その日立が14年3月期に23年ぶりの過去最高益を更新しました。にわかに電機業界の“勝ち組”へと躍り出たようにみえます。
特集では、復活を主導した希代の経営者・中西CEOの内実に迫りました。豪腕と評されるとおり、人事で組織を動かす中西流の大胆施策に、本体のみならずグループ950社に激震が走っています。
また、日立復活を支えたもう1人の立役者が川村隆・前日立会長です。陰に陽に、絶対的な安定感で中西CEOを支えました。本誌では、6月の相談役退任を控えて川村前会長がしたためた、渾身のメッセージ「川村書簡」を入手し、誌面上で公開しています。
復活を遂げた日立ですが、米ゼネラル・エレクトリック(GE)、独シーメンスといった世界の巨人と比べれば、規模・収益性の差は覆うべくもありません。
6月末には、重電・エネルギー業界で、世界のリーディングカンパニーがそろい踏みした大再編劇が繰り広げられました。GEとシーメンスが仏重電大手アルストムをめぐって争奪戦が勃発したのです。
奪われるくらいなら取りにいく──。中西CEOが「M&Aの流儀が変わった」と表現するように、
企業の沽券と存続をかけた買収合戦が展開されています。
しかし、この世紀のビッグディールの放出にも、日系重電3社は“脇役”としてしか参戦することができませんでした。この先もまた、日系メーカーがメガ再編の主役に躍り出ることはないのでしょうか。
ビッグディールの余韻が残るこのタイミングで、中西CEO、東原敏昭・日立社長、宮永・三菱重工社長、田中久雄・東芝社長の4首脳の直撃インタビューに成功しました。
日系メーカーは重電メガ再編で生き残れるのか。何とか、日系メーカー“反撃”のシナリオを描いていきたいものです。その一つの選択肢として、われわれは、重電業界の大同団結が必要だと考えています。