記事一覧:特集 Part32549

  • 特集 Part3
    【日本の格差】 日本社会の問題はむしろ貧困 次の研究に期待

    2015年02月14日号  

    膨大なデータを扱いながら、経済理論は分かりやすい。文学や歴史学も用いて、無味乾燥な経済書にはしなかった。私の支持率は80%です。この本が米国で売れた要因は、一番の格差社会である米国で、国民誰もが関心のある問題を実証的に証明したことでしょう。

  • 特集 Part3
    【資本主義と経済成長】 実力で所得は決まらず 近代の欺瞞暴いた 全面的に支持する

    2015年02月14日号  

    18世紀のフランス革命以後、先進諸国は、選挙権を取り入れて身分や性別による格差をなくした。そのため、誰もが能力に応じて所得や資産が決まる「近代社会」になったと疑っていませんでした。しかし経済的には、それはうそだった。ピケティによると、資本が常に成長率よりも速いスピードで自己増殖し、かつ、その過程で集中化する。それが分散するわけでもない。

  • 特集 Part3
    【日本の格差】 日本の格差決める持ち家 社会は6対4で分断される

    2015年02月14日号  

    米国の最上位0.1%の富裕層は年収が1億5000万円以上ですが、日本では3300万円以上ですから、日本には「スーパーリッチ」はかなり少ない。しかし、これは日本において格差問題が深刻ではない──ということを意味しません。米国・欧州の格差とは異なるということです。

  • 特集 Part3
    【日本の格差】 格差固定化は問題 働かない若者に労役を課しては

    2015年02月14日号  

    日本で格差が議論され始めた20年前と比べ、格差の固定化が進んでいるのは問題です。私が主張してきたのは、機会の平等が保障されれば何とかなるということ。結果の平等を求める声が強い風潮が不満だったのですが、今では機会の平等が失われることを懸念しています。

  • 特集 Part3
    【日本の格差】 膨大な作業で格差拡大を証明 日本も深刻な拡大

    2015年02月14日号  

    あそこまで完璧にデータをそろえたのは衝撃です。私は日本経済研究センターにいた1982年に、賃金センサスを使って、男女間、年齢間、職種間、学歴間とあらゆる階層の賃金格差を調べました。その調査でも、高度成長期には全ての軸で格差が縮小し、低成長の80年代に入ると一気に格差が開いていました。

  • 特集 Part3
    【日本の格差】 中間層没落は懸念 階級対立誘発に利用される不安

    2015年02月14日号  

    ピケティは、米国で格差が生じている要因に、高額報酬を得る「スーパー経営者」の存在を挙げています。あれは本当にやめさせないと。最低だ。報酬は一般社員の10倍が限度ではないでしょうか。あのようなアングロサクソン型資本主義の問題点を経済学者が指摘するのはいいことです。国内の消費を支えるのは中間層。そこが抜け落ちたら、国の経済が滅んでしまう。

  • 特集 Part3
    【日本の格差】 日本の格差は他国よりまし 格差感広がる裏に株価上昇

    2015年02月14日号  

    日本では所得の格差はそう広がっていないし、資産格差も、米国のように取り立てて大きくはありません。確かに日本のジニ係数(所得や資産の平等さを測る指標。0は完全平等で、1に近いほど不平等)は戦後徐々に下がってきて、1970年代をボトムに上がりつつありました。しかしその要因は高齢化や単身世帯の増加であり、格差拡大の結果とは必ずしもいえない、というのが私の研究結果でした。

  • 特集 Part3
    【資本主義と経済成長】 低成長時代も続く 資本の自己増殖 機会の平等確保を

    2015年02月14日号  

    経済成長と資本収益の増加スピードの違いを明確に区別し、過去300年ものデータから緻密に分析したピケティはすごい。支持率は90%です。一方で、ピケティがこの本で示したことは、むしろ「資本主義は必ずしも経済成長を伴うものではない」ということだと私は思います。マルクスは「経済成長しなければ資本主義は終わる」と考えました。しかしピケティが示した過去のデータでは、世界大戦期以外の、成長していない時期の方が長い。

  • 特集 Part3
    【資本主義と経済成長】 社会に警鐘を鳴らす決定版 格差の解決にも成長が必要

    2015年02月14日号  

    最初に読んだとき、18世紀後半に出たマルサスの『人口論』と似ていると思いました。マルサスは「人口は25年ごとに2倍ずつ増加する」と予測し、世界に衝撃を与えました。ピケティも、資本収益率は経済成長率、つまり賃金の伸びを上回っていくものだと主張しています。しかし結局、マルサスの言う通りにはならなかった。ピケティの議論は精緻ですが、資本収益率も、資本が積み上がればどこかでサチュレート(飽和)する。単純に増えていくことはないんじゃないですか。

  • 特集 Part3
    【国家と資本】 論証は粗っぽい実証研究 面白いのは資本課税の論考

    2015年02月14日号  

    この本を最初に読んだのは、英訳が出たときですね。膨大なデータを分析したこと自体はすごい。実証研究としては価値があるものです。しかし、不平等について論じている内容は、経済学の本としてはかなり混乱している。r>gで全てが分かるとはいえないですよ。昔からgではなくrがずっと上がっていると言われても、プロの経済学者は、そこに理論があって初めて納得するわけだから。しかも、rの方が高かったというのはリスクを取った結果であって、一定の比率で資本収益を分配してきたわけでもない。

  • 特集 Part3
    【国家と資本】 資本主義の行方に危機感 国家の強権化は暴走を招く

    2015年02月14日号  

    日本でこの本が売れたのは、邦訳が出る前に「21世紀の資本論」と紹介されたため、マルクスの『資本論』の現代版だと思った人が多かったからでしょう。日本でマルクス主義経済学が退潮し、格差や貧困といった問題を扱う経済学がなくなったことも、ブームの要因だと思います。

  • 特集 Part3
    有識者11人「私はこう読んだ」  ピケティ平均“支持率”は70%

    2015年02月14日号  

    『21世紀の資本』を読んで何を思い、どのように考えたか。日本の格差の議論をリードしてきた有識者や経営者11人にインタビューし、この本への“支持率”と共に聞いた。

  • 特集 Part3
    【BOOK GUIDE】 経済・社会の流れを変えた10冊

    2015年02月14日号  

    『21世紀の資本』はこれまでの常識に疑問を投げ掛け、さまざまな議論を喚起する。今後も長く読み継がれる1冊になるだろう。その先達ともいうべき、日本の経済社会の流れを変えた10の名著をご紹介しよう。

  • 特集 Part3
    日本に先んじ米英で沸騰中 ピケティめぐる経済学論争

    2015年02月14日号  

    昨年春に発売され、ベストセラーとなった米英では日本に先んじて『21世紀の資本』論争が沸騰中だ。データに裏付けられた深い議論も交わされつつある。その最先端をご紹介しよう。

  • 特集 Part3
    国家の思惑が絡み合う 陰謀と戦争の石油世界史

    2015年02月07日号  

    「これは現代の光だ。……この光は王様や廷臣によく似合う」 世界で初めて、石油が掘り当てられたのは1859年8月のことだった。米ペンシルベニア州の片田舎、タイタスビルの農地で、20メートルの井戸から黒い液体がにじみ出ているのが発見されたのだ。掘り当てた男は、自称“大佐”のエドウィン・ドレーク。実は、彼は鉄道の元車掌にすぎなかったのだが、当時、石油掘削の試みは正気の沙汰とは思われていなかったため、偽の称号を用いて、地域住民を安心させていたのだった。

  • 特集 Part3
    【Column】 油価を読み解く近未来年表 カギはシェール企業の決算

    2015年02月07日号  

    今後の原油価格を読み解くには、需要面と供給面でそれぞれ見逃してはいけない重要なポイントがある。まず供給面では、米国のシェールオイル・ガスの生産状況だ。見るべき指標は、油田の掘削装置である「リグ」数の推移。原油生産の先行き動向を示す指標で、減少幅が拡大すれば、供給減少のサインとなる。

  • 特集 Part3
    【シナリオ2 産油国ルート】 財政危機の伝播で膨張する 中東と極東の二大勢力の正体

    2015年02月07日号  

    原油安が直撃した産油国を通じても危機は連鎖していく。イスラム教過激派や中国など、さまざまな組織や国家の思惑が絡み合いながら、石油が世界を不安定化させていく。

  • 特集 Part3
    【シナリオ1 金融市場ルート】 原油安からの連鎖が誘発! 米国で24兆円バブルが崩壊

    2015年02月07日号  

    原油安は世界経済に恩恵をもたらす一方で、あらゆる金融市場に伝播しながら、さまざまな危機を誘発しようとしている。連鎖するリスクの“マグマ”はどこで噴出するのか。

  • 特集 Part3
    原油安はどこに連鎖する? 近未来リスクの政治経済ドミノ倒し

    2015年02月07日号  

    原油価格の急落は、ドミノ倒しのように次々と世界中の経済や政治に伝播していく。安値が続いた場合、危機はどこに連鎖していくのか、その最新ルートを徹底予測する。

  • 特集 Part3
    西内啓氏直伝 Excel 操作編

    2015年01月31日号  

    統計学も「習うより慣れろ」で、実際に手と頭を動かしてこそ身に付くもの。Part1で紹介したExcelを使ったデータ分析の方法をまとめた。

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記者の目

  • 編集部 鈴木洋子

    〆切で積んでるエルデンリングDLC、早くクリアしなくちゃ

     大人になりゲームから離れていた私の元に結婚祝いとしてWiiが来たのは2008年のこと。「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」のとりこになり、エンディングでは床に崩れて大泣きし、それからずっとゲームが大好きです。今回「ゲーマーの平均年齢は37歳」と知って安堵したのは内緒です。
     生まれた子どもは知育ゲームとマインクラフト、Robloxに夢中。わが家の娯楽の真ん中にゲームはいます。
     今号の特集では、依存症の問題は取り上げませんでしたが、産業・文化・社会の中で重要性を増すゲームと、どう付き合うかを、多くの方が考えるきっかけになれば幸いです。さて、〆切終わったしそろそろエルデンリングDLCクリアしなくちゃ。

  • 編集部 片田江康男

    寒さに負けないゲームのコンテンツ力

     自宅近くの公園を通りかかった際に、小中学生5~6人が公園のベンチに下を向いて座っていました。手にしていたのはNintendo Switch。お菓子や飲み物まで用意して、寒空の下で没頭していました。
     私が子どもの頃は、ゲームを持っていて、家に上がっていい友人宅に集合したものでしたが、新型コロナウイルスのまん延を経て、そんな遊び方はなかなか実現しなくなったようです。
     それにしても、寒風吹きすさぶ中でも、子どもたちを夢中にさせるゲームのコンテンツ力には脱帽です。私も読者の皆さまが夢中になる特集をお届けできるよう、精進してまいります。2025年もよろしくお願いいたします。

最新号の案内2025年1月18日号

表紙

特集日本のゲーム

半導体や鉄鋼並みの外貨獲得力を持つ日本のコンテンツ産業。その中で最大規模を持ち、成長を続けるのがゲームだ。世界市場は2028年には50兆円にも届くといわれており、外貨獲得産業として国も支援に乗り出した。一方、業界の「ゲームシステム」は急速に…

特集2役所&日銀出身の社外取締役報酬ランキング

社外の客観的な目が企業経営にとって重みを増す中、社外取締役が役人の有望な再就職先となっている。「行政経験を積み、企業経営にも一定の理解がある官僚OB・OGは貴重」との見方がある一方、「形を変えた天下り」といった否定論も。彼らが高額報酬に見合…