記事一覧:Book Reviews 書林探索140件
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Book Reviews 書林探索
自社領域にのみ参入障壁を築く 勝ち組の秘訣を紹介する良書
2014年5月24日号日本の製造業は、もはや単なる技術優位性だけを誇る「ものづくり」や「匠の技」だけでは勝てない。では、勝ち組は実際何をしているのか。実は、技術競争と共に、ビジネスモデル(事業業態と商品形態)の構築競争があったのだ。
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大人が立ち往生する素朴な難問 日本を代表する哲学者の問答集
2014年5月17日号ある進学塾が生徒の保護者向けに発行している会報誌に連載されたコラムを本にまとめたもの。子どもたちは次から次へと質問を発するが、これらの一見素朴な質問は、しばしば根源的で難しくて大人を立ち往生させる。編著者によると、哲学的らしい問い(例えば「なぜ働くのだろう」)を発することは子どもでもできるが、この問いを定式化して問い続けることには独特の技術と力を要するので、子どもにはできない。そこで、哲学者の出番だ。素朴で根源的で一筋縄では答えられないような問題に対して、ベテランの哲学者2人ずつが、あたかも子どもに教えるように、答えを競作する趣向になっている。
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究極の問題「宇宙の終焉」 謎に挑む知的営為の大切さ
2014年5月3日号宇宙はどのようにして始まり、どのようにして終わるのか。これは、人類あるいはこの宇宙に存在している全ての生命体にとっての最大かつ究極の問題である。われわれが宇宙について科学的に合意を得てきたことは、(1)宇宙ができてから約138億年が経過していること、(2)宇宙の始まりにはビッグバンがあり、それから宇宙は膨張を続けていること、(3)宇宙を構成する物質のうち、われわれがその存在を確認できていない暗黒物質がかなりの比率を占めていることなどである。
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米国の戦後金融危機に正面対峙 元FRB議長の一級の評伝
2014年4月26日号本書を手にするまで、すっかり誤解していた。1980年代初頭の高インフレに対し、ボルカーFRB議長が金融政策の操作目標を金利から貨幣供給量に変更したのは、高金利政策への政治的反発を避けるべく、量のコントロールというマネタリストの主張を隠れみのにしたためだと思い込んでいた。当時のマネタリストとケインジアンの政策論争では、前者代表のフリードマン教授も後者代表のブラインダー教授も同様の見解を取っていた。
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子や孫の未来を食いつぶす 社会保障危機「放置」の現実
2014年4月19日号日本の社会保障は大丈夫かと、多くの人が不安に思っているだろう。「みんなの安心をもっと。ずっと。消費税は8%に。」と書かれたポスターが病院に張ってあるが、本書は、少しも安心ではないことを説得的に示している。
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大きく変容した金融システム 日本の方策を小気味よく論じる
2014年4月12日号リーマンショックや欧州債務危機を契機に、最近の国際的な金融規制は、それまでの自由化・規制緩和の流れから危機回避に向けた監督強化へと大きく変容している。最近の国際金融システムはなぜ不安定化したのか。また、金融システムの安定性を確保するには、今日、どのような対応が必要なのだろうか。本書は、このような多くの人々が抱く疑問に対する解答を、1980年代以降に金融システムが変化した背景を概観しながら模索した優れた啓蒙書である。
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ベアだけでは解決せぬ社会問題 「子どもの貧困」への処方箋
2014年4月5日号本書は、衝撃にも近い反響を呼んだ同著者による『子どもの貧困』(岩波新書)の続編である。この本は、今の日本に、「貧困」と呼ぶべき状態にある子どもが大勢いることを世に知らしめた。日本の社会政策に大きな反省を迫った同書は、橘木俊詔『日本の経済格差』(岩波新書)と共に、この分野の双璧を成す書物になった。本書はその後の検証を踏まえ、あらためて子どもの貧困の実情を伝えるとともに、前著よりも政策に踏み込んだ内容の議論を展開している。
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倒産寸前から勝ち組酒蔵へ しがらみ打破の逆転発想経営
2014年3月29日号日本食がユネスコの無形文化遺産に認定され、日本酒もパリやニューヨークで大いにブームとなっている。そのような日本文化のグローバル浸透のリーダーの一角を担っているのが、純米大吟醸酒の「獺祭」だ。獺祭は純米大吟醸酒市場でシェア5%を占める最大ブランドであり、いまやなかなか入手困難である。
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経済でたどる人類の歴史 「大いなる実験」の行方
2014年3月22日号この書評を書いていてお腹がすいてきた私は、外のレストランに入ってカレーを食べた。食事を済ませ代金を払う。日本では現金決済が多いが、カードを使うこともある。移動にはタクシーやバス、電車を使う。こうした生活は、戦争や大災害でも起きない限り大多数の人類にとって「当たり前」になっている。
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ビッグデータで増えるノイズ 「予測」の精度を高める手法
2014年3月15日号仕事であれ、私的生活であれ、人生は大小の意思決定の連続である。そして、あらゆる意思決定は予測と予想に左右される。本書の著者は、2008年米国大統領選挙で50州中49州の結果の予測を当て、12年の大統領選の予測では50州の結果をすべて的中させて注目された、データ分析と予測の専門家である。
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本当に必要か、何を担うべきか 新しい経済学で問う「中央銀行」
2014年3月8日号本書は中央銀行制度をめぐる問題について、新制度経済学、組織の経済学、比較制度分析などの経済理論に基づいて検討を加えたものである。中央銀行について書かれた著作、金融政策について書かれた著作はたくさんあるが、中央銀行制度について、新制度経済学の立場から分析した研究は評者が知る限り本書が唯一のものであり、極めて重要な貢献である。
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先進国の停滞の真因は何か? 政府の膨張で劣化する市民社会
2014年3月1日号世界経済を大混乱に陥れたリーマンショックから5年以上が経過した。金融問題も最終局面に入り、米国を中心に、世界経済は元の高い成長に復帰すると考える人が増えている。しかし、これはどこかで聞いた話ではないか。10年前の日本では、金融問題こそが停滞の元凶で、それを解決すれば元の高い成長に戻ると多くの人は信じた。確かに金融問題は解決されたが、停滞は今も続いている。いったい、何が問題なのか。
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日本医療の発展を邪魔する 大学医学部の旧態依然
2014年2月22日号社会の発展は、その成員の優れた能力をどう生かすかによると私は思っている。中国は科挙という試験勉強にその成員の能力を費やしたが、発展はできなかった。その後は、政治闘争に費やし、政治闘争が減ると素晴らしい経済発展を始めた。経済が発展すれば、軍備増強も可能になり、広大な市場を見てひれ伏す国も出てくる。中国の目的がアヘン戦争以来の屈辱を晴らすことなら、もっと早くから、そうしていればよかったのにと私は思う。
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大きく変化した企業の競争環境 独占禁止法が抱える課題
2014年2月15日号本書は、独占禁止法の基礎を経済学的観点から長年研究し、公正取引委員会の委員として実務面からも活躍した著者による優れた啓蒙書である。独占禁止法がいかなる役割を果たしているかを、実際の事例に触れながら幅広い議論が展開されている。関連する競争政策の説明も平易にかつバランスよく行われており、この分野になじみのない読者にとっては格好の入門書である。後半では、グローバル化や急速な技術革新の進展に伴う独占禁止法の新たな課題も取り扱われ、全体として読み応えのある本に仕上がっている。
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誰でも最高の授業を受けられる 無料オンライン講義の潜在力
2014年2月8日号19世紀の末に、英国で「大学拡張運動」というのがあった。大学に蓄積された高度な知識を、大学に進学する機会を持たない人々にも広めようと、名だたる大学が公開講義を行ったり、講師を地方に派遣するなどして、学問系統を問わず多くの講義を行った。集まった聴衆の熱意はすさまじく、初めはしぶしぶの感があった講師たちもその手応えに魅了され、中には本職をなげうって拡張講義に専念する者まで現れた。この運動が基になって、今日のオープン・ユニバーシティができた。テレビとラジオを使うことで、拡張の範囲はさらに広がっていった。日本の放送大学も、これを一つのモデルにしたといわれている。
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世界ではかすむ日本のリーダー 必要な骨太の価値観と思考訓練
2014年2月1日号日本は世界の人々から、優しさやおもてなしの心を持つ国民として愛され、安全や秩序、安定感を持つ国として高く評価されている。その一方で、世界のリーダーやエリートたちの中ではいかにも存在感が薄い。
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日本における経済知識の歴史 空白を埋めるインタビュー記録
2014年1月25日号かつて日本でエコノミストといえば、かなり独特の存在であった。それは経済学者とは異なる実際経済の予測と評価を任務とする人々の総称であり、官庁エコノミスト、民間エコノミストの存在ほど、日本における経済知識のありようを示す格好の題材はない。
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仮説・検証を重ね解かれる謎 ミツバチの意思決定プロセス
2014年1月18日号著者は、ミツバチが餌のある場所を仲間に伝えるダンスを解読してノーベル賞を受賞したカール・フォン・フリッシュの孫弟子に当たる。本書は、ミツバチが巣分かれ(分蜂)するときに、新しい巣を作る場所について集団意思決定をし、その巣まで移るプロセスについて多くの謎解きをした記録と自伝である。
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1960年を境にした世代の断層 一変した日本人の生活様式
2014年1月11日号2013年12月4日付でユネスコの世界無形文化遺産に和食が登録された。この背景には、世界中で日本食のヘルシーさや美味しさが認識されてきたという面だけではなく、日本の食文化の継承に危機感を覚えた京料理の関係者が、農林水産省や文化庁に働きかけて登録されたという面もある。
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日本が先頭を走る収縮の時代 新しい民主主義への希望
2013年12月28日号持続的な経済成長の時代は、産業革命をきっかけに始まった。それは、ちょうど議会制民主主義が発達した時代とも重なる。つまり、現代の政治システムは、スタート段階から成長の果実である税収の分配を主たる対象としてきたから、人口オーナス問題に伴うさまざまなコストの分担の決定が苦手なのだ。10年前まで、日本の政治だけが何も決められないと非難されていた。今では多くの先進国も同様だ。経済的な成功故に、出生率の急激な低下が起こり、最も早いタイミングで日本に人口オーナス時代が到来しただけだった。