記事一覧:大人のための最先端理科269件
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大人のための最先端理科
【生命科学】 個別化医療の実現目指す 日本人のためのゲノム研究
2017年8月26日号生物の遺伝情報を調べるゲノム研究は、現代の生命科学の大きな柱だ。2003年に完了した「ヒトゲノム計画」では、たった1人分の全ゲノムを解析するのに10年もかかった。その後、遺伝情報を“読み取る”ための次世代シーケンサー(NGS)が開発され、解析速度はどんどん速く、安価になってきた。個人個人のゲノムを読み解くことで、病気に関するさまざまな情報を得ることができる。
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【数学】 局所の情報から全体が見える 最も美しいトポロジーの公式
2017年8月12日号グローバルな視点が大事、グランドデザインが必要などとよくいわれるが、言うはやすく、実際にそのような俯瞰的な視点を持つことは難しい。私たちは、局所的な情報を収集することはできる。それを統合して全体(大域)を見るにはどうしたらよいだろうか。
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【地球】 巨大噴火後に気温が10度低下 「火山の冬」はなぜ起きるのか
2017年8月5日号人類共通の祖先が遺伝子解析によって突き止められたのは1987年のことだった。「ミトコンドリア・イブ」と呼ばれるこの女性は20万~30万年前、アフリカに現れた。やがて一部の人たちは「出アフリカ」を決断し、旧人類(ネアンデルタール人やデニソワ人)の血を受け入れ、環境適応力を高めながら世界中へ広がっていった。
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【脳細胞】 ヒトをヒトたらしめるのは 脳内の奇妙な細胞の存在か?
2017年7月29日号私たちは、言葉を話し、笑い、遊び、さらには芸術や科学など高度な文化をつくり出す。他の動物たちとは随分と違う心の世界を持っている。この違いをつくり出している根源的な生物学的理由は何だろうか。私たちが他の動物たちとは比較にならないほどの豊かな内的世界を持っていることは、私たちの脳が特殊であることを意味している。おそらく、脳の巨大化、大脳皮質の発達、領野と呼ばれる脳の機能単位の多様化、神経細胞の数や神経結合の豊富さなど幾つもの要因が関係しているだろう。
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【宇宙論】 宇宙創成の途方もない急膨張 インフレーションの証拠探し
2017年7月22日号2014年3月17日に、大きなニュースが駆け巡った。南極点近くのスコット-アムンゼン基地に設置された望遠鏡(写真)が、宇宙の始まりに起きたインフレーションの決定的な証拠をつかんだというのだ。
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【生命科学】 研究で使う培養細胞の性別は? 見落とされがちな性差のわな
2017年7月15日号フリーアナウンサーの小林麻央さんが亡くなった。美人薄命というが、乳がんが発見されてから3年ほどの闘病生活は、35歳の誕生日まであと1カ月というところで幕を閉じた。心から冥福を祈りたい。
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【数学】 世紀の難問・ポアンカレ予想 解明の裏に二つの幾何の交差
2017年7月8日号「トポロジー」という言葉が市民権を得つつある。10年ほど前に「100年の難問を解いた天才数学者が失踪」と話題となったロシア人数学者G・ペレルマンが解決した難問は、トポロジーに関するものだった。また、昨年のノーベル物理学賞は「トポロジカル物質」(より正確には物質のトポロジカル相とトポロジカル相転移の理論的発見)に対しD・J・サウレス、D・ホールデン、J・M・コステリッツに与えられた。
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【地球】 海底火山が衝突、合体し 日本列島は大きくなった
2017年7月1日号小笠原諸島の西之島で新島が誕生してはや3年半。新島出現時に記者会見した菅義偉官房長官が破顔一笑、「領海が広がればいいな」と語ったのが忘れられない。一時は収まったかに見えた火山活動は最近になって再び活発化し、ますます新島は強固になったようだ。この火山活動で、日本列島はほんのわずかだが確実に大きくなった。
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【脳科学】 忘れていても覚えている!? ミステリアスな潜在記憶
2017年6月24日号ショッピングモールで買い物を終え、自分の車に戻る。翌日、再び来たときには、当然ながら、前の日ではなくその日に車を停めた場所に戻らなくてはならない。何ということのない日常の出来事だが、このとき、脳は特殊な働きをしている。
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【宇宙論】 外からは見えない銀河系の姿 太陽系の位置までなぜ分かる?
2017年6月17日号私たちの太陽系は、渦巻き状に回転する銀河系の中にある。しかし、銀河系を外から見た人はいない。人類が打ち上げた宇宙船は、ボイジャー1号と2号が数年前にようやく太陽系を脱出したばかりだ。では、銀河系の形やその中の太陽系の位置は、どのようにして分かったか。
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【生命科学】 多能な細胞が脳腫瘍の原因? 「ジキルとハイド」な神経堤
2017年6月10日号大型連休が終わると、紫外線量が年間最大の季節がやって来る。紫外線には骨粗しょう症を防ぐビタミンDの合成を促す効果があるが、お肌へのダメージも大きい。そして、単なる日焼けだけでなく、皮膚がんの発症にも紫外線が関わっている。
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データを構造解明へつなげる 数学と材料開発の意外な相性
2017年6月3日号21世紀に入って、数学をめぐる環境は大きく変貌したように思う。数学が外の世界へと侵食し始めているのである。日本の中に世界から認知される研究所をつくろう。そううたって10年前にスタートしたのが文部科学省「世界トップレベル研究拠点プログラム」(WPI)である。
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【地球】 超温暖化に巨大火山の噴火 白亜紀に起きた地球大暴走
2017年5月27日号チョークと黒板。学生時代の記憶をよみがえらせる言葉だろう。私は大学に勤めているからいまだにお世話になっているのだが、最近のチョークは“進化”したのか、粉があまり出ないので助かっている。
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【脳科学】 見えない部分は周囲が補う 脳の「なめらか補完」機能
2017年5月20日号「目は心の窓」という言葉は、古代ギリシャの哲学者プラトンの言葉だ。『パイドロス』という対話篇の中で少年愛における情愛のメカニズムを説明する際に出てきた表現だが、通常、「目の表情にその人の本心が表れる」という意味で使われる。
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【宇宙論】 宇宙の始まりはどうだった? 謎を生む「宇宙の地平線」
2017年5月13日号古代ギリシャ・ローマ人たちは、地球が球体であることを知っていた。その根拠の一つが、動物のゾウだった。彼らにとって、ゾウは東方と西方にだけすんでいる不思議な生き物だった。
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【生命科学】 ヒトの臓器を動物で作る 射程に入ったキメラの実現
2017年4月29日号ライオンの頭にヤギの胴体、蛇の尻尾を持つ──。ギリシャ神話に登場する架空の動物「キメラ(キマイラ)」は、口から吐く炎で山々を燃え上がらせ、人々に恐れられる存在だった(写真1)。だが、現代の生命科学でキメラはとても役に立つ。
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【数学】 トポロジーの人気分野は今? 数学者の研究にも流行り廃り
2017年4月22日号数学者というのは、人の言うことは聞かない、空気の読めない人間がそろっているので、研究も流行とは無縁と思われるかもしれない。だが、数学の研究にも流行がある。数多くの数学者が研究している方面には、重要なあるいは発展中の段階にある話題が多いのは確かだが、流行らない分野がつまらない、というわけではない。ただし、流行らない研究は不利益を被ることがままある。
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【地球】 巨大地震の予測につながる? ゆっくり地震との密接な関係
2017年4月15日号3月10日、神戸大学の海洋調査船「深江丸」が、昨年10月に続く2回目の鬼界海底カルデラの探査を終えて帰航した。この国に壊滅的な被害をもたらす、「巨大カルデラ噴火」の予測に向けた調査を行うことが目的だ。
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【脳科学】 恐ろしきフグ毒、貝毒、VXガス 「神経毒」のもうひとつの顔
2017年4月8日号マレーシアの空港で2月、ショッキングな毒殺事件が起きた。背後から忍び寄った犯人に飛び掛かられ、ほんの数秒、顔に何かを塗りつけられた被害者は、その数十分後に絶命した。このおぞましい犯行には何らかの神経毒が使われたと報道されている。
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【宇宙論】 星々までの距離はどう測る? 測定が明らかにした宇宙の姿
2017年4月1日号この連載で、地球に一番近い恒星は4光年先だとか、13億光年彼方のブラックホールの二つが合体したとか、まるで見てきたことのように書いてきたが、そもそも、こうした星々までの距離はどのようにして測っているのか。今回はその方法について解説しよう。