記事一覧:大人のための最先端理科269件
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大人のための最先端理科
【数学】 二つのものが「同じ」とは? 現代数学の定義にも危うさ
2015年8月1日号二つのものが「同じ」とはどういうことだろうか。当たり前に見えて、よく考えると当たり前でない疑問である。例えば、X中学校の3年2組に身長が155センチメートルより低い人は木下真規子さん1人だけだったとする。また、2011年にY山にハイキングに行った女性も木下真規子さんだけだったとする。そうすると、「X中学校の3年2組の身長が155センチメートルより低い人」と「11年にY山にハイキングに行った女性」というのは同じ集合である、といっていいだろうか。それとも、この二つはたまたま同じなだけで、本当は違った概念である、というべきだろうか?
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【地球】 列島は活動期に入ったのか 日本に静穏期はあるのか
2015年7月25日号5月30日夜、久しぶりに江戸のうなぎに舌鼓を打っていたとき、その揺れは来た。東京の約900キロメートル南方、590キロメートルもの深さで発生したマグニチュード(M)8.5の地震は、日本列島のほぼ全域を襲った。震度3以上の地震は6月だけでも15回起きた。一方で火山も鳴動する。箱根がざわつき、口永良部島ではマグマ水蒸気爆発が起こり、全島避難が続く。さらに浅間山でも小噴火が起こり、桜島や西之島は相も変わらず活動的である。
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【脳科学】 自分の脇腹をくすぐっても こそばゆくないのはなぜ?
2015年7月18日号揺れ動いているビデオカメラで撮影した映像はひどくぶれて見えるのに、自分の目で見る世界は、目を動かしてもぴたりと静止したままである。他人に不意に脇腹をつつかれると身をよじるほどくすぐったいのに、自分自身で同じことをやっても少しもこそばゆくない。このまったく無関係に思える二つの出来事には共通の理由がある。
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【宇宙論】 ブラックホールに落ちると いったいどうなる?
2015年7月11日号今年は、アルベルト・アインシュタインがベルリンのプロイセン科学アカデミーで、重力の理論である「一般相対性理論」を発表してから100周年の記念の年である。1915年といえば、第1次世界大戦勃発の翌年。そして、この理論が予言する重力レンズ効果が、英国のアーサー・エディントンの観測で確認されたのは、大戦終結の翌年であった。
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【生命科学】 クローン技術を使えば ペットはコピーできるか
2015年7月4日号あなたのかわいい三毛猫のミケが突然事故で死んでしまったとしよう。あなたは「クローン技術でミケを復活できるのではないか?」と考える。さて、これは可能だろうか?1950年代の終わり、初めて核移植技術でカエルのクローン個体を作ることに成功したのは、英国のジョン・ガードン卿である。もともとガードン卿は“クローン・カエル”を作ろうとしたのではない。「遺伝情報は脊椎動物でも細胞核の中のDNAが担うのか?」という命題にチャレンジしたのがきっかけだった。
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【数学】 証明が正しければ定理は正しい 空気を読まない数学者の誇り
2015年6月27日号「Xさんたちが、われわれの15年前の論文は間違いだと言っている。グーグルグループでその分野が専門の研究者を何人か交えて議論することになったから、参加してほしい」そんな電子メールが共同研究者のOさんから来たのは、ちょうど北京の研究所に滞在中のときだった。「何をいまさら、勘弁してほしい」というのが、正直な感想だったが、そんなことを言われて受けないわけにはいかない。
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【地球】 地震は噴火を誘発するのか 3・11は火山活動を変えたか
2015年6月20日号「大地震は火山噴火を引き起こすのか?」。マグマ学者である私には、最近こんな質問がよく投げ掛けられる。2011年3月11日、マグニチュード(M)9.0の超巨大地震が東北地方を襲った。私たちが懸命にこの試練に立ち向かう一方で、列島は火山活動を繰り返す。
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【脳科学】 なぜ顔や表情が分かるのか? 認識メカニズムの不思議
2015年6月13日号私たちは、何百人という知り合いや著名人の顔を区別できる。その一方、親しげに会釈しながら通り過ぎていった今の人は一体誰だっただろうと首をかしげることもある。顔や表情を見分けるという日々の出来事は、ありふれているようでいて、多くの不思議に満ちている。
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【宇宙論】 夜空はなぜ暗いのか? 「宇宙の始まり」が解いた疑問
2015年6月6日号SF作家アイザック・アシモフの出世作『夜来る』は、六つの太陽を持つ惑星ラガッシュの物語である。この惑星の空は、六つの太陽が交代で照らしているので、住民たちは、これらの太陽以外に天体のあることを知らなかった(図1)。
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【生命科学】 目や筋肉からiPS細胞まで 「親分遺伝子」が運命を決める
2015年5月30日号私たちの命は、たった1個の受精卵から始まる。一つの細胞の核に搭載された「遺伝子セット」は、細胞が分裂して2個になり、4個になり……と、完璧にコピーされて受け継がれていく。ではどうして、心臓や肝臓、筋肉、神経といった、異なる細胞になるのだろうか?遺伝子は「体の設計図」と呼ばれることもある。ヒトの設計図として働く遺伝子セットは、およそ2万個と見積もられている。ところが、それぞれの細胞で働く遺伝子の数は数千個程度。全ての遺伝子のスイッチがONになっているわけではない。
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【数学】 闇雲に計算するのでは× 解けない問題を解く方法
2015年5月23日号最初に三角関数を勉強したときの演習問題はこんな感じだった。「ある人が木を見上げたら、見上げる角度が23度、木のてっぺんまでの距離は10メートルでした。木の高さを求めなさい」(図1)答えは「直角三角形(図2)に対しては、AC/AB=sinθである。AB=10、θ=23だから、10×sin 23。巻末の三角関数表を見ると、sin 23=0.3907だから、3メートル90センチ」。
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【地球】 地球は巨大リサイクル工場 大陸“製造”で出たゴミの行方
2015年5月16日号日本は世界一の火山国である。国土は地球表面の0.1%に満たないのに、世界の活火山の約7%が集中する。そのため絶えずどこかの山で噴火が起こり、私たちは試練と向き合わねばならない。一方で、列島には3万カ所に近い温泉があり、私たちはちゃっかりと火山の恩恵にあずかっている。
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【脳科学】 脳科学者を魅了する「鳥の歌」 さえずり特有の神経回路
2015年5月2日号春爛漫。山や里は新緑に満ち、虫たちが飛ぶ。この時期、郊外や山に出掛けると、鳥たちがにぎやかに鳴いている(図1)。この鳥たちのさえずりに魅せられているのはバードウオッチャーだけではない。多くの脳科学者もまた、虜になっている。それには深い訳がある。
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【宇宙論】 太陽系がこの先もずっと 安定を保ち続ける確率
2015年4月25日号世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし。 私はカリフォルニア工科大学で教鞭を執っているが、東京大学のカブリ数物連携宇宙研究機構でも主任研究員をしているので、しばしば東京に出張をする。春に出張するときには、桜がいつ咲くのかが気になるが、開花予想は2月の初めにならないと発表されないので、出張の予定を組むときには間に合わない。もっと早くに予想してくれるとありがたいのだが、実は、何カ月も前から予想することは、原理的に不可能なのだ。
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【生命科学】 iPS細胞の網膜移植に続け 日本がリードする再生医療
2015年4月18日号英国の科学誌「ネイチャー」は毎年末に「今年の10人」として、注目に値する科学者を発表している。大変うれしいことに、2014年のその1人に、理化学研究所の高橋政代博士が選ばれた(ご主人の高橋淳先生も再生医療の研究者なので、「政代先生」と呼ばせていただく)。「世界で初めてiPS細胞から作った細胞を患者の網膜に移植した」ことが選出の理由である。
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【数学】 数学研究にも巨大化の波 大発見を生んだ「異常事態」
2015年4月11日号一番の巨大科学は浮き世を離れた理学の中にあると聞かされたことがある。確かに、惑星探査機には巨額の費用が掛かるし、素粒子実験の加速器などは幾つもの国の科学技術予算の相当部分を使う。それらは何百何千人もが関わるプロジェクトになり、人里離れた研究室にこもった老博士が誰も知らないうちに世界を揺るがす大発見をするというのは小説の中だけになりつつある。
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【地球】 なぜ地球は凸凹しているのか 大陸はどこで生まれたのか
2015年4月4日号洋々と広がる海。そそり立つ山々。私たちはこのような凸凹した景色に慣れっこになっているが、実はこれは、地球特有の地形なのである。海底には海溝、それに山脈(海嶺)や海山(かいざん)もあるが、大部分は深さ数千メートルの深海底である。一方で陸、そのほとんどを占める大陸の平均標高は840メートル。つまり地球の表面には低地と高地が存在し、窪地に水がたまっている領域が海、海面上に顔を出す高地が陸と呼ばれているのだ。
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【脳科学】 人間の「個性」や「能力」は 脳のかたちに表れるのか
2015年3月28日号誰もが、頭の中に持っている脳。心が脳から生ずることを考えれば、「私」はそこにいる。脳は、私たちにとって最も身近な存在であるはずだ。しかし、自分の脳を生で見たことがある人はいない。他人や動物の脳を見た経験のある人だって多くはない。脳は一体どんな物体だろう。そこに、「私」のかけらを見いだすことはできるだろうか。
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【宇宙論】 大切なものは目に見えない!? 銀河を満たす「ダークマター」
2015年3月21日号地球から3億光年のかなたに、1000個以上の銀河が集まった「かみのけ座銀河団」がある。私の所属するカリフォルニア工科大学で活躍した天文学者フリッツ・ツビッキーは、数多くの銀河が集まって銀河団になる仕組みを理解しようとした。
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【生命科学】 再生医療の未来を左右する 治療用の細胞をどう作るか
2015年3月14日号トカゲのしっぽは切ってもまた生えてくる。発生生物学の実験によく使われる「アフリカツメガエル」の場合は、オタマジャクシに生えた脚を切った場合には完璧に再生できるが、オトナのカエルの脚は切っても再生できない。ハリー・ポッターの物語では、箒(ほうき)から落ちたハリーの腕がもげても、魔法の薬を飲むことによって数日で腕が再生するが、現実の世界ではそのようなことはあり得ない。