記事一覧:山崎 元のマネー経済の歩き方69

  • 共働きの節税効果と保険代替効果

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    共働きの節税効果と保険代替効果

    2012年12月8日号  

    夫と妻が2人とも仕事と収入を持つ「共働き」という生活形態は、合理的なばかりでなく、かなり「得」でもある。うすうすそう感じていたが、花輪陽子、是枝俊悟『大増税時代を生き抜く 共働きラクラク家計術』(朝日新書)を読んで、なるほどと思った。この本には具体的な損得の試算が多数載っているが、印象的だったのは、3歳以上中学生以下の子どもが2人いる夫の年収が900万円の家庭で、年収が100万円増えた場合の「手取り」だ。この100万円が夫の収入として増えた場合、所得税が15.77万円、住民税が7.72万円、社会保険料が12.79万円増え、児童手当が12万円減って、可処分所得の増加は51.72万円にすぎないという。

  • 個人が行動ファイナンスから学ぶ7カ条

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    個人が行動ファイナンスから学ぶ7カ条

    2012年12月1日号  

    「行動ファイナンス」という学問分野は、10年ほど前に、ダニエル・カーネマン氏がノーベル経済学賞を取ったこともあり、今では大変有名になった。行動ファイナンスが、投資家の側よりも、金融商品の売り手の側で体系的に応用(顧客側から見ると「悪用」といってもいい!)されていることは、筆者が本欄でも繰り返し書いている。しかし、この研究は本来、投資家の判断上の弱点を教えてくれる点で、投資家の側でも役に立つはずだ。 今回は、個人投資家が行動ファイナンスから学ぶべき教訓を7カ条の心得にまとめてみた。

  • 時は金なり! について考える

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    時は金なり! について考える

    2012年11月24日号  

    時は金なり。時が金よりも大切な場合があるから、正確ではない。しかし、ビジネスパーソンに役立つ格言を一つだけ選べというなら、迷うことなくこれだ。まず、自分の時間に値段を付けてみよう。1日に8時間、年間250日働く人の年収が1000万円なら、時給は5000円となる。この人の通勤時間が30分延びたとすると、毎日往復1時間、月に20日出勤するとして、毎月10万円の損と計算できる。通勤の「疲れ」まで計算に入れると実質的にはもっと損だろう。職住接近が合理的な場合が多い。

  • 厚生年金基金廃止にどう取り組むべきか

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    厚生年金基金廃止にどう取り組むべきか

    2012年11月17日号  

    厚生労働省が厚生年金基金制度の廃止方針を打ち出して、話題になっている。内容の詰めは今後の問題だが、廃止まで10年程度の予備期間を設けることと、「代行割れ」の損失部分について、全部ないし一部を厚生年金本体で負担することを検討しているようだ。

  • たかがPER、されどPER

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    たかがPER、されどPER

    2012年11月10日号  

    ほとんどの読者が「PER」をご存じだろう。「株価収益率」という日本語を当てることが多いが、株価を1株当たりの利益で割った倍率がPERだ。純利益が100億円ある会社が1億株の株式を発行していると、1株当たりの利益は100円だ。この会社の株価が1000円なら、PERは10倍となる。

  • ボトルネックの場所は時々変化する

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    ボトルネックの場所は時々変化する

    2012年11月3日号  

    経済活動にあって、何がボトルネック(主要な制約要因)となるかは、時代とともに変化する。

  • 年金基金の暴走は誰が止めるか

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    年金基金の暴走は誰が止めるか

    2012年10月27日号  

    AIJ投資顧問による三流運用詐欺のような巨額年金資産消失事件に続いて、厚生年金基金の運用でまた不祥事が報じられた。 「日本経済新聞」(10月7日朝刊)によると、長野県建設業厚生年金基金は、運用会社3社(投資顧問2社、信託銀行1社)に70億円の年金資産運用を委託し、これを同基金が指定した投資会社のアドバイスに従って未公開株などに投資させた。その結果、運用資産は20億円に減った。

  • 「開かれて」いることの重要性を競馬に学ぶ

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    「開かれて」いることの重要性を競馬に学ぶ

    2012年10月20日号  

    世界最高峰の競馬レースである凱旋門賞が今年は10月7日に行われた。今年の凱旋門賞が特に注目されたのは、日本の最強馬オルフェーヴルが出走を予定し、有力視されていたからだ。読者はもう結果をご存じだろう。

  • 「国債暴落」のあれこれを考える

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    「国債暴落」のあれこれを考える

    2012年10月13日号  

    日本の国債が、近い将来、ギリシャ、イタリア、スペインの国債のように「暴落」するという議論をよく聞く。日本の政府債務残高は、GDPに対してギリシャよりも大きい。しかし、それだけで、危ないと考えるのは短慮だ。

  • 投資信託残高を数倍に増やすために

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    投資信託残高を数倍に増やすために

    2012年10月6日号  

    投資信託が停滞している。投資信託協会のホームページで公募の株式投信の8月末時点での純資産額を見ると、48兆円強しかない。公社債投信の残高も10兆5000億円ほどなので、合わせても60兆円に満たない。個人金融資産が1500兆円あるといわれる中で、この額はいかにも小さい。

  • 「人的資本」はどう運用するといいのか

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    「人的資本」はどう運用するといいのか

    2012年9月29日号  

    人生を資産運用として捉えると、多くの人にとって最大の運用資産は、金融資産よりも自分自身の「人的資本」だ。人的資本は、将来の収入の割引現在価値であり、個人の株価のようなものだ。

  • アップル的な人気銘柄とどう付き合うか

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    アップル的な人気銘柄とどう付き合うか

    2012年9月22日号  

    アップルの時価総額は、本稿執筆時点で6200億ドル台で、日本円にしてざっと50兆円だ。同社のビジネスは立派だ。商品ラインアップを絞り込み、形は違っても中身の似たものを大量に作り(失礼!)、高い粗利率を確保する。

  • リスクを体感することの重要性

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    リスクを体感することの重要性

    2012年9月15日号  

    わかりやすい金融知識の解説で定評のある吉本佳生氏の新刊『確率・統計でわかる「金融リスク」のからくり』を読んでみた。投資を考える上では、リターンを考えることよりも、まず、リスクを把握することが大事だという著者の主張に大いに賛成だ。

  • 「相場観」という言葉のあれこれ

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    「相場観」という言葉のあれこれ

    2012年9月8日号  

    運用会社、証券会社、銀行でも市場部門など、マーケットに関わる仕事では「相場観」という言葉が頻繁に登場する。この世界では「相場観の一つも語ることができないヤツは、一人前ではない」とされている。マーケット関係者の間では、相場観を問われたら、自分が現在心に抱いているストーリーを語るのが、一種の礼儀でありあいさつだ。

  • 運用期間で運用方法は異なるのか?

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    運用期間で運用方法は異なるのか?

    2012年9月1日号  

    運用のプロあるいは証券マン(注:証券マンは運用のプロではありません!)は、素人投資家を励ます際に、「プロは毎期毎期の決算を気にしなければならないが、素人はこれを気にしなくていいので、運用の条件は、素人のほうが有利だ」としばしば言う。

  • 野村と山一の長所と短所

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    野村と山一の長所と短所

    2012年8月25日号  

    証券会社は、個人の資金運用にも、企業の資金調達にも、重要な役割を果たしている。このことに、疑いの余地はない。

  • エコノミストのキャリアパス

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    エコノミストのキャリアパス

    2012年8月18日号  

    「日本経済新聞」(7月24日朝刊)に「エコノミスト、一流への道」と題して、民間の著名エコノミストの経歴をまとめた記事が載っていた。

  • テクニカル分析を攻撃する論理

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    テクニカル分析を攻撃する論理

    2012年8月4日号  

    バートン・マルキールの『ウォール街のランダム・ウォーカー』(井出正介訳、日本経済新聞出版社)は、内容の一部に重大な間違いを含む(と筆者は思う)が、投資家が繰り返し読むに値する名著だ。

  • 「買ってもいい」運用商品全リスト

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    「買ってもいい」運用商品全リスト

    2012年7月28日号  

    個人投資家に「買ってもいい」と言える運用商品は少ない。(1)運用の中身のわからない商品、(2)実質的な手数料のわからない商品、(3)同類の商品よりも手数料がはっきり高い商品は、金融論的にも実践的にも「明らかに買えない」し、投資家は「検討する必要さえない」。

  • 低金利下の我慢比べを競う債券運用

    山崎 元のマネー経済の歩き方
    低金利下の我慢比べを競う債券運用

    2012年7月21日号  

    ある企業年金の運用担当者とお話しする機会があった。彼は、「国債利回りの上昇リスク」について大いに心配していた。利回りが1%上昇すると、現在の年金基金の債券運用ポートフォリオでは、おおむね5%以上値下がりする。国内債に4割以上投資する彼の基金でこうなると「痛い」と言う。

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記者の目

  • 編集委員 藤田章夫

    新NISAを追い風にする保険業界のしたたかさ

     新NISAが1月からスタートし、保険の販売には逆風かな?と思っていたら、「むしろ追い風になっていますよ」との声が多数。
     資産運用の相談に来た人に、「投資信託は資産が減ることもありますが、変額保険の死亡保険金額には最低保証があります」と言えば、「保険の方がいいか」となるようです。
     本来は、資産を運用したいのか保障が欲しいのか、目的に応じて使い分けたいところですが、これがかなり難しい。
     そこで、保険ジャーナリストの森田直子さんとファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに、保険と運用それぞれの立場から対談を行っていただきました。面白過ぎて、対談時間はあっという間に過ぎました。ぜひご一読ください。

  • 副編集長 名古屋和希

    “予定調和”の買収は今後減少?

     第一生命ホールディングスが3月に福利厚生代行のベネフィット・ワンを買収しました。この買収劇は異例の展開をたどりました。
     先に買収を表明したのは医療情報サイト運営のエムスリーでした。そこに第一生命が参戦したのです。結局、エムスリーよりも好条件を提示した第一生命が買収戦を制しました。大企業による対抗的な買収は極めて珍しいものです。
     従来、事業会社はイメージ悪化などを恐れ、「敵対的」な買収を控えてきました。ただ、近年はルール整備などを背景に「同意なき買収」が広がる機運が出ています。買収が活発になれば、企業・業界の新陳代謝も促せます。今後、“予定調和”の買収は減っていくかもしれません。

最新号の案内24年4月27日・5月4日合併特大号

表紙

特集保険vs新NISA 今「契約したい保険」は? 生保商品ベスト&ワーストランキング

保険とNISA、どちらに資金を振り向けるべきか──。新NISAをきっかけに投資熱が高まる中、多くの人が抱える悩みだ。そこで保険とNISAで迷ったときの考え方や保険の見直し方、保険のプロ29人が辛口採点した生命保険商品ランキングを、業界の深部…

特集2変局 岐路に立つNHK

NHKが大きな岐路に立たされている。今国会で放送法改正案が可決されれば、ネット視聴も受信料徴収の対象となる。一方で、今後、NHKの受信料収入は人口減やテレビ離れを背景に先細る可能性が高い。職員数1万人を誇る巨大公共放送機関は、「みなさまのN…