記事一覧:マーケット・人物2504件
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数字は語る
政府の甘い成長率予測 実績より高めの傾向 政策決定に影響の懸念
2015年10月3日号成長戦略や経済対策をはじめ、多くの政策決定において、政府や官庁などが参考とする経済指標は「国内総生産(GDP)」、特にその成長率である。また、その延長として、成長率の予測も政策決定での一つの重要な基盤となる。例えば、内閣府は2015年7月、経済財政諮問会議において、財政再建計画の検討に利用する「中長期の経済財政に関する試算」を公表した。試算では、23年度までの成長率について二つのシナリオを置いているが、このうち15年度と16年度の成長率(各1.5%、1.7%)はシナリオでなく、内閣府の予測である。
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金融市場 異論百出
イノベーションが止まった日本 眠れる開拓者精神を呼び覚ませ
2015年10月3日号「大阪企業家ミュージアム」。大阪市の堺筋本町駅の近くにあるこのユニークな博物館は、明治維新以降の大阪にゆかりのある企業家105人を紹介している。展示室は時系列に沿って、企業家と関連企業が紹介されている。五代友厚(商船三井)、山邊丈夫(現東洋紡)、伊藤忠兵衛(伊藤忠商事、丸紅)などの「近代産業都市大阪の誕生」から始まり、大正、昭和へとつながっていく。順に歩いて回ると、大物企業家がきら星のごとく並び、実に壮観である。新時代を切り開いてきたイノベーション精神が強く伝わってくる。
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為替市場 透視眼鏡
ドル円上昇の長い終盤の始まり 来年125~130円で乱高下
2015年10月3日号中国に関して「過度の悲観論」にはくみしない。中国は経済を7%成長へ減速誘導中だが、株価が暴落し、元切り下げで追い詰められているかの心証を市場に与えた。折しも世界では、米国の年内利上げが確実視され、株式・新興国・商品などリスク市場への影響に漠たる不安があった。そこに中国ショックが重なり、恐怖を増幅した。
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短答直入
筒井義信(生命保険協会会長/日本生命保険社長)
2015年9月26日号少子高齢化の影響が大きい生命保険業界。業界団体である生命保険協会の会長に就任した日本生命保険の筒井義信社長に、今後の協会としての取り組みを聞いた。
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World Scope ワールドスコープ
【from 欧州】 急増する難民を 温かく迎えるドイツ 悪印象は好転するか
2015年9月26日号ドイツのメルケル政権は、今年9月上旬にシリアなど紛争国からの難民の受け入れを決定した。私が住むミュンヘンの中央駅には、9月5~6日の週末だけで約2万人が列車で到着。ドイツ市民は彼らを拍手と歓呼の声で迎え、食料や衣類、玩具を手渡した。
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World Scope ワールドスコープ
【from アジア】 高速鉄道だけじゃない 駅周辺や沿線開発でも 生かせる日本のノウハウ
2015年9月26日号8月29日にマレーシアでナジブ首相の退陣を求める大規模デモが発生した。ナジブ首相個人の銀行口座に7億ドル近い資金が政府系投資会社の1エムディービー(1MDB)より振り込まれているとのニュースに端を発し、足元の景気減速に対する不満も重なり、大規模なデモにつながったようだ。
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数字は語る
過去最高益でも暗雲 中国発・世界同時株安の 実体経済への悪影響
2015年9月26日号4~6月期の日本企業の経常利益は、前年同期比23.8%増え、20.3兆円と過去最高を更新した。同時期の経済成長率が前期比で3四半期ぶりにマイナスとなった中で、日本企業は好調さを保ったようだ。これまで、円安によって海外利益の円建て評価額が膨れたり、原油価格の低下などによって原材料コストが抑えられたりしたことで、収益が改善してきた。また、一連のコーポレートガバナンス改革が、投資家・企業経営者の収益性への関心を高め、利益押し上げの一助になったのだろう。
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商品市場 透視眼鏡
商品相場下落に歯止めの兆しも 2000年代の勢いは戻らず
2015年9月26日号8月後半に中国の株価が急落したことを受けて、国際金融市場にショックが走り、国際商品市況も大幅に下落した。ドル建て国際商品市況全般の動向を表すロイター・コアコモディティCRB指数はリーマンショック後に付けた安値を下回る水準にまで下落している。
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金融市場 異論百出
日本企業のドル資金調達に警鐘 金融危機の“清算”はまだ道半ば
2015年9月26日号ちぐはぐなことが起きている。日本銀行と米金融規制当局が意図する方向性が真逆のため、結果として、日本の金融機関のドル資金借り入れコストが急騰する現象が発生している。それは日系企業にとっても、ドル資金借り入れコストの上昇につながるため注意が必要である。日銀は量的質的金融緩和策によって国債などの利回りを大幅に低下させ、金融機関や機関投資家を深刻な資金運用難に追い込み、彼らにドルなどの外貨建て資産を持つよう促してきた。それによって生じる円安を日銀は期待してきた。
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短答直入
伊藤正明(クラレ社長)
2015年9月19日号ニッチ市場で高シェアを握り、営業利益率10%超をたたき出すクラレ。1月に就任した伊藤正明社長に強さの秘密と課題を聞いた。
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World Scope ワールドスコープ
【from 中国】 天津の爆発事故で 不動産価値が暴落 問われる政府の手腕
2015年9月19日号天津市濱海新区の危険物倉庫で発生した大規模爆発事故から、約1カ月たった。死亡者数は160人を超える大事故である。事故から数日後には爆発現場からさほど遠くない川で魚が大量死しているのが見つかった。中国当局は爆発との関連を否定しているが、環境面への影響は否定できない。
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World Scope ワールドスコープ
【from 米国】 繰り返される射殺事件 銃めぐり動く巨額資金で 浮き彫りになる「格差」
2015年9月19日号レストランに入ったら、非常口も含めて出口を確認しておくこと、銃声を聞いたら、どんなに高い衣服を着ていても必ず床に伏せること──。12年前の2003年、ニューヨークに赴任した直後、ニューヨーカーの友人から教わったことだ。
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数字は語る
日銀が「新指数」を公表 物価目標の未達は 原油下落のせいなのか
2015年9月19日号日本銀行の物価目標は消費者物価総合指数で2%だが、政策判断の際には、総合指数を相対的によくトレースしているコア指数──総合から生鮮食品を除いた指数──を用いている。ただ、原油価格の動きが総合指数、コア指数に影響を与え、物価の基調判断を難しくしている。民間のコア物価見通しは、来年度前半ごろに2%とする日銀よりもかなり低い。また、足元はほぼゼロのコア物価上昇率がインフレ予想を下げる可能性もある。
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金融市場 異論百出
円安誘導政策が引き起こした 低中所得層の“インフレ恐怖症”
2015年9月19日号スーパーマーケットで販売されている食品や日用品の価格を集計している東大日次物価指数が最近急激な上昇を示している。7日間の移動平均前年比で見ると、6月4日は+0.4%だったが、9月4日は+1.5%だ。だが、東大日次物価指数の上昇は、消費者の購買力の高まりを反映したものとは言い難い。食品や日用品といった生活必需品においては、企業は円安によるコスト上昇を販売価格に比較的転嫁しやすくなっている。しかし、全体の所得の伸びに限りがあるため、生活必需品の価格上昇と反比例して、消費はさえない状況にある。
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金利市場 透視眼鏡
金融緩和で雇用確保を狙う欧中 低失業で緩和の必要性低い日本
2015年9月19日号中国が人民元の切り下げを発表して以降、世界の株式市場が大きく下落するなど混乱した相場が続いている。中国が人民元を切り下げても世界経済の需要のパイが変化するわけではなく、世界経済の先行きを悲観する必要はない。ただ、これまで世界経済が中国の過剰投資に支えられてきた中、もはや中国が過剰投資により世界をけん引することがないと悟った株式市場の参加者が、期待リターンを引き下げると同時に株式を手放しているというのが現状だろう。
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World Scope ワールドスコープ
【from 米国】 グリーンカード目当てに 流入する中国投資マネー 大金めぐり不正や訴訟も
2015年9月12日号カリフォルニア州、エルモンテ。労働者階級の住民が多く住むこの市の市役所の前には、ペパーミント色のペンキで塗られた自由の女神像が立っている。移民大国米国を象徴するような光景だが、実はこの市は、米国永住権目当てで海外マネーが流入するメッカなのだ。さらに中国本土からの投資金をめぐる不正と訴訟のバトルの舞台にもなった。
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World Scope ワールドスコープ
【from 欧州】 難民問題の解決には EU加盟国間の協調と 紛争の安定化が不可欠
2015年9月12日号当地英国のニュース番組では、7月の初めごろからしばらくの間、南東部の高速道路上で長蛇の列を成す停車中の大型トラックの映像が毎日のように流れた。事の発端は、6月末に発生したフェリー会社従業員のストライキによって、英仏海峡を結ぶフェリーの運航が停止し、鉄道用の海峡トンネルも一時閉鎖に追い込まれたことである。英仏海峡は年間約250万台のトラックがフェリーや鉄道で輸送される物流の大動脈であり、英国側のケント州でも港やトンネルの入り口に向かう道路が大渋滞となった。冒頭で述べたトラックの列は、高速道路の一部を通行止めにして設けられた、臨時の車両待機エリアの光景である。
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Interview
御手洗冨士夫(キヤノン会長兼社長)インタビュー
2015年9月12日号監視カメラシステム世界大手のスウェーデン・アクシスコミュニケーションズを約2800億円で傘下に収めたキヤノン。今後どのような企業グループ像を描いているのか。御手洗冨士夫会長兼社長に聞いた。
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短答直入
沓掛英二(野村不動産ホールディングス社長)
2015年9月12日号東京都心で不動産市場が高騰する中、マンション販売に強みを持つ野村不動産ホールディングスは今後どのような事業展開を目指すのか。6月に就任した沓掛英二社長に聞いた。
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株式市場 透視眼鏡
先進国の購買力上げる資源安 中国発株安は絶好の買い場
2015年9月12日号人民元切り下げに端を発する世界同時株安の余波が続いている。中国景気の減速に歯止めがかからないこと、そのことがさらなる人民元切り下げ観測をかき立てて、新興国や資源国だけではなく先進国をも巻き込んだ調整に発展している。