記事一覧:大人のための最先端理科269件
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大人のための最先端理科
【生命科学】 精子の老化は自閉症に関連? 父の高齢化と次世代への影響
2017年3月25日号「卵子の老化」。この衝撃的な言葉は、2012年にNHKの番組で取り上げられて話題になった。確かに、閉経に近づくほど妊娠率は下がるし、ダウン症の発症率は母親の高齢化によって増加する。それでは、高齢になっても作り続けられる精子は老化しないのだろうか?
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【数学】 伝説の数学者ナッシュが残した 「汚い解き方」という発想転換
2017年3月18日号ジョン・ナッシュは、ゲームの理論でノーベル経済学賞を取った数学者で、その生涯は「ビューティフルマインド」という映画にもなっている。ナッシュの若いころのよく知られた業績に、幾何学分野の「等長埋め込み」に関するものがある。今回はその説明から始めよう。
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【地球】 火山がないのにお湯が湧く 有馬型温泉の“起源”の謎
2017年3月11日号この国で温泉は文化である。ある調査によると、日本人の85%が、年1回以上温泉に入るという。 「温泉好き」な国民の双璧ともいえる古代ローマ人のようにテルマエ・ロマエを楽しんでいたわけではなさそうだが、少なくとも一部の縄文人は温泉をコミュニティーの中核としていたようだ。その証拠に、長野県の上諏訪遺跡では温泉垢がこびりついた土器が出土するし、各地の温泉近傍から多数の石器が見つかることがある。
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【脳科学】 男女の脳はどれほど違うか 「男脳」「女脳」の真相は?
2017年3月4日号男性と女性あるいは多くの動物のオスとメスの体に違いがあるように、脳の構造にも性による違い(性差)が存在する。その違いはどうやって生じ、またどの程度のものなのだろうか。脊椎動物における脳の性差の最も顕著な例は、鳴鳥のさえずりを司る「ソングシステム」(歌制御系)である。
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【宇宙論】 観測できない「暗黒の時代」 宇宙では何が起こっていたか?
2017年2月25日号三島由紀夫の長編小説『仮面の告白』は、主人公が「自分が生まれたときの光景を見たことがある」と語るところから始まる。そして、「自分の目で見たとしか思われない」記憶として、「産湯を使はされた盥(たらひ)のふち」に差す光のことを回想する。しかし、普通の人は3歳以前のことをあまり覚えていない。専門家はこれを幼児期健忘と呼んでいる。
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【生命科学】 発生生物学の常識を覆した iPS細胞の概念の先駆者
2017年2月18日号阪神淡路大震災から22年に当たる今年の1月17日は、筆者にとって別の意味でさらに記憶に残る一日となった。お世話になった岡田節人(ときんど)先生が亡くなったのだ。享年89歳の大往生だった。
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【数学】 方程式には「穴」がある? つながっている整数論と幾何学
2017年2月11日号今回は、数論幾何学の話をしてみよう。「数論」とは整数論のことで、整数の性質を調べる。典型的な問題は方程式の整数解を求めるものだろう。例えば「x3+y3=z3の解でx、y、zが全て自然数(正の整数)であるものを見つけなさい」などが、代表例である(答えはそういう解はない)。
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【地球】 なぜ富士山は日本一なのか 火山の体積を決めるのは何か
2017年2月4日号半世紀以上も前のことだが、小学校の入学祝いに特急「こだま」で東京へ連れていってもらった。新幹線はまだ走っていなかった。少年の私にとっての最大のイベントは、図鑑の中の存在だった憧れの富士山を見ること。そして、ついに車窓からその姿を目にしたのだ。
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【脳科学】 考えるだけで機器を操作する 「サイボーグ」技術の急進展
2017年1月28日号長年にわたり、子どもたちやファンを魅了している石ノ森章太郎氏の漫画「サイボーグ009」や「仮面ライダー」の主人公たちは、人体と機械が融合したサイボーグである。多くの人は、サイボーグなど漫画や映画の中だけの絵空事だと思っていることだろう。しかし、サイボーグは今や、脳をコンピューターや機械につなぎ、損なわれた身体機能を復活または補助する技術「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)」として実現しつつある。
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【宇宙論】 「漆黒の宇宙」のそのまた先は? 宇宙の遥かなる未来を展望する
2017年1月21日号前回の本欄では、宇宙の誕生から進化、そして今日に至る138億年の歴史を振り返った。今回は新年でもあるので、宇宙の将来を展望しよう。私たちの太陽は、水素原子の核融合によって光や熱を発しており、その水素燃料は現在、当初の約半分残っていると見積もられている。
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【生命科学】 ヒトへの臨床試験も始まった ゲノム編集の未来と倫理
2017年1月14日号連載第100回となる本稿は、3回シリーズでお届けしている「ゲノム編集」の最終回。ちょうど構想を練っていたころに、中国で初めて、ヒトの病気の治療にゲノム編集が用いられたというニュースが飛び込んできた。ゲノム編集は社会をどう変えていくのだろうか。
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【数学】 解けるものは美しい? 数学者が探す「解ける方程式」
2016年12月31日号方程式が解けるというのはどういうことだろうか? 代数方程式x^2=2は、2の平方根√2のことを知らなければ正解を出せないが、√2を知っていれば問題なく解ける。それでは、知識さえ増えていけば、どんな方程式も解けるようになるのだろうか?
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【地球】 鬼界カルデラに熱水プルーム 巨大海底火山探査の最前線
2016年12月24日号10月13日、神戸大学の練習船「深江丸」が深江キャンパス内の岸壁から出航した。いつもの光景だが、岸壁には学長の姿もあり、高揚感が漂っていた。というのも、巨大海底火山の探査に必要な装備をまとっての初の船出だったからだ。
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【脳科学】 脳を機械につなぐBMI技術 目のはるか先を行く「人工の耳」
2016年12月17日号さまざまな原因によって、耳が聞こえなくなる、目が見えなくなるということが起こり得る。ある程度の機能が残っていれば、それをアシストする補助具(補聴器など)を使って不便をカバーできるが、耳や目に起きた問題が大きく、補助具が助けにならないとき、この困難を乗り越える手段はあるだろうか。
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【宇宙論】 膨張から暗黒、星の誕生へ 宇宙138億年の歴史を辿る
2016年12月10日号宇宙論をテーマに連載をさせていただいて、ちょうど2年になる。私たちの宇宙の誕生から進化、そして今日の姿まで、さまざまな話をしてきた。年末でもあるので、2年間の復習も兼ねて、今回は宇宙の歴史を振り返ってみよう。
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【生命科学】 源流は日本人研究者にあり! 4年で普及したゲノム編集
2016年12月3日号人為的な遺伝子改変技術の萌芽は1970年代にあり、「遺伝子工学」と呼ばれていた。ではこれは、今はやりのゲノム編集とどう違うのだろうか?
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【数学】 「例外を除いてほぼ成り立つ」 現代数学を支える発想の中身
2016年11月26日号イタリア人の平均年収を調べるのに、例えば、名前がすぐに思い浮かぶデ・ロッシ(サッカー選手)、ベルルスコーニ(政治家)、ズッケロ(ミュージシャン)という3人の年収を調べて平均する……というのはもちろんばかげている。この3人の年収の平均は優に1億円を超えるだろう。
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【地球】 日本でもダイヤモンドを発見 魅惑の宝石の“故郷”はどこか
2016年11月19日号「深海底掘削によるダイヤモンドの採取」──。海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)にいた2010年ごろ、こんな計画を霞が関のお役所に提案したことがある。反応は早く、普段はなかなかお目にかかれないお偉いさんから直接電話があった。 「先生、どれくらいの大きさのものが採れるのでしょうか?」しかし、その高揚は、「0.5ミリメートルくらい」という私の返答で、明らかな落胆に変わった。
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【脳科学】 脳活動から人の心の中を読む デコーディング技術の進化
2016年11月12日号マインドリーディングだのテレパシーなどというとSFじみて聞こえるが、脳の活動を計測し、そのデータから人の心の中を読み取るなどということは可能だろうか。実は、そのような技術はすでに一部実現し、現在、急速に発展しつつある。
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【宇宙論】 ノーベル物理学賞受賞の理論 「トポロジカルな相転移」とは
2016年11月5日号この連載のテーマは「宇宙論」だが、今回は今年度のノーベル物理学賞の授賞対象になった「トポロジカルな相転移」について解説したい。物質の新しい性質を明らかにした重要な発見なので、社会人の教養として知っておく価値があると思う。