記事一覧:野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く376件
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野口悠紀雄「超」整理日記 経済・メディア・情報を捌く
神の問い掛けにこそ 答える価値がある
2017年12月23日号本連載第885回で「モンティ・ホール問題」について述べた。三つの箱のどれにダイヤモンドが入っているかを当てるゲームで、解答者は一つの箱を選ぶ。司会者はその後で、残りの箱のうち空の箱を一つ見せる。ここで解答者は選択を変えるべきか?私はこの問題を友人たちに出したが、M君は論理を基に、直ちに「変えるべきだ」と正解を出した。私は、このように鮮やかに解くことはできなかった。ただし、正解にたどり着くことはできた。それは、この問題が「ベイズ統計学」の応用問題であると気付いたからである。「ベイズの定理」と呼ばれる公式に当てはめていけば、正しい答えを得ることができる。
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情報への正しい態度が 成功の確率を高める
2017年12月16日号成功するには多数の条件を満たす必要があるが、コントロールできない条件も多い。だから成功は難しい。本連載第884回で、このように述べた。しかし、条件をコントロールできなくとも、自分の行動や選択を変えて対応することが可能な場合は多い。そうした場合、適切な対応をすれば、成功の確率を高めることができるだろう。
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『アンナ・カレーニナ』と 事業の成功確率の関係
2017年12月9日号先日、ある会合で、「ブロックチェーンを用いてどんな事業をやれば成功するだろうか?」と聞かれた。また、「人工知能の時代に成功するのはどんな人材か?」とも聞かれた。これらの質問に答えるのは難しい。なぜなら、成功するには、多数の条件を満たさねばならないからだ。
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金発見時の成功法則は採掘者を採掘すること
2017年12月2日号1848年、当時辺境の地だったアメリカ・カリフォルニアで、金(きん)が発見された。金は普通は地底深く埋もれているので、採掘に巨大な設備と多大な労働力を必要とする。しかし、カリフォルニアでは砂金として地表に露出していた。このため、誰でも簡単な道具で採集することができた。
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清華大学が世界一で東大が91位という現実
2017年11月25日号アメリカのメディアU.S. News & World Reportガ作成スルBest Global Universities for Computer Science(コンピューターサイエンスでの世界最優秀大学)によると、世界100位までに、中国の17の大学がランクインしている。このうち、清華大学は世界一だ。
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中国とドイツが変身 日本が取り残される
2017年11月18日号今世界のビジネスモデルが大転換しようとしている。IoT(モノのインターネット)によって、製造業が従来型のものから未来型のものに向けて進化しようとしている。また、「分散型台帳」という新しい情報記録の仕組みであるブロックチェーン関連のプロジェクトが進められている。こうした分野で特に注目されるのが、中国とドイツだ。
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リップル事件の原因は 誤解と見当違いの規制
2017年11月11日号リップルトレードジャパンの代表者が逮捕された。当初の報道では、「リップルとはインターネットで送金などに用いられる仮想通貨の一種であり、リップルトレードジャパン社はその関連会社だ」と説明された。しかし、リップルは、仮想通貨とはいっても、ビットコインなどとは、仕組みがだいぶ違う。そして、「関連会社」というのも曖昧な表現だ。
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日本の政治は機能不全 それを救う方策は何か
2017年11月4日号今回の総選挙で、経済政策をめぐる論争は極めて低調だった。例えば、消費税増税の問題。自民党は消費税率を上げるとしたが、すでに法律で決まっていることを実行すると言ったにすぎない。野党はこぞって消費税増税に反対した。どちらにしても、財政再建は実現できない。政府は、財政再建目標を放棄した。
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「『超』整理法は最適」と 数学的に証明された
2017年10月28日号最近日本で翻訳書が刊行されたブライアン・クリスチャン、トム・グリフィス著の『アルゴリズム思考術──問題解決の最強ツール』(早川書房、2017年)の中で、「『超』整理法」が数学的に正しい方法であることが述べられている。「超」整理法は、拙著『「超」整理法 情報検索と発想の新システム』(中公新書、1993年)で提案した書類の整理法だ。これが「効率的であるだけでなく、最適である」と評価されたことは大変うれしい。
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社会保障財源について選挙で選択できるか?
2017年10月21日号増大する社会保障費の財源をどうするかは、国民の誰もが強い関心を持つ極めて重要な政策課題だ。まず留意したいのは、「消費税率を10%に引き上げるだけでは、決して十分でない」ということだ。
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中央銀行が発行する仮想通貨の問題点
2017年10月14日号国際決済銀行(BIS)は、中央銀行が発行する仮想通貨の問題を、9月に発表した四半期報告で取り上げた。仮想通貨取引の拡大は金融システムの安定性を脅かす恐れがあり、中央銀行はこれを座視することはできないと指摘した。
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ブロックチェーン活用が多分野に急速に広がる
2017年10月7日号ブロックチェーンは、最初、ビットコインの基盤技術として登場したが、その後、さまざまな分野への利用が広まっている。最近の進展が特に注目すべき分野を概観しよう。金融の重要な役割の一つはリスク対処だ。その手法がブロックチェーンを用いて進歩している。
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仮想通貨取引への課税体制確立が急務
2017年9月30日号仮想通貨に税が対応する必要性は、すでに現実のものとなっている。イニシャル・コイン・オファリング(ICO。仮想通貨を用いた資金調達)で数億円の巨利を得た人がいるといわれる中で、課税体制が万全でなく、このままでは大問題となる。
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農地の大量宅地化に どう対処すべきか?
2017年9月23日号「2022年問題」があるとされる。市街化区域内の農地課税の特例が期限切れになって、農地が一挙に宅地化して宅地の供給が増え、地価下落を加速させるのではないかという問題である。
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相続資産の構成変化を どう考えるべきか
2017年9月16日号2015年に相続税制が改正され、基礎控除額が引き下げられた。法定相続人が3人の場合、基礎控除額は、従来の8000万円から4800万円になった。この結果、死亡者数に対する相続税課税件数の割合が15年には8.0%となった。長年4%台で、14年は4.4%だったので、急激に上昇したことになる。都内では7%前後で推移していたのが12.7%となった。
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リレーも自動車産業も 日本の強さは擦り合わせ
2017年9月9日号今年の世界陸上競技選手権大会で、日本チームは男子4×100メートルリレーで銅メダルを獲得した。日本陸上チームの快挙だ。このニュースを聞いてすぐに思ったのは、「日本の自動車産業と同じだ!」ということだ。そして、「リレーも自動車産業も、現在の優位性を将来も維持できるだろうか?」という疑問に襲われた。
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通貨の自由な競争では良貨が悪貨を駆逐する
2017年9月2日号8月1日に「ビットコインキャッシュ」という新しい仮想通貨が生み出されたが、滑り出しは低調だ。この新通貨が作られたのは、Segwitという新しい仕組みがビットコインに導入されることとなり、中国の大手マイナー、Bitmain社が製作しているマイニング用の装置が使えなくなってしまうことが大きな理由だ。利用者の便宜のために作られたとはいえない。
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「人手不足は良いことだ」 政府白書の奇妙な論理
2017年8月26日号6月の有効求人倍率(季節調整値。パートタイムを含む)は1.51倍となった。正社員では1.01倍となり、2004年の調査開始以来、初めて1倍を超えた。この状況は、経済状況の改善による結果だと評価されることが多い。しかし、むしろ人手不足の深刻化と捉えるべき問題である。
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「働かされ改革」でなく「働き方改革」を求めよ
2017年8月12日号労働基準法の改正案をめぐって、連合が揺れている。改正案は、政府が「働き方改革」の一つの柱として2015年4月に国会に提出したものだ。しかし、連合や野党が「残業代ゼロ法案」「長時間労働を助長する」などとして強く反対していたため、これまで一度も審議されていない。
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ビットコインの問題が 未来に投げ掛けるもの
2017年8月5日号ビットコインが2009年に発足したとき、わずか数人がそれを支えているだけだった。彼らは新しいものを作り上げたいという熱情に燃えていた。このころの事情は、ナサニエル・ポッパー『デジタル・ゴールド──ビットコイン、その知られざる物語』(日本経済新聞出版社、16年)に生き生きと描かれている。