記事一覧:Inside1307件
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【製薬】 天津爆発事故で出鼻挫かれた B型肝炎“新薬”の視界不良
2015年9月19日号「まさか完全に供給が止まるとは、想像もできなかった」──。8月12日に発生した中国・天津の大規模爆発事故から、1カ月余り。想定外の影響に、日本肝臓学会事務局の幹部はそう嘆く。英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)が、国内で販売する新しいB型肝炎治療薬「テノゼット」。日本向け製品を“唯一”製造していた同社の天津工場が被災し、9月9日現在、操業再開のめどさえ立たないのだ。
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【農政】 50年ぶり「酪農政策」大転換へ 補助金廃止で意外な副作用
2015年9月19日号安倍政権が重要視する農業の改革。コメの減反廃止、農協解体に次ぐ、第3の柱が明らかになった。それは、酪農政策の大転換である。50年ぶりに補給金制度を廃止するのだ。この制度は、価格競争力が高い北海道産の牛乳と、相対的に低い都府県産の牛乳が競合しないようにして、都府県の酪農家を保護するもの。補助金によって、北海道の酪農家を飲用乳向けからバターなど加工品向けの生産へ誘導することで、競争を回避する。
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【航空】 燃油サーチャージの円建てに ほとほと困り顔の旅行会社
2015年9月12日号「パッケージツアーにおける航空券のコストをどのように見積もればいいのか」──。旅行会社各社は今、そんなことに頭を悩ませている。というのも、原油がこれだけ安くなっているにもかかわらず、航空会社の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)は期待したほど、下がっていないからだ。日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)は、サーチャージの基準を4月から改定。従来はシンガポール市場のケロシン(灯油)の価格を米ドル建てで適用していたのを、円建てに変更した。
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【電池】 テスラが破格的な安さで売る 家庭用蓄電池のシビアな現実
2015年9月12日号「革命的だ!」。突如、蓄電池市場に現れた黒船、米電気自動車(EV)メーカーのテスラモーターズの家庭用蓄電池「パワーウォール」(PW)に業界関係者たちは当初、拍手喝采した。破格的な安値で勝負してきたからだ。日本メーカーのそれは、1日の日中に使う電力を賄えるとされる容量5キロワット時なら100万円以上で、1キロワット時当たりおよそ20万円の計算だ。対してPWは7キロワット時で36万円。1キロワット時当たりわずか約5万円だ。
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【物流】 「すぐに届く」をアジアにも 船便に対抗するヤマトの挑戦
2015年9月12日号ヤマト運輸が3年前にまいた種が、今夏、開花し始めた。2012年、ヤマトは全日本空輸(ANA)と提携、沖縄県那覇市の沖縄国際物流ハブを拠点として、国際的な物流事業に乗り出した。「物を早く届ける」というヤマトのお家芸を海外にも展開しようともくろんだのだ。沖縄国際物流ハブのある那覇空港からアジア各国へは、深夜便が多く行き来している上、貨物の手続きの速度が速く利便性も高い。こうしたメリットを利用すれば実現可能と踏んだのだ。
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【電力】 環境省要求の“担保”に苦悩 宙に浮く石炭火力発電計画
2015年9月12日号「環境省は新たに石炭火力を建設するなら、その分増えるCO2を減らす“担保”を求めているが、“担保”と言われてもねえ……」。経済産業省幹部は困惑を隠さない。望月義夫環境大臣は8月28日に東京ガスと出光興産、九州電力の3社が千葉県袖ケ浦市で計画している石炭火力発電所の新規建設計画を問題視し、「現時点では、是認できない」という大臣意見を経産省サイドに送り付けた。
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【電機】 東芝が異例の決算再延期 再出発妨げる懲りない面々
2015年9月12日号「想定はしていないが、万が一、期限通りに提出できない事態になった場合は、進退問題も考えないといけない」 東芝が、8月31日に予定していた2015年3月期の決算発表を再延期した。不正会計の発覚から約5カ月。当初の経営陣のもくろみと相反するかのように深刻化の一途をたどる不正会計問題に、室町正志社長兼会長も進退に言及せざるを得なかった。
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【小売り】 ファミマ、ユニー統合が難航 立ちはだかる二つの“懸念”
2015年9月5日号ファミリーマートと、サークルKサンクスを抱えるユニーグループ・ホールディングスとの経営統合の基本合意が、9月以降に延期される見通しになった。2016年5月の株主総会での承認を経て、同年9月に統合完了という予定に変更はないが、協議を本格化して以降、新たな懸案事項が出てきたためだ。
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【電機】 再建途上のシャープに近づく 公的資金注入と再編の足音
2015年9月5日号東京・永田町。安全保障関連法案に反対する小規模なデモ隊を横目に、ネクタイを締めたスーツ姿の男たちが、黒塗りのハイヤーから降り、衆議院第一議員会館に吸い込まれるように入っていった。
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【自動車】 トヨタ、天津工場の稼働再開も 依然として残る再爆発リスク
2015年9月5日号8月26日、トヨタ自動車は中国・天津で発生した爆発事故の影響で操業を停止していた工場の稼働を再開することを決めた。トヨタによれば、「現時点で周囲の安全確保の確認ができ、生産設備の復旧にメドが付いた」という。
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【外食】 既存店の回復はまやかし!? マクドナルドが陥る底なし沼
2015年8月29日号「いかにも回復してきたかのように見えるが、前年のハードルが下がっているだけで、実質的にはマイナスだ」(日本マクドナルド社員)消費期限切れの中国産チキンを販売した騒動から1年がたった8月12日、日本マクドナルドホールディングスは2015年1~6月期の決算を発表した。
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【銀行】 フィンテックは眼中になし これが地銀の規制緩和“本命”
2015年8月29日号「フィンテック」と呼ばれる、金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)を融合させた造語が、日本の銀行界でもにわかに注目を集め始めた。アップルやグーグル、アマゾンといった米国の巨人たちが、ITを駆使して決済や融資といった銀行業務への“侵略”をしていることに対する危機感が背景にある。メガバンクの頭取自らが海外のフィンテック企業へ接触を試みるまでに本気度は高まっている。
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【開発】 新国立の建設計画は白紙でも 近隣ビルに開発優遇の奇妙
2015年8月29日号「ちょっと飛ばして、平成25年7月1日……」。新国立競技場の建設計画が白紙に戻った経緯を検証する第三者委員会が8月7日に開かれた。この席上、事務局である文部科学省のスポーツ・青少年局は委員に向け、同局が作成した一連の年表を丁寧に読み上げていたが、ある箇所を読み飛ばした。そこには「平成25年6月17日 東京都は、国立競技場が所在する神宮外苑地区の新たな都市計画(規制緩和等)を公示」と書かれていた。
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【景気】 “体感物価”上昇が消費を直撃 マイナス成長は本当に一時的か
2015年8月29日号景気の足踏みが顕在化した。今年4~6月期の国内総生産(GDP)の実質成長率(物価変動の影響を除いたもの)が前期比1.6%減(年率換算)と、3期ぶりにマイナス成長になった。GDPを押し下げたのは消費と輸出だ。特に消費については、年初は賃上げが波及し、景気回復のけん引役になるとみられてきただけに、大きな誤算である。
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【日用品】 第3の洗剤ジェルボールが シェアを急拡大させたワケ
2015年8月29日号日用品最大の市場、衣料用洗剤。この2000億円市場のトップシェアは、4割を占める花王だ。続いて、P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)が3割、ライオンが2割となっている。近年は、P&Gがライオンを逆転し、花王の背を追い掛ける構図だが、この流れを加速させているのが、P&Gが昨年4~7月、「アリエール」と「ボールド」で立て続けに投入した新商品「ジェルボール型」だ。
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【IT】 ステマ問題でヤフーが本格調査 浮かび上がる“黒幕”たちの存在
2015年8月22日号「これまでのことは仕方ないながら、今、まさに行おうとしている、電話をかけている、依頼しようとしている(社員の皆さん)、今は危険かもしれません」7月30日、都内にあるPR会社の国内大手、ベクトルグループでは、役員を含む全社員宛てに社外秘のメールが一斉配信されていた。驚くべきことに、そこには業界内で波紋が広がっているある問題について、自社関与の足跡を一切残さないようにと、注意を呼び掛ける内容がつづられていた。
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【小売り】 オムニの目玉はユニクロ! セブン、ファストリと提携へ
2015年8月22日号流通業界の巨人同士が手を結ぶ。セブン&アイ・ホールディングスとファーストリテイリングが、年内にも業務提携する方針を固めたのだ。両社によれば、インターネットで購入したユニクロの商品を、全国のセブン-イレブンで受け取れるようにする方針。資本提携までは踏み込まないものの、物流や海外展開など、包括的な業務提携に向けて検討を進めているもようだ。
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【通商】 想定外のTPP合意先送り 日本が読み違えた“伏兵”
2015年8月22日号「大筋合意の確率は70%」。甘利明TPP担当相の読みは甘過ぎた。7月末からハワイで開催されていた環太平洋経済連携協定(TPP)の閣僚会合は、合意に至らないまま閉幕した。
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【電機】 シャープ、液晶事業を分社化 敷かれ始めた再編への包囲網
2015年8月22日号「前へ進もう」──。シャープが今年1月に発行した社内報「WIND」には、「燃える心と瞬発力」と題した、高橋興三社長の熱いメッセージが載っていた。 「再興」「変革のうねり」など改革が前進を続けているような言葉が随所にちりばめられ、社員の士気高揚につなげようとする経営陣の必死の思いが、垣間見える内容だった。
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【石油】 出光との統合へ進む昭シェル 乗り越えるべき二つの壁
2015年8月22日号「経営統合の具体的な形が何も決まっていない段階で、なぜ発表したのか。社内で不安が高まるだけだ」こう話すのは昭和シェル石油関係者だ。同社と出光興産の再編話が昨年末に浮上して以来、昭シェル社内では「出光とだけは嫌だ」「企業文化が違い過ぎる」といった声が噴出していた。