記事一覧:櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽370件
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櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
憲法九条の下で無力な国にとどめたい理屈抜きの反日論説に惑わされるな
2015年5月30日号安倍晋三首相が四月末に行った米国上下両院合同会議での演説がどのような反応を引き起こしているか、米国の対日政策を調べている中で、ブルームバーグのジェームス・ギブニー氏の記事に行き当たった。「あしき安倍外交の責任はジョージ・ケナンにあり」という見出しである。
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首脳会談前に領土問題で激突 印中関係に見る本当の外交の姿
2015年5月23日号眼前で進行する世界の外交は、諸国が国益を懸けて激しく戦う実相を見せてくれる。ウクライナからクリミア半島を奪う際、核兵器使用の準備を整えていたとプーチン大統領は語った。同発言は、「武器なき戦い」といわれる外交の背景には、常に軍事力が控えていることを、まるで外交の教科書のように見せてくれた。軍事力が「控えの間」から表に出てくれば、それを私たちは戦争と呼ぶがその手前の外交には、必ずいつも軍事力が付いて回る、外交と軍事は表裏一体ということだ。
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硬軟織り交ぜた戦略を 繰り出す裏で真意を巧妙に隠す 中国のしたたかさ
2015年5月16日号四月末、米国を訪れた安倍晋三首相は日本の国際社会の立ち位置を新たな次元に引き上げた。祖父、岸信介元首相は約六〇年前、「日米新時代」という言葉で日本が米国と対等の立場に立つ気概を示した。
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櫻井よしこ 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽
見事だったバンドン会議の安倍演説 中国ではなく日本に吹く歴史の追い風
2015年5月2日号歴史の追い風を受ける安倍晋三首相は強運の人だ。四月二二日、アジア・アフリカ会議(バンドン会議)で首相が演説した。 「侵略または侵略の脅威、武力行使によって他国の領土保全や政治的独立を許さない」「国際紛争は平和的手段によって解決する」 このくだりはバンドン会議創設時の宣言だが、誰しも中国を思い出したことだろう。
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科学的見地なく 独断と偏見に満ちた 高浜原発運転差し止めの仮処分
2015年4月25日号福井県や大阪府の住民九人が原告となって関西電力高浜原子力発電所三、四号機の運転差し止めを求めた裁判で四月一四日、福井地方裁判所が「債務者(関電)は、(中略)高浜発電所三号機及び四号機の原子炉を運転してはならない」とする仮処分を言い渡した。仮処分は効力が直ちに生じるために、今後の司法手続きで決定が覆らない限り、関電は運転再開ができない。早速、樋口英明裁判長、原島麻由、三宅由子両裁判官による四六ページの「決定」(判決)を読んでみた。
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川崎中学生殺害事件の 実名報道で問われる 少年法の在り方と情報公開
2015年4月18日号今年二月二〇日、川崎市の河川敷で一三歳の上村遼太君が殺害され、一週間後、少年三人が逮捕された。三月一二日付の「週刊新潮」が主犯とされた一八歳の少年の顔写真と実名を報じ、少年法の在り方が問われている。
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喧騒の中で花びらを散らす桜に 静謐を感じる春のひととき
2015年4月11日号その光景にしばし私は見とれてしまった。不思議な光景だった。庭の桜の木から、ハラハラ、ハラハラと花びらが舞い落ちてくる。風もない凪の中で、ただ花びらだけが散り続ける。四方に広がる枝々から、静かに散り続ける。まるで優しい雨のように、舞い落ち続ける。その様子はあたかも桜の木に意思があって、今がその時と、時刻を決めて、一斉に花びらを散らし始めたかのようだった。
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中国がアジアインフラ投資銀で 仕掛ける米欧関係の引き裂き
2015年4月4日号中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が戦後体制を支えてきた米欧関係を引き裂き始めた。三月一二日、英国がAIIBへの加盟を表明し、ドイツ、イタリア、フランスなどがここぞとばかりに追随し、水面下で不参加を呼び掛けたオバマ政権は、外交的大失敗だと批判されている。
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慰安婦問題めぐる議論で感じる 変化し始めた世界の対日世論
2015年3月28日号三月一八日、東京・有楽町の外国特派員協会で、秦郁彦氏と大沼保昭氏が慰安婦問題に関して会見した。秦氏は日本大学教授で慰安婦問題に関する吉田清治氏のうそを暴いた近現代史の専門家である。大沼氏は元慰安婦への償いとして一九九五年に「アジア女性基金」の設立を呼び掛けた。慰安婦問題に関しては立場が異なる両氏の会見に、反日的論調を展開する外国特派員らも含め、約五〇人の記者が集った。
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不用意だと言わざるを得ない 独メルケル首相の歴史問題発言
2015年3月21日号一九八九年一一月九日にベルリンの壁が崩れ、一週間後、私は壁の前にいた。壁に沿って多くの人たちが歩いていた。歴史の大変化を深く感じつつ、私も彼らに交じって歩いた。壁のこちら側とあちら側では世界はどれほど異なっていたのか。その絶望的な相違は、東側から脱出を図って西側に入る直前に東ドイツ兵に銃撃されて命を落とした人々の墓が、幾十も幾百も並んでいたことからも見て取れた。現地の記念館には脱走に関する多くのエピソードがつづられており、読むだけで息苦しくなったのを覚えている。
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現実感増すイランの核兵器保有 重視すべきネタニヤフ首相の警告
2015年3月14日号イスラエルのネタニヤフ首相はおよそいつも「ニューヨーク・タイムズ」(NYT)紙など米国のリベラル系のメディアにあしざまに批判される。イスラエルがイランやパレスチナなど、“敵対的”な国あるいは民族にいわば囲まれる形で、国際社会の中で生き延びるために、ネタニヤフ首相は、非常に現実的かつ強硬な話をする。NYTなどはそれを嫌い「超右翼主義者」という形容詞で報じる場合が多い。
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戦後70年の首相談話懇談会が発足 内容は安倍首相に任せるべき
2015年3月7日号戦後七〇年の首相談話をどのような内容にするか、談話に資するための「21世紀構想懇談会」の第一回会合が二月二五日に開かれた。村山富市首相や小泉純一郎首相も談話を出したが、いずれも各首相が勝手に、と言っては失礼かもしれないが、ほぼ独断で出した。野党や国民の意見はおろか、与党内の意見調整も十分には行っていない。これらの前例と比べれば安倍談話に関しては物々しいような監視態勢が出来上がっている。
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貴重な歴史的証言を積み重ね 中国の不条理な歴史捏造を打ち破れ
2015年2月28日号米国の大手出版社、マグロウヒルが作成した公立高校用の歴史教科書には、南京事件で日本軍が「四〇万の中国人を虐殺」したと記述されている。中国の対日情報戦が引き起こした不条理の一事例である。折しも、「産経新聞」は「歴史戦 第9部 兵士たちの証言」を二月一五日から始めた。南京攻略戦(一九三七年一二月一三日に日本軍は南京城に入城)に参加した軍人たちの証言集が、中国の根拠なき「四〇万人虐殺説」への最強の反証となるはずだ。
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教育改革や農協改革で 見え始めた日本再生への道
2015年2月21日号「恰(あたか)も、明治維新のあの大改革の嵐、日本開国の命懸けの戦いの中を駆け抜けたような感慨を抱いています」中央教育審議会会長の安西祐一郎氏は二月九日の第七期中教審の締めくくりの会でこう語った。戦後教育の大改革といってよい成果を挙げ得たことへの安堵の気持ちが込められていた。
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イスラム国や中国から目をそらさず日本の在り方を議論すべき時
2015年2月14日号イスラム教スンニ派の過激テロリスト勢力「イスラム国」が、ヨルダン軍のパイロット、カサースベ中尉を殺害したとする映像をインターネット上に公開した。二六歳、半年前に結婚したばかりの中尉を、イスラム国は無残にも焼殺したと報じられた。世界ウイグル会議代表のラビア・カーディル氏らは、イスラム国はイスラムの名を語るがイスラム教徒とは全く異なる。世界のイスラム教徒約一六億人の圧倒的多数は穏やかな人々であり、彼ら自身、イスラム国に弾圧され脅やかされていると強調する。
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危機に弱く役に立たない政府機関 対外情報機関の設置が急務
2015年2月7日号オレンジ色の囚人服をまとい、鎖と手錠で拘束された後藤健二さんが、一月二四日午後一一時すぎには殺害されたとみられる湯川遥菜さんの写真を、二七日夜にはイスラム国に捕らわれているヨルダン人パイロットの写真を両手に持たされ、メッセージを発信させられた。二九日午前段階でのイスラム国の要求は、後藤さんとヨルダン政府が拘束している女テロリストの交換である。
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イスラム国が日本人殺害予告 事件が問う日本国の“根本”
2015年1月31日号一月二〇日に発生したイスラム国による日本人殺害予告と二億ドル支払い要求が私たちに突き付けたことの本質を考えてみたい。小欄が皆さんの目に留まるころには、事件は何らかの形で決着している可能性が高いが、事件が問うているのは、安倍晋三首相は第二の福田赳夫首相になるのかという点である。日本国の根本が問われているのだ。
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仏週刊紙襲撃事件で 世界が団結でも お寒い日中韓の「言論の自由」
2015年1月24日号イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載したフランスの政治週刊紙「シャルリー・エブド」をめぐる言論、表現の自由の戦いの激しさに、私たちは何を読み取るべきだろうか。事件は一月七日に発生。シャルリー・エブド襲撃で風刺画家五人を含むジャーナリスト八人、全体で一二人が殺害された。
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「南京事件」で米国を“洗脳”する習近平政権の邪悪な政治的意図
2015年1月17日号一月八日の「産経新聞」が一面で南京事件に関連して、「四〇万人虐殺」説を伝えた。これは米国で現在使用されている公立高校の教科書の記述だという。大手の「マグロウヒル」による同教科書には「日本軍は2カ月にわたって7千人の女性を強姦」「日本兵の銃剣で40万人の中国人が命を失った」などと記述されているそうだ。
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15年は安倍政権にとって重要な年 憲法改正に向けた議論の本格化を
2015年1月10日号安倍政権と日本にとって、二〇一五年は極めて重要な年だ。一四年末に発足した第三次政権の抱負として、安倍晋三首相は「強く誇りある日本」をつくり、「戦後以来の大改革」に「全身全霊を傾ける」決意を表明した。多くの国民が願ってきたことを明言化した決意表明は心強かった。