記事一覧:櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽370件
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櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
原油価格急落で窮地のロシアを 他山の石にすべき日本の現状
2014年12月27日号ロシアのプーチン大統領が深刻な苦境に陥り、経済に構造的問題を抱える国の弱さが露呈された。そのことはしかし、膨大な財政赤字でもなお、経済の構造改革に抵抗し、岩盤規制を打ち破れない日本にとって、他山の石でもある。
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強過ぎれば抑えにかかるのか 振り払えない米国への疑惑
2014年12月20日号タカタ製のエアバッグ問題が全世界に広がりつつある。作動時に破裂して金属片をまき散らす問題でタカタの対応を見るにつけ、約三年前にトヨタ自動車がどれだけひどい目に遭ったかを思い出してしまう。私はこの問題を直接取材したわけではなかったが、「ニューヨーク・タイムズ」や「ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)」などの報道を見て、なぜトヨタが最終的に捜査当局に一二億ドル(一ドル一〇〇円換算で一二〇〇億円)、集団訴訟で一一億ドル(一一〇〇億円)、合計二三〇〇億円もの大金を支払わなければならないのか、全く理解できなかった。
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権益守るためなら領土も奪う! 不遜な姿勢を打ち出す中国の脅威
2014年12月13日号国際社会がとんでもない世の中になりそうだ。中国がこれまでの世界のルールを自分たちの考えで変えてしまうと、事実上、宣言したのである。世界の制度や規制は中国がつくるという不遜な姿勢が打ち出されたのは一一月二八、二九の両日、北京で開催された中央外事工作会議でのことだった。習近平国家主席が常務委員会(日本の内閣に相当)全員と党や軍の幹部を前に中国の対外政策について演説し、「国際社会の制度改革を進め、わが国の発言力を強める」「中国は近隣外交を平和、誠実、相互利益、包容に基づいて行うが、自国の正当な権利、国益で譲ることはない」「核心的利益は強い覚悟で守っていく」などと語った。
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公約で時計の針を逆回し 責任感なき海江田民主党
2014年12月6日号一二月一四日投開票の衆議院議員選挙に向けて、各党の公約が発表された。民主党の公約を読んで、同党再生は、はるか、道遠しだと実感した。民主党が政権を握った三年余の間、鳩山由紀夫、菅直人両首相はどの世界でも通用しない非常識な政治を行った。両氏の考え方は世界で退潮する左派陣営の空想的なリベラリズムの最たるものだった。彼らの安全保障およびエネルギー政策の欠陥はいまも、多くの負の影響を日本社会に残している。
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民意の成長が果たせなかった沖縄県知事選現職敗北の“失望”
2014年11月29日号沖縄県知事選挙は自民党支持の現職、仲井眞弘多氏が対立候補の翁長雄志氏に一〇万票の大差で敗北した。私は今回の知事選にとりわけ注目していた。なぜなら、沖縄で今回の仲井眞氏ほど鮮明に基地問題を真正面に掲げて前向きに闘った候補者はかつていなかったと思うからだ。仲井眞氏が勝利すれば、それは沖縄の民意の成長の証しであり、そこから新しい可能性が生まれると感じていた。
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貿易ルール作りで前のめり 大国の座狙う中国の野望
2014年11月22日号戦略的指導者と戦略なき指導者の勝負では、必ず前者が勝つ。北京で行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)での米中首脳会談が鮮やかな事例だった。一一月四日の中間選挙で共和党に惨敗したオバマ大統領は決断できない大統領としてすでに死に体だといわれる。大統領が世界観を欠落させているため米国の対外政策もことごとく、後手に回ってきた。
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深い教養と残虐さを持つ中国人 対中外交で押さえるべき基本
2014年11月15日号東京工業大学教授の劉岸偉氏の『周作人伝 ある知日派文人の精神史』(ミネルヴァ書房)は、過去も現在も、中国に素晴らしい教養人が存在することを教えてくれる。作品を読めば、魯迅の実弟で、兄の後を追って日本に留学した周作人も劉氏も、並の日本人よりもなお深く日本を理解する「真の親日派」であることが分かる。
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平壌に行っても進展なしの拉致問題 足りない外務省の「断固たる姿勢」
2014年11月8日号北朝鮮による拉致被害者の調査は事実上進展がなく、遺骨や日本人妻の調査は進んでいるというのが、彼らが日本政府に伝えた内容のようだ。予想通りの結果だった。当初九月上旬には日本政府に報告されるはずだったが、調査が進展していない、調査状況を説明するから平壌に来るようにと言われ、一〇月二七~二九日の日程で政府調査団が赴いた。
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力で南シナ海を支配する中国 集団的自衛権行使で国防強化を
2014年11月1日号国際紛争に関わるのは最大限避けたいというオバマ米大統領の姿勢が顕著になるにつれ、力による国際秩序の現状変更が加速されている。ロシアのクリミア半島併合は無論、南シナ海の中国支配は取り返しのつかない次元に近づいている。
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「産経」vs「朴政権」の本質は 日本vs朝鮮半島プラス中国
2014年10月25日号一〇月九日、産経新聞前ソウル支局長、加藤達也氏はソウル中央地検によって在宅起訴され、一五日には出国禁止措置がさらに三カ月間延長された。この明らかな言論弾圧に、日本政府は「民主国家としてあるまじき行為」と強く非難した。
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言論弾圧の脅迫には強く抗議でも許されない朝日と元記者の責任逃れ
2014年10月18日号「朝日新聞」が吉田清治氏の主張した慰安婦の強制連行は虚偽だったと認めて以降、多くの動きが生じている。その中で、慰安婦と挺身隊を同一のものとして報道した植村隆元記者の勤務する北星学園大学に、「大学を爆破する」「学生に危害を及ぼす」などの脅迫文が届いたと、大学側が九月三〇日に発表した。
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勤労奉仕団の高齢者を 拒否した宮内庁は再考を
2014年10月11日号一〇月一日、東京の憲政記念館で「美しい日本の憲法をつくる国民の会」(以下、美しい憲法の会)の発足式が行われた。二〇一六年七月をめどに憲法改正を目指す人々の会である。私は代表世話人の一人だが、憲法改正の重要性を説いていく役割の世話人、四三人中一三人、三分の一弱が女性だった。この種の会は硬派の男性が中心軸になりがちだが、美しい憲法の会は、これまでとは異なるのだ。
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「昭和天皇実録」公表で 浮上する政治利用への疑問
2014年10月4日号言論人として自身が目を通していない資料について述べるのは不見識なことだが、それを承知で書いてみたい。九月九日に公表された「昭和天皇実録」である。一万二〇〇〇ページに上る膨大な量だそうだ。これから出版社を選考して来年出版されるとのことだが、新聞社や雑誌社は資料を入手し、それぞれ専門家による評価を掲載した。
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目先のことに振り回され 機能不全に陥る朴政権
2014年9月27日号韓国の司法当局は九月一六日までに「産経新聞」ソウル支局長の加藤達也氏に対する出国禁止措置をまたもや延長した。八月八日に加藤氏にソウル中央地検が出頭を要請し、翌日出国禁止措置が取られて以来、四度目の延長である。
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沖縄統一地方選で見えてきた 県内世論の微妙な変化
2014年9月20日号九月七日、沖縄県統一地方選挙が行われた。注目の名護市議会議員選挙では、普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する革新系市議が定数二七のうち一四議席を占めた。二議席の公明党を加えると反対勢力は計一六、一一にとどまった移設に賛成の保守陣営が敗北した。
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国連から法的責任を問われる前に河野談話の取り消しが最重要課題
2014年9月13日号日本人にとってどうしても理解し難いことの一つが、中国と韓国が反日のために広めるうその数々である。そうした事例が、河野談話に基づいて書かれ国連人権委員会に提出されたクマラスワミ報告書に明記されている。
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得意とする安保担当大臣を 石破氏はなぜ拒否するのか
2014年9月6日号石破茂氏はなぜ、安全保障担当大臣就任の申し出を拒否するのだろうか。安全保障を得意とする政治家にとって、いまは最も働きがいのある時期である。国際社会の雲行きが怪しく、局地的な紛争が戦争として拡大していくやもしれない瀬戸際に、世界はある。この時期に、平和を維持し、周辺国の脅威から国土、国民、日本を守るために日本は何をどのようにすべきか、考えに考えて死力を尽くすのが安全保障を専門とする政治家の存在意義であろう。その意味で、安保相を引き受け、その場で汗をかくことが将来の総理総裁の道にもつながると、私は思う。
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福島第一原発の「吉田証言」で 「朝日」と「産経」が全面対立
2014年8月30日号三・一一で福島第一原子力発電所所長として過酷な現場を指揮した吉田昌郎氏の調書をめぐって、「朝日新聞」と「産経新聞」が正反対の報道をした。「朝日」は五月二〇日、「所長命令に違反 原発撤退」の大見出しで、「所員の9割に当たる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロメートル南の福島第二原発へ撤退していた」と報じ、「産経」は八月一八日、「命令違反の撤退なし」の見出しで朝日を全面否定した。
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慰安婦報道を22年放置した 朝日新聞は廃刊し謝罪すべし
2014年8月23日号八月五、六両日、「朝日新聞」が自社の慰安婦報道を検証し、報道の一部は虚偽だったとして、記事を取り消す旨を発表した。日本軍や政府が女性たちを強制連行したという慰安婦報道のいわば旗振り役だった「朝日」の検証はしかし、極めて不十分で責任逃れの感を否めない。
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櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
どこか焦点がずれている 安倍政権の女性・少子化対策
2014年8月9日号安全保障・外交政策などでは安倍政権を高く評価するが、家族の捉え方、女性の役割の評価の仕方については、疑問を抱く。