記事一覧:コラム2379件
-
From Readers From Editors
From Readers From Editors
2015年10月3日号弊社発行の月刊誌「DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー」が「IoTの衝撃」という特集を組んだのは今年3月。米西海岸などではすでにバズワードになっていたものの、「国内では一部のIT系以外の人には、ちょっとタイミングが早いかな」という認識が編集部内にはあったそうです。
-
Book Reviews オフタイムの楽しみ
【スポーツ・ホビー】 「走塁のプロ」の思考と技術 脳も鍛えるスポーツの効用
2015年10月3日号セ・リーグの首位攻防戦、阪神対巨人(9月9日、甲子園球場)。3対3同点の場面で巨人・原辰徳監督は、代走・鈴木尚広を告げる。マウンドには、阪神の抑えのエース・呉昇桓が登っていた。九回ノーアウト、ランナー一塁。盗塁が決まれば最大のピンチになる。鈴木の「足」を警戒して、呉は執拗にけん制球を投げる。その焦りからだろうか、けん制球がそれてファールグラウンドを転々とする。その間に鈴木は、快足を飛ばして一気に三塁を陥れる。呉の単なるミスのように思えるプレーだが、ここに鈴木の積み重ねてきた経験と技術、思考が凝縮されていた。
-
Book Reviews 目利きのお気に入り
ゲーム理論に時間活用術 エッセンスを手際よく学ぶ
2015年10月3日号言葉は知っているが深くは知らない。でも専門書を手にする意欲はない。そんなわがまま(?)に応えてくれるのが今月の3冊。まず『戦略思考を磨くゲーム理論トレーニング』。著者は、京都大学の教員時代からSF関係の著作もある風変わりな先生。本書では81問のクイズやパズルを示し、それを解明していく過程でゲーム理論のエッセンスを学びます。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
米シリコンバレーで慕われる 著名投資家が記した激励の書
2015年10月3日号技術経営論は、イノベーションには三つの関門、すなわち(1)開発段階の「魔の川」、(2)事業化段階の「死の谷」、そして(3)販売段階でライバルが次々と出現する「ダーウィンの海」をクリアする必要を説く。しかし、いかにしてそれらの問題を克服するかについての論説には、断片的で、なじみのない新製品を売る難しさや、強力なライバルの出現を想定しないものもある。
-
Book Reviews 知を磨く読書
コネ社会ロシアの備忘録
2015年10月3日号山内昌之、佐藤優著『第3次世界大戦の罠』は、地政学の視座から現下の国際情勢を読み解いたユニークな書だ。山内氏は、〈そして大事なことは、いまのイラン・イスラーム革命の指導者たち、ルーホッラー・ホメイニーからアリー・ハーメネイーに至るシーア派指導者たちも、イランの「中華思想」を決して捨てていません〉と指摘する。国際社会の混乱要因となっているイランをシーア派原理主義という観点のみからではなく、ペルシア(イラン)帝国主義の復活という要因も加え、それが中東の地政学に構造的変化を与えていると説く。
-
From Readers From Editors
From Readers From Editors
2015年9月26日号ついに私も目を背けていられなくなりました。経済学に、です。社会人たるもの、「経済学は理解していて当たり前」とされていますが、どうにもハードルが高く……。
-
Book Reviews 著者のホンネ
起業家たちが歩む“茨の道”を ありのまま綴った異端のビジネス書
2015年9月26日号日本の伝統的な企業は、経営のプロセス強化や役員陣の合意などを重視することが多いですね。しかし新しい会社をつくるなら、そうした日本のビジネス文化を脱却することを期待しています。再びソニーや任天堂のような企業をつくる力があるはずです。
-
Book Reviews オフタイムの楽しみ
【ファッション】 米国から大注目のコンゴまで 世界の新ライフスタイルを紹介
2015年9月26日号サブプライム危機後に拝金的な消費至上主義に背を向けて登場した新ライフスタイルを紹介したのが『ヒップな生活革命』である。エコロジー、オーガニック、ハンドメードをキーワードにしてエシカルな衣食住を志向する生き方は、米国ポートランドを口火にして今やNYのブルックリンにまで広がりを見せているという。
-
Book Reviews 目利きのお気に入り
プロ経営者の自伝的仕事論 経営理論の実践活用ガイド
2015年9月26日号じわじわと売れ始めているのが『どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力』。著者は、日本コカ・コーラ、デル、レノボ、アディダスジャパン、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)の幹部を務め、現在はハイアールアジアの社長。書名は第三者的な解説本を思わせますが、実は著者がプロ経営者へと育つ自叙伝的仕事論。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
ナチ政権誕生の分岐点を詳述 政治小説のように読める好著
2015年9月26日号時代は定期的にヒトラー・ブームを呼び込む。1970年代の第1次ブームでは、ヒトラーの非合理さやナチズムのキッチュさ(俗悪ぶり)が注目された。近年のブームでは、ナチ政権が進めた社会政策や環境政策の革新性が指摘されている。ただし、ヒトラーとナチの強烈な個性が世界を征服したという歴史観は、その時代に生きた人々にあったかもしれない責任を免罪しかねない。彼が政権を奪取したのではなく、時の権力がヒトラーとナチスを招き寄せたのだとしたら──。ナチに凡庸という悪を見たのは哲学者アーレントだが、本書はその悪を招くのはまた別の凡庸な悪であったことを強調する。
-
Book Reviews 知を磨く読書
ウクライナ現政権への立場
2015年9月26日号『ウクライナ日記』は、ウクライナの著名な作家アンドレイ・クルコフ氏の2013年11月からの日記の抜粋だ。優れた小説家であっても、自民族中心主義から抜け出せないことが如実に示されている。読んでいて憂鬱になる。もっともそのようなクルコフ氏ですら、14年4月1日の日記に〈昨日、右派セクターの兵士の一人が、国民自衛団の戦士と喧嘩をした挙句、なんと独立広場で、酔ったあげくカラシニコフ銃連続発射をやってのけた。自動小銃の連続発砲音を聞いた街は凍りついた。キエフの臨時副市長を含む三名が負傷した〉と記す。右派セクターはウクライナの現政権の中核となる勢力だ。本書からもウクライナがまともな法治国家でないことが伝わってくる。日本政府はウクライナ現政権に対する政治的、経済的な支援をやめ、ロシアとウクライナの対立について厳正中立の立場で臨むべきと思う。
-
From Readers From Editors
From Readers From Editors
2015年9月19日号「俺はサラリーマンだ。経営者は〇○さんだ」。約20年前、ある有力地銀の役員を取材中、のらりくらりとした受け答えにいら立ち「あなたは経営者でしょう?」と問い詰めたところ、頭取の名を挙げて逆切れされました。
-
Book Reviews オフタイムの楽しみ
【料理・食文化】 「すし」の変革と隆盛の歴史 読み応えある文章のお手本
2015年9月19日号久しぶりに「すし」の本で読み応えのある本が出た。日比野光敏著『すしのひみつ』がそれ。すしが1200年以上前、東南アジアで生まれ、それがどの道筋を経て日本へ伝わり、その過程ですしがどのように変革を遂げ、そうして「江戸前」握りずしがいつごろ誕生し、いまの隆盛に至ったかを丁寧に解き明かしてある。
-
Book Reviews 目利きのお気に入り
思うようにはいかぬ「伝え方」 落語家による指南書の説得力
2015年9月19日号「伝える・伝わる」は一筋縄ではいかない。だからこそたくさんの本が出ているのですが、『いつも同じお題なのに、なぜ落語家の話は面白いのか』は、題名から何かが伝わってきて思わず手にした1冊でした。内容は、落語家の話し方からコミュニケーション技法を説いたもの。グッと前のめりになったのが第3幕「間」。著者は「落語では間こそ重要」と言います。それはお客さまが笑いを理解し、消化し終えるまで待つものであり、相手に間を上手に使ってもらうのが伝わることにつながる。途切れずに喋れと説く類似本とは正反対。師匠である立川談志のエピソードも小気味よいリズムをつくり、落語の棚でなくビジネス書の棚の方がぴったりきます。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
最後は失意のうちに村を去る 原子力村のドンと呼ばれた男
2015年9月19日号昔のことは、どんどん分からなくなっていく。70年前のことも、つい今の感覚の延長線上で想像してしまうが、『湯川博士、原爆投下を知っていたのですか』の中には、このような指摘が登場する。「平和になってから聞けば、原爆で一瞬にして10万人が亡くなったというのは確かに驚きなんだけど、日本は戦争で300万人とか死んでるわけでしょ。(中略)被害という点で、原爆だけが特別だという意識は、戦後しばらくはなかったんじゃないですかね」
-
Book Reviews 知を磨く読書
保守思想の悪貨と良貨
2015年9月19日号富裕層の子弟ほど良好な教育を受ける可能性が高いという実態が中室牧子著『「学力」の経済学』を読むとよく分かる。中室氏は統計データを解析し、〈もっとも収益率が高いのは、子どもが小学校に入学する前の就学前教育(幼児教育)です〉と結論づける。確かに中室氏の説明には説得力がある。就学前の幼児に知識の習得だけでなく、しつけや礼儀を含む人格形成、体力の強化などを戦略的に行えば、小学校に入学する時点で、競争に強い子どもになっている。
-
From Readers From Editors
From Readers From Editors
2015年9月12日号世界の株式市場の動揺が止まりません。中国の景気後退と米国の利上げというW懸念が主因とみられています。何しろドルは世界通貨だけに、米国の金融政策の変更は世界に影響を与えます。
-
Book Reviews オフタイムの楽しみ
【酒・酒文化】 職人的酒造りに挑んだ起業物語 日本の洋酒文化を築いた2人
2015年9月12日号ビールに限らず、ワインやウイスキーの世界でも大手の手によらない酒造りが注目されるのは世界的トレンドなのだろう。『クラフトビール革命』は米国で成功しているクラフトビールを知るには格好の一冊だ。今や2700社以上が存在し、ビール市場の10%を構成する存在で、日本の地ビールとは一線を画す。クラフトブルワリー隆盛の背景にはさまざまな規制の緩和があった。規模の拡大を求めず、職人的であろうとする多くの起業家たちの物語を、米国で最も注目されているブルックリン・ブルワリーの創業者が語る興味深い一冊。
-
Book Reviews 目利きのお気に入り
プログラミング、遺伝子工学 人間の叡智を見詰め直す3冊
2015年9月12日号大衆は文明を自然物であるかのように扱い、文明が道具を作り出すことのできた原理・叡智に情熱を向けようとしない。そんなオルテガの言葉を思い出した3冊。『プログラミングバカ一代』は、劇画みたいな書名ですが、提示する思想は深い。小学生でPC9801を使いこなし、3Dグラフィックのプログラムを自作したほどの天才が、先輩、仲間、そしてアラン・ケイなどとの邂逅を通じてたどり着いたのは、B・ゲイツとS・ジョブズが一般ユーザーから隠し遠ざけようとした人類の叡智としての「プログラミング」。
-
Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
日本史と世界史を分断せず “近現代史”の理解を深める
2015年9月12日号先の戦争というと、約4年間続いた米国との太平洋戦争を思い浮かべる人が多い。実際には、1931年の満州事変から約14年間も戦争状態は続き、戦域も西はインドまで広がっていた。今や、そうした事実を認識する人は減っている。高校の授業では、“近現代史”は時間切れになりがちで、日本史と世界史が別々に教えられているという問題もあり、統一的な視点に欠けるきらいがある。歴史教育が不十分なことも他国との関係がこじれる理由の一つなのだろう。