日経平均「5年後」アンケート!
28年末4万7700円の高値予想も
著名投資家ウォーレン・バフェット氏が今春、日本株への追加投資を示唆したことも後押しし、日経平均株価は大きく水準を切り上げてきた。
年初は2万5000円台にすぎなかったものの、5月には3万円を突破してバブル後の高値を更新。6月や7月には、3万4000円に迫る場面もあった。
東京証券取引所のPBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業への是正要請なども相まって、世界の中でも割安に放置されてきた日本株に見直し買いが集中。コロナ禍での金融緩和相場の一巡後はもみ合い圏が続いていたが、ここにきて「再浮上」と形容できそうな上放れの動きを見せている。
気になるのは、今後の行方だ。そこで、ダイヤモンド編集部では「5年後」をテーマとした本特集において、相場のプロにアンケートを依頼。市場分析経験の長い5人から回答を得た。その結果、5年後の年末(2028年末)時点の日経平均の予想値は、3万2000~4万7700円となった。
最も強気の予想を示したのが、マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストだ。アンケートでは、日経平均が1989年末に記録した史上最高値(3万8915円)をいつ更新するかも尋ねたが、同氏の回答は「24年6月ごろ」と、5人中で最も早期を予想した。
広木氏は、インフレ定着によって企業が設備や人的資本への投資を進め、経営効率重視の姿勢が強まると予想。足元の株価は決して割高ではなく、日本の成長期待の台頭によって、5年先まで株価が上昇基調を描くとみる。
一方、最も弱気派となったのが、智剣・Oskarグループの大川智宏CEO(最高経営責任者)。28年末の予想株価は3万2000円と、ほぼ足元と同様の水準だ。
大川氏は「世界的な景気後退が進行する中での現状の株式市場は明らかに過大評価」と指摘。今後確実視される少子化や各種の増税が日本経済のリスクになるとみる。
楽天証券経済研究所の窪田真之チーフ・ストラテジストはこの先、期待できる注目業種の一つにAI関連を回答。5年後は「AIが飛躍的に進歩し、人間の仕事を幅広く代替していくだろう」と見通す。
また、ニッセイアセットマネジメントの吉野貴晶投資工学開発センター長と、みずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは、エクイティスプレッドやPBRといった資本効率向上の流れが、日本株の一段高を促すとみている。
生成AIで激変の未来図
“日本再浮上”の夜明け?
『週刊ダイヤモンド』7月29日号の第一特集は、「20業界300社 5年後の業界地図」です。東京証券取引所が上場企業へ「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ」是正を要請する資本コスト改革も追い風となり、世界の中で割安に放置されてきた日本株が一気に脚光を浴びています。
市場では、産業界の近未来の写し鏡ともいえる日本株の再興を、競争力低下が叫ばれて久しいニッポンの“再浮上の夜明け”と位置付ける向きもあります。その産業界では、「ポストコロナ」の足取りを速める中、生成AI「ChatGPT」の急拡大に象徴される〝新・AI時代〟が到来しました。ビジネス環境を一変させかねない新トレンドによって、この先どんな景色が広がるのか――。
こうした疑問に応えるべく、まずPART1では、日本経済を動かす20業種の主要企業について、5年前と直近、さらに5年後の純利益をビジュアル大解剖。また、株価「5年後」アンケートのほか、「かつてなく日本株が面白く、魅力的」になっていると激白した資産150億円のすご腕投資家、片山晃氏のインタビューにより、日本株と業界の未来図を浮き彫りにしています。
PART2では、生成AIの急発展やインフレなどの新潮流を踏まえ、自動車や半導体、不動産や医薬など注目11業種の未来シナリオを大展望しました。事業自体の先行きに注目し、本業の利益を示す営業利益の予想データを活用しながら、業績や再編シナリオ、給料に至るまでを徹底分析。忖度なしで業界内の勝ち組・負け組を分析し、定量・定性の両面から「5年後」の産業界を見通しました。
さらに、パート3では予想利益を踏まえた「大化け候補」「割安株」計160社ランキングを大公開。激変する5年後を勝ち抜くための羅針盤として、業界関係者のみならず、投資家も必読の確度の高い「未来予想図」をお届けします。