記事一覧:World Scope ワールドスコープ669件
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【from 欧州】 崩壊した再生可能エネルギーバブル スペインの新たな火種
2013年8月31日号世界で最も成功したといわれたスペインの再生可能エネルギー普及策は、巨額の累積債務を抱え事実上破綻し、足元では大幅な制度改革に着手している。スペインは1990年代半ば以降、恵まれた自然条件や地形を生かし、風力、太陽光などの再生可能エネルギーの普及促進に国を挙げて取り組んだ。その結果、2012年時点で同エネルギーは電源別の発電電力量で最も多い32%を占めている。普及を後押ししたのが、政府からの補助金投入による固定価格買い取り制度(Feed‐in‐Tariff、以下FIT)だ。
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【from 米国】 民主化擁護と軍事援助 エジプトで噴き出す矛盾 オバマの最悪の「夏休み」
2013年8月31日号出来事を「点」ではなく、「線」で見ていると、大きな矛盾が浮上することがある。オバマ大統領は、日本のお盆休みと同時期に夏休みを取ったが、過去の政策や発言との矛盾にさいなまれ、大統領になって最悪の休みとなった。まず、エジプト情勢だ。治安部隊とモルシ前大統領支持派の衝突が始まって約1カ月。エジプト保健省によると、8月14日だけで国内各地の死亡者は638人、負傷者は約4000人と、大惨事になった。これを受けて、オバマ大統領は15日、声明を発表。エジプト暫定政権による前大統領支持派の強制排除を「米国は市民に対する暴力を非難する」と批判した。
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【from 中国】 景気減速でも物価上昇 北京で体感したスタグフレーション
2013年8月24日号7月末、筆者は北京の街を歩いていた。2008年の北京五輪の前後と比べると、交通渋滞は若干緩和し、地下鉄の本数は増え、便利になった。毎朝ランニングをするが、空気は依然汚く、肺が痛くなる。街は落ち着きを見せているようにも感じられた。都市の成熟を意味するのか、景気の後退を意味するのか。ビジネス街として繁栄する長安街の東部エリアにやって来た。2年半前までよく食べていた5.5元のパンが8元に、20元のラーメンが38元に高騰していた。後者に関しては量が少なくなり、麺はコシを失っているようにも感じられた。「なぜこんなに高くなったんですか?」と店員に問うと、「私はアルバイトなんで。わかりません」とのこと。無愛想さは変わらない。
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【from アジア】 為替安定を最優先 経済政策の手足を縛られたインド
2013年8月24日号「景気が停滞している状況を踏まえれば利下げが合理的な対応だが、ルピー相場が不安定なため金利を変更できない」。7月30日、インド準備銀行(中央銀行)は金融政策の手足を縛られていることを認め、政策金利を据え置いた。確かにインドの景気は停滞している。昨年度(2012年4月~13年3月)の成長率は過去10年で最も低い5%だった。ひところの9%成長には程遠い状況だ。
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【from 米国】 シカゴ・サンタイムズ紙フォトグラファー全員解雇の衝撃
2013年8月17日号5月末、シカゴの新聞社、シカゴ・サンタイムズが28人の正社員フォトグラファーを全員解雇した。その1人で社歴28年のベテラン、57歳のスコット・スチュワートはこう語る。「腹をいきなり足で蹴られた感じ。突然のミーティングが招集され、久しぶりに新しい機材が入るのかと期待して行ったら、ボスが30秒で解雇を言い渡して去っていった。社員証は没収され、俺たちはその瞬間から、ニューズルームに戻ることすら許されなかった」
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【from 欧州】 米諜報機関NSAの産業スパイ疑惑で揺れる米欧関係
2013年8月17日号日本のメディアはあまり伝えていないが、欧州では米国の国家安全保障局(NSA)による盗聴が大きな政治問題となっている。「同盟国を盗聴することは許されない。冷戦はすでに終わっている。技術的に可能なことなら何でもやってよいというわけではない」。普段は言葉づかいに慎重なドイツのメルケル首相は今年7月、珍しく強い口調で米国を批判した。
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【from 中国】 「袖の下」は命懸け? 当局が汚職撲滅を強化 GSK摘発で戦々恐々
2013年8月3日号中国ビジネスに袖の下は欠かせないという人がいる。そんな中で製薬会社のグラクソ・スミスクライン社(以下、GSK)の贈賄事件が発覚し、これをきっかけに国家発展改革委員会がGSKなど外資と、中国の上場企業10社を含む製薬会社60社に対して調査を始めた。中国ではまだ医薬分業が徹底されておらず、医薬品市場の約8割を病院が占め、病院の収入のうち約4割を薬品販売が占めている。このような状況の中、中国の医薬業界では、販売額の20%を病院側にキックバックするといったグレーな取引が行われているといわれており、調査を受けている企業は戦々恐々としていることだろう。
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【from 欧州】 南欧の混乱を見てもユーロ導入に踏み切る東欧諸国の“トラウマ”
2013年8月3日号レミング(小ネズミ)が競って海へ進む集団自殺の話は都市伝説だが、それに近い愚行が東欧で行われようとしている。ポーランドは東欧の奇跡と呼ばれている。リーマンショックが吹き荒れた2009年は欧州連合(EU)のGDP(国内総生産)が4.3%も落ち込んだ。しかしポーランドはEU27カ国中唯一のプラス成長(1.6%)を示し、10年は3.9%、11年は4.3%の成長を遂げた。昨年もEUの停滞を尻目に1.9%の成長を達成した。
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【from 米国】 世界を旅して稼ぐトラベル・ブロガーへの“狭き門”
2013年7月27日号世界の好きな場所を旅して、旅行記を書いて生計を立てられたら──。そんな夢を持つブロガーたちが増加中だ。ロサンゼルスで開催された「トラベル・ショー」では、プロのトラベル・ライターやエディターが集い、ブロガー志望者たちに稼ぐ秘策を披露した。「単なる都市の紹介文や穴場情報ではダメ。私なら読者の心にグッと訴えかけてくる話を読みたい」
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【from 欧州】 順調に再建進めるアイルランドが断つべき“禍根”
2013年7月20日号アイルランドは、欧州で最も低い法人税率と英語圏であることを競争力の源泉に、1990年代から高い経済成長を達成していたが、2000年代前半に、欧州中央銀行(ECB)が当時不景気だったドイツを支えるためにユーロ圏の金利を低く抑えたことで、国内経済は過熱していくことになった。リーマンショックを契機とした不動産価格の急落で、銀行は巨額の損失を抱えることとなり、08年10月、アイルランドは、金融システムの安定化を目的に、銀行の債務に対して全面的な政府保証を行った。これで銀行は損失処理に必要な資金を国から調達できたが、一方政府は、支援に必要な資金を無制限に供給する義務が生じた。
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【from 米国】 同性婚を認めた最高裁判断が示す米国のダイナミズム
2013年7月20日号毎年6月の終わり、米ワシントンの連邦最高裁判所は、連日メディアの注目の的となる。最高裁判事が集中して審理を開き、世間が注目する多くの案件について「違憲」「合憲」の判断を下すからだ。6月27日、婚姻を男女間に定める「結婚防衛法(DOMA)」を違憲とする判断が言い渡され、同性愛者の結婚に道が開かれた。
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【from 米国】 成長戦略は賛否両論 投資家が不満を抱く日本の企業統治軽視
2013年7月13日号「成長戦略である『第3の矢』が確実に成功するかどうか、7月の選挙を注意深く見ている」(米保険大手プルデンシャル・ファイナンシャル) 「デフレから脱しそうだが、日本株見通しは『中立』にとどめる。労働市場の柔軟化を求めたい」(英大手銀行バークレイズ) 最近、米ウォール街の金融機関が開催するアナリスト説明会では、必ず日本経済が紹介される。中でも、安倍政権が打ち出したアベノミクスの「第3の矢」である成長戦略は注目の的だ。
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【from 中国】 黒幕“影の銀行”が蔓延させる「銭荒」と不動産バブル
2013年7月13日号「理財商品買ってくれませんか?」──。6月22日正午、北京のビジネス街にある国際貿易中心内の中国工商銀行。窓口に座った途端、顔見知りの女性銀行員が勧めてきた。 「どうしたんですか、急に?」 冗談半分に聞き返すと、彼女は切羽詰まった様子でつぶやいた。 「いま銀行にお金がないんです」 他国と比べても、中国の通貨供給量(M2)は断然多い。この数カ月は前年同期比約15%増で推移している。にもかかわらず、4大銀行の一角を占める工商銀行に“お金がない”とは、まさに異常事態だ。21日夜、同行ATMで現金を引き出そうとしたが「システム上の理由」で引き出せなかった。
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【from アジア】 外国人受け入れを抑制するシンガポール 様変わりの“開放国家”
2013年7月6日号7月1日より、シンガポールの外国人雇用規制が一層強化される。かつては積極的に外国人を受け入れて高度成長を遂げた同国だが、2009年からは受け入れ抑制にかじを切っているのが実態だ。外国人労働者は、単純労働者、高卒程度の中間スキル労働者、大卒の管理・専門職と大まかに3分類される。09年以降は、3分類とも受け入れが抑制されてきた。
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【from 欧州】 太陽光部品とワイン 中国とEUの間で貿易戦争勃発?
2013年7月6日号太陽光モジュールのダンピング問題をめぐり、中国と欧州連合(EU)の対立がエスカレートする様相を見せており、貿易戦争の勃発を懸念する声も出始めた。EUは中国からの太陽光モジュールについて「ダンピングの疑いが濃い」として、6月6日に11.8%の制裁関税の適用を開始。これは一種の「警告」であり、EUは今後2カ月間に中国側が妥協しない場合には、税率を47.6%に引き上げる。
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【from 米国】 シリコンバレーの投資をゲットするための登竜門 ピッチ・コンテストとは?
2013年6月29日号「え? すみません、もう一度言ってもらえますか?」──。スペインからやって来たその起業家は、ずらっと並んだシリコンバレーの投資家たちに向かい、スペイン語なまりの英語でそう言った。アメリカ人投資家たちから矢継ぎ早に発せられた質問の英語が早過ぎて聞き取れなかったのだ。彼が立っているのはシリコンバレーで開催された「スタートアップ・カンファレンス」の壇上。世界25カ国のスタートアップ企業(新しいビジネスモデルで急成長する企業)200社がエントリーしたピッチ・コンテストの決勝戦には3社が残った。彼はそのうちの1社の社長で創業者なのだ。
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【from 欧州】 「ユーロの優等生」ポルトガルの反乱 広がる反緊縮の動き
2013年6月29日号昨年、ドイツのショイブレ財務相はポルトガルのことを「ユーロの優等生」と評した。緊縮財政案を受け入れ、スペインのような過激なデモは行わず、ギリシャのような暴動も発生していないからだ。しかしその優等生の我慢も限界に達しつつある。国民がここまで憤りを感じるのは1974年に独裁ファシスト政府を倒そうと立ち上がったとき以来であろう。
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【from 米国】 性産業に対する日米の“温度差” 橋下発言の余波
2013年6月22日号英有力誌「エコノミスト」が、アベノミクスを特集した5月18日号の記事は、東京のソープランドの描写から始まる。サービスのハイエンドである「マッサージ」が、1990年以来初めて6万円を回復し、人気も上々という話だ。これをソープランド業界では「泡ノミクス」と呼んでいるという。
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【from 中国】 日本車のシェア回復 不買運動は一過性 安易な撤退は禁物
2013年6月22日号日本政府による尖閣諸島国有化をきっかけとして、中国で過去最大規模の反日デモが発生してから9カ月が経過した。当時は日本のメディアでもほぼ毎日のように中国の反日デモの様子や中国を撤退する企業に関する報道が流れていたが、中国にいる邦人は蘇州、青島、長沙のような都市に所在している直接的にデモの被害に遭った企業でもない限り、日本で報道されている内容に対して非常に温度差、違和感を覚えていたように思う。例えば上海では破壊的活動はなく、2005年に発生した反日デモの激しさと比べると比較的落ち着いたものであったからだ。
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【from 欧州】 高額の役員報酬に高まる市民の不満 広がる制限の強化
2013年6月15日号リーマンショック以降、ヨーロッパでは銀行など大手企業の役員らが巨額の報酬を受け取っていることについて、市民の間で強い批判が高まっていた。今年に入って、一部の国々では役員報酬を法律によって制限する動きが本格化している。