記事一覧:野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く376件
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野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
ソフト化と水平分業がシャープ危機の背後に
2016年4月30日号シャープは台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業に買収されることが決まった。シャープが経営危機に陥った原因としてしばしば指摘されるのは、社長人事をめぐる内部抗争である。その結果、経営が迷走したというのだ。確かにそれは重要な要因だろう。しかし、仮に内部抗争がなかったとしても、危機に陥っていた可能性が強い。
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日本でのフィンテックの 方向付けは正しいか
2016年4月23日号政府は3月4日、銀行法の一部を改正する法律案を閣議決定し、国会に提出した。これによって日本におけるフィンテックを促進するとしている。しかし、この内容に問題がないわけではない。以下では、フィンテックの方向付けについて考えよう。
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必要なのは社会保障の長期計画と生産性向上
2016年4月16日号政府は、伊勢志摩サミットを前に、経済対策を打ち出す方針だ。補正予算を編成して積極的な財政支出を行う方針であると伝えられる。待機児童対策、育児対策が中心で、企業内保育所に対する助成の拡大や、保育士の給料引き上げなどが検討されている。まず次の2点を指摘したい。
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中央官庁地方移転とふるさと納税の欺瞞
2016年4月9日号地方創生の一環として、中央官庁の一部地方移転が検討されている。文化庁の京都移転と消費者庁の徳島移転が提案されており、後者については実証実験が行われた。しかし、これによって地方の創意に基づく活性化が実現するとは、到底考えられない。
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公認されて高まった 仮想通貨の発展可能性
2016年4月2日号政府は、2016年3月4日、仮想通貨を規制するための資金決済法などの改正案を閣議決定した。今国会に改正案を提出し、法案成立を目指す。主要な内容は次の通り。仮想通貨取引所の登録制の導入(監督官庁は金融庁)。監査法人や公認会計士の定期監査の義務付け。顧客の資産と自己資産を分ける「分別管理」のルール導入。
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5割も増加した法人利益 しかし支出に向かわない
2016年3月26日号この数年間、企業の利益は増大を続けてきた。法人企業統計によると、日本企業全体(全産業、全規模)の営業利益は、2012年10~12月期の10.6兆円から14年7~9月期の11.9兆円に増加し、15年10~12月期には15.7兆円になった。3年間で5割近く増えたわけである。
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イギリスのEU離脱と金融取引税の関係
2016年3月19日号イギリスは、EUを離脱するか否かを決める国民投票を今年の6月に行う。なぜEU離脱が問題になるのか? 日本における解説で指摘されているのは、移民や難民に対する扱いだ。特に、移民労働者に対する社会保障制度の適用の問題である。
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ブロックチェーン技術 主導権は誰が握るか
2016年3月12日号前回述べたように、フィンテック導入に関して、二つのシナリオが考えられる。第一はベンチャー企業が運営すること。第二は銀行が新しい技術を取り入れることだ。仮想通貨技術について見れば、最近、第二のシナリオが急速に進展している(詳細は、ダイヤモンド・オンライン連載「新しい経済秩序を求めて」を参照)。
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マイナス金利が促すフィンテックへの移行
2016年3月5日号「マイナス金利は銀行の死をもたらす」という議論が、ヨーロッパのマイナス金利に関連して、しばらく前からあった。日本でも、同じ問題が発生する可能性がある。銀行がマイナス金利に伴うコスト増を預金金利引き下げなどの形で利用者に転嫁すれば、利用者の「銀行離れ」が起きるからだ。
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鴻海のシャープ買収は産業構造改革の転換点
2016年2月27日号シャープの再建は、産業革新機構ではなく、台湾企業の鴻海精密工業が行う可能性が高いと報じられている。この過程は、幾つもの注目すべき点を含んでいる。これは、単にシャープ1社が救済されるかどうかという問題ではない。日本の産業構造政策を転換し得るかどうかという問題だ。
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マイナス金利のコスト 誰が負担するのか?
2016年2月20日号日本銀行は、マイナス金利を導入した。その目的は、短期金利を低下させ、それを通じて長期金利を低下させることだ。これによって外国金利との差を拡大させ、円安を進めようというのが目的である。その意味で、これは、金融政策というよりは為替政策だ。
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仮想通貨の重要性を 国際機関が認める
2016年2月13日号1月16日に、国際通貨基金(IMF)がビットコインに関する報告書を公表した。これに先立ち、2015年11月には、国際決済銀行(BIS。各国の中央銀行が組織する国際機関)がデジタル通貨についての報告書を公表している。なお、本欄ですでに紹介したように14年9月にイングランド銀行が報告書を出している。
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物価を引き下げる経済政策への転換を
2016年2月6日号アベノミクスは、実体経済を改善しなかった。それにもかかわらず人々の期待が消えなかったのは、株価が上昇したからである。民主党時代に1万円程度の水準であった日経平均株価が、2万円を超えるまでに上昇した。この事実だけを見れば、多くの人が「経済は改善している」と錯覚しても不思議はない。
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リスクオフで株価下落 円高が進む可能性も
2016年1月30日号一般には、世界経済混乱は、中国によって引き起こされているといわれる。確かに、中国株の下落がきっかけになっていることは間違いない。ただし、「中国株価の下落だけが原因で、それにつられて世界の株価が下落している」ということではない。これは、より広く、投機資金の「リスクオフ」によってもたらされているものだ。
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交易条件は改善したが企業利益だけが増加
2016年1月23日号アメリカがQE3の終了を宣言した2014年の秋から、輸入物価が顕著に下落している。15年11月の輸入物価指数総平均の対前年同月比は、契約通貨ベースで19.0%減、円ベースで17.4%減となった(円ベースの下落率が低いのは、この間に為替レートが円安になったためだ)。
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産業構造の調整は 政府介入では進まない
2016年1月16日号アメリカが金融政策を正常化した後の世界において、先進国は大きく二つのグループに分かれるだろう。それは、市場志向型と政府介入型だ。前者は、アメリカ、イギリス、アイルランド、ルクセンブルクなどである。後者は、ドイツ、フランスなど大陸ヨーロッパ諸国と日本である。
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軽減税率が突き付ける 現存特例措置の諸問題
2016年1月9日号消費税制度には、さまざまな特例がある。導入されることが決まった軽減税率も、特例の一つだ。軽減税率以外にも、特例措置がある。どの措置も問題を引き起こす。消費税自体は極めて巧妙につくられた制度だが、特例措置がそれをゆがめている。消費税の問題のほとんどは、特例措置によって生じている。一般に、制度の問題は特例措置によってもたらされることが多いが、消費税もその例外ではない。
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設備投資の悪循環を 断ち切るのは新技術
2015年12月26日号「企業は利益を内部留保としてため込むだけで、設備投資や賃金の引き上げに使っていない。この状態を改善すべきだ」という意見が多い。しかし、企業のこうした行動には理由がある。前回は賃金について述べた。今回は、設備投資について述べる。そして、法人税を減税しても設備投資は増えないことなどを指摘する。
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利益増加で賃金が減る それには理由がある
2015年12月19日号企業の利益が増加している。他方で、賃金所得は目立って増加しない。なぜこのようなことになるのか? そして、これに対していかなる対処が必要か?一見したところ、企業は人件費を削減することによって利益を増やしている。そこで、「企業はもうかっているのに、内部留保としてため込んでいる。だから、それを賃金に配分せよ」という意見が出てくる。
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スマートフォン利用の 新しいバスサービス
2015年12月12日号タクシー配車のUberのサービスをバスに拡張しようという試みが、サンフランシスコで行われている。これは、Smart Routesと呼ばれるものだ。類似のサービスとして、LeapやLoup、Chariot、Hitchなどがある。企業向けの乗り合いバスとしてRidePalがある。また、アメリカのみならず、全世界で同様のサービスが爆発的に増加しつつある。例えば、ヘルシンキのミニバスシステムKutsuplusやインドのZipGoなどが誕生している。