2014年4月1日、無料通話・メッセージアプリ「LINE」の利用者数が世界で4億人を突破した。日本発のサービスが成し遂げた快挙に、インターネット業界にお祝いムードが漂っている。
渋谷のLINE本社には、胡蝶蘭やLINEキャラクターに似せた花などが次々と届き、受付に並んだ花でオフィス内にその匂いが充満するほどである。
ただ、LINE社員は淡々としている。4億人突破の一報に際しても、パソコンに向かう手を止めるぐらいで、すぐに通常業務に戻ったという。イベントを開かないのも、「年内5億人目標の通過点にすぎない」と考えているからだ。
LINEは、11年6月23日にサービスを開始して以来、利用者数を伸ばし続けている。国内利用者は5000万人を超え、スペインやタイ、インドなど世界に浸透している。
当初は、575日間かけて1億人を突破したものの、その後一気に加速。184日間で2億人に到達し、3億人と4億人に至るまでは、各127日間しかかかっていない。この勢いが続けば、8月上旬に5億人を達成できるほどだ。
LINEの特徴は、スマートフォン上で親しい人とメール感覚でやりとりできる「メッセージ機能」と、絵文字のように感情表現をできる「スタンプ機能」にある。アプリ同士の「無料通話機能」も人気で、一部端末では一般の電話にもかけられるようになった。
驚くべきは、その利用率である。ある大手キャリアが14年1月に実施した国内調査では、スマホ利用者の74%がLINEを月1回以上利用していた。特に、「10~20代の女性」の利用率が90%を超え、もはや携帯メールに替わる〝インフラ〟と化しているのだ。
世界で見れば、このようなアプリはLINEだけでない。主要なアプリはLINE同様に急成長し、ネット業界に大きなうねりを起こしている。
記憶に新しいのは、今年2月に米フェイスブックが「ワッツアップ」というメッセージアプリの提供企業を、買収すると発表したことであろう。総額190億㌦(1・9兆円)もの大枚をはたいたのである。楽天もこのタイミングで、「Viber(バイバー)」を9億㌦(900億円)で買収した。