点検は年1回、できれば年2回やったほうがいい。日本ではあまり習慣がないが、家を資産と意識する欧米では一般的なペースだ。無料で点検を行うリフォーム業者や工務店もあるが、仕事を取るための営業活動の一環でもある。有料でも中立的な立場のところに見てもらうのがお勧めだ。

 住宅診断の費用は5万~7万円ほどで、依頼した人も一緒に見て回ることができる。その際、どこを見ればいいのか教えてもらって、以降は自分で点検すればいい。

 写真を撮って定点観測することで「去年はなかった染みがある」といった具合に、自分でも判断ができるようになるはずだ。もちろん、それでも不安な場合はプロに頼もう。

 次に気をつけたいのは、建屋の傾斜や地盤沈下だ。壁のひび割れや、サッシなどの建具が閉まりにくかったら疑ってみたほうがいい。一度家が傾くと元に戻す工事には数百万円から1000万円の費用がかかってしまう。たいていの建物は微妙に傾いているもの。中古住宅の場合、1000分の6(10㍍で傾き6㌢㍍)までは許容範囲だ。それ以上傾いていると、異変を感じるはずだ。

 傾斜の原因が躯体の不具合なのか、地盤沈下なのかは、プロに見てもらおう。壁紙にひびが入っている場合、躯体の不具合が原因のこともあれば、単に下地ボードへの張り方が悪かっただけということもある。

 耐震性能も重要だ。1981年より前に建てられた戸建て住宅は、現在の耐震基準を満たしていないので、耐震改修をしたほうがいい。工事費用は120万円程度が一般的だ。

敬遠される個性的な物件
「ちょっとオシャレ」が無難

 ここまでは、資産価値を下げないための最低限の備えだ。持ち家に付加価値をつけるなら、断熱性能がベストだ。

 現在の新築は建物の断熱性が最も高い「省エネルギー対策等級4」が主流だ。自宅の断熱性能とあまりにも乖離していたら、改修したほうがいい。築20年以上の家はごく薄い断熱材しか入っていないことが多い。

 内装や設備、間取りはあまり個性的なタイプだと中古流通では疎まれる。例えばバブルのころに人気だったスキップフロア(1・5階などフロアとフロアの間に設けられた床)がある間取りは、買い手がなかなかつかない。設備も間取りも一般的なもののほうが、資産価値の面からするとよい。

 差別化の意味でデザイン性を狙う手もあるが、「ちょっとオシャレ」程度にとどめておいたほうが無難だろう。内装は基本的に、買い手が自由にリフォームできる。