主要24資格の受験申込者数が
コロナ禍で高止まりに
「全世代のリ・スキリング(学び直し)を推進する」――。6月に閣議決定された「骨太の方針2024」では、意欲ある人が“生涯”活躍できる社会を実現するべく、若者のみならず中高年を含めた全世代のスキル向上を打ち出した。
学び直しのための「教育訓練給付」の給付率を最大70%から80%へ引き上げた上で、対象資格・講座を拡大。さらに、教育訓練休暇中の生活を支える新たな給付を創設することが明記された。
そんな政府の旗振りとは関係なく、今、物価高や老後の経済不安の高まりから、中高年の間で資格取得を目指す人が増えている。
資格の学校TACがまとめた、日商簿記検定や宅地建物取引士(宅建士)など主要24資格・検定(公務員・教員を除く)の23年の受験申込者総数は約240万人に及ぶ(下図参照)。
16年以降、受験申込者数はおおむね220万人弱で推移していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で試験が中止され、20年は176万人まで急減した。しかし、21年には反動で受験申込者数が過去最高の約252万人に急増し、その後の2年間は約240万人でほぼ横ばいを維持しており、高止まりの状況が続いているのだ。
中でも特に申込者数の伸びが目立つのが、宅建士や中小企業診断士など、働きながら挑戦しやすい「中難易度」に位置づけられる資格だ。
その年齢層は、23年度の宅建士試験の場合、申込者28万9096人のうち、40代以上の中高年が4割近くを占め、とりわけ50代(前年度比6.4%増)と60歳以上(同8.9%増)の申込者数の増加が目立つ。一方、中小企業診断士試験(1次試験)の方は、申込者2万5986人中、58%超を40代以上が占め、こちらも中高年の申込者数が伸びている。
主要資格以外でも、今年4月に民間資格から国家資格へ格上げされた、外国人留学生などに日本語を教える「日本語教師(登録日本語教員)」を目指す中高年が急増中だ。
日本語教師養成講座の最大手、ヒューマンアカデミーにおける同講座受講生数の年代別の伸び率を見ると、40代以降の中高年を中心に過去3年で1.5~2倍ほどに伸びている。同社の講座では「キャリアコンサルタント」を抑えて、50~60代の一番人気だ。同社によれば、「50代以降の受講者は定年後のセカンドキャリアを見据えた人が多く、40代では特に子育てが一段落した主婦が多い」という。
残暑が厳しいものの、季節は折しも「学び」の秋。前出の教育訓練給付制度などを活用すれば、コストも抑えられる。資格挑戦や学び直しで人生の“後半戦”を変える契機にしてみてはいかがだろうか。
コスパ・タイパ重視で厳選!
中高年から挑戦できる稼げる資格が満載
『週刊ダイヤモンド』8月31日・9月7日合併号の第1特集は「40歳、50歳、60歳からの稼げる資格&検定」です。
コロナ禍以降、資格試験や大学院などでの学び直しに挑戦する中高年が増えています。中高年にも人気が高まる「IT分野」や鉄板の「法律分野」、「会計・ビジネス分野」、そして「不動産分野」など、それぞれの分野のおススメ資格を大分析。ゼロから資格取得を目指す中高年の失敗しない勉強法も伝授します。
資格のみならず「学び直し」も、中高年のビジネスパーソンの間で人気が高まっているMBAや、税理士を目指す人必見の税理士「税法」科目免除大学院の選び方、さらに高卒でも入れる名門大学院リストなど、盛りだくさんの内容です。
一念発起して人生をより良くしたい中高年に贈る必読の特集です。ぜひお読みください。