記事一覧:金融市場 異論百出417

  • インフレ2%目標の姿勢に変化「現実路線」にシフトする日銀

    金融市場 異論百出
    インフレ2%目標の姿勢に変化 「現実路線」にシフトする日銀

    2015年12月12日号  

    「日銀(日本銀行)は大胆な追加緩和策をもっと実行すべきだ。インフレ期待が高まらないと、消費は活性化しない」。そういう米国の金融市場関係者に限って、意外に自国のモノ(財)の価格がかなりのデフレになっていることに気が付いていないことがある。

  • 中間層拡大による産業シフト真逆の表情見せる「二つの中国」

    金融市場 異論百出
    中間層拡大による産業シフト 真逆の表情見せる「二つの中国」

    2015年12月5日号  

    「二つの中国」。10月17日号の当コラムでも触れたが、中国では現在、インフラ開発関連の重工業、建機、または人民元高で打撃を受けている労働集約型の製造業といった「オールドチャイナ」は、深刻な業績悪化に陥っている。一方で、中間層の所得増加をうまく捉えることができている消費関連業種、あるいはハイテク産業や環境産業といった「ニューチャイナ」は好調である。

  • 既存業界を“壊す”ダイナミズム群雄割拠する中国Eコマース

    金融市場 異論百出
    既存業界を“壊す”ダイナミズム 群雄割拠する中国Eコマース

    2015年11月28日号  

    中国ではインターネットを使った新しいサービスが驚くほど急拡大している。そして、Eコマースの普及に伴い、ここ数年、宅配便の売り上げが劇的な伸びを示している。2012年は1055億元(約2兆円)だったが、14年は2045億元(約4兆円)だ。今年は10月までで前年比47%増である。

  • 正常化して初めて評価されるバーナンキの「行動する勇気」

    金融市場 異論百出
    正常化して初めて評価される バーナンキの「行動する勇気」

    2015年11月21日号  

    『行動する勇気』。これはベン・バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、米国で10月に出版した自伝のタイトルだ。出張時に駅の売店で見掛けたのだが、600ページ近い分厚いこの本の価格は35ドル(約4300円)だった。重くて高いので買うべきか迷ったものの、著者のサインが入っていた。複数冊見比べたが、ちゃんと手書きだった。結局つられて購入してしまったが、読んでみると興味深い逸話、裏話が多々記載されていて結構引き込まれた。

  • ITは進化、生産性は低下の謎世界のエコノミストが大論争

    金融市場 異論百出
    ITは進化、生産性は低下の謎 世界のエコノミストが大論争

    2015年11月14日号  

    現代のわれわれはインターネット上の多くのサービスを無料で利用している。検索サイト、電子メール、地図アプリ、「フェイスブック」「ツイッター」などのソーシャルメディア、動画共有サイト「ユーチューブ」、無料オンライン百科事典「ウィキペディア」の閲覧等々、料金を払わずに使っていながら、日常生活で重要なものは多い。

  • 経済情勢に隔世の感を漂わせるバック・トゥ・ザ・フューチャー

    金融市場 異論百出
    経済情勢に隔世の感を漂わせる バック・トゥ・ザ・フューチャー

    2015年11月7日号  

    10月21日から数日間、米国のテレビ番組には、マイケル・J・フォックスら映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」(1989年公開)の俳優陣が頻繁に登場していた。第1作の主題歌を担当したヒューイ・ルイスは、ニューヨークのミッドタウンでデロリアン(クルマ型タイムマシン)を運転するキャンペーンを行っていた。

  • 今や米国企業の重要ターゲット「ミレニアム世代」とは何者か

    金融市場 異論百出
    今や米国企業の重要ターゲット 「ミレニアム世代」とは何者か

    2015年10月31日号  

    米国・ニューヨークに現在出張中なのだが、「ミレニアム(ミレニアル)世代」という言葉がたびたび耳に入ってくる。ベビーブーマー世代(1946~64年生まれ)、ジェネレーションX(65~79年生まれ)に続くミレニアム世代は、80~2000年生まれの人々を指す。その人口は米国ではベビーブーマー世代を上回る。コンサルティング大手、アクセンチュアのレポートによると、ミレニアム世代の消費支出は年6000億ドルであり、それが20年には1.4兆ドルへ達するという。

  • 欧州一“渋い”国ドイツが見せたシリア難民問題のソロバン勘定

    金融市場 異論百出
    欧州一“渋い”国ドイツが見せた シリア難民問題のソロバン勘定

    2015年10月24日号  

    欧州が直面しているシリア難民問題は、第一義的には人道の観点から議論がなされるべきだろう。しかし、大勢の難民の受け入れが、先行きの欧州経済にどんな影響を及ぼすのか冷静な議論を行う必要もある。経済協力開発機構(OECD)の幹部2人がCNNマネーのウェブサイトに次のような寄稿をしていた。

  • 「フォースと共にあらんことを」FRBが抱く中国経済への願い

    金融市場 異論百出
    「フォースと共にあらんことを」 FRBが抱く中国経済への願い

    2015年10月17日号  

    「フォースと共にあらんことを」。これは、映画「スター・ウォーズ」でジェダイの騎士が「幸運を祈る」といったニュアンスでよく使う言葉だ。「経済的フォースと共にあらんことを」。こちらは米サンフランシスコ連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁が最近行った講演のタイトルだ。公開が近い同映画の新シリーズを彼は楽しみにしているが、そこには不安も表れている。

  • 世界が注目し中国が切望する人民元の「通貨のエリート」入り

    金融市場 異論百出
    世界が注目し中国が切望する 人民元の「通貨のエリート」入り

    2015年10月10日号  

    東京・有楽町駅近くのタイ料理店で、ピリ辛のタイ式ラーメンをすすっていたら、店の片隅に不思議な額縁が飾ってあるのに気が付いた。3年前の10月に東京で開催された国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会の事務局から贈られた感謝状だった。同店が総会参加者を「SDR」でもてなしたことへの謝意が表されていた。

  • イノベーションが止まった日本眠れる開拓者精神を呼び覚ませ

    金融市場 異論百出
    イノベーションが止まった日本 眠れる開拓者精神を呼び覚ませ

    2015年10月3日号  

    「大阪企業家ミュージアム」。大阪市の堺筋本町駅の近くにあるこのユニークな博物館は、明治維新以降の大阪にゆかりのある企業家105人を紹介している。展示室は時系列に沿って、企業家と関連企業が紹介されている。五代友厚(商船三井)、山邊丈夫(現東洋紡)、伊藤忠兵衛(伊藤忠商事、丸紅)などの「近代産業都市大阪の誕生」から始まり、大正、昭和へとつながっていく。順に歩いて回ると、大物企業家がきら星のごとく並び、実に壮観である。新時代を切り開いてきたイノベーション精神が強く伝わってくる。

  • 日本企業のドル資金調達に警鐘金融危機の“清算”はまだ道半ば

    金融市場 異論百出
    日本企業のドル資金調達に警鐘 金融危機の“清算”はまだ道半ば

    2015年9月26日号  

    ちぐはぐなことが起きている。日本銀行と米金融規制当局が意図する方向性が真逆のため、結果として、日本の金融機関のドル資金借り入れコストが急騰する現象が発生している。それは日系企業にとっても、ドル資金借り入れコストの上昇につながるため注意が必要である。日銀は量的質的金融緩和策によって国債などの利回りを大幅に低下させ、金融機関や機関投資家を深刻な資金運用難に追い込み、彼らにドルなどの外貨建て資産を持つよう促してきた。それによって生じる円安を日銀は期待してきた。

  • 円安誘導政策が引き起こした低中所得層の“インフレ恐怖症”

    金融市場 異論百出
    円安誘導政策が引き起こした 低中所得層の“インフレ恐怖症”

    2015年9月19日号  

    スーパーマーケットで販売されている食品や日用品の価格を集計している東大日次物価指数が最近急激な上昇を示している。7日間の移動平均前年比で見ると、6月4日は+0.4%だったが、9月4日は+1.5%だ。だが、東大日次物価指数の上昇は、消費者の購買力の高まりを反映したものとは言い難い。食品や日用品といった生活必需品においては、企業は円安によるコスト上昇を販売価格に比較的転嫁しやすくなっている。しかし、全体の所得の伸びに限りがあるため、生活必需品の価格上昇と反比例して、消費はさえない状況にある。

  • 欧州がしたたかに取り込む中国人もかすむ“本物”の爆買い

    金融市場 異論百出
    欧州がしたたかに取り込む 中国人もかすむ“本物”の爆買い

    2015年9月12日号  

    東京・銀座4丁目の交差点近くにある山野楽器の上層階の外壁に、中国の準大手銀行、交通銀行の大きなクレジットカード広告が張られている。このカードを使って外国で買い物をすると、ポイントが10倍付与されるという説明なのだが、興味深いことにこの巨大広告には日本語が一文字も書かれていない。広告の対象が明らかに日本人ではなく中国人なのである。

  • 利上げ判断に揺れる米国で注目家賃と金融政策の意外な関係

    金融市場 異論百出
    利上げ判断に揺れる米国で注目 家賃と金融政策の意外な関係

    2015年9月5日号  

    8月下旬からのグローバルな金融市場の混乱が収束しなければ、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを見送るだろう。しかし、注意が必要な点がある。7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は、市場が受け止めたほどハト派的ではなかった。中国経済やドル上昇のリスクに関する記載はあったが、その議論を提起したのは、数人(severalやsome)だ。

  • 中国が人民元を切り下げた背景日本で流れる通説に「異議あり」

    金融市場 異論百出
    中国が人民元を切り下げた背景 日本で流れる通説に「異議あり」

    2015年8月29日号  

    中国・上海や北京のスターバックスに行くと、ラテの価格上昇の激しさに驚かされる。ただし、それは円換算した場合の話である。上海のラテ・トールサイズは2003年暮れで22元、今年8月で27元だ。12年弱で23%の上昇だから、中国のインフレを考慮したら大した上昇率ではない。しかし、8月7日時点の為替レートで計算すると、上海のラテは540円、円換算の上昇率は90%だ(東京は現在399円)。人民元高と円安の進行がその背景にある。

  • 株式投資への過度な扇動はなぜ中国経済に漂う“気持ち悪さ”

    金融市場 異論百出
    株式投資への過度な扇動はなぜ 中国経済に漂う“気持ち悪さ”

    2015年8月22日号  

    スイス腕時計協会によると、6月のスイスからの国別輸出額は、中国(本土+香港)向けが世界一だった。しかし、前年比はマイナス18%の大幅減少を示した。一方で、英国は34%、イタリアは25%、フランスは24%の大きな伸びを記録した。スイス製時計への中国人の需要が急落して、欧州人の需要が高まったかのように見える。

  • 欧州が“不思議の国”へ迷い込むマイナス金利が招く逆転現象

    金融市場 異論百出
    欧州が“不思議の国”へ迷い込む マイナス金利が招く逆転現象

    2015年8月8日号  

    マイナス金利政策を中央銀行が始めると「逆転現象」が多々発生する。ユーロ圏、スイス、デンマーク、スウェーデンでは、多くの大手企業や機関投資家が、預金をすると逆に金利を徴求されている。それらの地域では、中銀が銀行の超過準備(銀行が中銀へ預けた金額のうち、制度の義務を超える資金)にマイナス金利を課しているため、銀行はそのコストを顧客に転嫁している。スイスの金融大手UBSは最大3%のマイナス金利を大口預金に課すと先日発表した(新金融規制による流動性預金のコスト上昇も原因の一つ)。

  • 米国に見るインフレ率上昇合言葉は「モノよりサービス」

    金融市場 異論百出
    米国に見るインフレ率上昇 合言葉は「モノよりサービス」

    2015年8月1日号  

    米国のデパートやアパレル販売店は、Eコマース(電子商取引)の激しい攻勢を受けて値下げを余儀なくされている。今の消費者は店頭で気に入った商品を見つけると、スマートフォンでバーコードをさっと読み込み、アプリが瞬時に探してきたインターネット上の安い店で、それを即購入してしまうからだ。

  • アップル・グーグルが握る日本国債「暴落リスク」の命運

    金融市場 異論百出
    アップル・グーグルが握る 日本国債「暴落リスク」の命運

    2015年7月25日号  

    将来もし日本の自動車産業が家電産業のように凋落し、他にそれを補う新たな産業が現れなければ、日本国債が暴落する確率が高まってくると思われる。ティム・クック・米アップルCEOの右腕といわれるジェフ・ウイリアムズ上級副社長は、5月下旬に開催されたカンファレンスで聴衆から「1000億ドルもの資金を持って、あなた方は何をしようとしているのか」と質問された。すると、彼は次のように答えた。「自動車は、究極のモバイル・デバイスですよね」。

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記者の目

  • 編集部 重石岳史

    富裕層は健康への投資も抜かりない

     今回の特集で、数年前に知り合った富裕層の方々と久しぶりに再会しました。コロナ禍を経て資産を減らした人もいれば増やした人もいて、不謹慎かもしれませんが、その各人各様のエピソードがなかなか興味深い。プライベートバンカーや税理士、資産家仲間など、彼らの周りにはさまざまなプロがおり、そこからもたらされる情報で「もうけた」「損した」と話題は尽きません。
     富裕層といっても資産の中身は千差万別ですし、お金の使い道も人それぞれ。ただし必ず共通の話題となるのが健康です。高額サプリメントなどに皆詳しく、健康への投資も抜かりないようです。数年後にまた再会したとき、その投資効果が分かるかもしれません。

  • 副編集長 大矢博之

    時代のトレンドを反映していた高額納税者公示制度

     かつて5月の風物詩といえば長者番付でした。高額納税者の氏名や住所が税務署に掲示されるという、個人情報保護の意識が浸透した今となっては信じられないような制度があったのです。
     子供の頃の私も、長者番付の記事はひそかな楽しみ。芸能人や文化人の番付を見て、とんねるずの2人で差があるのはなぜなんだろうと疑問に思ったり、「ドラゴンクエスト」生みの親の堀井雄二さんの番付入りに、「これからはゲームの時代だ」と想像を膨らませたりしていました。
     時代のトレンドを反映していた長者番付。今も存続していたならば、ユーチューバーなども番付入りしていたのでしょうか。絶対に無理だとは分かっていますが、復活してほしい制度です。

最新号の案内2024年5月25日号

表紙

特集億万長者 カネを生む知恵

日本国民の実質賃金がマイナスとなる中、純金融資産1億円以上の富裕層は約150万世帯に達するとされ、拡大を続けている。歴史的な円安や金利上昇局面において、彼らは資産をいかに生み出し、守っているのか。億万長者のお金事情に迫る。

特集2石油ムラ 大異変

2代続けてのセクハラでENEOSホールディングスは、旧日本石油出身者から旧東燃出身者へトップが代わった。出光興産のトップ人事では非主流派の起用も取り沙汰される。コスモエネルギーホールディングスは、異例の資本提携に踏み切った。石油元売り業界は…