「自分で売り上げデータや顧客の分析をやりたいと思ったんですよ」
昨年8月、大手電機メーカーの常務として定年まで勤め上げた佐藤光治さんは、LEDに関する知見とノウハウを買われて韓国の半導体メーカー、ジャパンソウル半導体の日本法人の幹部に転じた。
従業員数が3000人を超える大企業と二十数人のジャパンソウル日本法人では、仕事のやり方がまるで違っていた。前職では顧客別の売り上げデータに基づいた分析はすべて部下が行い、上がってきたデータを元に判断を下すのが佐藤さんの仕事だった。そのため、「自分でエクセルをいじることはほとんどなかった」(佐藤さん)という。
ところが、ジャパンソウルには売上高の合算ぐらいしかデータがない。しかも、忙しい部下たちにデータの分析も頼みづらい。そのため、1000社に上る顧客データも宝の持ち腐れだった。
そこで、佐藤さんは一念発起し、昨年12月にExcelセミナーの門をたたいた。そこで学んだのが、四半期別の前年対比・構成比の表作りだった。「これを自社のデータに当てはめるとどうなるか」と考えた佐藤さんは早速、1000件のデータ分析に着手。顧客を重要度順に並び替えるなど有効な営業ツールを作成した。
そして、次に佐藤さんが手がけたのが、1月から始まる予算づくりだった。本社から割り当てられる予算は前年比150%を優に超える。それをいかに営業マンごとに割り振るかに腐心していた佐藤さんは、Excelを駆使して予算表を完成させたという。
Excelを学び始めてからほんの数ヵ月の佐藤さんだが、すでにExcelの基礎をマスターしたといえるだろう。
基礎、実践、応用の3ステップで解説
『週刊ダイヤモンド』2月28日号の巻頭特集は、「Excelで数字力を鍛える!」です。
マイクロソフトのExcelが世に出たのは約30年前。それまで電卓に頼っていた仕事のやり方を劇的に変えました。
その後も、Excelは進化を続け、機能は大幅にアップしています。その一方で、使いこなせない人や、苦手意識を持つ人が増えたのも、また事実です。
本特集では、そういった方でも一からExcelを学べるような構成を心がけたのに加え、ある程度、Excelを使いこなせる方でも、参考になりそうなコンテンツもふんだんに盛り込んでいます。
基礎編では、飲料メーカーに就職したExcelが苦手な新入社員が、自らABC分析を行えるまでに成長するストーリーを描いています。併せて、押さえておきたい八つの関数についても解説しました。
次に、実践編ですが、テーマは大きく二つあります。Excelで行う「データ分析」と「決算書の解読法」です。分析を行う前にやっておくべきことやビッグデータの分析法を解説すると共に、楽天証券の株式アナリストに、Excelでできるシンプルな経営分析を解説していただきました。
また、ボストン コンサルティング グループのトップアナリストによる「ミスを防ぐExcel活用法」も、Excelを使いこなす上で必ず押さえておきたい手法です。
そして、応用編ですが、外食大手に持ち込まれた投資案件について、経営企画部のエースと入社3年目の若手社員がExcelを駆使して、投資判断を行っていく様をストーリー仕立てで描いています。 併せて、美しく見やすいグラフの作成法も解説しました。
本特集をご活用いただき、Excelを使いこなすことで、ビジネスのお役に立つことを願っています。
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週刊ダイヤモンド2015年2月28日号
「Excelで数字力を鍛える!」
◆Prologue Excelは今や必須スキル
【基礎編】
◆Part1新入社員を一人前に変える
◆Part2 押さえておくべき8大関数
【実践編】
◆Part3 データ分析を極める方法
◆Part4 Excelで決算書に強くなる
【応用編】
◆Part5 事業計画と見やすい表を作る
【特別付録】
◆目からウロコのExcel活用術10