記事一覧:野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く376件
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野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
ビットコインの大転機 「分裂」は発生するか
2017年7月29日号ビットコインが、能力拡張のための仕様変更をめぐって、大きく揺れ動いている。これは2009年にビットコインが発足して以来、最大の転機だ。技術的な問題で分かりにくいため、一般には詳しく報道されていない。しかし、ビットコインの保有者が多くなると事情は変わる。後で述べるように、これは価格に影響を与えるからだ。
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リスクを伴うビットコインの巨額保有
2017年7月22日号今年になって価格が顕著に上昇したので、ビットコインに対する関心が高まっている。しかし、現状について、問題がないわけではない。まず、不祥事が起こり得る。その多くは、ビットコインを登録された取引所からでなく、個人から購入することで生じるだろう。
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金融緩和からの脱却で日本経済はどうなる?
2017年7月15日号金融緩和政策から脱却した場合に、経済に対する影響はどのようなものになるか?これを考えるにはアメリカの経験が参考になる。量的緩和第3弾(QE3)の終了が宣言されたのは、2014年10月だ。政策金利は、15年12月に0.50%に引き上げられ、その後の数度の引き上げを経て、17年6月に1.25%になった。
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日銀は債務超過に陥る なぜそれが問題なのか
2017年7月8日号金融緩和政策からの脱却に伴って、巨額の損失が日本銀行に発生すると考えられている。日銀の黒田東彦総裁は、5月10日の衆院財務金融委員会で、「長期金利が1%上昇した場合、日銀が保有する国債の評価損が23兆円程度に達する」と述べた。仮に3%上昇すれば、69兆円という驚くべき額の損失を被る。
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アベノミクスは資産格差を拡大した
2017年7月1日号安倍晋三内閣の発足以降、日本の所得や資産の分布は、どのように変化したか?最初に、企業利益が増加するメカニズムとして、次の二つのタイプを区別しよう。第1は、企業活動の全体が比例的に拡大するタイプである。この場合には、利益の増加率と賃金の増加率は同じになり、企業成長の恩恵が労働者にも及ぶ。
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たこつぼ型の日本組織は 変質しつつあるのか
2017年6月24日号20年ほど前に、ワシントンから帰国したばかりの新聞記者から聞いた話だが、ワシントン駐在記者の重要な仕事は、アメリカ政府の担当者に取材してニュースを集めることではなく、アメリカ政府内に自分自身の人脈を築くことなのだそうだ。アメリカのニュースはアメリカの新聞やテレビで報道されるから、自分で取材する必要はなく、報道された記事を要約して翻訳すればよい。それより重要なのは、日本からの来客(その中には、政治家も多いだろう)の求めに応じて、アメリカ政権の適切な人にアポイントを取れることだ。そのためには、人脈をつくり、維持することが必要だというのである。
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新しい働き方の導入は重要な生産性向上手段
2017年6月17日号政府が進める構造改革政策のキーワードが、「働き方改革」から「労働生産性の向上」にシフトしてきた。生産性を向上させずに表面的な働き方だけを変えても、結局は、ゆがみがどこかに移るだけの結果に終わってしまう。生産性向上が重視されてきたのは、正しい方向へのシフトだ。
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先端産業にそぐわない日米の働き方政策
2017年6月10日号日本でもアメリカでも、人々の働き方が政府の政策において重要なテーマとなっている。日本では、安倍晋三政権が「働き方改革」を進めている。これは政府の構造改革政策の中で重要な地位を占めており、2017年3月には、「働き方改革実行計画」が取りまとめられた。
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異常な金融緩和からはできるだけ早く脱却を
2017年6月3日号日本銀行の黒田東彦総裁は、5月10日の衆議院財務金融委員会で、民進党の前原誠司氏の「出口のシミュレーションを出すべきだ」との質問に答えて、「金融政策運営の考え方を、日銀の財務面への影響も含めて説明することは重要だ」とし、「今後、検討していきたい」と述べた。
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米企業は税制改革で 本国に戻るか?
2017年5月27日号ドナルド・トランプ米大統領は、税制改革案の基本方針を4月26日に公表した。法人税率を従来の35%から15%に下げる。他方で、導入が検討されていた国境調整税は含まれなかった。今回の税制改革案には、もう一つの重要な内容がある。それは、企業が海外で得た所得に対する課税措置だ。この点につき、説明しよう。
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就労ビザ規則見直しはハイテク産業に大きな影響
2017年5月20日号ドナルド・トランプ米大統領は、4月18日、H-1Bビザ発給の規則を変更する大統領令に署名した。ただし、今回の見直しは、H-1Bビザの支給総数を減らす方向のものではなく、選抜方法と条件を変更しようというものだ。これは、シリコンバレーのハイテク企業の要望にも沿ったものとなっている。この間の事情を説明しよう。
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自由貿易が重要なら 農産物の関税撤廃を
2017年5月13日号麻生太郎副総理兼財務相とマイク・ペンス米副大統領が主導する日米経済対話の初会合が、4月18日開かれた。トランプ政権では、主要な人事が停滞しており、政治任用とされる主要官庁の幹部人事も、空席が多く残っている。
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ハイテク企業は未来を支配し続けるか?
2017年4月29日号4月7日の「フィナンシャル・タイムズ(FT)」が伝えたところによると、グーグルは、自動運転車を開発している1人のエンジニアに対して、1億2000万ドル(約130億円)のボーナスを与えた。日本の企業でいかに企業に貢献しても、100億円を超えるボーナスを得られることはないだろう。こんな化け物のような企業と、技術開発競争ができるのだろうか?
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仮想通貨で可能になる 広告モデルからの脱却
2017年4月22日号インターネットで提供されている情報や知識の大部分は、無料だ。そして、事業は広告収入で支えられている。 この場合、記事ができるだけ多く閲覧されることが重要で、そのために検索エンジンで上位に表示されるよう、さまざまな手法が用いられる。
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物価水準の財政理論は 増税延期を正当化しない
2017年4月15日号最近注目を集めているプリンストン大学クリストファー・シムズ教授の「物価水準の財政理論」(FTPL)は、デフレに対処するために減税や財政拡大が必要だとするものであり、財政健全化を否定するものだと考えられることが多い。本連載の第851回でも述べたように、日本では、FTPLは、「インフレ目標を達成するために、消費税増税の延期が必要」という主張の理論的裏付けであると受け止められている。
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経常収支の不均衡から日米経済関係を考える
2017年4月8日号この4月から、日米経済対話が始まる。対話のベースとして、日米経済関係をどのように理解するかが重要である。その際、いかなる指標を見るべきだろうか?ドナルド・トランプ米大統領がこれまで言及してきたのは、貿易収支の不均衡だ。そして、不公平な貿易慣行や他国の通貨安政策により、アメリカは貿易収支において赤字を計上し、富を失っているとしている。
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ブロックチェーンは市場の優位性を高める
2017年4月1日号シェアリングエコノミーと呼ばれる新しい仕組みが注目を集めている。UberやAirbnbが提供するサービスが、これを支えるものとして成長し、巨額の時価総額を実現している。以下では、こうしたサービスが登場してきた背景を論じ、それがブロックチェーン技術でどのように変わるかを見ることとしよう。
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原油価格の低位安定は政策見直しを要求する
2017年3月25日号日本経済は、為替レートと原油価格によって大きな影響を受けてきた。これからもそうだろう。この二つの要因だけで全てが決まるわけではないが、国内の経済政策の影響よりは、これらの影響の方が大きい場合が多い。
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働き方改革の究極は 人間的な仕事への特化
2017年3月18日号ITの活用は、働き方に大きな影響を与える。導入の必要性が昔から指摘されていたものが、二つある。第1は、テレワーキングだ。仕事のうち必ずしもオフィスで行う必要がないものを、インターネットやPCを活用することによって在宅で行う方式である。
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米税制改革が与える 日本への重大な影響
2017年3月11日号ドナルド・トランプ米大統領は、「大規模な税制改革計画を、そう遠くないうちに提出する」と述べた。トランプ政権の税制改革は、単に法人税を減税するというだけのものではない。現在の税制に比べると、アメリカからの輸出を有利に扱い、輸入を不利に扱うことによって、貿易に影響を与えようとしている。