記事一覧:大人のための最先端理科269件
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大人のための最先端理科
【生命科学】 祝! 大隅良典先生ノーベル賞 単独受賞の快挙の背景は?
2016年10月29日号今年のノーベル生理学・医学賞の発表を、国際会議の参加中、イタリア・シチリア島のエーリチェで聞いた。受賞した東京工業大学栄誉教授の大隅良典先生については、1年前の本コラムで「ノーベル賞の有力候補!?」と執筆していたので、ことのほかうれしい知らせだった。
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【数学】 計算量はどれだけ増えるか? 問題を解く「手間」という難問
2016年10月22日号曾呂利新左衛門の逸話をご存じだろうか? 豊臣秀吉からご褒美に何が欲しいと聞かれた新左衛門は、1日目は米1粒、2日目は2粒と毎日倍にしてもらい100日間米粒が欲しいと希望した。大したことはないだろうと承知した秀吉は、それが膨大な量になることに後から気付き、新左衛門の知恵に感服したという。101日目の米粒の数は2の100乗で1の後に「0」が30個は続く。
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【地球】 46億年前の木星大移動が 地球を水の惑星に変えた
2016年10月15日号「地球は青かった」。人類初の宇宙飛行士、ユーリイ・ガガーリンが残したとされるこの言葉は、この星の特徴を見事に言い表している。宇宙から見た地球が青いのは、表面の7割を覆う海水が、太陽光に多く含まれる青系統の光を吸収しにくいからである。つまり、この星は水惑星であるからこそ青いのだ。
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【脳科学】「見えない」でも「分かる」? 意識と行動が乖離する不思議
2016年10月8日号気持ちとは裏腹な振る舞いをしてしまい、「どうしてあんなことをしてしまったのだろう」と後悔することがある。自分の真意ではない行動をしてしまったことにわれながら驚いたりする。気持ちと振る舞いの擦れ違い──。実は、「ものを見る」ことにおいても起きる。
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【宇宙論】 太陽系に最も近い星で新発見 生命の存在に適した惑星か?
2016年10月1日号しばらく宇宙全体についての話が続いたので、今回は私たちの太陽系の近所に目を向けてみよう。ケンタウルス座は南天の明るい星座であるが、日本では沖縄まで行かないと全貌を見ることができない。この星座の中で一番明るいアルファ・ケンタウリは、全天で21個ある1等星の一つである。
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【生命科学】 1年かかる実験が1カ月に短縮 ゲノム編集はどこがすごいのか
2016年9月24日号スポーツの世界でオリンピックの金メダルは特別な意味を持つ。同様に科学の世界にも多数の賞があるが、ノーベル賞は一般の認知度も高く別格だ。近い将来確実にノーベル賞を受賞すると目されており、京都大学の山中伸弥教授が「今世紀最大の発明」と称賛するのが「ゲノム編集」である。
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【数学】 現象を理解する数学の武器 「行列」「線形代数」とは?
2016年9月17日号しばらく前に「行列」が高校のカリキュラムからなくなったと聞き、違和感を覚えた。高校数学の中心の一つと思っていたからである。行列というのは、図1のように数を長方形の表のように並べたものだ。行列同士の足し算や掛け算ができ、それが大切である。
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【地球】 レアアースや貴金属の宝庫 海底資源は日本を救うか
2016年9月10日号マスコミの注目度はそれほどでもなかったようだが、7月7日に経済産業省は「レアアース堆積物の資源ポテンシャル評価報告書」を発表した。レアアース(希土類元素)は強力磁石やLED、ハイテク製品などの原料となる。主要生産国である中国の輸出制限やそれに対する世界貿易機関(WTO)の協定違反とする裁定などにより価格が乱高下したこともあって、この有用資源を安定的に確保する可能性を探ったのがこの報告書である。
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【脳科学】 「もふもふ」はなぜ柔らかい? 研究進む質感の認知システム
2016年9月3日号もふもふ──。10年ほど前までは聞いたこともなかった言葉だが、今やしばしば耳にする。ふんわりした毛や羽を持つ動物の形容に使われる擬態語である。柴犬の幼犬やフクロウの幼鳥などの姿にぴったりの言葉に感じられる。
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【宇宙論】 宇宙物理学の火急の課題 なぜ宇宙は加速膨張するか?
2016年8月27日号この連載第71回では、宇宙の膨張が加速する原因の一つの可能性として、アルベルト・アインシュタインの「宇宙項」について解説した。彼は、宇宙が膨張したり収縮したりすることを防ぐために、自らの重力方程式にこの項を付け加えたのであった。しかし、エドウィン・ハッブルによって宇宙膨張が観測されたので、宇宙項は放棄されてしまった。
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【生命科学】 ヒトらしさを決める配列? 動くDNAレトロポゾン
2016年8月13日号茹でたてのトウモロコシのおいしい季節だ。スーパーで見掛けるトウモロコシは、ゴールデンコーンやシルバーコーンなど、全ての粒の色が同じものが多いが、たまにバイカラーコーンといって、黄色と白の粒が混じっているものもある。また、日本ではめったにお目にかからないが、紫色の粒が含まれる種類も米国などでは売られている。
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【数学】 世の現象を理解する足掛かり 図形の「次元」とは何か?
2016年8月6日号図形(幾何学的対象)に対して、数や記号を対応させるとき、それを「不変量」と呼ぶ。図形の不変量として真っ先に出てくるのは次元である。図形の次元というのは、比較的理解しやすい量である。直線や曲線は1次元だ。平面の上に描いた多くの図形、円や三角形などは2次元である。ただし、例えば円というときは、図1の緑色の部分全体を考える。周囲の円周(赤線)だけのときは1次元になる。
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【地球】 地震の発生確率とは何か 予測地図はどう読むのか
2016年7月30日号熊本大地震の発生から2カ月以上たつが、九州ではいまだに余震が続いている。そんなさなかの6月10日、政府の地震調査研究推進本部は、強い地震に見舞われる確率を示す「全国地震動予測地図」の2016年版を発表した。
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【脳科学】 三つ目のカエルの脳の中にも アニマル柄が現れる不思議
2016年7月23日号鮮やかな色や模様を備えた多くの動物たちに比べると、私たちの肌色は地味である。物足りなくて、タトゥーを施したくなる人がいるのも理解できなくはない。しかし、脳の中には、実は誰もがかなり手の込んだ模様を持っている。
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【宇宙論】 ブラックホール合体を詳細観測 宇宙の謎に立向かう「重力波」
2016年7月16日号この連載の第61回では、今年の2月11日に米国のLIGO(レーザー干渉型重力波天文台)実験が発表した重力波の初観測について解説した。重力波観測については、先月さらに二つの大きなニュースがあった。そこで、今回はそれらについて解説しよう。
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【生命科学】 遺伝子を決めない暗黒部分 ジャンクDNAの役割は何か
2016年7月9日号1990年に30億ドルの予算で開始された「ヒトゲノム解読計画」は、当初の15年間の予定を前倒しし、2003年6月に結果を示す論文が発表された。30億塩基対のDNAのどこにどのような「遺伝子」が存在するのかを明らかにするために始まった壮大なプロジェクトだったが、見つかった遺伝子の数は、予測よりもはるかに少なかった。
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【地球】 自給率100%の鉱物資源 石灰岩はどこから来たのか
2016年6月25日号小学生だったころ、父の運転する車で未舗装の道を数時間も走って、紀伊半島中央部にある、小さな鍾乳洞へ行った。深い森にぽっかり開いた入り口から腰を屈めて進んでいくと、突如、懐中電灯にキラキラ光る石柱が浮かび上がった。
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【脳科学】 「色」は脳で作り出される! 見る人によって違う不思議
2016年6月18日号この世界に色というものが一切なかったら、その美しさはかなり失われてしまうだろう。幸いなことに、物体それぞれが固有の色を持っているおかげで、私たちが見る世界はこんなにも豊かな表情を持つ──。確かにそうなのだが、この考えには根本的な誤りが含まれている。
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【宇宙論】 宇宙の加速膨張の真因か? アインシュタインの「宇宙項」
2016年6月11日号この連載の第66回では、宇宙の膨張が加速していること、そして、それを計算に入れると、宇宙の年齢の見積もりが90億歳から138億歳に延びたという話をした。今回は、この宇宙の加速膨張を引き起こしている原因について考えてみよう。
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【生命科学】 ワクチン誕生から220年 終わりなきウイルスとの戦い
2016年6月4日号今年の5月14日はエドワード・ジェンナーが世界で初めて天然痘ワクチンを開発したとされる日からちょうど220年後に当たる。天然痘ウイルスは人類が初めて根絶した最初の病原体となったが、世界には今なお多数のウイルスが存在し、人類の健康を脅かしている。