また、定年・早期退職者の退職金額の内訳についても集計してみた。すると、5000万円以上ももらったというつわものがいる一方で、退職金はなかったとする人の存在も浮き彫りとなった。
あくまでダイヤモンド読者の中での調査ではあるが、平均額は2259万円。しかし、上下の振れ幅が大きく、この平均が一人一人に当てはまるものではないということが分かるだろう。
退職金の減少に、自己責任化、さらには企業内格差の拡大。大事な老後資金はまさしく、激変と格差にさらされているのだ。
そんなとき、われわれはどうすればいいのか。それは、自身の退職金を見つめ直し、定年後の暮らしをしっかりと設計することだ。
例えば、よくある失敗は、退職金を「老後の余裕資金」だと考え無防備に散財してしまうこと。銀行の勧誘に乗ってしまいリスクの高い商品に大金を注ぎ込む、憧れの海外クルーズで数百万円を浪費する、住宅リフォームで業者の言うままに不要なオプションまでつけてしまう――などである。
だが、こうした失敗は、事前に情報武装すればかなりの対策が立てられる。 「老後2000万円」問題が議論を呼ぶ中、まずは自身の退職金について考えを深めてみてはどうだろう。
退職金を守るための第一歩を
『週刊ダイヤモンド』7月27日号の第1特集は「退職金と守りの老後運用術」です。貴重な老後資産である退職金がいま衰退のさなかにあります。金額は年々減少し、出世の違いなどによる個人間格差が顕著に。もはや夢のリタイア生活はどこにも保証されていません。
そこで本特集では、老後収支の考え方から、退職金の正しい使い方、退職後の運用まで、退職金を守り、活用するための幾つもの方策を盛り込みました。
「銀行預金では満足できないけどハイリスクは嫌だ」
「今さら株の勉強はしたくない」
そう考える方は多いのではないでしょうか。本特集はノウハウから商品まで厳選して情報の洪水にならないように設計してあります。
特集を読み進めることで、いまこそ、自身の退職金と向き合い、老後の備えの第一歩を踏み出してみてはどうでしょう。
さらに、本特集では読者1000人に及ぶアンケートを実施しました。数多くの読者の生の声をふんだんに誌面で紹介することで、退職金を取り巻くリアルを、実体験を通じて炙り出します。
(ダイヤモンド編集部 山本輝)