記事一覧:野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く376件
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野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
新しい情報技術が働き方を大きく変える
2016年10月1日号ITの活用によって、新しい働き方が広がりつつある。アメリカでは、組織を離れて働く「フリーランサー」が増えている。情報技術が進歩した結果、仕事の進め方に関する自由度が高まり、一カ所に集まって仕事をする必要性が薄れたからだ。こうした仕事をあっせんするためのスマートフォンのアプリもある。
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新技術を積極活用して 舞台公演の改善を図れ
2016年9月24日号過去1世紀ほどの間に、情報技術が著しく進歩した。これに伴って、かつてはステージやコンサートでしか可能でなかったエンターテインメントの提供・観賞の形態が、大きく変化した。まず映画やレコードが登場し、劇場や音楽会に行かなくともよくなった。さらに、テレビが登場し、家庭の受像機で動画を見られるようになった。しかも、その大部分は無料だ。そして、CDやDVDが登場した。この10年程度の期間では、インターネット配信への転換が急速に進みつつある。
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公演変更のリスクにフィンテックで対処?
2016年9月17日号舞台公演は、映画やテレビにはないリスクに晒されている。出演者の都合で予定通りの公演ができない場合があるからだ。このリスクにどう対処すべきか?現状では、出演者を変更して公演が行われるのが普通だ。つまり、リスクはチケット購入者が全面的に負担している。しかし、それは果たして正しい方法か?
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ブロックチェーンは どんな未来をつくるか
2016年9月10日号ブロックチェーンは、ビットコインなど仮想通貨の基礎技術である。公開された台帳に取引記録を記入し、管理する仕組みだ。これまで、送金などの経済的取引は、銀行など信頼を確立した機関が管理することで行われてきた。ブロックチェーンは、そうした管理主体の代わりに、コンピューターネットワークが取引の正しさをチェックする。しかも、記録は書き換えることが事実上できないようになっている。そうすれば、管理者が不必要になるため、低いコストで運用できる。
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マイナス金利の撤廃が 日本銀行の最重要課題
2016年9月3日号日本銀行は、9月に金融政策の見直しをするとしている。考えられる内容は、第1にインフレ目標、第2にマイナス金利、第3に国債購入額についての見直しだ。まず、第1のインフレ目標については、その達成時期を不明確にする可能性がある。ただし、必要とされるのは、こうした細部の見直しでなく、インフレターゲットそのものの放棄だ。
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金融政策の緊急課題は インフレ目標の撤廃
2016年8月27日号日本銀行が7月29日に決定した追加緩和は、金融政策の性格を判断する上で重要な意味を持つものだった。第1は、金融政策の目的だ。今回の追加措置の内容は、ETF(上場投資信託)の購入額増加というものだった。しかし、日銀がETFを買えば日本経済が良くなると思う人はいない。
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自由な貿易は望ましいが 国家の統合は不必要
2016年8月13日号EUは関税同盟である。つまり、加盟国間で関税をかけず自由な貿易を行う取り決めだ。しかし、EUはその前身組織の時代も含めて、最初から単なる関税同盟ではなかった。EUの前身である欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)、欧州経済共同体(EEC)、欧州共同体(EC)などが設立されたのは、ヨーロッパが2度にわたる世界大戦の戦場となった悲劇を繰り返さないためだった。
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イタリア銀行危機が 英EU離脱で顕在化
2016年8月6日号日経平均株価がイギリス国民投票前の水準を回復したことから、「イギリスEU離脱の影響は軽微だった」との解説が出始めた。しかし、EU離脱の影響はヨーロッパでは顕在化している。それはイタリアの銀行危機だ。以下に述べるように、これは2010年ごろのユーロ危機を上回る混乱を引き起こしかねない。そうなれば、円高はさらに進み、日本経済に大きな影響が及ぶだろう。
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シティは衰退するか? EU離脱はチャンスか?
2016年7月30日号イギリスのEU離脱に関連して生じ得る最大の問題の一つは、シティの地盤沈下であるといわれる。イギリスは1990年代以降、金融業を中心として経済発展を実現してきた。国内総生産(GDP)の約1割が金融業で発生する。もしロンドン・シティの地盤沈下が現実になれば、イギリス経済にとって大きな打撃だ。
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危機に直面するのは イギリスでなくEU
2016年7月23日号イギリスのEU離脱は、欧州諸国にも影響を及ぼしており、EU離脱のドミノ効果を引き起こす可能性が高い。オランダ、チェコ、フランスでも、EU離脱を支持する世論が高まっている。オランダで2月に行われた世論調査では、残留が離脱を1%しか上回らなかった。チェコで2015年10月に行われた世論調査では、EU離脱の支持率は62%だ。フランスでは、17年のフランス大統領候補として、反EUと移民排斥を掲げる国民戦線党首マリーヌ・ルペンの支持率が最も高く、フランソワ・オランド大統領の支持は低迷が続いている。最近実施された世論調査では、48%がEU残留・離脱を問う国民投票を望んだ。
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イギリスのEU離脱で不確実性が長期に続く
2016年7月16日号イギリスのEU離脱が明らかになった6月24日、日経平均株価は前日比7.9%下落した。これはリーマンショック時の下落率を超える大きさだった。ここで注目すべきは、イギリス株の下落率が3.1%と、日本株のそれより小さかったことだ。
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アベノミクスの本質は為替と株の投機ゲーム
2016年7月9日号参議院選挙における大きな争点は、アベノミクスの評価だ。安倍晋三内閣発足後の日本経済の経済指標を概観することは、この問題を考える際の重要な資料となるだろう。経済指標を見ると、成長率の高低で次の二つのグループに分けられる。第1は、2013年初めから16年初めまでの3年間の成長率が、▲3.9%から+1.6%のグループだ。
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三菱UFJ仮想通貨の大きな潜在的可能性
2016年7月2日号6月10日の「朝日新聞」が伝えるところによれば、三菱東京UFJ銀行は、独自の仮想通貨を来年秋ごろから一般に公開する。シティバンクをはじめとする世界の主要銀行が、これまで独自の仮想通貨を導入する実験を行っていた。また、マイナス金利によって銀行の収益が圧迫されるので、新技術の導入でコストを引き下げるのは、銀行にとって緊急の課題だ。
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デジタル・リマスター技術のマジックに乾杯
2016年6月25日号古い映画のデジタル・リマスター版が、最近幾つも作られている。これまでは、名作なのにDVDの画質が非常に悪く、残念に思う場合が多かった。ところが、これまで諦めていた鮮明な画像を見ることができるようになった。
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消費税増税の再延期は 国民を愚民視する決定
2016年6月18日号安倍晋三首相は、消費税の増税先送りを決定した。理由は、新たな経済危機に対処するためとされている。しかし、それは取って付けたような理由だ。実際、現在の経済情勢がリーマンショックのような危機をもたらすとの認識は誤っている。
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貿易収支は改善したがマイナス成長の不思議
2016年6月11日号前号(6月4日号)で述べたように、マイナス成長は、今後中長期的に続く可能性がある。前号では、マイナス成長経済がいかなるものかの見取り図を用意しておく必要があると述べた。もちろん、この事態に対して何もなし得ないわけではない。今回は、どのように対処すべきかという観点から考えることにしよう。
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マイナス成長経済の見取り図を描く必要
2016年6月4日号2016年1~3月期の国内総生産(GDP)は、対前年同期比で見ると、わずかにマイナス成長だった。14年度の成長率はマイナスであった。四半期別に見ても、このところ、マイナス成長の四半期が多い。日本経済は慢性的なマイナス成長に陥っている。
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バーナンキの政策案は日本ですでに実行済み
2016年5月28日号4月11日に、前アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)議長のベン・バーナンキは、「FRBに残された政策は何か(その3:ヘリコプター・マネー)」という自らのブログで、マネーストックの増加によって財政拡大をファイナンスする政策を提案した。そしてこれを、「マネーでファイナンスされた財政政策」MFFPと呼んだ。この提案が話題を呼んでいる。
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消費増税の再延期は 長期の見通しに悪影響
2016年5月21日号消費税増税を再延期しても、経済は活性化しない。なぜなら、再延期によって日本経済の長期的な見通しが悪化するからである。以下に述べるように、家計も企業も、短期的な経済変動だけを見て行動するのではなく、もっと長期的な見通しに基づいて行動している。このため、将来の見通しが悪化すれば、消費や投資の決定はこれまでより慎重になる。
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ソーシャルレンディング その可能性と問題点
2016年5月14日号フィンテックの一分野に、「ソーシャルレンディング」がある。これは、お金を借りたい人と投資したい人を、インターネットを通じて結び付けるサービスだ。ソーシャルレンディングに先立って、「クラウドファンディング」があった。これは、特定のプロジェクトを応援したいと考える人々が、インターネットを通じて出資するものだ。