記事一覧:コラム2379

  • 野蛮な帝国への抵抗文学

    Book Reviews 知を磨く読書
    野蛮な帝国への抵抗文学

    2018年9月8日号  

    新庄耕著『カトク』は、厚生労働省内に設けられた過重労働撲滅特別対策班(通称、カトク)の活動を描いた小説だ。幾つものエピソードを通じ、日本で働き過ぎが文化として定着していることが分かる。〈どうして日本が大国になれたか。どうして世界から一目置かれたか。シンプルだよ。必死にやったんだ。家族のために国のために、寝る間も惜しんで一所懸命に働く。ものがなくとも文句を言わず、知恵をしぼり、皆で力をあわせる。そうやって耐えがたき状況を耐え、砂をかむような思いで皆が泥臭くやったからこそ、ここまでのしあがれたんだ〉というような、過去の栄光に縋る精神主義が諸悪の根源のように思える。

  • CASIO

    This is.
    CASIO

    2018年9月8日号  

    英会話の習得は、できるだけ毎日英語に触れることが大切。空き時間を使いながら英会話スキルを高めたいと願う人は多いだろう。カシオのデジタル英会話学習機「エクスワードライズ」は、スマートフォンのような薄型・軽量ボディーで手軽に携帯でき、移動などの隙間時間を学習に当てられる。

  • From Readers From Editors

    From Readers From Editors
    From Readers From Editors

    2018年9月1日号  

    このごろ、よく「平成最後の~」という言葉を耳にするようになった。「平成経済全史」特集(8月25日号)を読むと、平成という時代は、自分が思っていたよりもはるかに激動の時代だったのだと感じた。

  • 【ファッション】真のヴィンテージとは何か知られざるジーンズ史の迫真

    Book Reviews オフタイムの楽しみ
    【ファッション】 真のヴィンテージとは何か 知られざるジーンズ史の迫真

    2018年9月1日号  

    世界中の老若男女に愛されるブルージーンズの生みの親はリーバイス。しかしサンフランシスコ大火によって会社の資料が焼失し、その詳しい歴史は謎の部分が多かった。

  • アマゾンの全容に倒産学概論ありそうでなかった納得の著

    Book Reviews 目利きのお気に入り
    アマゾンの全容に倒産学概論 ありそうでなかった納得の著

    2018年9月1日号  

    eコマース界の巨人の実態については、創業者のジェフ・ベゾスの評伝や取材記事はあるものの、アマゾンそのものの全容を紹介する著作に触れたことがありませんでした。しかし本書は、「10年後には必ず経営学の教科書に載る企業」の事業姿勢、マーケティング、資本政策など経営を丸ごと解剖します。しかも著者は、日本マイクロソフトの元社長。ITのプロがIT界の巨人に挑み、最終的にたどり着くのが「ユーザー至便」。では「お客さま第一主義」を掲げてきた日本企業とは何が違っていたのか。370ページの大部で、内容も読み応えも大納得です。

  • 伝統文化の風刺画で活写する近現代の英国宰相たちの実相

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    伝統文化の風刺画で活写する 近現代の英国宰相たちの実相

    2018年9月1日号  

    本書は、18世紀の英国で誕生した風刺画を皮切りに、1990年代のメイジャー首相時代までの夥(おびただ)しい数の風刺画を再録し、英国政治史を追うユニークなもの。

  • 不確実な社会に対応する

    Book Reviews 知を磨く読書
    不確実な社会に対応する

    2018年9月1日号  

    廣瀬陽子著『ロシアと中国』を読むと、中露関係の脆弱性がよく分かる。〈中露関係については、「蜜月は偽装されたものであり、その賞味期限はいつまでか」ということを常に考える必要がある。今後の動向を最も左右するのは、双方の損得勘定と国際状況、国内事情になる。特に、エネルギー価格とウクライナ情勢、制裁と報復措置の趨勢、およびロシアの経済状況が鍵となる。もちろん、中国の経済状況も重要な要素であろう。現在の中露の内政は、共に権威主義の上に成り立っている。国際関係以前に、国内の乱れこそ国家存亡の危機であり、国内システムの安定も極めて重要な要件となる〉という指摘はその通りだ。ロシアは、人口圧力と経済力によって中国にのみ込まれてしまうことを恐れている。

  • From Readers From Editors

    From Readers From Editors
    From Readers From Editors

    2018年8月25日号  

    ロスジェネ前期世代です。世代間の差を一番感じたのは、やはり就職活動です。私は何十社と面接で落とされているうちにストレスがたまり、面接へ向かう移動中、おなかが痛くなって何度もトイレに駆け込んでいました。こんな不況下で就活をしなきゃならないなんて、何て運が悪いんだと思ったものです。

  • 【酒・酒文化】ウイスキーを楽しむバイブル日本ワインをより深く知る

    Book Reviews オフタイムの楽しみ
    【酒・酒文化】 ウイスキーを楽しむバイブル 日本ワインをより深く知る

    2018年8月25日号  

    海外のオークションでもウイスキーが投機の対象として扱われ、大きな話題となることがある。『ウイスキーバイブル』は固定観念にとらわれない新たなウイスキーの楽しみ方を提起する。著者は現在のウイスキー界を代表する評論家の一人だ。

  • 世界を牛耳る「四騎士」の正体大ヒットの「テンプル騎士団」

    Book Reviews 目利きのお気に入り
    世界を牛耳る「四騎士」の正体 大ヒットの「テンプル騎士団」

    2018年8月25日号  

    今夏の休日読書は、豊作です。まずは、『the four GAFA』。現代世界の覇者であるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの力の源泉と支配のルールを解き明かします。副題にある「四騎士」とはヨハネの黙示録に登場する破壊の騎士たちのこと。

  • 「ギフテッド」な天才少年にはどのような景色が見えるのか

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    「ギフテッド」な天才少年には どのような景色が見えるのか

    2018年8月25日号  

    最初に言うと、書評の枠を逸脱するかもしれないが、評者は本書が描く天才、テイラー・ウィルソン君を間近で見たことがある。今年4月、日本原子力産業協会(旧原産会議)が開いたイベントにゲストとして来日し、基調講演を行ったときだ。

  • “日本語高”に資する作品

    Book Reviews 知を磨く読書
    “日本語高”に資する作品

    2018年8月25日号  

    池上彰著『池上彰の世界を知る学校』は、地政学に目配りをした優れた解説書だ。各国の地図を比較した上で、池上氏は、〈イランの地図には、イスラエルという国が描かれていません。(中略)イスラエルの国があるはずのところには「パレスティン」と表記されています。

  • JT

    This is.
    JT

    2018年8月25日号  

    たばこの吸えるエリアは減る一方だ。モクモクと煙の出る紙巻きたばこはにおいもあり、喫煙OKの店でさえ遠慮してしまう人が多いのではないだろうか。そのため、煙やにおいが少なく、ニコチンやタールなども低減される“加熱式たばこ”に切り替える喫煙者が増えてきた。日本では三つのメーカーが商品化している。

  • From Readers From Editors

    From Readers From Editors
    From Readers From Editors

    2018年8月11日号  

    「決算書100本ノック」というタイトルに合わせ、表紙には守備練習する野球選手の絵を用いました。ところが、当初使おうとしていたイラストを見た野球好きの営業部長が「これ左利きじゃないですか。一塁手を除けば左利きの内野手なんていませんよ」。確かに内野は右利きでないと一塁に送球しにくい。

  • 【サイエンス】天才少年「成功譚」の真の主役周期表から読む生命進化の謎

    Book Reviews オフタイムの楽しみ
    【サイエンス】 天才少年「成功譚」の真の主役 周期表から読む生命進化の謎

    2018年8月11日号  

    『太陽を創った少年』に好感を持ったのは、この本が単にTEDトークで観衆を沸かせる天才少年の成功譚として自己完結しているのではなく、「天才を子供に持った両親は何をなすべきか」という教育論にもなっていたことだ。ジャケットに写るテイラー少年は、原子核物理学に強い興味を示すようになり、山へウランの採取に行き、成長とともにやがて自宅のガレージで原子炉を作ろうとする。ウェブで放射性物質マニアの大人たちと闊達に意見交換し、大学教授にも才能を認められ、その研究発表は賞を取る。だが真の主役は彼の両親だろう。休日にテイラーの鉱物採集に付き合い、良い学校へ通わせようと引っ越しを決意し、彼の熱意を理解しようと努める。天才の子供を持つ親は多い。本書はそうした親たちへのエールになっている。その丁寧な筆致が胸を打つ。

  • 内向きな日本へのメッセージ経済常識が根底から揺らぐ本

    Book Reviews 目利きのお気に入り
    内向きな日本へのメッセージ 経済常識が根底から揺らぐ本

    2018年8月11日号  

    著者は、今夏まで本田圭佑選手のゲーム戦術をアドバイスする専属分析官を、今は欧州のプロサッカーチームでコーチを務めている人物。サッカーを志したのは18歳で、大学ではサッカー部への入部を拒否された遅咲き。ならばと南米に渡ってプロを目指し、その後、コーチに転じます。「夢中になるものがあれば、努力は努力でなくなる」「やれない理由ではなく、やる理由を考える」に象徴される超前向き人生。これは起業家の姿勢そのもので、スポーツ系自己啓発本としては異例の“内向き日本”へのメッセージとなっています。

  • なぜ大企業は失敗するのか?経営の問題に経済学者が挑む

    Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」
    なぜ大企業は失敗するのか? 経営の問題に経済学者が挑む

    2018年8月11日号  

    「トップ企業も、組織的、心理的要因でイノベーションに失敗し、新興企業に取って代わられる」。米ハーバード大学の著名な経営学者、クリステンセン教授が『イノベーターのジレンマ』(原題)でこう論じたのは1997年。世界的なベストセラーは、20年後の今でも世界中の経営者が座右の書として挙げる。

  • あのテロ事件の一級の史料

    Book Reviews 知を磨く読書
    あのテロ事件の一級の史料

    2018年8月11日号  

    アンソニー・トゥー著『サリン事件死刑囚 中川智正との対話』は、優秀で心優しき若者たちがなぜオウム真理教とその教祖に心酔し、化学兵器を用いたテロ事件を引き起こしたかがよく分かる一級の史料だ。〈私は6年間にわたって、彼と文通や面会をしてきた。彼を死刑囚としてでなく一人間として付き合ってきた。彼の今迄の犯罪を私は知っている。これらの罪は許されるものではない。しかし人間には誰にも明暗、または光と影がある。私は彼の「明」や「光」の片側だけと付き合っていたのかもしれない。彼の死刑執行という事実で中川という個体がこの世から消されてしまったことに対し、私は一抹の哀悼を感じる〉とトゥー氏は述べる。偏見を排して接触したので、中川元死刑囚も公判では語らなかった事柄についても率直に述べたのだと思う。刑事裁判では、検察官も裁判官も犯罪事実の立証にだけ関心を持つ。オウム真理教事件の最大の問題は、思想であり、宗教的信条なのであるが、この点についての究明がなされないまま、関係者13人の死刑が執行されてしまったことに違和感を覚える。

  • 正林国際特許商標事務所

    This is.
    正林国際特許商標事務所

    2018年8月11日号  

    特許情報の分析をコアに、知的財産(知財)戦略のコンサルティングを行う正林国際特許商標事務所。同社の一押し商品は「IP(知財)ランドスケープ」という企業向けサービスである。

  • From Readers From Editors

    From Readers From Editors
    From Readers From Editors

    2018年8月4日号  

    先日、子ども用にネットオークションで中古パソコンを物色しました。幸い、目当てのモデルをある中古販売業者が大量に出品していたため、選び放題。なのに、見ていると終了間際に入札合戦になり、思わぬ高値で終わるケースもあれば、ひっそりと安く終わることもある。

定期購読キャンペーン

記者の目

  • 編集部 鈴木洋子

    〆切で積んでるエルデンリングDLC、早くクリアしなくちゃ

     大人になりゲームから離れていた私の元に結婚祝いとしてWiiが来たのは2008年のこと。「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」のとりこになり、エンディングでは床に崩れて大泣きし、それからずっとゲームが大好きです。今回「ゲーマーの平均年齢は37歳」と知って安堵したのは内緒です。
     生まれた子どもは知育ゲームとマインクラフト、Robloxに夢中。わが家の娯楽の真ん中にゲームはいます。
     今号の特集では、依存症の問題は取り上げませんでしたが、産業・文化・社会の中で重要性を増すゲームと、どう付き合うかを、多くの方が考えるきっかけになれば幸いです。さて、〆切終わったしそろそろエルデンリングDLCクリアしなくちゃ。

  • 編集部 片田江康男

    寒さに負けないゲームのコンテンツ力

     自宅近くの公園を通りかかった際に、小中学生5~6人が公園のベンチに下を向いて座っていました。手にしていたのはNintendo Switch。お菓子や飲み物まで用意して、寒空の下で没頭していました。
     私が子どもの頃は、ゲームを持っていて、家に上がっていい友人宅に集合したものでしたが、新型コロナウイルスのまん延を経て、そんな遊び方はなかなか実現しなくなったようです。
     それにしても、寒風吹きすさぶ中でも、子どもたちを夢中にさせるゲームのコンテンツ力には脱帽です。私も読者の皆さまが夢中になる特集をお届けできるよう、精進してまいります。2025年もよろしくお願いいたします。

最新号の案内2025年1月18日号

表紙

特集日本のゲーム

半導体や鉄鋼並みの外貨獲得力を持つ日本のコンテンツ産業。その中で最大規模を持ち、成長を続けるのがゲームだ。世界市場は2028年には50兆円にも届くといわれており、外貨獲得産業として国も支援に乗り出した。一方、業界の「ゲームシステム」は急速に…

特集2役所&日銀出身の社外取締役報酬ランキング

社外の客観的な目が企業経営にとって重みを増す中、社外取締役が役人の有望な再就職先となっている。「行政経験を積み、企業経営にも一定の理解がある官僚OB・OGは貴重」との見方がある一方、「形を変えた天下り」といった否定論も。彼らが高額報酬に見合…