたモボ(モダンボーイ)の風俗画や文人の著作を通して、すてきで不敵なステッキの存在意味を掘り起こしていく。
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【料理・食文化】 味わいの違いを 食べ方の流儀で説く3冊
2014年12月20日号この季節にうってつけの一冊が出版された。『間違いだらけの鍋奉行』がそれ。私は鍋を囲んで楽しむのは大好きだが、鍋を食べるのは苦手でもある。一緒に鍋を囲む人によって、味わい、楽しさが全く違ってきてしまうからである。本書に「鍋を囲む心得」があり、「最も大切なのは『人選』である」とある。
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【酒・酒文化】 日本のウイスキーの原点 鳥井信治郎と竹鶴政孝を読む
2014年12月13日号テレビドラマの影響か、ウイスキー関連書籍の刊行・復刊が相次いでいる。『美酒一代』は、日本初の本格ウイスキー造りに挑戦した、サントリー創業者の鳥井信治郎を描いた本だ。ブレンダーとして数多くの製品を世に出しただけでなく、日本独自の洋酒文化を築いた。初版は1966年だが、当時の視点がウイスキー黎明期の苦闘を際立たせている。数多くのエピソードを通じて描かれる信治郎像には、興味が尽きない。
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【ミステリー】 途方もない謎の行方は? 故・連城三紀彦の“怪作”
2014年12月6日号連城三紀彦の遺作『女王』からいく。冒頭は精神科医・瓜木の元を訪れた荻原史郎が、東京大空襲の記憶を自分が持っているのはなぜか、と尋ねる場面である。史郎は戦後生まれなので、東京大空襲に遭遇しているわけがない。さらに関東大震災の記憶まであるというのだ。だから、私は何歳なのでしょうか、と瓜木に質問する。
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【映画(DVD)】 死に直面した患者を救う 未承認薬クラブは悪か?
2014年11月29日号まだ何の薬もなく、偏見が横行していた1985年、一人の自堕落な生活をしていたカウボーイがエイズと診断された。間違いなく死に向かって一直線、と思われたが、メキシコに渡って特効薬といわれる薬を手にする。もちろん未承認薬だから販売は禁止。ところが彼は会員制にして会費は取るが薬は無料配布、という手を考え出した。それが題名になっている『ダラス・バイヤーズ・クラブ』。案の定、政府・製薬会社が違法として襲い掛かる。彼は断固として戦うのだが……。
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【科学読み物】 歴史から最先端の領域まで 異常気象の背景を知る3冊
2014年11月22日号今年の日本の空模様に照らすと『首都水没』というタイトルがにわかに現実味を帯びてくる。8月に広島市の住宅地に土砂崩れをもたらした規模の集中豪雨が関東で発生し、利根川や荒川が氾濫すると、浸水で6300人もの死者が出かねない。国の中央防災会議による推計だ。こうした洪水が地下鉄に流れ込んだ場合には、東京駅をはじめ90駅前後が水没して首都機能は停止する。現在進行中の地球温暖化から明治や大正の水害にまで視野を広げ、洪水の危険に警鐘を鳴らす内容だ。
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【子育て・教育】 わが子は今が一番かわいい時 関わり方を振り返ってみよう
2014年11月15日号本誌の読者の中には、子育てよりも仕事が面白くてたまらないというビジネス優先パパもけっこういるのでは? そんな人も、子どもたちのつぶやきが満載の『ほぉ…、ここが ちきゅうの ほいくえんか。』を読めば、「子どももかなり面白いんだ」と気付くはず。
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【音楽・演劇・演芸】 ジャズはどこへ行く? 時代とともに変わる聴き方
2014年11月8日号「ジャズとは何か」という問いに明確に答えるのは難しい。現在のジャズを、「聴く側」から「燃えるジャズ」「燃えないジャズ」、そして「ジャズと呼びたい人は呼んでもいいが、それ以前にあえてジャズと呼ぶ必要性を感じさせない」という意味での「分別不可ジャズ」の3種類にシンプルに分別する『現代ジャズ解体新書』が興味深かった。
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【医療・健康】 薬大好き日本人必読! 危ない薬の飲み方
2014年11月1日号日本人の薬好きは世界的にあまりに有名。それだけ好きなら、さぞかし世界の模範となる飲み方をしていると思うのだが、そうではない。『よくわかる薬の危ない飲み方、飲み合わせ』には、危ない飲み方が数多く指摘されている。
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【旅行・乗り物】 読んでも見ても楽しめる 東海道新幹線開業50周年
2014年10月25日号東海道新幹線が、この10月で開業50周年を迎えた。これを祝って、さまざまな新幹線をネタにした出版物がちまたにあふれていて、書棚を眺めるだけでも壮観である。その中で、第一にご紹介したいのが『東海道新幹線50年の軌跡』だ。まず、0系からN700系に至る歴代車両のイラストを並べた表紙に引かれてしまうが、もちろん本文も充実している。
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【映画(DVD)】 ハイスクールの化学教師が マイホーム主義の麻薬王に
2014年10月18日号『大統領の執事の涙』。執事ものという特別なジャンルが外国の映画にはあって、必ず名優が演じることになっている。米国大統領に仕える黒人執事を演じるのは、天才サックス奏者チャーリー・パーカーを演じては残された録音にピッタリ合う楽器演奏で驚かせ、アフリカの独裁者アミンを演じてはソックリの容姿で驚かせたフォレスト・ウィテカー。挙止動作は完璧。代々の大統領は皆名優たちのゲスト出演(先頃亡くなったロビン・ウィリアムズがアイゼンハワー)。彼の親は奴隷だった。そこから今日までの黒人の地位向上も、闘争の歴史も学べる。
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【スポーツ・ホビー】 目指す頂は過去の中にある 登山が呼び起こす心理
2014年10月11日号近頃の山ブームは、どうやら本物らしい。仕事場の近所にも、いつの間にかアウトドア系のショップができたし、テレビでも登山やトレッキングの番組がたくさん放送されている。ただ、登山中の心理や山での人間関係を語るものは少ない。