今年2月。東京都小平市が開いた市民講座は熱気に包まれていた。予定していた定員の2倍以上の応募があり、小平市は急遽、会場を変更して対応したほどだ。
講座名はずばり「消費税8%目前 今こそ家計を見直すチャンス!」。「消費増税時代のやりくり術」「年金、保険、公的制度あれこれ」「人生の三大資金と生命保険」といった五つのテーマごとにファイナンシャルプランナーを招き、講演してもらうという内容だ。
夜間講座にもかかわらず、毎回、定員オーバーの盛況ぶり。参加者は、主婦やサラリーマンなどで、熱心にメモをとったり、質問したりしていたという。
今、こうした講座が全国各地で開かれている。それもそのはず。2014年は〝大負担時代〟の幕開けともいえる年だからだ。
何といっても、インパクトが大きいのは、4月1日から始まる消費増税。内閣府によると、消費税率を5%から8%へ引き上げると、14年度の家計は年6.3兆円の負担増となる。
6月からは東日本大震災の復興予算を賄う住民税増税がスタートする他、年金支給額が年8000億円減る一方で、年金保険料などの負担は年5000億円増える。また、70~74歳の高齢者の医療費窓口負担が段階的に1~2割上がるし、高校授業料無償化にも所得制限が課される。
年収1400万円の片働き4人家族で
14年は13万円の負担増に!
では、実際の家計負担はどの程度なのか。大和総研の試算を基に、税引前収入から税金や社会保険料などを差し引いた今後の「実質可処分所得」を13年と比較、負担増をまとめてみた。下の表をご覧いただきたい。
まず夫婦の片方が働き、子どもが2人いる「片働き4人世帯」の場合、年収500万円であれば、14年には年間5万4800円、年収1000万円であれば同12万9600円負担が増す。年収1000万円の「共働き4人世帯」で同12万2300円、夫婦で240万円の年金を受けている「年金夫婦世帯」では、同4万1800円の増加だ。
だが、これだけにとどまらない。16年分の所得税から、給与所得控除の上限が現在の245万円から230万円に、17年分からは220万円に縮小されるなど、その後もさらなる負担が家計を襲う。
その結果、16年には年収1000万円の片働き4人世帯で同29万1700円、共働き4人世帯になれば同31万9600円もの負担増となるのだ。
この試算には、インフレに伴う物価上昇などの影響は含んでいない。アベノミクスにより物価が上昇する一方で、今後、もしも賃金が上がらなければ、生活は苦しくなる一方だ。

こうした状況を意識してか、「家計の再生」を中心にアドバイスしているファイナンシャルプランナーの横山光昭氏の元には、多くの人が相談に訪れている。
中でも最近増えているのが、保険の見直しに関するもの。しかも、これまでのメインだった30~40代の相談者だけではなく、20代の若者や60代以上の高齢者に至るまで、年齢層が広がっている。
「医療保険を勧められたが、今のものから乗り換えたほうがいいか」「家計を楽にしたいのだが、どの保険を切ればいいのか」など、いずれも見直し意欲は旺盛だという。