ロボット・AIの能力が
人間を超える日は近い?
今週号の特集は「ロボット・AI革命」です。
安倍晋三首相は今年5月6日、パリで開かれた経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会で「ロボットによる『新たな産業革命』を起こす」と宣言しました。「ロボット革命」は6月中に策定する政府の新たな成長戦略に盛り込まれ、政府内に「ロボット革命実現会議」(仮称)を設置、5カ年程度の行動計画が策定される見込みです。
一方、米国でもオバマ大統領が2011年6月に「国家ロボットイニシアティブ」を発表しています。7000万ドル規模の予算を投じ、人間と共に、また人間の傍らで働くロボットの開発と利用を加速するという計画です。
日本も米国も、ロボット産業を成長戦略の柱に掲げているわけです。
現在、国内ロボット産業の市場規模は8610億円程度でその大半が製造分野で活用されるものですが、これから急速に立ち上がってくるのが、サービス分野のロボット。約20年後には5兆円にまで拡大すると期待され、そのときにはロボット市場全体では9.7兆円にまで成長すると見込まれています。
サービス分野では、移動や歩行を助ける「パーソナルモビリティ」、「物流」「警備」「清掃」「介護・福祉」などが有望株。高齢化や人口減による労働力不足が懸念される中、ロボットはそうした社会問題の解決にも一役買うものと期待されているわけです。
ただ人間の労働の代替という方向性は、度を越せば人間の仕事を奪うということにもつながります。ロボットと、その要素技術の一つである人工知能(AI)の進化は、肉体労働だけでなくホワイトカラーの頭脳労働をも代替する可能性を秘めています。
国立情報学研究所では、2021年度には東京大学に合格することを目標にしたAIの研究が進められています。昨年秋の代々木ゼミナールの模試に挑戦して、全国の私立大404校にA判定が出るという、なかなかの好成績を収めました。いずれ、あなたも東大生レベルの知能を持ったロボットと同じ職場で働くことになるかもしれません。
米国では、AIが人間の能力を超える日を「シンギュラリティ(特異点)」と呼び、「2029年にはAIは人間と同等の能力を持つようになり、2045年には人間の従来の理解力を超えた超AIが生まれる」という説が流布しています。この説を唱える未来学者・レイ・カーツワイル氏は昨年から、グーグルのラリー・ペイジCEOに請われて、同社で AI 開発を進めています。
果たしてロボット革命は、われわれの産業と仕事をどう変えるのか──。是非、本誌でお確かめください。