記事一覧:コラム2379件
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Book Reviews 書林探索
ビッグデータで腕の動き、幸福、 消費行動を分析し法則見いだす
2014年9月13日号本書は、ウエアラブルセンサを使って、社会現象や人間行動を計測して、大量のデータを分析することで、社会現象や人間行動に関するさまざまな発見を紹介したもの。目からうろこが落ちるような報告の連続である。人間の行動に科学的な法則性はあるだろうかという問いに対して、リストバンド型のウエアラブルセンサを使い、腕の動きを加速度センサで計測し、12人の被験者に対して9000時間の記録を取り、右肩下がりのU分布に従うという法則性を見いだしている。
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Book Reviews 知を磨く読書
民主党“失敗の本質”は独善主義
2014年9月13日号多くの日本人が政治に対する関心を失っている。2009年の自民党から民主党への政権交代への期待が大き過ぎたことに対する反動と思う。民主党政権の功罪についてきちんと総括しておかないと、民主主義の基盤そのものが溶解してしまう危険がある。山口二郎・法政大学教授は『民主党政権とは何だったのか』で、〈自民党と比べて、民主党の政治家は秀才タイプが多いですね。官僚を批判しながらも、ある意味で官僚と似た発想をしてしまう。ベスト・アンド・ブライテストとして政策を作れば、他の人も理解してくれるし、実現して当然というような、ある意味で自己中心的な発想が民主党政権にはあったと思いますね。いろんな人がいろいろな利害関係を持っていて、それをさばくのが政治に他ならないという考えがあまりなかった〉と言う。的確な指摘と思う。
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From Readers From Editors
From Readers From Editors
2014年9月6日号セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長に、以前から聞いてみたいことがありました。著書の中に、休日は自宅近くのセブン-イレブンで弁当を買い、おいしくなければ全店から撤去させるという記述があるのですが、まだ続けているのか、という点です。聞くと、今でも日曜日には近所の店を回り、買った商品がまずければ電話1本するだけで、わずか20分で全店から撤去できるとのこと。
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【映画(DVD)】 縁談話が極上のエンタメに 敬遠したら大損の傑作
2014年9月6日号スクリーンと観客が一緒に歌うというイベント性で大ヒットの『アナと雪の女王』。作品は中ぐらいの出来で今回は員数外(いんずうがい)。後は3本とも共通するのは〈大家族〉。『ダウントン・アビー』は中世の大僧院(アビー)に由来する英国荘園貴族の継嗣問題と財産相続の話。時はタイタニック号沈没から第1次世界大戦の勃発まで……これで敬遠したら大損の傑作。3人の娘の縁談話という通俗の素材が、徹底的な当時の風俗の再現と練り上げられた台本、家族8人と使用人が執事以下10人の個性ある配役(名女優マギー・スミスら)でこんなにも極上のエンターテインメントになるものか。ドラマの魅力とはこれだろう。まずは第1シーズンの7本をご覧あれ。
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Book Reviews 目利きのお気に入り
事業戦略に求められる 明確で整理された行動指針
2014年9月6日号私自身も経営企画系の部署に所属しており、『経営企画部が日本企業をダメにする』というタイトルを突き付けられると、もう読まずにはおれません。歯に衣着せぬ本音の事業戦略批判が強烈で、著者は、口先で顧客を丸め込むのが大嫌いなコンサルタントに違いないと確信します。中盤以降は、本格的な事業戦略論が展開されます。
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Book Reviews 書林探索
20年前に日本の停滞を予想 英国流の緩やかな没落に学ぶ
2014年9月6日号日本は戦後の高度成長終了後も、1990年代初頭まで平均4.3%の高成長を続けた。その後、低迷が始まるが、90年代末ごろでも3%近い成長が可能というエコノミストが少なくなかった。実際には、日本の潜在成長率は、90年代が1.9%、2000年代が0.7%。10年以降は0.3%まで低下した。
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Book Reviews 知を磨く読書
誤解は多様性を確保する必要悪
2014年9月6日号仕事においても、生活においても、さまざまなストレスがある。そのほとんどが人間関係から生じる。特に誤解によってトラブルが生じることが多い。渋滞学の専門家である東京大学の西成活裕教授は、『誤解学』で〈誤解とは、単一化を避け多様性を確保する人間社会のメカニズムであり、必要悪とも言えるものであろう〉と指摘する。生物の進化の歴史を学ぶと、単一性は死滅をもたらす。誤解によって文化の多様性が確保されているので、人類は生き残ることができるのだ。
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From Readers From Editors
From Readers From Editors
2014年8月30日号リーマンショック後、韓国経済礼賛論が日本を席巻しました。アジア通貨危機をばねに、財閥企業が大胆な集中と選択を断行し、スピード経営でライバルの日本企業を凌駕、国家が旗を振った韓流文化輸出までが成功の証しと持ち上げられました。
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【科学読み物】 目にしたことがない美しさで 残暑の脳の疲れを取る
2014年8月30日号自然界には、万能のデザイナーや演出家がいるのではないかと思ってしまう。自然淘汰の原理だけでは、これほど多様で、見る目を驚かせる造形は不可能だろう。『世界で一番美しいイカとタコの図鑑』には大判カラーの270ページに、浅海から深海のイカとタコの生きた写真が満載だ。巻頭には全長7メートル近いダイオウイカの魚拓を6分の1に縮小したとじ込み付録も付いている。日本にも生息する世界最小のヒメイカは胴の長さが2センチ未満。避難用に二枚貝やココナツの殻を抱えて歩行するメジロダコもいる。深海の400度になる熱水噴出孔の脇で、ゆでダコにならずに暮らす仲間もいて、無類の奇想天外度に満ちている。手元に置いて損はない。
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Book Reviews 目利きのお気に入り
物を買う喜びを創造する 安心感を創出するサイクル
2014年8月30日号物を買う喜びは、どのように創造されているのか。身近なお店を取り上げた好著が相次いで刊行されました。まずは『鎌倉シャツ 魂のものづくり』。鎌倉シャツは私もよく行くお店の一つですが、直感的に「この店、いいなぁ」と思っていたことと、本書が記す経営のあり方がピタッと一致してうれしくなりました。4900円シリーズに象徴されるシャツを実現するための協力会社との誠実な関係づくり。「目標を作ると、その達成のために無理を重ねることになる」(社長)という方針の下、出店要請を受けて取り組まれる出店計画や店のサイズに応じた採算計画の練り方等々。ファッション販売を知り尽くした著者が、「買う物」と「買う者」の両方に対して安心感を創出するサイクルを、落ち着いた筆致で解き明かします。
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Book Reviews 書林探索
森林維持・破壊の地域差の理由 日中西欧の比較でひもとく
2014年8月30日号中国に行くと、黄色い大地がいつまでも続いて緑がないのに驚くことがある。日本の山は急峻で、畑にしたり、木材を伐採して運び出したりすることが経済的に引き合わないことが良かったのかもしれないと思ったことがあるが、江戸時代の領主が森林の伐採を固く禁じていたと聞いたこともある。
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Book Reviews 知を磨く読書
存在感を強める未承認国家
2014年8月30日号国際情勢がきな臭くなっている。ウクライナ、イラク、パレスチナなどでの紛争は、実質的な戦争に拡大しつつある。その中で大きな意味を持つのが、主権国家として宣言しても、国際社会から認められない未承認国家だ。パレスチナやウクライナ東部のドネツク人民共和国、ハリコフ人民共和国などの未承認国家と国境を越えるテロ組織アルカイダ、イラクとシリアの一部地域を実効支配するが主権国家としての宣言をしない「イスラーム国」のような武装集団が国際社会の不安定要因になっている。
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This is.
サンタフェ ナチュラルタバコ ジャパン 吸い殻は資源だ! 世界で広がるリサイクル活動
2014年8月30日号サンタフェ ナチュラルタバコ ジャパンの「ナチュラル アメリカン スピリット」は、天然のタバコ葉だけを使用した100%無添加のタバコである。
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From Readers From Editors
From Readers From Editors
2014年8月23日号こんなはずではなかった。30代に入り、そう思うことがあります。その一つが、英語です。小学校から英会話塾に通い、高校で英語科に進み、大学で英語の授業を取っていたのに、社会人になっても話せませんし、使えません。
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【子育て・教育】 多種多様な実例に学ぶ PTAや親子関係の改革法
2014年8月23日号何かと話題のPTAだが、「そもそも必要か?」「意味ある活動にするには?」など、少しでもPTAについて考えてみたい人にとって必読なのが、『PTAをけっこうラクにたのしくする本』だ。
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Book Reviews 目利きのお気に入り
稼ぎは住むところで決まる!? 年収の都市間格差の秘密
2014年8月23日号『年収は「住むところ」で決まる』。編集者の気持ちはよく分かるのですが、おっと驚くものの、買おうという気持ちにまではいかない。もう一工夫が欲しい書名ですが、これが実は大当たり。一級の経済エンターテインメントになっており、どう売っていこうかと悩みました。
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Book Reviews 書林探索
日本経済低迷の真因を分析し 成長戦略の方向性を示唆する
2014年8月23日号本書は、エコノミストとして数多くの提言を発信してきた著者が、日本経済の現状を分析し、長期低迷の真因を探求した力作である。かつて日本経済は、資産の蓄積によって成長を遂げてきた。特に、高度成長期は、設備投資が景気を主導し、「投資が投資を呼ぶ」ともいわれた時代であった。しかし、経済が成熟する中、資産の蓄積を伴って成長する時代は、終わりを告げた。にもかかわらず、1980年代後半のバブル期に蓄積された過剰な資産は、その崩壊後も十分に解消されないまま今日に至っている。著者は、これこそが日本経済の長期低迷の真因とする。
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Book Reviews 知を磨く読書
陳腐化が早い“すぐ役立つ学問”
2014年8月23日号幅広く正確な教養の伝授法について、池上彰氏の右に出る人はいない。『おとなの教養』で池上氏は、〈日本ではよく大学に対して、社会に出てすぐ役に立つ学問を教えてほしいと言われます。ところがアメリカは意外とそんなことがないのです。すぐに役に立つものを教えるのは専門学校で、いわゆるエリート大学は、「すぐに役に立たなくてもいいこと」を教えるのです。/すぐに役に立つことは、世の中に出て、すぐ役に立たなくなる。すぐには役に立たないことが、実は長い目で見ると、役に立つ。こういう考え方なのです〉と強調する。評者も同じ意見だ。
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From Readers From Editors
From Readers From Editors
2014年8月9日号独自の世界観を築き上げた一方で一分の隙も見せないディズニーと、ごった煮でユルいけど楽しさで満腹になってしまうUSJの誌上対決を試みました。テーマパークでくくっていますが、その中のカテゴリーは違うというのが私の結論です。
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Book Reviews オフタイムの楽しみ
【音楽・演劇・演芸】 芸能の世界の達人に学ぶ 人生という舞台での輝き方
2014年8月9日号人生そのものを「舞台」と捉えるならば、芸能の世界での成功論には、ビジネスやプライベートシーンに応用可能な要素が多いのかもしれない。AKB48など数々のアーティストを指導してきた振付師・夏まゆみによる『エースと呼ばれる人は何をしているのか』は、自分の実力や魅力を発揮するべき場所で十分に引き出すための「正しい成長方法」の指南書。