「めっきり老けたなあ」──。久しぶりに会った親を見て、そう感じたことはないだろうか。
今度の年末年始に帰郷して、実家で親と正月を過ごす人も少なくないだろう。
あなたの親が70代半ばを過ぎているなら、以前に比べて、何か変わったことがないか、じっくり観察してみることをお勧めする。
例えば、買い物や食事に出かけたとき。歩く速度や動作が遅くなっていないか。ちょっとした段差でつまずいて、よろけたりしていないか。以前より明らかに食が細くなっていないか。
一緒にいる間、図0-1の観点から親を見て、かなりの項目にチェックがつくなら、そろそろ介護の心配をしたほうがよいかもしれない。
突然の介護は悲惨だ。
「誰が介護するのか、誰がお金を出すのか……」
兄弟姉妹が離れて暮らしていれば、親の介護をめぐって必ずもめ事が起きる。親の介護に想定以上のお金と時間がかかれば、自らの生活が崩壊してしまう可能性もあるのだ。
妻に親の介護を押しつけた結果、夫婦仲が険悪となり、離婚に至るケースさえある。
めったに実家に帰らない人なら、正月など親族が集まる機会に介護の話をしておきたい。とはいえ、親が元気なうちに介護の話をするのは、案外難しいものである。
「介護の話をした途端に不機嫌となった」「親子でけんかになってしまった」という話は尽きない。なかなか〝老い〟という現実が直視できないものなのである。
なるべく自然に話をするように、話題を持っていくしかない。
実家の近所や職場を見回せば、介護を経験した人が必ずいるだろう。「近所の○○さんは、最近、介護施設に入ったんだね」「職場の先輩のお母さんが突然、介護が必要になって大変みたいだ。うちも早めに考えておいたほうがいいよね」などと話せば、耳を傾けてくれるだろう。