記事一覧:ものつくるひと169件
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「アリナミンVゼロ」 山田晴彦(武田薬品工業コンシューマーヘルスケア研究開発部課長代理) 柳川久美子(同部主任研究員)
2016年11月5日号会議室は静まり返っていた。2014年11月、武田薬品工業の東京本社で試作段階にあるミニドリンク剤「アリナミンVゼロ」のプレゼンテーションが行われた。試飲する幹部約10人の誰が口火を切るか。発表を終えたコンシューマーヘルスケア研究開発部の山田晴彦は手に汗を握って反応を見守った。
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「ガス温水床暖房」 服部 潔(ガスター取締役商品開発本部長(元東京ガス商品開発担当))
2016年10月29日号一戸建て、マンションを問わず、今や新築住宅の標準設備となっている床暖房。エアコンなど温風が出る暖房設備と違い、ジワジワと部屋が暖まり、それが長続きする快適さは、誰もが認めるところだ。だが、その開発過程には、埃にまみれながら暗い床下に潜り続けた東京ガスの新商品開発チームの、人知れぬ苦労があった。
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「お家で作るごちそうサラダ」 横山郁子(サラダクラブ 商品部 商品開発チーム係長)
2016年10月22日号野菜を一つ一つ買わなくても済み、洗わずそのまま食べられる。食品スーパーで、定番ともいえる存在になっているのがカット野菜だ。今や、どのスーパーにも置いてある商品だが、イオンやコープといった複数のスーパーに「サラダクラブ」という同じロゴが付いたカット野菜がある。この商品をスーパーなど全国約1万2500店に卸しているのが、サラダクラブという企業だ。
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「いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ」田嶋康正(キッコーマン執行役員プロダクト・マネジャー室プロダクト・マネジャー)
2016年10月8日号醤油。それは日本人にとって、水や空気と同じくらい、当たり前のもの。食卓やキッチンには、常に置かれている。それだけに、消費者は同じ商品を使い続ける傾向が強いし、メーカーも定番商品を売り続けている。メーカー間の味の差はわずかで、同質化も進んでいた。その結果、起こったのが価格下落だ。スーパーの特売日などでは、醤油は目玉商品となり、大きく値引きされる。時にはメーカーが納入した価格よりも安く売られることもあった。
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国際線ビジネスクラス「スカイスイート3」 西垣淳太(日本航空 商品・サービス企画本部 開発部)
2016年10月1日号2010年に経営破綻した日本航空(JAL)は、経営が苦しく資金に余裕がない時代が続いたため、長らく航空機内の座席を刷新することができなかった。02年に大幅にリニューアルして以来、実に11年間にわたって、同じ座席を使い続けていた。この間、世界の航空業界では、シートの快適性を追求する流れが加速し、ビジネスクラスではリクライニングシートを最大で180度倒せ、水平になるフルフラットシートが主流となっていた。
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「次世代型の銀行店舗」 真子宗周(りそな銀行 営業サポート統括部 チャネル企画室 室長)
2016年9月24日号「自分ですら最近めっきり銀行には行かなくなった」。今や銀行員がそう口にする時代だ。しかし、そんな風潮に挑戦する次世代型店舗を、大手銀行の一角であるりそな銀行が昨年11月にオープンした。銀行の店舗というと、どんなイメージが思い浮かぶだろうか。東京都江東区に開店した、りそな銀行豊洲支店はそれを覆すはずだ。
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「クイックルワイパー」 宮川聖子(花王 生活者研究センター センター長)
2016年9月17日号宮川聖子が花王に入社したのは、バブル真っ最中の1988年。86年に男女雇用機会均等法が施行された直後である。花王は当時、コンパクト衣料用洗剤「アタック」、2度拭きもバケツも不要な住居用洗剤「かんたんマイペット」、使い捨てトイレ用掃除シート「トイレクイックル」といった家事の合理化を訴求した新商品を、好景気の波に乗って次々と発売していた。
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「水素ステーション用鋼管」 HRX19(R)開発・拡販チーム(新日鐵住金)
2016年9月3日号中村潤が技術者として住友金属工業(現新日鐵住金)に入社した2006年、同社は空前の鋼管バブルに沸いていた。原油価格の上昇に伴って、海底油田での原油生産に使う鋼管が飛ぶように売れたのだ。
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「可視光通信技術『光ID』」 大嶋光昭(パナソニック AVCネットワークス社イノベーションセンター スーパーバイザー)
2016年8月27日号各国の威信を懸けた熱戦が繰り広げられたリオデジャネイロ五輪。期間中、五輪公式パートナーのパナソニックは、リオ市内に特設のショールームを設けていた。200インチ超の大画面で競技の映像を流したり、プロジェクターなどの製品を展示したりする中で、来場者が展示ボックスに設置された小さな照明にスマートフォンのカメラを向ける不思議な光景が広がるコーナーがあった。
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「高級缶詰『缶つま』」織田啓介(国分グループ本社 マーケティング開発部開発一課長)
2016年8月13日号魚が好きな少年だった。東京・荻窪で生まれ育ち、小学校入学後、親戚から譲り受けた釣りざおを手に土日となれば郊外の川や海へ釣りに出掛けた。ヤマメやイワナ、タイにキス。釣った魚は自宅へ持ち帰り、水槽に入れて飽きずに眺め続けた。魚に関わり続けたいと選んだ進学先は北海道大学水産学部。都心を離れ、大自然の中で好きな釣りに没頭したかった。
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「ごきぶりホイホイ」 大塚正富(アース製薬特別顧問)
2016年8月6日号1971年の真夏──。冷房もないバスに揺られながら、当時41歳だった大塚正富の顔に、冷や汗交じりの汗が流れていた。「3年以内に新たなヒット商品を出さなければ首だ! いつでも辞められるよう内ポケットに辞表を入れておけ」当時の大塚製薬会長で兄の正士から下された、そんな厳命から1年半。期限が日に日に迫っていたからだ。
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「ふっ素樹脂加工膜材」 庄野直之(中興化成工業社長)
2016年7月23日号回転ドアを開けた瞬間、耳の奥にブンと重低音が響く。プロ野球、読売巨人軍の本拠地、東京ドーム。加圧送風ファンで絶え間なく空気を送り込み、気圧差でもって屋根膜を膨らませているのだ。膜は2層構造になっており、外膜は0.8ミリメートル、内膜に至っては0.37ミリメートルという薄さだ。その内膜を手掛けたのが、ふっ素樹脂加工メーカーの中興化成工業である。
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「ヒト型ロボット『ASIMO(アシモ)』の開発」重見聡史(ホンダ 本田技術研究所基礎技術研究センター執行役員)
2016年7月16日号「鉄腕アトムを作れ──」。さかのぼること30年前の1986年。ホンダのロボット開発チームがひっそりと産声を上げた。後に本社社長となる川本信彦・本田技術研究所社長(当時)ら幹部が中心となって、二輪・四輪に続く“未来の飯の種”となる事業を育成する目的で基礎研究所を設立した。今年初納入を決めたホンダジェットや、市販化を目指している自動運転など、四つのプロジェクトが同時に立ち上げられた。
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「お~いお茶の開発」社 三雄(伊藤園専務取締役 マーケティング本部 本部長)
2016年7月2日号30年前の伊藤園のオフィス。世界初の缶入り緑茶飲料「缶入り煎茶」を開発したヒーローである社(やしろ)三雄(現専務)は、販売促進の企画書を書く手を止め、いつものように電話の受話器を取った。当時、一般消費者からの問い合わせは商品開発担当者が対応するのが常だった。広告宣伝を仕掛けても一向に振るわない缶入り煎茶への疑問、質問、苦情などの問い合わせは年間1000件に及び、電話対応に追われた。その内容は「お茶にカネなど出せるか」と辛辣なものが少なくなかった。
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「業務システムHUEの開発」牧野正幸(ワークスアプリケーションズ代表取締役最高経営責任者)
2016年6月25日号それまで4時間かかっていた10万人分の給与計算が、わずか10秒で──。人事や会計、生産、販売といった中核的な業務を、統合的に管理するERPシステムの「HUE(ヒュー)」は、世界最速のシステムだ。応答速度は、人間が一瞬と感じる0.1秒。自ら学習する人工知能(AI)を内蔵し、求める情報を一瞬で予測して提示するため、入力作業を限りなく省くことができる。
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「燃え止まり型耐火木材の開発」 燃エンウッド開発G (竹中工務店)
2016年6月18日号どんなに頑丈な木でも火が付けば燃えてなくなる。自然界ではごく当たり前の現象だ。木造建築が主流の日本では、地震などの自然災害が引き起こす火災に何度も見舞われ、そのたびに多くの建物が焼失してきた長い歴史がある。
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「災害復旧用マルチヘリの開発」芹田 尚(NTT東日本アクセス開発部門担当課長)
2016年6月11日号4月16日の本震で最大震度7を観測した熊本地震。今なお断続的な余震が続くこの震災では、多くの生活インフラが破壊され、災害の恐ろしさを私たちにまざまざと見せつけた。
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「『茂木和哉』の開発」茂木和哉(きれい研究所代表取締役社長)
2016年6月4日号浴室の鏡に付いた水垢は、通常の洗剤で洗ってもほとんど落ちない。購入時のようなピカピカの状態に戻したいと思っていても、水垢は落とせないものだと諦めている人も少なくないだろう。「茂木和哉」は浴室の鏡や蛇口の金属部分に付いた水垢を落とす洗剤。2014年には、入手困難な状態が続き、インターネットオークションにも出回ったほどのヒット商品である。
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「ゴディバの新作の開発」 ヤニック・シュヴォロー(ゴディバジャパン シェフ・パティシエ)
2016年5月21日号5年で売り上げ倍増──。2010年の133億円から15年には282億円と、ベルギー発祥の高級チョコレートを手掛けるゴディバジャパンが売上高を劇的に伸ばしている。その原動力となっているのが、日本通の2人のフランス人だ。
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「物価指数『日経CPINow』の開発」 渡辺 努(ナウキャスト創業者・技術顧問)
2016年5月14日号日本中の誰よりも物価の動向を気にしている人物──。そう言っても過言ではないのが日本銀行総裁の黒田東彦だろう。2013年3月に日銀総裁に就任し、「2年でインフレ(物価上昇)率2%の達成」という公約を掲げたが、実現していないからだ。