記事一覧:櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽370件
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
相模原の障害者施設殺害事件が突き付けた 安易に匿名報道に走るメディアの問題
2016年8月13日号どこまで皆で情報を共有できるか──。この点が民主主義の基本であり、比類なく大事な価値観である。その上で、メディアは情報をどう扱うべきかという問題がある。特定の情報を公開するのか否かを含めて、情報の扱い方はその社会、あるいは国家の成熟度と知性の程を示す。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
南シナ海問題で国際法無視の中国 対抗策は国連総会における総会決議
2016年8月6日号いま、中国にどう向き合うべきか。その要点は、中国はいまの国際社会には受け入れられない「異形の大国」であることを彼らに認識させることだ。七月一二日のオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所の裁定が中国の主張を全面的に否定した後、一貫して中国は強硬姿勢を強めている。七月二五日の東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議の共同声明では南シナ海裁定については全く触れられなかった。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
裁定直後はフィリピンをどう喝 軍事的色彩強め立ちふさがる中国
2016年7月30日号フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、七月一九日、南シナ海問題で中国とは交渉しないと、マニラを訪れた米国議員団に語った。南シナ海のほぼ全域が自国の領有だとする中国に対して、ドゥテルテ大統領はオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所がどのような裁定を下しても、話し合いで臨むと明言してきた。氏は、大統領選挙のキャンペーンで、「中国が貧しいフィリピンの鉄道建設に資金提供するなら、南シナ海問題について口を閉ざしてもよい」とまで語った人物だ。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
南シナ海問題で完敗でも拒否する中国 常軌を逸した習近平体制の暴走
2016年7月23日号国際法を守る陣営と、守らない陣営との対立が、際立つ形で浮上した。二〇一六年七月一二日、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が、南シナ海における中国の主張や行動は国連海洋法条約に違反するとしてフィリピン政府が訴えた件に関して、中国が南シナ海に独自に設定した境界線「九段線」には法的根拠がないとの判断を示した。裁定は確定的で上訴は許されない。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
米でも絶賛の中国の要人が豹変 国家間で求められる国益の視点
2016年7月16日号中国の要人に戴秉国(たい・へいこく)という人物がいる。胡錦濤前政権の外交トップを務めた実力者である。彼の前では外務大臣の王毅氏など、小僧っ子のような存在である。米国をはじめとする世界が戴氏をどれほど重視していたかは、ヒラリー・クリントン氏が二〇一四年に出版した回顧録『Hard Choices(困難な選択)』からも見えてくる。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
英国のEU離脱で深まる自国第一主義 西側民主主義の限界に自信深める中国
2016年7月9日号日本を含む西側諸国は、自由と民主主義こそが大事であり、中国にはそれが欠けているとして、中国を批判してきた。だが、六月二三日の英国の国民投票の結果を見て、中国は、西側の民主主義とはこんなものかと、自信を深めているだろう。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
18歳以上に選挙権の参議院選挙 重要争点は中国との付き合い方
2016年7月2日号初めて一八~一九歳の人たちも投票できる参議院議員選挙が始まった。私はどんな一八歳だっただろうか。夢はたくさんあったが、世界や政治のことなど何も分かっていなかった。けれども、いま、一八歳以上の人々は国の在り方を決める権利と責任を与えられた。そのことに正面から向き合ってほしい。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
中国海軍の軍艦が領海侵犯 海上保安庁、自衛隊の増強が急務
2016年6月25日号中国が挑発的かつ活発に動いている。六月一五日午前三時半ごろ、中国海軍の情報収集艦一隻が鹿児島県口永良部(くちのえらぶ)島西方のわが国領海に侵入した。中国海軍の軍艦による領海侵犯は一二年ぶり、二度目である。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
孤立主義・排外主義が渦巻く米国 どちらが勝っても必要な日本の自助努力
2016年6月18日号米大統領選でヒラリー・クリントン氏が民主党候補に指名されることが確実になった。彼女はガラスの天井を打ち破れるか。初の女性候補として、共和党のドナルド・トランプ氏と大統領の座を争う彼女への期待も大きいが、クリントン氏にはメール問題など不確定要素があり、結果は予測しにくい。現在、世論調査は微妙な差でクリントン氏有利を伝えており、私は日本の国益上、クリントン氏に勝ってほしいと考えている。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
オバマ大統領の広島訪問で考えた 指導者の「言葉」と「行動」のギャップ
2016年6月11日号五月二七日、オバマ米大統領の広島訪問のテレビ中継に見入ってしまった。大統領が被爆者の森重昭さんを原爆慰霊碑の前で抱き寄せた姿には、誰しも感動したことだろう。原爆を投下した国とされた国、その二つの国の思いを背負った二人の人物が、七一年後に思わず知らず、歩み寄り、抱き合った。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
オバマがサミット前に沖縄の事件に言及 増幅する怒りの中で求められる冷静さ
2016年6月4日号伊勢志摩サミットに先立って行われた五月二五日夜の日米首脳会談では、「少人数会合の全ての時間を沖縄県の事件に割いた」と、安倍晋三首相が危機感を表明した。その後に行った共同記者会見は夜半近くまで続いた。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
自衛隊派遣に反対しながら護衛してもらう ピースボートに見る“矛盾”に満ちた主張
2016年5月28日号五月一八日の「産経新聞」五面に掲載された写真を見て、つい書く気になった。その写真とはアフリカ・ソマリア沖で海賊対策に従事している海上自衛隊に護衛されて航行する「ピースボート」(以下PB、民間の国際交流団体)の旅客船の写真だった。白い船体にくっきりと「PEACE BOAT」の文字が浮かび、手前には海自「ゆうぎり」の灰色の船体が写っている。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
弱体化が進む金正恩体制 拉致問題交渉の機会を見逃すな
2016年5月21日号三六年ぶりの北朝鮮労働党大会から読み取れるのは北の四面楚歌である。北朝鮮側が招待状を出さなかったとはいえ、北朝鮮を守り続けてきた中国は参加しなかった。両国の事実上の没交渉に加えて、金正恩氏の人事からは中国への強い敵愾心が読み取れる。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
現行憲法擁護派への痛烈な批判である 百田氏の著書を読み現実を見る力を
2016年5月14日号百田尚樹氏の『カエルの楽園』(新潮社)が面白い。百田氏は本書に先駆けて発表した「世界は変わった 日本の憲法は?」と題するDVD制作の総指揮を執った。米国の占領下で日本国憲法が作られた過程、そこから生じた問題を四〇分弱にまとめたものだ。制作に多少関わった私に、昨年夏、百田氏が秘密を打ち明けた。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
沖縄の海に広がる珊瑚のがん 海中から見えてくる日本の病
2016年4月30日号手元に圧倒的な迫力で迫ってくる写真集がある。『遙かなるグルクン』(NATIONAL GEOGRAPHIC)、中村征夫氏の作品だ。氏は長年、東京湾を撮り続けるとともに、日本のみならず世界の海の写真を撮ってきた。主な受賞歴に木村伊兵衛写真賞、講談社出版文化賞写真賞、土門拳賞などがある。水中写真の第一人者である。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
どの候補も評価できない米大統領選 メディアの攻撃で人材劣化の米国政治
2016年4月23日号ハワイ大学で私が共に学んだ留学生仲間たちの幾人かはいま米国に住んでいる。さまざまな州に住み、仕事も多岐にわたる。共通点は米国籍を取得し、家族をつくり、米国を愛し、誇りを持って生きていることだ。級友たちは、どちらかといえば民主党支持者の方が共和党支持者よりも多い。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
司法判断が割れた原発の安全性 重視すべきは専門家尊重の最高裁判断
2016年4月16日号四月六日、九州電力川内原子力発電所一、二号機の運転差し止めを求めた周辺住民の仮処分申し立てを、福岡高裁宮崎支部の西川知一郎裁判長が棄却した。約ひと月前の三月九日、福井県の関西電力高浜原発三、四号機に運転差し止めの仮処分決定を下した滋賀県大津地裁とは正反対の判断を示した。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
中国の脅威に晒されている沖縄で静かに高まる自衛隊配備への賛成論
2016年4月9日号あらゆる意味で中国の脅威に最も晒されているのは沖縄県であろう。尖閣諸島の海域には武装した中国公船のみならず、軍艦もが出没する。東シナ海の領有権について一歩も引かない中国から沖縄県民と領土領海を守るにはどうすべきなのか。この点について、「琉球新報」など沖縄メディアは別にして、沖縄県民はいま目覚め始めているのではないか。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
イスラム国への核兵器使用に言及する トランプ氏を生み出した米国の変貌
2016年4月2日号ドナルド・トランプ氏の勢いと暴言はどこまで続くのか。三月二三日、氏はイスラム国(IS)への戦術核兵器の使用に関して「どんな可能性も排除しない」と驚くべきことを語った。
-
櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
米国を根本から変える意味合い持つ最高裁判事後任問題の混迷
2016年3月26日号三月一五日の米大統領選の予備選で、共和党のマルコ・ルビオ氏が撤退した。氏は共和党のいわゆる良識派の期待を担っていた。しかし、自身の地元のフロリダ州でドナルド・トランプ氏に大きく水をあけられて、撤退が決定的になった。