元気なうちに
聞いておきたい親の本音 

〝介護は金次第〟の部分もある。介護にかけられるお金によって、利用できる介護サービスも変わってくるからだ。例えば、有料老人ホームへ入居するなら、最低でも1カ月に20万円は必要だ。

 親に「貯金はいくらあるの」と露骨に聞けば、嫌がるに決まっている。「遺産を狙ってるの?」と思われるかもしれない。

 介護の話をしている中で、「あそこに豪華な老人ホームがあるけど、1カ月に30万円かかるんだって」「会社の先輩は親の介護にお金がかかって大変みたい」などと話せば、「ちゃんと貯金してあるから、それくらいは大丈夫だよ」あるいは「とてもじゃないけど、払えない」などという答えが返ってくるだろう。

 介護に対する親の考えを聞いておくのも大切だ。介護を始めるとき、家族で集まって介護の方針や役割分担を決める際に役に立つ。

 介護施設や介護事業者を探すときにも本人の意思を尊重できる。介護事業者に対して、「本人がこのような介護を望んでいたから」と説明すれば、期待に応えようとするだろう。

  親の希望は、できるだけ具体的に聞いておいたほうがいい。

「なるべく紙オムツは使いたくない」「寝たきりになっても、お風呂は週2回以上入りたい」「車いすの生活になっても、月に1回は墓参りをしたい」「絶対に介護施設には入りたくない」など、何かしら本人の人生観や生活習慣につながる要望があるはずである。

 将来、脳卒中などで、突然寝たきり状態になってしまえば、意思疎通ができなくなることもある。

 突然介護が始まって、家族の都合だけで勝手に介護の内容を決めるより、可能な限り本人が希望していたことを反映させたいものだ。