記事一覧:Book Reviews 目利きのお気に入り419

  • 瞑想の技法、人工知能最前線高まる心や脳への関心度

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    瞑想の技法、人工知能最前線 高まる心や脳への関心度

    2015年8月1日号  

    シリコンバレーでは「瞑想」が、ビジネスマン必須のエクササイズ。と言ったら、「ヒッピーの戯言か」と思われるかもしれません。しかし、グーグルやインテルなどは研修に取り入れ、「心の知能」を伸ばす科学的メソッドと認められています。アップルのスティーブ・ジョブズが瞑想を好んだのはよく知られています。最近ではハフィントン・ポストのアリアナ・ハフィントンも有名。禅の瞑想の技法を、末期がん患者の痛みをコントロールするためのプログラムに応用し、ここから瞑想によるメソッドが確立されました。

  • 大荒れだからこそ伸びる投資術データに基づく教育トリビア

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    大荒れだからこそ伸びる投資術 データに基づく教育トリビア

    2015年7月25日号  

    ギリシャ問題や中国株式の下落で市場は揺れていますが、「こんなときだからこそ」なのか、着実に売れ行きを伸ばしているのが『ほったらかし投資術』。2010年に最初の版が刊行され、これも途切れなく売れ続けてきましたが、投資信託がテーマなので全面改訂。前著と同じく、投資家の水瀬さんが信託報酬や売買手数料などを考慮したETFをはじめとする個別投信の運用策を紹介し、それを山崎さんが理論的に解説する構成。今回、特に興味深いのが投信の「売り方」についての説明を加えたこと。類書にはない特徴で、長期投資を基本としながらも、定額ではなく定率での売却手法など、資産の息を長くするための手法を紹介しています。

  • 合点がいった中国人の爆買い理解できた悲惨体験と拒否感

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    合点がいった中国人の爆買い 理解できた悲惨体験と拒否感

    2015年7月18日号  

    前任地の有楽町店には、銀座が近いこともあり多くの中国人観光客が訪れていました。さすがに本を買う人は少ないのですが、カラフルなサインペンを数十本とまさに“爆買い”。身近にも、世にいうトレンドが確実にあるのだ、と感じていたところに出たのが『「爆買い」中国人に売る方法』。

  • 大人たちも戒めとすべき中高生向けガイド書の深み

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    大人たちも戒めとすべき 中高生向けガイド書の深み

    2015年7月11日号  

    中高生など若い世代を対象にしているのに、大人にこそ読み、学んでほしい著作があります。「これは深い!!」とうなったのが、『10代からの情報キャッチボール入門』。大人たちの上っ面な納得気分を吹き飛ばします。ジャーナリストである著者について、ある地方議員がブログに感想をつづります。しかし、そこには著者が社会事件に関わっていたかのような誤報が書き込まれていました。著者は、誤報がどのようにネットで拡散したかを丹念に調べる一方、そこから浮かび上がるネット時代のパーソナルメディアが抱えるリスクを分かりやすく解説します。

  • 人の心の奥深くに触れる書他者を受け入れ、生かす力

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    人の心の奥深くに触れる書 他者を受け入れ、生かす力

    2015年7月4日号  

    「人の心の深層とはどのようなものなのか」。そんなのめり込みをもたらす著作に、まさにのめり込んでしまいました。まず、『断片的なものの社会学』。著者は被差別部落などマイノリティ研究の社会学者。とはいっても本書は学術書ではなく、名もない学問の対象にすらならない人の人生を引き取って書き留めたエッセー集。

  • 仕事を見つめ直す「片づけ」無印の進化するマニュアル

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    仕事を見つめ直す「片づけ」 無印の進化するマニュアル

    2015年6月27日号  

    天狼院書店を開店して1年9カ月。今後を見据えれば経営、特に人材マネジメントの大切さを痛感します。当然、目が向く本も決まるのですが、『人生の99%は思い込み』は、人についてこういう見方もあるのかと衝撃的でした。「人生は思い込みの結果である」。心理学者である著者は、人生は、刷り込まれた思い込みで決まっていると喝破します。「平凡な人生を歩むのが私の運命だ」「夢を叶えたいのに、叶いそうになると逃げ腰になる」等々。宮城の山奥の農民の子である私は、「決して偉くなれない」と刷り込まれています。ここからいかに抜け出すか。著者が示す“治療法”は試してみる価値があります。

  • もう一度勉強をし直したい魅力ある販売現場を育てる秘訣

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    もう一度勉強をし直したい 魅力ある販売現場を育てる秘訣

    2015年6月20日号  

    私事ながら、前任地は恵比寿三越店で、“大家さん”である三越伊勢丹の店舗運営には衝撃を受けました。接客態度、言葉遣い、商品展示の手法など、どれもが「もう一度勉強したい」と思うほど。何よりも、売り場を、お客さまの立場で「お買い場」と呼ぶ仕事への姿勢こそが、優れた販売現場を育てています。

  • 買いたくなる心理の教科書ひっそりと売りたい素敵な本

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    買いたくなる心理の教科書 ひっそりと売りたい素敵な本

    2015年6月13日号  

    この内容を学術的かつ難解にすれば「消費者心理学」の教科書なのでしょうが、コラム風の文章が楽しいのが『買う5秒前』。商品を買う買わないと決める、まさに5秒前の心理の正体を明かします。6カテゴリー、62の豊富な事例がイラスト付きで解説されています。例えば、懐かしい雰囲気が好きで古い物を大事にする「昔ながらに弱いワタシ」は、やはりこんな物を買ってしまう。「木のぬくもりに弱い」「歳時記を大事にしたい」「下積みに惹かれる」等々のワタシでは、一体何が引き金になっているのか。楽しく「やられたぁ~」と感じさせてくれる好著です。

  • 世の「嫌な感じ」を説き明かし社会の病理に警鐘を鳴らす

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    世の「嫌な感じ」を説き明かし 社会の病理に警鐘を鳴らす

    2015年6月6日号  

    世の中が、なんとも言えぬ「嫌な感じ」に覆われている──。そんな気色悪さを感じている方も多いのではないでしょうか。それに応えてくれるような刺激的な著作が相次いでいます。まず『紋切型社会』。若い新しい批評家の登場です。著者は、会話や広告キャッチコピー、政治家のスローガンなどに登場する「全米が泣いた!」「国益を損なう」など20の紋切型の言葉と、言葉が使われる背景にある現代の諸相を説き明かします。

  • 当たり前が創造につながるビジネスの実践ガイド書

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    当たり前が創造につながる ビジネスの実践ガイド書

    2015年5月30日号  

    『メンバーの才能を開花させる技法』は、三省堂の渡邉さんに続きダブりを承知で私もお薦めしたい好著です。原著は5年前の刊行。やっと邦訳の登場ですが、5年前とは思えない新鮮さ、言葉を換えれば日本のリーダー論が遅れている事実を痛感せざるを得ません。

  • 経営リーダーの引き継ぎ書増幅型リーダーの実践技法

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    経営リーダーの引き継ぎ書 増幅型リーダーの実践技法

    2015年5月23日号  

    ディー・エヌ・エー(DeNA)の創業者・南場智子氏によるヒット著作『不格好経営』が“表”であるとするならば、『黒子の流儀』は“舞台裏”の著作。著者は、横浜DeNAベイスターズオーナーを退任したのに続き、6月にはDeNA会長も退任しますが、あたかも「引き継ぎ書」をまとめるかのように、プロ野球参入や「モバゲー」をめぐる公正取引委員会との攻防などを記しています。

  • 人事の確執と非情が明かすニッポン電機 凋落の底流

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    人事の確執と非情が明かす ニッポン電機 凋落の底流

    2015年5月16日号  

    電機業界の凋落の底流を、「人事」に見た著作が、欠品になるほどの勢いで売れています。まず『ドキュメント パナソニック人事抗争史』。多くの役員OBたちへの取材を通じ、パナソニック(むしろ松下電器と言うべき)の凋落は、創業者・松下幸之助と娘婿である松下正治の確執に起因していると言います。

  • プロに学ぶ敬語の使い分け一年生のためのよく効く本

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    プロに学ぶ敬語の使い分け 一年生のためのよく効く本

    2015年5月2日号  

    「分かっていないなぁ」と思うのか、この時期、真新しいスーツ姿で敬語遣いの書籍を求められるお客さまが増えます。国語学的や決め付け型の解説本が多い敬語本の中で、『接客・商談の一流プロに学ぶ! お客様の心を動かす敬語と話し方』は、画期的ともいえる敬語本です。

  • 海外消費者の心をつかむ日本のお菓子・感性の本領

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    海外消費者の心をつかむ 日本のお菓子・感性の本領

    2015年4月25日号  

    『なぜ日本は〈メディアミックスする国〉なのか』は、キャラクターを軸とする日本のメディアミックスの構造に挑んだ意欲作です。著者によれば米国にも「トランスメディア」というメディアミックスがありますが、ストーリー(物語)が軸であり、その連続性と拡張性が問われます。一方日本では、キャラクターは独自に存在し、物語の連続性は問われず、玩具や文房具などのメディアに拡散していきます。源は鉄腕アトム。静止画を多用した「電子紙芝居」として構成するアニメ手法で、キャラクターにはさまざまな「物(もの)の怪(け)」が宿る。メディアミックスはそんな日本人の感性に反応する表現形式なのだ、と感じました。

  • ネット社会黎明期の興奮来るべき新しい時代の姿

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    ネット社会黎明期の興奮 来るべき新しい時代の姿

    2015年4月18日号  

    この4月で、NTTが発足し、通信自由化の扉が開いて30年だとか。それはインターネット社会の黎明と成熟の時期でもありました。絶妙なタイミングで放たれた『日本インターネット書紀』の著者は、1993年に国内で初めてネット接続サービスを提供したIIJの創業者。根強い規制が残る中で通信大手との闘いや合従連衡、経営者としての苦悩、そこを生き抜いてきた者だけが語るネットの未来像。450ページを超える大部は、幕末の維新伝を読むような興奮に満ち、時代資料としても一級品です。ネットが当たり前のデジタルネイティブにこそ手にしてほしい。大和国の創世記物語である『日本書紀』とネット社会誕生を重ねた書名に、著者の思い入れと自負がにじみます。

  • 何を始めるにも今が一番若い名編集者の熱くて濃い言葉

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    何を始めるにも今が一番若い 名編集者の熱くて濃い言葉

    2015年4月11日号  

    春は出立の季節。旅立つ者の背中を押してくれる本がそろいました。まずは、幻冬舎社長である見城徹さんの『たった一人の熱狂』。 「できるかできないかではなく、やるかやらないかだ」「現状維持をしている限り昨日と違う明日はやってこない」「恋愛が下手な奴は仕事ができない。なぜなら他者に対する想像力がないからだ」等々。とにかく熱く、濃い。あるサイトで、投稿者の質問に答えた51のメッセージが並びます。

  • 新しい職場ではまず貢献しろ宇宙で学ぶ地球で大切なこと

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    新しい職場ではまず貢献しろ 宇宙で学ぶ地球で大切なこと

    2015年4月4日号  

    あまたある仕事の中で、世界で最も難関なのが宇宙飛行士。それに挑み、3度のミッションと船長も務めた著者によるノンフィクションが『宇宙飛行士が教える地球の歩き方』。子どものときの決意、宇宙を目指すためのパイロットへの挑戦、宇宙飛行士としての訓練とミッション。同僚が宇宙遊泳中にトイレの修理に追われていたこと、帰還飛行での通信不能事態の発生など逸話を交え、「経験と教訓」というパターンで語ります。「新しい職場ではゼロになり、まず貢献しろ」等々、宇宙で学んだのは地球で最も大切なことばかり。原題の『An Astronaut's Guide to Life on Earth』が本書の趣旨を明快に示し、“究極の自己啓発本”といえましょうか。面白い。

  • 資料を“機能”させるトヨタ式まとめる技術

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    資料を“機能”させる トヨタ式まとめる技術

    2015年3月28日号  

    「大切なことほど簡潔に」とはいわれますが、そう簡単ではありません。揚げ句、「君の説明はくどいね」と嫌みを言われる始末。でも『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』を手にして、私にもできるかも、と胸躍りました。

  • 他を圧倒する現場感で明かす「イスラム国」誕生の裏事情

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    他を圧倒する現場感で明かす 「イスラム国」誕生の裏事情

    2015年3月21日号  

    日本人殺害という悲惨な結末もあり多くの類書が刊行されましたが、『イスラム国とは何か』には、他を圧倒する“現場感”があります。それもそのはずで、著者は3度も通称「イスラム国」(ISIL)への潜入取材に成功し、指導者たちにも接触した経験を持っているのです。

  • 小林君はなぜ優勝できた?常識を覆す「0ベース思考」

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    小林君はなぜ優勝できた? 常識を覆す「0ベース思考」

    2015年3月14日号  

    ちょっとクイズめくのですが。「論理的」とか「ビジネスの」などときたら、どんな書名を思い浮かべますか。正解は、「思考法」。思考法の著作は多く、面白いものも多いのですが、『0ベース思考』は、ちょっと飛んでいます。普通の思考法本は、「こうあるべき」「前向き」がキーワードですが、本書は、「常識や既存の関心事にとらわれたら何もできない」と訴えます。「決断時には、コインを投げて判断しろ」と提案すると、意外と参加する人が多かったり。

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記者の目

  • 副編集長 千本木啓文

    農協から届いた「抗議文」を読んで、しばし感傷に浸る

     JA全中から毎年、抗議文をもらうのですが、今年は雑誌の発売前に届きました。特集の一部を「組合長165人が“辛口”評価 JA上部団体の通信簿」としてダイヤモンド・オンラインで先に配信したからです。
     抗議文は、「19万人の農協役職員の0.2%の意見で記事が構成されており、(中略)偏った先入観を植え付ける意図があった」として、続編の配信中止を求める内容でした。
     組合長ら幹部200人超を含む役職員434人の声には傾聴する価値があるはずです。抗議文を読み、自分は若いと思い込んでいる人が鏡に映った老いた姿を見て、こんなはずはないと怒っているような印象を持ちました。自戒を込めて、鏡のせいにしてはいけないと思いました。

  • 編集長 浅島亮子

    ロングセラー第9弾でも攻め続ける農業特集

     今年も人気企画「儲かる農業」特集の第9弾が刷り上がりました。身内ながら感心するのが、毎年新しいコンテンツを加えて特集構成を刷新していることです。今回の新ネタは農協役職員アンケート。ロングセラー企画の定番を変えるには勇気が必要ですが、果敢に新機軸を打ち出しているのです。
     昨年、千本木デスク率いる農協問題取材チームは、共済の自爆営業などJAグループの不正を暴いたことが評価され、報道実務家フォーラム「調査報道大賞」優秀賞を受賞しました。訴訟に屈することなく、問題の本質を突く取材活動を貫いた結果と受け止めています。今回の特集でも粘り強い取材は健在。取材チームの熱量を存分に感じていただければ幸いです。

最新号の案内2024年5月11日号

表紙

特集儲かる農業2024

いよいよ儲かる農業が実現するフェーズに入った。「台頭する豪農」と「欧米のテクノロジー」と「陰の仕掛け人」が”令和の農業維新”というムーブメントを起こしている。他方、農業を牛耳ってきた旧来勢力である農協と農水省は、存在意義を問われる”緊急事態…

特集2家計・住宅ローン・株が激変! 金利ある世界

日本銀行が17年ぶりの利上げで金融政策の正常化に踏み出した。”金利ゼロ”に慣れ切った家計や企業経営、財政はどうなるのか。日本は「成長期待が持てない経済」から抜け出せるのか。それとも低金利は続き、物や資本が余った経済への道を歩むのか。「金利あ…