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特集 Part2
【Column】 【謎解き 5】 迫る「双子の赤字」 経常収支はどうなる!?
2013年04月06日号日本の貿易収支は、2011年以降、赤字が続いている。輸出の低迷と、原発の停止による原油・LNGの輸入増大、そしてそれらのエネルギー資源価格自体が高止まりしていることが原因だ。これにより、日本全体でのお金の収支を示す経常収支も赤字化するのではないかと懸念されている。現在は、海外への証券投資や企業の海外子会社の収益などの所得収支の黒字で、経常収支も黒字を維持している。
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特集 Part3
【Break Time 2】 金銭的余裕と祝い事増加の象徴 すし代が増えると株価も上がる
2013年04月06日号すしといえば、日本を代表する料理である。今ではヘルシーな食事として、海外でも「すしバー」などが作られ、人気が高い。すしは、昔から、祝い事の際に食べられたりする。最近では、リーズナブルな価格の店も増え、気軽にすしが食べられるようになった。しかし、家族で外食するときや、職場の同僚と食事をするときに、すし屋に行こうというのは、やはり、よい出来事があった場合が多いだろう。このように伝統的な日本食であるすしは、日本人の食生活と深く関わりがある。その上、わが国の経済や株価と関係が強いものなのである。
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特集 Part3
【Break Time 1】 動き始めた富裕層の高額消費 中間層の消費はいま一つ
2013年04月06日号3月といえば就職祝い、進学祝いの季節だ。お祝いに腕時計を贈るというのは定番の一つ。高島屋日本橋店では、お祝い用の腕時計の販売単価が上昇している。従来であれば、国産メーカーの数万円の商品がメインだったが、今年は十数万~二十数万円の腕時計を購入するケースが増えている。
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特集 Part3
【謎解き 11】 白川体制との違いをアピール 「黒田日銀」の多難な船出
2013年04月06日号結論から言えば“巧みな”プレゼンテーションだった。3月21日に開催された、黒田東彦・日本銀行新総裁の就任会見のことだ。例えば「デフレの原因は何か」という質問に対し、考えられる複数の要因に言及した上で、「原因が何であるかにかかわらず、物価安定を確保する責務は中央銀行にある」と責任の所在を明確にした。また、「2年以内に2%のインフレ目標を達成すべきであるし、それは可能である」「できることは何でもやる」と繰り返し発言したことも印象的だった。
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特集 Part3
【謎解き 10】 金融緩和の裏に潜むリスク 金利上昇の引き金は何か
2013年04月06日号「アベノミクスをレポートで批判しないように」──。ある大手証券のエコノミストは、安倍政権の経済政策に水を差さないよう社内に大号令がかかっていると明かす。証券会社にしてみれば、政治的な金融緩和圧力に基づく株高は、投資家の取引を活発化させ収益を拡大させる要因であり、大歓迎だからだ。だが、確実にリスクが高まりつつあることは指摘しておく必要があるだろう。財政赤字の拡大を尻目に、3月22日には10年国債の利回りは0.5%台と歴史的な低水準をつけたのだ。
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特集 Part3
【謎解き 9】 2%物価目標は高いハードル 需要喚起だけでは難しい理由
2013年04月06日号消費者物価上昇率2%の物価目標を掲げる政府・日本銀行の取り組みは、これまでのところ財政出動や金融緩和の強化など、総需要の喚起策が中心となっている。日本のデフレには二つの重要な特徴がある。第1に、デフレが長期にわたっていること。1990年代半ば以降、15年以上にわたって物価下落が続いており、長期デフレといってよい状況にある。しかしデフレの速度という観点で見ると、マイナス幅は大きいときでも2%であり、均して見れば1%弱に過ぎない。その意味で日本のデフレは緩やかといえる。これが第2の特徴だ。世界におけるデフレの事例は極めて限られているが、米国の大恐慌期のデフレと比べると、この二つの特徴はより明らかとなる。31年から33年にかけて米国の物価水準は下落したが、その速度は年率8%超である。一方、デフレ自体は約2年で終息しており、継続期間は比較的短い。この二つの事例は国も違えば時代も違うので、デフレ率と継続期間の彼我の差が何に起因するのかを特定するのは容易ではないが、原因の一つと考えられるのが、メーカーや流通業者の価格設定行動の違いである。
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特集 Part3
【謎解き 8】 大胆な金融緩和だけで デフレ脱却できるのか?
2013年04月06日号「経済政策というよりは、政治的ギャンブルだ」──。とある政府高官はアベノミクスをこう表現する。経済学的な理屈ではなく、ひたすら日本銀行に圧力をかけて“爆発的”に金融緩和すればデフレから脱却できると考えるのは、賭けのようなものだというのだ。「安倍晋三首相は1本目の矢(金融政策)しか頭にない」と、この政府高官の表情は暗い。 安倍首相をはじめ、日銀に一層の金融緩和を求める主張には、必ずしも明確な効果の波及経路が説明されていないことが多い。そこで、まずはその経路を改めて確認しておこう。いわゆる非伝統的金融政策の波及経路はおよそ図2‐5の通りだ。短期金利が長らくゼロ水準で推移する中、日銀は長期国債や社債、REIT(不動産投資信託)などリスク資産を購入し、自身のバランスシートを拡大し続けている。
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特集 Part4
【謎解き 16】 消費増税で財政再建できるか 負担はどれくらい増える?
2013年04月06日号財政健全化のための消費税率引き上げを確実に実施するために、今後も追加で財政出動を行う──。何とも矛盾した話だが、これが市場関係者のコンセンサスだ。2012年度の補正予算も、14年4月の消費税率引き上げの可否を決定する今年の秋口の時点で景気を落ち込ませないために編成された。税率引き上げ前には駆け込み需要が生じ、引き上げ後にはその反動と税率引き上げで景気は冷え込む。それを放置しておいては、15年10月の消費税率引き上げに差し障る。引き上げを担保するために、再び財政による景気刺激策が講じられる公算が大きい。
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特集 Part4
【Column】 【謎解き 15】 社会保障費削減は不可避 年金や医療費はどうなる?
2013年04月06日号安倍政権の狙い通りに名目成長率3%を達成できても、痛みを伴う年金や医療費など社会保障費の削減をせずに財政再建は果たせない。では、どの程度社会保障費を削減すればいいのか。図3‐13は、ニッセイ基礎研究所の押久保直也研究員が、名目成長率3%を前提として、社会保障費の伸び率がマイナス1%、0%、1%、2%、3%の五つのケースについて、それぞれ政府の総債務残高の対GDP比率の今後の推移をシミュレーションしたものだ。
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特集 Part4
【謎解き 14】 シミュレーションで徹底検証 本当に財政再建できるのか
2013年04月06日号第2の矢として機動的な財政政策を打ち出し、財政赤字を拡大させた安倍政権だが、2020年度にプライマリーバランス(基礎的財政収支。キーワード参照)を黒字化するという財政再建に向けた国際公約は堅持する姿勢を見せている。はたして安倍マジックで財政再建はできるのか。図3‐9、3‐10は、BNPパリバ証券が行った安倍政権の経済政策に基づく財政シミュレーションだ。13年度末と15年度前半にそれぞれ10兆円程度の補正予算が編成されることを前提に、(1)楽観シナリオ、(2)悲観シナリオ、(3)悲観シナリオを避けるために金利を低く抑制するシナリオの三つがある。(1)の楽観シナリオでは、日本銀行が大量に国債を購入し金融緩和を拡大することでインフレ2%が達成される。16年度以降の実質経済成長率は0.3%とし、長期金利は3.3%程度と緩やかな上昇にとどまる。社会保障費については自然増が続く前提だ。
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特集 Part4
【謎解き 13】 借金だらけの日本の国債に なぜ買い手がいるのか
2013年04月06日号欧州財政危機に絡んで、ギリシャ、イタリア、スペインなど財政状態が悪い国の国債利回りが急上昇したというニュースを耳にした読者も少なくないだろう。利回りが上昇するということは、その国の国債が敬遠され売られて価格が低下することだ。だから、財政が悪い国の国債の利回りは高くなる。国債利回りはその国の金利の指標だから、国債の利回り上昇すなわち金利の上昇だ。ここで、金利と国債などの債券価格の関係を説明しよう。債券には発行された時点の市場金利に相当する利率がある。市場金利が5%なら、そのときに発行される債券の利率も5%になる。その債券を、発行時に100万円分購入したとすると、1年間で受け取る利息は5万円だ。
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特集 Part4
【謎解き 12】 公共事業で景気はよくなるか 疑わしい景気への即効性
2013年04月06日号建設工事に不可欠な生コン。通常は、セメント工場から工事現場までセメント業者に運んでもらい運搬料込みで建設業者が代金を支払う。しかし、東北の被災地では今、建設業者側が自ら車を手配してセメント工場まで取りに来るように言われるケースもある。生コンはミキサー車で撹拌しながら運搬しなければ固まってしまうので、遠方から持ってくることができない。そのため、復興工事が集中している被災地では、生コンが不足し、セメント業者の立場が強くなっている。当然、生コンの価格は上昇している。不足しているのは生コンのような資材だけではない。人手も足りない。日本銀行企業短期経済観測調査(日銀短観)の全国ベースの雇用人員判断DI(マイナスが不足)の建設業は、2011年6月のプラス12をピークに急速に労働需給が逼迫している。昨年12月時点ではマイナス10にまで不足幅が拡大した。東北地方に限定すると、建設業が含まれる非製造業の不足幅は昨年12月時点でマイナス18だ。
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特集 Part5
【終幕】 安倍マジックのワーストシナリオ トリプル安で景気後退、困窮する生活
2013年04月06日号円安進行と株価上昇で、長らく低迷していた消費者心理も改善し、観客=国民は安倍マジックに沸いている。しかし、マジックには必ずタネがある。見えていることと実際に起きていることは違う。第1幕から4幕まで、安倍マジックの裏で実際にどんなことが起きているのか、起きつつあるのかを見てきた。そこで明らかになったのは、図0‐4で示した安倍晋三首相が思い描く「ベストシナリオ」は、かなりのリスク要因をはらんでいるということだ。そうだとすれば、リスクが現実化したときのワーストシナリオも想定しておかなければならない。
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特集 Part5
【対論】安倍マジックはいつまで持つか 竹中平蔵(慶應義塾大学総合政策学部教授)
2013年04月06日号今年1月、ダボス会議のとあるセッションで、ジョージ・ソロス氏が興味深いことを述べていた。アベノミクスが成功するかどうかは、賃金がいかに早く上がるかだ、と。これは非常に正しい認識だ。賃金は理論的には物価上昇率と生産性の上昇率で決まる。物価が上昇していけば、その分、賃金も上がっていく。ただ、これは必ず遅れる。遅れ方がひどいと国民の不満が増え、アベノミクスは評価されないことになる。同時に生産性も上げていかなければならず、そのためには規制改革が必要だ。
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特集 Part5
【対論】安倍マジックはいつまで持つか 岩本康志(東京大学大学院経済学研究科教授)
2013年04月06日号アベノミクスは、「大胆な金融緩和」による「期待感」をテコにした政策だ。だが実体経済の裏付けがない期待感はバブルにつながる。期待が裏切られれば、バブルは崩壊する。大胆な金融緩和といっても、ゼロ金利の下で、実効性のある手段はなかなかない。一方で、長期国債の大量購入は、将来デフレを脱却して金利を上げるときに、長期国債の価格が下落し日本銀行のバランスシートが毀損する危険がある。リスク資産購入でも同様に、バブルが崩壊するような局面になれば日銀のバランスシートが傷む。日銀は政府の子会社であり、つまりは政府の資産が毀損するという問題だ。
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特集 Part5
【謎解き 20】 成長戦略で景気回復すれば 給料は上がるのか
2013年04月06日号「円安で企業業績が過去最高を更新し続け戦後最長の景気回復期にあった2007年7月、安倍首相は選挙で負けた。賃金が下がり続けたからだ」(根津利三郎・富士通総研エグゼクティブ・フェロー)今年7月に参議院選挙を控える安倍首相が経済界に異例の賃上げ要請をしたのは、そのときの経験からだと根津エグゼクティブ・フェローは分析する。
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特集 Part5
【謎解き 19】 TPP加入の損得 本当に“聖域”を守れるのか
2013年04月06日号TPP(環太平洋戦略的経済連携協定。キーワード参照)加入による経済効果は3.2兆円──。3月15日、安倍首相のTPP交渉参加表明の後に発表された、初めての政府による統一試算である。わざわざ傍点で強調したのには理由がある。普通に考えれば、国益を左右する重大案件を決めるのだから、まず政府として統一的な試算を行いメリットとデメリットを示し、それをたたき台として議論を進めるのが筋だろう。今回の異例ともいえる統一試算の“後出し”には、政府の計算と焦りが透けて見える。
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特集 Part5
【Column】 成長戦略の先を行く新興企業 多様な人材の社会参加を支援
2013年04月06日号働いているメンバー2万2000人超。年齢は10~70代と幅広く、約70%が35歳未満。約60%が東京以外に在住。約90%が個人やフリーランスで、主婦が3割──。こんな多種多様な人材をそろえている会社がある。クラウドソーシング(インターネット上で不特定多数の人を募って仕事を発注するサービス)を手がけるクラウドワークスだ。2012年3月のサービス開始から1年、登録人材は2万2000人を超え、クライアント企業も5000社を突破した。
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特集 Part5
【謎解き 18】 規制改革を断行できるか 主要4テーマと59の論点
2013年04月06日号2012年5月、米国ネバダ州の公道をグーグルが開発中の無人自動車(自動走行車)が走った。同州が3月に自動走行車を公道で走らせることを許可する法律を施行したことで、世界初の実験が可能となったのだ。規制が成長を阻害している日本とは大違いだ。安倍政権は規制改革を成長戦略の核と位置付け、今年1月、およそ3年ぶりに規制改革会議を復活させた。図4‐2はその主たる論点を整理したものだ。(1)健康・医療、(2)エネルギー・環境、(3)雇用、(4)創業・産業の新陳代謝と、大きく四つの分野に分かれており、検討項目は59に及ぶ。
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特集 Part5
【謎解き 17】 成長戦略で日本経済は復活するのか
2013年04月06日号「今のままでは安倍政権の経済政策は持続しない。大胆な金融緩和ではなく成長戦略を1の矢に位置付けるべきだ」森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミストが指摘するように、安倍マジックの命運を握るのが、6月に発表される予定の成長戦略だ。これまで述べてきたように、1の矢の大胆な金融緩和だけでインフレ2%を達成することは至難で、成長戦略によって新たな需要と消費を創出し、潜在成長率(キーワード参照)を高めることが不可欠となる。それだけに、政府が策定している成長戦略への期待は高まっている。