記事一覧:新日本酒紀行166件
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新日本酒紀行
千代むすび(CHIYOMUSUBI)/鳥取県境港市
2017年3月18日号日本海の冬の王様といえば蟹だ。松葉蟹、越前蟹、間人(たいざ)蟹など、ブランド蟹はさまざまある。実はどれも同じズワイガニの雄で水揚げ港によって名前が変わる。ズワイガニの頭に「ベニ」が付いたのがベニズワイガニ。表も裏も紅色で近縁種だが別もので水深800m以上の深海にすみ、名前が付いたのは戦後。その水揚げ量日本一が鳥取県境漁港。
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御前酒(GOZENSHU)/岡山県真庭市勝山
2017年3月11日号「晴れの国」岡山にも、雪国あり。鳥取との県境に近い真庭市勝山は、瀬戸内海側の温暖気候と異なり、冬は雪深い寒冷地。この地で酒造りする辻本店は、創業1804(文化元)年の老舗。酒名の「御前酒」は江戸時代、2万3千石の三浦藩の献上酒を務めたことに由来。
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丹沢山(TANZAWASAN)/神奈川県山北町
2017年2月25日号酒の匂う川と書いて、酒匂川(さかわがわ)。神奈川県西部最大の河川だ。その名は奈良時代に編纂された「記紀」までさかのぼる。日本武尊(やまとたけるのみこと)東征の際、この川に神酒(みき)を注いで龍神に祈念した故事に基づく。
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まんさくの花(MANSAKUNOHANA)/秋田県横手市増田町
2017年2月18日号横手盆地の南東部にある増田町は、日本有数の豪雪地帯。蔵の町としても有名で、2013年12月に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。ただし、外からは全く分からない。豪雪故に、屋敷の中に守られて立つ「内蔵」なのだ。「まんさくの花」醸造元の日の丸醸造も内蔵を持ち、豪華で繊細な意匠が往時を偲ばせる。
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虎之児(TORANOKO)/佐賀県嬉野市嬉野町
2017年2月11日号温泉と燗酒。どちらも体を温め、疲れを取り、心身共に緩めてくれる。その両方楽しめるのが佐賀の嬉野温泉だ。江戸時代、長崎街道の宿場町として栄え、日本三大美肌の湯といわれた。『肥前風土記』(713〈和銅6〉年)には「東の辺に湯の泉ありて、能(よ)く人の病を癒す」と記される。
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雪男(YUKIOTOKO)/新潟県南魚沼市塩沢
2017年2月4日号新潟県の魚沼地方は、日本有数の豪雪地帯。毎冬、大陸からの季節風が周囲の高い山々に激しく吹き付け、大雪を降らせるため、スキー場も多い。その厳しい自然環境がブランド米、魚沼コシヒカリを育む。この地で酒造りする青木酒造は1717(享保2)年の創業で、今年300周年を迎える老舗だ。
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長龍(CHORYO)/奈良県北葛城郡広陵町
2017年1月28日号その昔、酒造りの容器は、桶で仕込んで樽に移し、販売までも全てが杉製だった。それがタンクで仕込み、瓶に詰めるのが当たり前になり、酒から杉の気配が消えてしまった。杉桶は高価で大量生産に向かず、木が酒を吸うので不経済。しかも温度管理や清掃に手間がかかり、敬遠されていったのだ。
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福来純(FUKURAIJUN)/岐阜県加茂郡川辺町
2017年1月14日号「新年のお屠蘇(とそ)にふさわしいのは、もち米から造るみりんでしょう」と、白扇酒造の4代目蔵元、加藤孝明さん。「ハレの日の食事は餅や赤飯など、もち米です」。白扇酒造は日本酒、みりん、焼酎と、米を使った伝統酒3種を醸す全国でもまれな蔵。特に有名なのが、料理人から絶賛される福来純本みりんだ。
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木戸泉(KIDOIZUMI)/千葉県いすみ市大原
2016年12月17日号杉は近年、嫌われる木の代名詞だ。輸入材が増えて価格が暴落し、放置林と花粉症が増えた。だが、杉でなければできないのが醸造道具だ。米を蒸す甑(こしき)、麹を造る麹室、櫂棒に升、桶に樽も、酒に関わる木は全て杉。木戸泉酒造は、巨大な酒林の蔵として有名で、造り始めて20年、大きさは直径2メートル!
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醸し人九平次(KAMOSHIBITOKUHEIJI)/愛知県名古屋市
2016年12月10日号日本酒のラベルは似たものが多く、商品名も剣菱、八海山など、漢字2~3文字が主流。日本語が読めない人には、どれも同じに見えて「何をどう選んでいいか分からない」、読めても酒の味とイコールにならないという。「醸し人九平次」は、酒の中身を商品名に託す蔵。「human」や「黒田庄に生まれて、」など、「どんな意味?」とその先を知りたくなる酒を次々とリリースする。
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春霞(HARUKASUMI)/秋田県仙北郡美郷町
2016年12月3日号秋田県の美郷町は60カ所から清水が湧き出る水の町。昔は酒蔵が20あったが、今は3蔵。その一つが春霞醸造元の栗林酒造店だ。地下30メートルから揚水した軟水(硬度2.4)で酒を仕込む。7代目栗林直章さんが種籾から酒造りまで関わる酒米が、町名と名が重なる美郷錦だ。
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澤姫(SAWAHIME)/栃木県宇都宮市
2016年11月19日号真の地酒とは何か? 澤姫醸造元、5代目蔵元の井上裕史さんが出した答えが「真・地酒宣言」だ。普通酒から大吟醸、鑑評会への出品酒まで、原料米はオール栃木産。今でこそ「県産米しか使わない」と公言する蔵があるが、10年前は「賞を取るには山田錦、きょうかい酵母」の時代。
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大七(DAISHICHI)/福島県二本松市
2016年11月12日号フルコースの酒造り。スターターは、微発泡「ゆきしぼり」、次に滑らかな「皆伝」、重量感あるメーンには力強い「木桶純米熟成酒」、デザートに「梅酒」。「全ての酒を、どんな場面で、どのように飲まれるか、イメージして造ります」と、大七酒造10代目の太田英晴さん。
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いづみ橋(IZUMIBASHI)/神奈川県海老名市
2016年11月5日号栽培醸造蔵、泉橋酒造の酒銘は「いづみ橋」。なぜ、「づ」? 実は、「泉」の語源は「出(いづ)る水(みず)」で和名抄にも出ている古称。蔵がある海老名は千年以上前から耕作が盛んで、古墳も多い歴史ある地。それ故の酒銘なのだ。今はロマンスカーが止まり、ショッピングモールもある海老名駅だが、そこから徒歩15分で、山田錦や雄町の酒米の田んぼが何町歩もあるとは驚くばかり。
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獺祭(DASSAI)/山口県周東町獺越(おそごえ)
2016年10月29日号山口の山奥の山田錦の蔵、旭酒造。使う米は山田錦のみ、精米歩合50%以下の純米大吟醸「獺祭」を醸す。醸造用アルコール添加は一切ない。1990年に業界初の精米歩合「二割三分」酒に着手し、玄米を77%削って23%の山田錦で純米大吟醸を醸造。精米時間は7日×24時間の168時間。そしてできた酒は上品で清らか、飲みやすいと人気が爆発し、日本酒嫌いの人の心までわしづかみにした。
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杉錦(SUGINISHIKI)/静岡県藤枝市
2016年10月22日号「原始的で面白い」と菩提酛(ぼだいもと)の酒の魅力を語る杉井酒造の蔵元杜氏・杉井均乃介さん。菩提酛は室町時代に奈良の菩提山正暦寺で考案された醸造方法で、米を蒸さず生米を使う。山廃仕込みや生酛(きもと)仕込みの元になったといわれ、今も奈良県の酒蔵を中心に、商品化されている。
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杜の蔵(MORINOKURA)/福岡県三潴(みづま)町
2016年10月15日号料理酒は飲む酒とは別と考える人が多い。それはなぜか? 料理酒は酒販免許がない店でも売れるよう開発され、酒税法対象外にするため、塩などが添加される。酒の原料は「米・米麹」が基本だが、安価を競う料理酒は、うま味調味料や糖類、酸味料等も使われる。飲めると思わないのも当然の味だ。
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日置桜(HIOKIZAKURA)/鳥取県青谷町
2016年10月8日号居酒屋で注文した酒が瓶底近くまで減っていると「失敗した」と思う。すでに劣化して風味がとび、本来の味が消えうせていることが多いからだ。酒は開栓したてに限る……。これが定説。だが、一升瓶の最後こそ、うまい酒があった。米の作り手を銘柄ごとに限定する日置桜の酒だ。
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雑賀(SAIKA)/和歌山県紀の川市
2016年10月1日号「酢」という字は、「酒」から「作る」と書く通り、酒のアルコールを酢酸菌で発酵させてつくる。乳酸発酵、糖化発酵、アルコール発酵に加え、酢酸発酵まで加わるのが酢。日本の発酵の頂点!? かもしれない。市販酢の原料は穀物や果実、醸造方法もさまざま。
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仙禽(SENKIN)/栃木県さくら市
2016年9月24日号ナチュール=自然派を意味する酒。驚くべき甘酸っぱさだが不思議な生命力がある。11代目蔵元・薄井一樹さんが設計する古代製法の酒で、地元米をあえて磨かず、天然酵母で生酛(きもと)造り、かつ木桶仕込みする。「生酛、木桶、樽熟成に可能性がある」と熱く語る。